宇佐美まことのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒木あるじ『牢家』、平山夢明『るるろいの家』あたりだろうか。
『旧居の記憶』は、大きな山場のある話というよりも、文章とその時代背景から浮かび上がる全体の雰囲気に独特のグロテスクさとノスタルジックな空気感があって、妙につらつらと惹き込まれるように読み進めてしまう。
『牢家』は、黒木さんらしいといえばそれまでなのだけど、地方に伝わる民間伝承や土俗的な風習を現実とからめてエンターテイメントに仕上げた感じ。
『ろろるいの家』は、純粋に怖い話。どこかで聞いたことのあるような設定が色んな角度から登場して、最初は「あれ?この設定、どこかで…」と思って怖いというよりは「きたきた!」と楽しみながら読んでいる感じなのだけど、トータルでいうと楽しいというよりジワジワと怖くなっていく。
秋の夜長に楽しませてもらった。 -
Posted by ブクログ
犯人が誘拐した女の持ち物を家族に送りつけてくる事件。疾走した高校生の一人娘が事件に巻き込まれたのではないかと憔悴し心配する両親と、その両親が隠している過去の秘密。過去の事件と現在の事件が奇妙に一致し、真相に近づいていくミステリー小説。
読み始めは面白くてあっという間にひきこまれていくが、中盤で「あー、この人がこの人だよね…」となんとなくわかってくる。で、物語の軸はいったいどれなんだ?と思うくらい話があっちこっちへ行き「この話はちょっとあんまりかな…」と思いかけるも、終盤パタパタパタっと全部つながっていき、最後は一気読み!なるほど、きれいに終わったな、面白かった。 -
Posted by ブクログ
がんで余命半年と宣告されたヤミ金業のマキ子。
落ちぶれた取り立て屋の乾。
陸上部のエース阿久津先輩に憧れる高校生の結。
生まれてから車椅子の生活しか知らない身体の不自由な博。
いったいどこで彼らが結びつくのかと思いながら読んだけれど、第五章で話が急展開を迎える。
最近"人と人とのつながり"を主としたものを読む機会が多いので、絶対に思いがけない人物でつながるものと覚悟していたのに…それでも予想外だった。
「世界はつながっているんだ。時とか空間とか。それから人と人も」
「世界は輪っかのようにつながっているのだ、という気がした。一度も会ったことのない人と人も、実は深い関係があり、昔起こった些細な出来事が、今日の出来事を引き起こす、というようなことが。」
風が吹けば桶屋が儲かる…じゃないけど、全然関係のないようなことでも実は影響を受けているということが、意外と世の中にはあるのかもしれない。パッと見では分からないし、私達も無意識の範囲内だから気づいていないだけで。
ラストは少しばかり明るい。けれど、マイナスがゼロになっただけである。
"ウーピーパーピーの木の下に埋めた。そこに埋めたら、何もかもなかったことになる。初めっからやり直せる。すべてはうまくいく"。そう、何もかもなかったことになって、初めっからやり直せるだけなのだ。
そこから自分を変えるかどうかは、自分にかかっている。