出口治明のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
「最後の講義」とは、NHKの番組名です。どんな番組かと申しますと、〈知的最前線に立つスペシャリストたちが「もし今日が最後だとしたら、何を語るか」という問いのもと、学生たちに対して講義を行い、それを番組にしたもの〉。そしてこの本は、〈編集でカットされた未放送分を含め、最後の講義を再構成した完全版です〉。
私は出口治明さんをとても尊敬しており大ファンなのですが、うっかりこの番組を見逃してしまったので、YouTubeに音声のみ上がっていたのを拝聴しました。またこの本が出ていることは知っていたので、書店に行った際探してみたら棚に挿さっていたので購入した次第です。
字が大きく本も薄め(174ページ)なので、すぐ読めちゃいます。でも中身はすごく濃い。全部引用して紹介したいくらい、目からうろこが落ちまくりです。コロナウイルスは自然現象だから必ず収束する、今は外で超弩級の台風が荒れ狂っているのと同じだからステイホームしましょう、とか、高学歴というのは学校卒業後も勉強し続けること、その方法は「人・本・旅」の3つ、とか、やりたいことや好きなことがなかなか見つからないのは当然、とか、人生に必要なのは「強さ」や「賢さ」ではなく「運」と「適応」なのです、とか。
日本が今直面しているさまざまな問題も、出口さんにかかると「タテ・ヨコ・算数」の視点でスーッと整理されてわかりやすくなるので興味が湧いてきます。経済的なことは苦手なのですが、この本を読んで知りたくなり、ちょっと勉強してみようかなと思わせてくれました。
本書の後半は、生徒との質疑応答が収録されています。出口さんのいろいろなことに関する考え方がわかって興味深いし、すべて納得させられます。とにかく読書好きな出口さん、宮部みゆきさんや朝井リョウさんの作品も読まれているそうで、親近感がわいてうれしくなりました。
しかしこれではまだまだ物足りない! もっともっともっともっと、出口先生のお話を聞きたい! だから今後もずっと著書を読ませていただきます!
-
Posted by ブクログ
ネタバレもう1点、僕が抱いている危機意識の1つに、学ぶ力の衰退があります
大事な事はノートに書くのではなく、教科書に書き込んでいたのです。何故かと言うと、そうしておけば、テスト勉強するときに、書込み済の教科書1冊を集中して復習すれば足りるからです
日本の未来を考えよう
マクロンの言葉 著書革命:文化は言葉であり、フランス語を話すものは、フランスの歴史を託されたものとなり、フランス人となる
宇宙は揺らぎから生まれて、人間は宇宙から生まれました。そう考えると、私たちが根底的に揺らぎのあるもの、多様性のあるものをありがたがるのも当然だと言う気がします
大学は、自動車産業などと同様のインパクトを持つ輸出産業になり得るのに、それにふさわしい大雪が講じられていないのです
人間がその力を存分に発揮できるのは、自分が面白いと思ったことをとことん追求する時
人間は言葉で考える生き物であり、言葉は思考の手段です。その言葉をきちんと使いこなすことができれば、物事を考えるための強い武器になるでしょう -
Posted by ブクログ
"本の虫"である出口さんが書かれた"本の使い方"です。日本式の教育だけでなく教養を身につける必要性を説いており、有効な手段の1つとして読書を挙げています。
未知の分野の学び方や年代別のおすすめ書籍、価値観に合わせたおすすめ書籍を紹介されています。本書に出てきた書籍は末尾に一覧になっているので参照しやすいです。
出口さんは特に古典を読むことを勧められています。長い年月を経て残ったものは良いものだという考えのようです。
読書方法としては、目次→要所だけ読むという読書方法ではなく、1文1文を噛み締めながら読むというスタイルを推しています。
個人的に出口さんの含蓄ある文章は好きなので、目次の段階で読むのがワクワクしました。 -
Posted by ブクログ
感動したかといえば、ふつう。
でも大事なことをちゃんとまとめてくれていて、納得しながら読んだ。
意思決定と、提案を通すことを分けて考える、というのは非常に重要と感じる。理想論と現実論をまぜこぜにしないこと、とも言い換えられる。どちらもそれぞれの中で考えるべきことである。
また、リスクの取り方の基本は、失敗した時に耐えられる体力があるかである、というのもわかりやすくていい。根拠はビジネスの基本はサスティナブルだからだ、というのもなお、わかりやすい。投資の基本の財産三分法、という例を使い、まず自分の体力と相談しようね、という考え方は信頼できる。
また、意思決定はトレードオフであり、いいとこ取りはできないし、「あの若手いいな」と言われているうちは既存勢力を脅かしていないだけ、というところは反省させられる。
数字とファクトとロジックで物事を見て、それに依拠して意思決定しようというその後の話も大事なのだが、根本的な考え方として冒頭の箇所が重要と感じる。
とはいえ、数字・ファクト・ロジックの追求は生半可なものではない。「常識っ外れ」と思っても数字ファクトロジックが物語るなら行動する、という、この考え方への信頼の置き方はすごい。鳩に豆を食わせて死亡保険に入るという謎で不謹慎とも取れる企画に取り組む判断はなかなかできないだろう
また、議論は「結論=f(x1,x2,x3...)」という変数の数と内容を見て議論するといい、というのもわかりやすい例えだ。
いい本だった -
Posted by ブクログ
幸せになるための働き方について上野千鶴子さんと出口治明さんの対談。異色の対談かと思いきや、二人の意見が驚くほど合っていた。男性経営者であった出口さんのしなやかな考え方に驚く。日本人の働き方に対する批判でもある一方で、厳しいリアリストとしての面も垣間見える。上野さん自身3種類の仕事をしてきて、人の3倍働いてきたという。そのおかげでいつでも「会社」を辞めてやる、と思えるのだ。教え子から脱サラの相談を受けたとき、組織から離れるということは、徒手空拳で荒野に立つようなもので、それだけのスキルと意欲があなたにはあるか、ないならやめたほうがよい。組織は無能なあなたを守るものだから、と言ってきたそうだ。厳しいが現実だろう。そういった現実感覚をもった人が、理想を語っているのだ。重みが違う。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「歴史」をなぜ学ぶのか?その訳を出口さんは「はじめに」で書かれている。
冒頭、「未来に何が起こるかは、本当にわからないものです。」と述べ、そういう不測の事態が起こったときの対処を歴史から学べと言われている。
確かに現在のコロナ禍に関しても、世界中がパニックに陥っているが、過去のペスト等の感染拡大の歴史から学び、対策をとられていることがほとんどである。地震等の災害についても、過去の経験に基づく教訓が生かされることが多いというのも事実である。
本書は、「文藝春秋digital」の連載をまとめたもののようで、「マネー」「失敗」「リーダー」「大逆転」「女性」「宗教」「戦争」「ライフスタイル」「アメリカ」「日本と世界」という10個の大きなテーマ設定に基づき、その読者や編集者からの80の疑問に、著者が過去の歴史の事例を引っ張ってきて答えている。
日本史のみならず世界史についても博識の著者であるので、様々な角度からの質問に、たくさんの著者の引き出しから最適解を導き出しているという感じだ。
「なぜ劉邦は項羽に勝てたのですか?」というように、一つの歴史的事実に対する疑問に答えたものもあれば、アメリカの章では「ナンバー1大統領とワースト1大統領を教えてください」というように、著者の考えを直接問うようなものもある。
前者のような質問については、現状確認できる史実に基づき、著者がもっとも合理的と考える答えを述べている。誰もがある程度「やっぱり、そうだよね」と納得できそうな答えが示されている。
しかし後者のような質問には、著者は個人的見解でしか答えようがない。この質問の著者の答えは、ナンバー1がフランクリン・ルーズベルトで、ワースト1がドナルド・トランプだったが、これはある意味著者の個人的見解ではあると思う。しかし、それでもその理由が明快であって、なんとなくその答えが普遍的なものに見えてきたりする。
著者は、答えを出すときに、幾つもの引き出しの中から最適な歴史的事例を選択し、例示してくれる。その選択のセンスが著者の博識に裏付けられたものであり、述べられた根拠の解説なども、極めて合理的なストーリーで展開されているように感じる。
80項目の質問に対する回答は、一見、固定的な側面での答えのように見えて、実は著者の幾つもの分析の結果から選ばれた合理的な最適解が示されていると思う。なので、読者として合意できる答えには納得性があるし、合意できないなと感じても、考え方がとても参考になる。ちょっと答えがダイレクト過ぎて、テストの「傾向と対策」的な解説であり、微妙に味気なさを感じるのは私の個人的なものかも知れない。
総じて本書をトリガとして、気になる人物はさらに深読みするなどしていけば、ビジネスや人生での応用に役立てられるように思う。