朝井まかてのレビュー一覧
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朝井まかて、直木賞受賞作『恋歌』。
樋口一葉の師・中島歌子こと中島登世は、幕末の江戸で商家に生まれ育った。
水戸藩士に恋心を抱き、成就させることに。
夫となる林以徳は、尊王攘夷派の急先鋒である水戸藩・天狗党の志士だった。
やがて水戸藩で天狗党と諸生党の内乱が勃発。登世は、同じ天狗党の夫を持つ妻子と共に投獄される…
幕末の水戸藩。尊王攘夷の思想が溢れかえっていた。慶喜を擁しながらも幕末の表舞台には現れないのは⁇と思っていたが…
内乱が激しかったのか。
あまり歴史の表舞台には出てこない…
血気盛んな藤田小四郎の思いもわからないでもないが、以徳が言うように、水戸藩内で争っている時ではなかったはずだ。おかげで水戸藩は薩長に遅れをとってしまったのだから。
以徳を待ち続ける登世。その想いがせつない。
以徳も自らの立場を考え、登世を嫁として、届けていなかったとは…
わずかな間しか一緒にいれなかったにもかかわらず、ふたりの互いへの想いがせつない。
登世は何十年も以徳を思いつづけ、やっと以徳のもとへ。なんともせつない。
そして、以徳や小四郎をはじめ、天狗党にかかわるひとたちを亡きものとした、諸生党の首魁・市川三左衛門への想いを、娘・登世へと自らのあとを託すことで、幕末の水戸藩への鎮魂とした中島歌子に心を打たれた。
最初はなかなか進まない…
何なんだろう、この話は⁇という感じ。
天狗党の乱が始まってからはあっというま。
さすが『直木賞受賞作品』だった。
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大阪自由亭も順調に行くかと思いきや、波瀾万丈で草野丈吉も亡くなり、娘の錦が跡を継ぎ、自由亭は大阪ホテルとなる。錦を支えた星丘が亡くなると、大阪ホテルは売却された。
上下巻纏めて、
草野丈吉の妻ゆきの視点で自由亭の誕生から繁栄、自由亭が草野ファミリーから手放されていくまでが描かれている。
人の一生を思うに、つくづく人は1人で生きているのではないと思わされる。草野丈吉も五代友厚、陸奥宗光らの支えがあってこそ、自由亭を大きく出来た。丈吉自身も星丘が災難に会った時に助けている。その星丘も丈吉が亡くなったあと、娘の錦を支え続けた。
それにしても昔の人は早くに亡くなっている、人生50年の時代。今は人生100年と言われるが、
印象に残った文章
⒈天下の貨財は私すべきものにあらずと思っている。たとい失敗し、あるいは産を空しゅうすることがあったとしても、国家国民を幸福ならしむることを得れば、おれの望みはそこで成っている(五代友厚)
⒉雷は一度きり、失敗したその後どうするかが人間の分かれ目や(草野丈吉)
⒊己で稼いで己が費消するだけでは面白ないがな。商いは、かあっと胸の熱うなる大義こそが帆柱や(草野丈吉) -
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朝ドラを思い返しながら読む。学者馬鹿、凄まじいわ。ドラマは神木隆之介のどこか小動物っぽい可愛らしさで救われたけど、実際裕福な家の財産食い潰して、とんでもない借金何度もこさえて、物好きな金持ちに返してもらう人生、他にある?祖母から始まり先妻後妻と女運がよっぽど良かったのか。スエを送ったあとの猶との会話がとても好き。誇りをもってあなたを支えた。あなたに夢中だった。そんな風にスエを語る猶も素敵。先妻と後妻がなかよしってすごいよ。学者だの文人だの、何か大仕事した人ってその分他がポンコツなんだろうなあ。そして、生家で死ぬほど貧乏したのに、せっかく結婚して人並みに暮らせたのに、二人揃って離縁ってなんでなの、娘たち。母の苦労を引き継ぐの?この装丁可愛くていいなあ。
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ネタバレ江戸に吉原という一大遊郭を作り、さらにはその遊郭の場所を移動するという、江戸前半風俗史を遊郭の女将視点で描いた小説。
日本堤の桜ってどっかで聞いたなぁ、と思ったら、朝井まかての以前の小説「花競べ」やったか。明らかな連作ではないがふわっとそこにつなげるあたりの技はさすが。オーラスのゲスト2名の登場もご愛敬。
花魁だの太夫だの言うても、いわばその身を売られてきた売春婦、悲惨な人生背負っているわけで、悲劇の陰が付きまとわざるを得ない。そこから目をそらすわけでもなく、言い訳がましく肯定するわけでもなく、「それはそうだがそれでも必死に生きていく」姿を描くのは、バランス感がとても大切だと思う。朝井まかてだからこそ書けたのだろう。 -
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『すかたん』や『眩』『阿蘭陀西鶴』などで朝井まかてさんの作品が好きになり、今回はこの500ページ超の本作を手に取りました。読み応えありの一冊でした。
幕末から明治にかけて洋食屋・ホテルを開業し、日本の外交を支えた料理人・草野丈吉の妻ゆきの物語。体力はあるが読み書きには疎い彼女が、丈吉を支えながら様々な苦難を乗り越えていく展開に、朝ドラを継続視聴しているような感覚になりました。
岩崎弥太郎や後藤象二郎、五代友厚、陸奥宗光といった時代の寵児たちが丈吉・ゆき夫婦とかかわりを深めていただけでなく、文明開化や不平等条約など教科書で学んだ国内外の史実が、市井の人々にどんな影響を及ぼしていたのかがリアルに伝わってきたのも面白かったですね。
特に、「お雇い外国人」にまつわるエピソードとして、日本のために尽くしてくれた尊敬すべき人もいれば、おのれの私利私欲ばかりを追い求めるような輩もいたことが描かれていたのは「ああそうか そりゃそうだろうな」と妙に納得するのでした。