朝井まかてのレビュー一覧

  • グッドバイ

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    坂本龍馬関連の作品などで登場するので名前だけは知っていた大浦慶さんの物語。
    幕末から明治にかけての激動の時代に、女性ながらにして海外との交易を手探りで始め、憂国の志士たちを支え、グラバーなオルトなどの海外商人、ひいては岩崎弥太郎や大隈重信などとも交流していた彼女の生涯を一人称で語る本作は、まさに朝井さんならではのものです。
    それにしても現在でも名を残している人達の、野心だけはあるものの品性や信義に欠けている様を読むと、一歩間違えは法螺吹きの山師がたまたま運が良かっただけじゃないかと思えてくる。

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    2025年08月13日
  • グッドバイ

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    時代物は読んだ事がなかつたので、慣れるまで読むのに時間がかかった。読んでる間は影響されて、つい長崎弁を交えて話したくなってしまった。大浦慶は江戸末期から明治の正に時代が変わる時に茶葉の商いで奔走した。女性があまり前に出る事がない時代に堂々と外国人と交流し、商売を成功させ富を築いた。慶との関わりの中で後の偉人達が出てくる。彼らも出会った頃よりどんどん出世して活躍していく。すごい時代を生きた人だったんだなぁ。

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    2025年07月12日
  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    曲亭馬琴の一生、読み終えて「秘密の花園」という表題がふさわしいか疑問だが内容は多くの先行研究に基づき丁寧に事実を拾いつつも「人間馬琴」を描きつくす事に成功
    歴史を楽しむポイントは人と人が意外なつながりがある事で、特に南総里見八犬伝が多くの人に読まれ愛好家が作家と交誼を結ぶ事も増えた
    松前道広は馬琴の書を好み、息子の宗伯を医師として家臣となした、また宗伯は渡辺崋山とも友誼を結び肖像画まで残されている、この辺りの親交は小説の方が楽しめる

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    2025年06月27日
  • 実さえ花さえ

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    江戸向嶋の苗物屋「なずな屋」をめぐる物語。

    普段は時代小説をあまり読まないけれど、完全に掴まれた。新次、おりん、雀は勿論、その周りの登場人物が挙げたらきりがないほどみんな魅力的。

    それぞれの章で起きる出来事とそこに流れる日常。桜の謎からの吉野でクライマックスかと思いきや、一気に思いも寄らない展開とその後の軽やかにすべてが回収される終章に痺れた。花火を取ってきてあげる場面が一気に蘇ってきた。

    自然に流れていたそれぞれのお話が、すべて緻密に巡らされていたことに気づいたうえで、もう一度振り返りたい。

    粋という言葉がぴったりの、じんわりと心に残るお話でした。

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    2025年06月26日
  • すかたん

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    生粋の大阪の商人さんの言葉は、そこいらの関西弁の関西人とは違って、品があっていいなと思ってます。江戸っ子もいいけど、大阪商人さんもいいなーって会話の節々から思いました。

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    2025年06月19日
  • 先生のお庭番

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    人の書き方が好き。
    人のずるいところや真摯なところが上手く調和され、読みやすく全体を描いている。
    没頭=ついつい辞められなくてひとつの事に尽くしているうちに、気がつけばご飯も食べてなくて寝る時間も忘れていた、そしていつの間にか自分でも思いもよらない高いレベルに達していた、そんな経験がある人は、そのときの感覚を思い出すと思う。若さがなせる技。

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    2025年06月11日
  • 実さえ花さえ

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    朝井まかてさんのデビュー作

    隅田川のほとり、向嶋で種苗屋「なずな屋」を営む
    花師「新次」と妻「おりん」の商売繁盛記。

    商売を営む傍らで、品評会、宴の庭造りなどの難題に取り組む新次とおりん。
    2人の元に預けられている子供「しゅん吉」や
    いつも温かい手を差し伸べてくれるご隠居の「六兵衛」、何かと人騒がせな夫婦「留吉とおそで」たちと力を合わせ、知恵を合わせ乗り気って行く。

    横槍をいれてくる老舗「霧島屋」はかつて新次が修行をした店だが、こちらとのやり取りも清々しい。

    江戸の職人物語なので商売への心意気や、人情味あるやり取りも気持ちが良い。

    そして題名にもなっている「実さえ花さえ」とは
    桓武天

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    2025年06月07日
  • 実さえ花さえ

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    新次とおりん。種苗屋の夫婦を軸に江戸の風景が立ち上がる。
    江戸の経済、風俗、夫婦に親子、植物を育てる者の気概も見えてくる。

    母親の想いに触れてしんみりとし、
    叶うことのなかった恋には泣いてしまった

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    2025年06月06日
  • 実さえ花さえ

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    うわー いやぁー 新改訂版ってそりゃないって朝井さん。とうとう最後の最後まで気づかなかった。雀とお梅と結ばれたのも。 自分読んでたんで、もうデビュー作で気づこうよ自分って。まんまと買わされた気分で内容どうこうじゃない話で粋じゃないって。買ってるんで、どこで気付いてもショックだけど、こうしてぐちぐち言うのも粋じゃないって たしかに話の内容が綺麗すぎて一夜を共にしたのもうっちゃってるし。

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    2025年06月05日
  • すかたん

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    登場人物一人一人、心の内と行動が少しちぐはぐながら、みな人間的に奥深く、慈愛に満ちている。表面的ではない、相手を心から想ってのそれぞれの慈愛が読み手にじんわりと伝わる。

    江戸時代の大阪の賑やかさの中で繰り広げられる一連の物語がとてもドラマチックで、終わり方も素晴らしく、大満足の読後感。

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    2025年06月05日
  • 恋歌

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    読みごたえのある一冊だった。
    それにしても、その頃の女性の立場のないことに驚く。自分からなにかを希望して行うということが、できなかった時代なのだろうか。登世はひたすら見合いを断っていたら理想の男性が向こうから結婚を申し込んでくれて、水戸に行ったあとは家事もできずに家で待つばかり、政変によって妻子まで牢につながれる経験は凄惨だが常に受け身で…いや、牢に同じくつながれた他の妻女は気丈に息子たちに論語を教えたりしていたのだから、すべての女性が無為だったわけではない。それでも、読んでいるともうなんだかもう少し何とかならないのか!と思ってくる。
    最後まで読むことで、この小説の本当の良さがわかると思う。

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    2025年05月29日
  • 銀の猫

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     江戸時代は、家族内(自宅)での看護・介護が主流で、職業としての介護はなかったそうですが、本作では、主人公のお咲が口入屋に斡旋され、「介抱人」として仕事をする設定です。この構成と展開が味わい深い作品でした。

     8編からなる連作短編集で、様々な老人たちが登場します。この一人一人の老人を始め、登場人物の個性が際立っていて、人物造形が素晴らしいです。
     各話が進む中で、お咲の離縁や毒親による借金などが明かされ、物語の深みも増していきます。

     介護の陰鬱印象は薄く、けれども軽過ぎず…。人同士の交流が小気味よいです。過酷な介護の困難を超越して、お咲の誠実さ、人の心を推し量る共感力が素晴らしい! お咲

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    2025年05月28日
  • 恋歌

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     時は天下が揺れる幕末の動乱期。時代物の単なる恋物語などという生優しいものでなく、過酷な歴史の荒波に飲み込まれた、(樋口一葉の師でもある)歌人・中島歌子の壮絶な人生を描いた物語です。本屋が選ぶ時代小説大賞・直木賞受賞作品。

     主人公の登世(歌子の幼名)は、江戸の商家の娘でしたが、一途な恋を成就させ水戸藩の藩士に嫁ぎます。夫は尊王攘夷を主張する天狗党の志士でした。
     水戸藩では、天狗党と保守派の諸生党の対立が激化し、殺戮と拷問を繰り返す内乱へ突き進みます。

     賊徒の妻として捕らわれ、女や子どもが次々処刑されてゆく中、登世は夫との再会を願い、命懸けで詠む歌だけが心身の拠り所なのでした。
     地獄

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    2025年05月25日
  • ぬけまいる

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    以前NHKで観たことがあり、おもしろかったことを覚えている。
    もう一度観たかったが、思いがけず本に出会えてラッキーだった。

    はじめはお以乃も、お蝶も、自分本位でとても嫌な女だ。
    それが旅を続けていくうちに、それが個性となり、いきいきと動きだし、魅力的にすら見えてくるのだからおもしろい。
    道中たくさんの人と出会い、いろいろな出来事とぶつかりながら、自分自身の葛藤と向き合いガス抜きができた。
    江戸で燻っていた時とは見違えるほど元気になった姿は、こちらにも元気を分けてもらえたと思う。

    江戸に戻ってからの3人の続編も読んでみたかった。

    2025/05/22 20:13

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    2025年05月22日
  • 朝星夜星

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    幕末の外交を支えたホテル(リーガロイヤルホテルの前身)自由亭の女将が主人公。朝ドラを見てるみたいで楽しめた。
    外国との不平等条約の改正が裏テーマで、海援隊や岩崎弥太郎など、明治の立役者がゆきの目を通して端役ででてくるのが面白かった。
    庶民から見たこの時代が生き生き描かれていて、また、夫婦の心情もウェットになりすぎてなくてよかった。
    なにより、この人の話は方言がいいんよな。方言がうまい作家の話は面白い。

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    2025年05月22日
  • ボタニカ

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    植物学者として唯一無二の存在という牧野富太郎の生涯を描いたストーリー。話を読み進めるうちに、小説の感想というより富太郎の人生に色々と言いたくなるのは、文章のうまさか表現の巧みさか、いずれせよ丁寧に彼の性格、思考、思想なりを書き込んもので、牧野ワールドに引き込まれていった。
    あまりに好き勝手、学歴も、お金にも無頓着というか全ては自分の植物に対する愛情と探究心を優先する生き方に腹立たしくなる。どれほどすごい研究成果を出したとしても人間としてどうなんだ、とか思う気持ちもストーリー展開そのもの、いや富太郎の人生そのものか。
    朝ドラのらんまんで神木隆之介が演じた優しい人の良さそうな雰囲気とはかなり違って

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    2025年04月27日
  • 恋歌

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    第150回直木三十五賞
    第3回本屋が選ぶ時代小説大賞

    幕末の動乱を駆け抜けた登世(中島歌子)のドラマティックなノンフィクション小説。
    江戸の裕福な商家で育ったお嬢様の登世は、水戸藩士の林忠左衛門に嫁ぎ、その半生はあまりにも過酷。
    愛する夫と過ごした時間はどれだけあったんだろう。
    賊徒の妻子として投獄されてからの様子は、あまりにも酷いと思ったけど、まかてさんは容赦なくじっくり描写されている。
    先に処刑されていく婦人たちが残した辞世の句や、会えない夫を思って詠んだ登世の句がとても切ない。
    「君にこそ恋しきふしは習ひつれ さらば忘るることもをしえよ」
    激しい恋心が伝わる印象的な句だと感じた。

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    2025年04月14日
  • 藪医 ふらここ堂

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    薮医者、天野三哲。と堂々と帯に書かれてる程の面倒くさがりで一見適当な父親と娘のおゆん。プラス近所のお婆さんや幼なじみ、子供達と、皆個性豊かでてんやわんやしながらも、前半は時代物特有のほっこり感あり。

    ただそれだけでは終わらない。御乳持の話や当時の堕胎の事、おゆんの恋の話もあり、最初から最後まで飽きることなく読み終えた。

    「育ってくれてありがとう」
    「さあ、ようこそ」
    これだけで思い出し感動しちゃう好きな台詞。

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    2025年04月14日
  • 先生のお庭番

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    現存する熊吉と表示のある植物の標本は1827年にシーボルトが命じて作らせたらしい
    牧野富太郎は1862年に生まれた
    古くから日本にあった、本草学とは一線を画す植物学はシーボルトがもたらしたのだろうか
    そして集めた植物の管理は熊吉の仕事だったのだろうか

    作者の描く二人と彼らを取り巻く人々がいきいきと目の前で動いている
    さまざまな想いを抱いて

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    2025年03月29日
  • 朝星夜星

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    ネタバレ

    実在のモデルがいるのかな?歴史上の人物も出てきて面白かった。
    洋食を広めてホテルを作る、こんな時代があったんだな〜
    けど旦那さん浮気しまくりなのは、昔の実業家にはよくあることかもしれんががっかりだよ笑
    最後の方は出来事を順に説明していくように感じてしまった。

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    2025年03月27日