朝井まかてのレビュー一覧

  • 阿蘭陀西鶴

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    現代よりもずっと短い寿命の時代でありながらより濃く生きた人たちの人生に感銘を受けます。おあいの人生に涙。

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    2024年07月29日
  • 残り者

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    初まかて作品。
    江戸城無血開城。言葉は知っているけど漠然としていたものが、大奥に焦点を当てて鮮明になりました。

    大奥ものが好きで、さらに江戸城明け渡しの日の出来事ということで楽しみにして読み始めました。
    自分も一緒に大奥に残っているように、登場人物たちと一緒にドキドキしながら読み進めました。
    いつ官軍が来るかと思いながら、自分の身の上を打ち明ける夜の語らいの場面が1番心に残りました。

    残念だったのは、自分の中の和服に関する知識が乏しく、これってどんな色?とか、どんな服?と逐一調べながらでないとわからなかった事です。改めて和服や色に関して調べて、きちんと知識を持って読むとより楽しめたな、と思

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    2024年07月24日
  • 恋歌

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    朝井まかてさんの歴史小説ははずさない!
    しっかり読ませてくれます。
    「類」では森鴎外の末っ子、「眩」では葛飾北斎の娘、この「恋歌」では中島歌子、とあまり他の小説では描かれない人を主人公にして描くのがすごいなぁ、目の付け所が違うなと思います。
    幕末というと坂本龍馬や新撰組が有名だけど、水戸藩の話というのは聞いたことがなく、この小説で初めて知りました。
    水戸藩内での内乱の末、敗れた天狗党の妻子たちに行った仕打ちは読んでいて辛いものでした。

    君にこそ恋しきふしは習つれ さらば忘るることまをしへよ

    恋することを教えたのはあなたなのだから、どうか、お願いです、忘れ方も教えてください。

    懸命に生きて

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    2024年07月21日
  • すかたん

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    知里、小万、志乃、おかね、女性陣が魅力的だ。
    芯があって、仕事をしている姿がかっこいい。
    最初の頃の知里に対する志乃の説教は私にも刺さりました…
    ちゃんと仕事します…

    武家と商人と農家、それぞれの立場や暮らしがあって、江戸時代らへんの日本史を学び直したくなりました。

    難波葱や勝間南瓜、そして田辺村の丸大根
    食べたことのないなにわの伝統野菜たち
    大阪旅行の際は、551の豚まんとりくろーおじさんのチーズケーキだけでなく野菜も買って帰ろうと思います^^

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    2024年07月09日
  • 残り者

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    ネタバレ

    江戸城明け渡しの日、皆が退去する中、お城に残った5人の女中。解説にもあるが大奥というと女の園=色恋のイメージがあるがここでは生活の場・職場として描かれている。現代に例えれば倒産した勤め先から去り難く残っている社員4人と中間管理職1人といった感じか。
    それぞれの登場人物の自身の職務に対する矜持が心地よい。それと、ふき様カッコいい(笑)。エピローグでふきがお城に残っていた理由が明かされるが、5人が5人とも生きて幸せに暮らしているのがわかってホッとした。

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    2024年07月07日
  • 恋歌

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    和歌の話なのかと思っていたら、幕末の水戸藩のハードな話でびっくりした。歴史も中島歌子も全然知らずに読んだから、衝撃の連続で辛かったけど、良い小説でした。

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    2024年07月02日
  • 秘密の花園

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    江戸時代の戯作者、曲亭馬琴の波乱万丈な生涯を描く。
    第一章 ある立春  第二章 神の旅  第三章 戯作者
    第四章 八本の矢  第五章 筆一本  第六章 天衣無縫
    第七章 百年の後
    主要参考文献有り。

    9輯98巻106冊の読本『里見八犬伝』を28年かけて
    完結させた、曲亭馬琴の生涯は、茨の道の如く。
    家督を継ぐが、仕えた若君の癇症に耐えかね出奔。
    紆余曲折を経て、山東京伝との出会いがその後の運命に。
    蔦屋重三郎の耕書堂の手代になり、出版業界の内情を学ぶ。
    そして戯作者となり、潤筆料を得るまでになっていった。
    だが武士の誇りと拘りは山東京伝や葛飾北斎、様々な板元など
    対人関係に仇をなす。また、常

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    2024年06月26日
  • 阿蘭陀西鶴

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    5と迷って迷って4にした。そのくらいすごく良かった!!
    井原西鶴の盲の娘、おあいの視点から物語は展開していくんだけど、盲のおあいに料理や縫製を叩き込んだ優しい亡き母、可哀想と言われるのを何よりも嫌っていて、いい格好しいの父親が嫌でたまらないおあい、幼い二人の弟、女衆のお玉、出てくる登場人物がすごくありありと頭の中で映像化されて、のめり込んだ。
    最後は泣きそうになったし、現実がこんな風にあたたかいことを切に願った。

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    2024年06月09日
  • 白光

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    日本初のイコン画家、それも女性画家の物語。
    ただひたすらに絵を描くことを愛し、求めて求めて求めて、突き進んで、ロシア留学までして、帰国してからも、という物語。物事を突き進むすさまじさに息をのむ。
    正直、「これは主人公・りんが悪いのでは?」と思うシーンも多々ある。それくらいでなければ、己を突き進めないのだとも思わされる。そしてりんはロシアである疑問を抱くのだが、その謎が後半になって紐解かれていくにつれ、絵画と時代と宗教と、それらの意味深さに胸が熱くなるのだ。
    骨太の物語を求めておられるかたへ、胸を張ってオススメできる1冊である。

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    2024年05月31日
  • グッドバイ

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    激動の時代をたくましく生きた女商人大浦慶さんの物語。方言や聞き慣れない言葉もあったけど、生きる勇気を貰えるような物語だった。

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    2024年05月15日
  • 先生のお庭番

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    シーボルトの薬草園の園丁=お庭番となった熊吉を主人公とした、史実にフィクションを織り交ぜた時代小説。
    熊吉の草木や彼の仕事に対する真摯な接し方に、心が和み「読んでいる身が浄化され」る。
    シーボルトに敬愛の念を抱き、必死に彼のために熊吉は仕事をこなすが、台風により薬草園が甚大な被害を受ける。
    熊吉が黙々と片付けをしていると、シーボルトが忌々しげに吐き出す。
    「なにゆえ、やぱんの者は怒らぬのだ。怒りこそ闘いの力になるのであろうに、なにゆえ唯々諾々と受け入れる。・・・我々は常に自然を闘うことで知恵ば磨き、技を発達させてきた」と。
    熊吉は目が歪み、天と地が揺れた様な気がした。
    「先生にとって、自然は共

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    2024年05月12日
  • ボタニカ

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    「らんまん」の主人公の話とは知らずに、ドラマもほぼ見ていなかったけど、猶さんもスエさんも大変。朝ドラは女性が主人公というイメージがあり、今回は男性?と、思ったが、いやいや主人公は猶さんであり、スエさんだ!

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    2024年05月12日
  • 銀の猫

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    読んだのは単行本の方なんですが…文庫版の表紙かわいいな(^^)
    江戸時代に介抱人として女中奉公をする、お咲が主人公の物語。現代風に言えば、派遣で勤める介護ヘルパーさんってとこでしょうか。介護する人とされる人、その家族を描いていて、現代にもじゅうぶん通じるお話。介抱人という呼称が実際あったかどうかは知りませんが、女中奉公という名で今でいう介護を担った人がいたかもというのはリアリティがあるなと思いました。「五十過ぎまで生き延びればたいていは長生きで」というのも、然もありなん、て感じです。お咲にはぜひしあわせになってもらいたいなぁ…

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    2024年05月10日
  • ちゃんちゃら

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    浮浪児だった「ちゃら」が、庭師植辰の親方・辰蔵に拾われ、腕の良い職人に成長しつつあったところへ問題が起こる。植辰の職人仲間・福助と玄林、男所帯の植辰を仕切る辰蔵の一人娘・お百合達が立ち向かう。人情味あふれる文章ながら、どうなってしまうんだろうとドキドキハラハラし、途中からは一気読みで、最後は一件落着で泣けました。

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    2024年05月06日
  • 秘密の花園

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    功なり名遂げても、家族は思うようにいかず。「眩」ほどの感動はなかったが、まるで、その時代に傍に寄り添って暮らしていたかのよう。「史実を考証する。その空隙を縫うようにして虚の想いが閃いて羽ばたく」「史実の種を見出し文章を耕して種を蒔き大いなる虚を育てる。それが稗史小説たるものの執筆作法であり、読む面白さであり、作そのものの真だ」「民の心に根付き、揺さぶり、時にその樹影でやすらがせ、時にその梢にまで登って遥けき世界を見せる」朝井さんの心意気、受けとりました。「読書をせねば、心がひもじい」画狂老人に文狂老人。次は?期待。

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    2024年05月06日
  • 最悪の将軍

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    ネタバレ

    読む前から読者の読む気を削がすほどの悪評芬々の犬公方綱吉は子のない兄である4代将軍の後を継いで5代将軍となった。

    綱吉は優れた政治を行ったにも関わらず、犬公方などと不名誉な名で歴史に残っている。生類憐れみの令というものが、権力者への恐れと忖度故に歪んだものとなったのか、そこのところもよくわからない。後世より「最悪」と「断罪」される将軍綱吉の光と影を見せてくれる。

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    2024年04月27日
  • 白光

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    選んだ読みたい本が、思わぬところでシンクロしていたという興奮をくれた「白光」。ロシア正教のイコン画家・山下りんの生涯を描きます。

    自分の心が求めるものに人生を捧げる覚悟を持ち、そのためならばまず行動という人間の山下りん。彼女の心にたぎる熱意が走りすぎて、多くの軋轢を生み出してしまう。そのことに気づくのは、失ってしまってから。

    熱意があればこそ、りんを支えてくれる存在や手助けしてくれる存在もあるのですが、大きすぎる故に持て余されてしまうことも事実。安易ではあるけども、時代が違えば、彼女と周囲の人間の関係性も違ったものになっていたはず。
    互いに尊敬し、互いの長所短所を慮り、終生の友人となれたは

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    2024年04月26日
  • 阿蘭陀西鶴

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    西鶴の娘おあいが主役。
    盲目のおあいだが、家のことは一通りこなせる。
    近所への買い物もできる。

    同時に、談林派の俳諧師でのちに戯作者になる父西鶴の越し方も描かれる。
    元禄のころ。
    好色一代男などのヒット作を生み出した西鶴と、その周辺のあれこれが勉強になる。

    西鶴の妻、つまりおあいの母は早くに亡くなる。おあいの弟たちは他家へ養子に出されるが、おあいは西鶴の手元に残された。
    父の気持ちがわからないまま、父と娘の日常生活があり、おあいは父の身の回りの面倒を見る。付き合いの広い父の客のために料理をする。
    なかなか大変な生活。

    読みどころは、目の見えないおあいの感覚で作られる家庭料理の匂いと味の表

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    2024年04月25日
  • 秘密の花園

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    戯作者曲亭馬琴の一代記。

    馬琴と先駆者山東京伝までは執筆料のみで生活する戯作者がいなかったとは知らなかった。

    武家である滝沢家の三男として生まれた馬琴は、一度は家督を継ぎ仕官するが長続きせず、放浪生活を送ったのち、京伝、蔦屋重三郎と出会い戯作の生業を開始する。

    次兄や実子に先立たれるなど家族運に恵まれなかった馬琴は、家族を守り滝沢家の家名を守るために全力を尽くし、家相が悪いと言われれば引越し、孫に御家人株が買えるとなれば家財をも処分する。

    父や兄が出仕先から冷遇されたことや、士分や古典へのこだわりは八犬伝などの創作の原点となっているようにみえる。

    癇気の女房、病弱な長男を抱え、版元な

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    2024年04月24日
  • 秘密の花園

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    昔NHKの人形劇がただただ恐ろしかった里見八犬伝、これほど版元に恵まれなかったとは知らなかった
    武士のプライド、貧しさ、病弱すぎる家族…様々抱えつつ
    馬琴が血の滲む思いで書き上げた作品
    北斎が庭の柘榴を欲しがった際の
    「欲しいならやるが、もいだ数は報告しろ」
    「なんで報告がいる」
    「帳面につけておる」
    「あんた、暇なのか」
    「忙しい」
    のやり取りがおかしくて少し切ない

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    2024年04月17日