朝井まかてのレビュー一覧
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葛飾北斎の娘、お栄(葛飾応為)が光を求めて生きていく物語。面白かった。
「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。なぜだかわかるか。こうして恥をしのぶからだ。己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。やっちまったもんをつべこべ悔いる暇があったら、次の仕事にとっとと掛かりやがれ」
オランダ商館の依頼で取り組んだ西洋画の出来に満足できていない弟子達に、親父どのがかけた言葉。一番印象に残っている。
もともと北斎についてそんなに知識があるわけではなく、「変わった人」というくらいのイメージしかなかったが、読み進めるうちに絵や仕事に対する凄まじい情熱を感じて熱くなった。
登場する絵 -
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江戸向嶋の苗物屋「なずな屋」をめぐる物語。
普段は時代小説をあまり読まないけれど、完全に掴まれた。新次、おりん、雀は勿論、その周りの登場人物が挙げたらきりがないほどみんな魅力的。
それぞれの章で起きる出来事とそこに流れる日常。桜の謎からの吉野でクライマックスかと思いきや、一気に思いも寄らない展開とその後の軽やかにすべてが回収される終章に痺れた。花火を取ってきてあげる場面が一気に蘇ってきた。
自然に流れていたそれぞれのお話が、すべて緻密に巡らされていたことに気づいたうえで、もう一度振り返りたい。
粋という言葉がぴったりの、じんわりと心に残るお話でした。 -
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朝井まかてさんのデビュー作
隅田川のほとり、向嶋で種苗屋「なずな屋」を営む
花師「新次」と妻「おりん」の商売繁盛記。
商売を営む傍らで、品評会、宴の庭造りなどの難題に取り組む新次とおりん。
2人の元に預けられている子供「しゅん吉」や
いつも温かい手を差し伸べてくれるご隠居の「六兵衛」、何かと人騒がせな夫婦「留吉とおそで」たちと力を合わせ、知恵を合わせ乗り気って行く。
横槍をいれてくる老舗「霧島屋」はかつて新次が修行をした店だが、こちらとのやり取りも清々しい。
江戸の職人物語なので商売への心意気や、人情味あるやり取りも気持ちが良い。
そして題名にもなっている「実さえ花さえ」とは
桓武天 -
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読みごたえのある一冊だった。
それにしても、その頃の女性の立場のないことに驚く。自分からなにかを希望して行うということが、できなかった時代なのだろうか。登世はひたすら見合いを断っていたら理想の男性が向こうから結婚を申し込んでくれて、水戸に行ったあとは家事もできずに家で待つばかり、政変によって妻子まで牢につながれる経験は凄惨だが常に受け身で…いや、牢に同じくつながれた他の妻女は気丈に息子たちに論語を教えたりしていたのだから、すべての女性が無為だったわけではない。それでも、読んでいるともうなんだかもう少し何とかならないのか!と思ってくる。
最後まで読むことで、この小説の本当の良さがわかると思う。