朝井まかてのレビュー一覧
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牧野富太郎の波瀾万丈な人生を朝井まかてが軽妙な筆で書き上げた。小さな頃から植物が好きで、官に媚びずあくまでも在野の研究者としての人生を全うしたが、まあ人格破綻というか金銭感覚まるで無し。2人の奥さんが彼を支えてくれた。そう、この物語は牧野富太郎が主人公ではなく、最初の妻、猶と遊学中の東京で知り合い最後まで添い遂げたスエが主人公だと思う。富太郎の研究を経済的に支え、最後は破産手続きを完了した猶の健気さ。江戸っ子の粋を感じるスエの楽天的な性格。この二人に守られて富太郎の学問は成就した。学問以外は何も分からない、何もできない富太郎、最初の娘を亡くしたところでは思わず、何しとんねんと声に出してしまった
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第1話 ささげやの名物豆餅はお玉の夫が亡くなってから、美味しく作れない。一方手相占いは人気で目当てで来る人がいる。夕刻、庭から指のちぎれかけた男性が入ってきて手当して匿う。
第2話 老夫婦がやってきて、娘夫婦はうまくやっているが、娘が遊びすぎてお金を使うので、お金の入った巾着を託された。が、どこにやったかわからないので、占ってほしいときた。街で占いをしているお玉の噂をきき、探し出そうとする。
第3話 花の苗を育てて売っている伊織。息子が出て行ってだいぶになる。ある日お玉に占ってもらう。
第4話 ちょっとばかし未来の見えるおかつは、そのために嫌われていく場所がなく、ささげやに置いてもらって -
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『豆は煮えたか』を符牒を合図にちょいと不思議な力で家業の傍ら卜占者をする深川佐賀町の水茶屋「ささげや」の女将・お玉。
看板メニューの豆大福はいつまでたってもうまくはつくれない。
そんな彼女の下に集まってくる人々の織りなす人間模様と縁。
豆は煮えたか
身のほど知らず
いつ咲く
雲隠れ
宝引き
くらぶ者なき
の全6遍の連作短編になっていて『ささげや』に訪れた人にそれぞれクローズアップして展開。
最後、全てがつながるような構成になってます。
不器用だけど優しい人情に癒され、ちょいとドキドキする場面ありつつもほっこりする好きな部類のお話達。
カバー外すと表紙に見返しもついていて柄が豆絞りになって -
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時は大正時代。
柳宗悦は、陶芸家の河井寛次郎、濱田庄司らと共に日常の生活品を「民藝」と名付けて、美術品に負けない美があると提唱する。そんな彼らの生活や交わりを、柳宗悦の家で女中をはじめた17歳のサチの目線で描かれた物語。
最初は、どうにも退屈な話しだなと思って渋々読み進めていた。それが半分を超えたあたりから途端におもしろくなって後は夢中。
民藝が好きなので、黒田辰秋や芹沢銈介などがちらっと登場したことにもテンションが上がった!
サチと、声楽家の奥様、ばあやの3人の作る料理がどれも美味しそうなのもいい。それらが柳宗悦の選んだ器に盛り付けられている様子は、想像しただけで豊かで美しい。
渋々 -
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朝井まかての本は読んでいて駆け上がるような不思議な感覚がある。そして人情の浮き沈みが読む手を惹きつける。職人気質の花師新次と支えるおりん。最後に染井吉野の名前が出てきて、丁度桜が咲き始めたこの時期にこの本に出会った事が奇跡の様に感じた。
デビュー作とは恐るべし。
この本は時代物が苦手な人にも勧めたい。テレビドラマになっても評判になるだろう。配役は誰がいいかなぁw
ここからはネタバレの好きなフレーズ
・「花火を取ってきたよ」と掌にそっと置いたのは赤い金平糖だった。
・「実さえ花さえ、その葉さえ、今生を限りと生きてこそ美しい」
・「どんな土地にも誰にでも、分け隔てなく春は巡ってくる」
・吉野桜( -
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娘のおあいから見た父西鶴の話。娘は父を嫌っていたので、最初はビックマウスの声のデカい嫌なジジイにしか見えないが、段々父が娘を愛していることがわかってきて、娘も愛されていることを自覚していく。
井原西鶴は刀剣を商う商家の生まれだったが、完全な放蕩息子で家業は継がず、年いくらかを実家からもらって暮らしている。俳諧師をやっているが、声ばかり大きく、仕掛けの上手なだけで、上席にいけない。
妻があったが亡くした。娘のおあいは目が見えない。弟たちは養子に行って、女中のお玉と3人で暮らしている。
その西鶴がめっきり句を作らなくなった。何やら長い物を書いているらしい。父が急に淡路に行くと言い出した。おあい -
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「下手物(げてもの)」として軽んじられてきたふだん使いの品々に美を見出し、「民藝」と名づけて世に出した柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司の交わりを、柳家の女中サチの視線を通して描いた作品。
民藝が大好きなわたしにとって、柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司の3人はまさに神。プラス、女中さんモノも好きなので、読む前から面白いと確信していました。柳宗悦というと、やはり『手仕事の日本』のイメージなので、日本全国津々浦々の、土地に根づいた品々、顧みられることのなかったなんということのない日用品、あるいはもうすでに廃れてしまった工芸品なんかを発掘し、熱い思いを持ちながらも淡々と紹介する、というフラットな印象の人だっ