朝井まかてのレビュー一覧

  • 青姫

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    なんだか上質な昔話を読んだ気分。
    素直な少年が色々ありつつ運に味方され(…ていない箇所も大いにあるが)おじいちゃんになる話。
    青姫も、青姫の郷も素敵すぎて。
    もし本当にあれば行ってみたいし住んでみたいなぁ

    自然と対峙することの大変さや素晴らしさも感じられた。
    実家が農家で中学生の時まで時々手伝ってたし、今年は田植え祭を実際に見たこともあり、映像で頭に浮かびやすく、読みやすかった。

    米作りって本当に大変だよね…
    田んぼを1から作るとしたらその苦労は計り知れない…
    でも自然と対話して感覚が洗われる体験っていいものだよね。
    朝井まかてのお話は個人的に全部だが、植物の描写が相変わらず素敵で、自然に触れたくなる。

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    2026年10月01日
  • 草々不一

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    時代短編集。いきいきと楽しい!

    第1話 進次郎はふくという芸者に養われている。だがある日昔勤めていた藩の若侍を拾ってしまう。

    第2話 酒蔵の奉公をしている。飲み終わった樽を集めて洗って干す仕事だ。だが兄達が亡くなり、家を継ぐために帰る。

    第3話 平九郎は馬が好きでよく乗る。平九郎は部屋住だが、明日祝言をあげて一家を構える。

    第4話 山口伊織は江戸城本丸膳所の台所人だ。伊織は大奥御台様膳所に勤めている。料理人の仕事場はいつも目付に見張られている。毒など混入されないように。

    第5話 赤穂は大石家の犬の話。

    第6話 奥村理兵衛は江戸留守居役。小堀弥助が町人を無礼打ちにした。

    第7話 芙希は父の道場で修行している。女剣士はいなくはないが、珍しい。

    第8話 忠左衛門は妻に先立たれて腑抜けになる男どもの気持ちがわからなかったが、妻に先立たれて腑抜けになっている自覚がある。

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    2026年09月27日
  • グロリアソサエテ

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     民芸といってもぴんとこない人も多い。民と芸、民の芸術、と言われても具体的に何なのだろう?と思う。その手探りの状態から、民芸という言葉自体を作り出し、業界を広げていったのが、柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らである。柳宗悦が中でも有名だ。一見、名字から中国人に思えるが、やなぎ、である。鑑賞する芸術品よりも、国民が普段使う日常品の中に芸術を見いだし、その美しさについて言及することによって、人々にその価値を認めさせる。しかし、価値が高まれば品物自体の価格にもはねあがっていく。人々に見せるためには、どこかに集めて、鑑賞させる事も必要だ。それら全てに金が要る。さあ、その金はどこから出てくるのか。

     柳宗悦の父は海軍少将、母の弟が嘉納治五郎、学習院時代には優等生で、明治天皇から銀時計をもらう。武者小路実篤や志賀直哉、イギリスの陶芸家バーナード・リーチら、白樺派とも親交を深めながら、声楽を専攻していた後の妻・兼子と出会う。

     柳宗悦の家に女中奉公した、サチという架空の女性の目を通じて、柳家や民芸が成立していく様を描く。無名の人物が作り出した民芸を、貴族や芸術に素養のある人物ではなく、まっさらの民の目から描くとどのように見えるかを描写するためである。また、今回兼子のキャラクターも強調されている。これも、女中として奥向きの事に関わってきたサチを語り手にした所以だ。先に挙げた金は、兼子の演奏活動から得られたものを元にしている。金に忖度しない宗悦と喧嘩する場面も描かれるが、気が強くないと、ぎりぎりの生活をしながら、子育てと音楽活動を両立させることは難しかったはずだ。そんな彼女に共感を寄せていたのがサチだ。そして、長らく傍観者とされてきたサチにも、バックグラウンドがあることが最後に明かされる。

     時代背景は大正末期から昭和初期、関東大震災から2.26事件、第二次大戦直前までを描く。ちょうどドイツでヒトラーが台頭してきて、兼子の音楽活動が難しくなる件が描かれる。読者の我々は、これから時代が暗くなっていくことを知っているが、輝ける登場人物たちはまだ、上る一方の日本国を見ており、民芸の明日を信じている。そのねじれが若干切なさを生む。

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    2026年09月19日
  • 眩(新潮文庫)

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    おうい応為の原作なのかな。北斎の娘、東洋のレンブラントと言われた絵師の話。脳卒中後に北斎が富嶽三十六景を描いたのに驚いたとともに、というか脳卒中後には無理でしょ!90歳近くまで生きたのもびっくりだし、というかそれは寿命だよね。面白かった。

    お栄は北斎の娘。夫の吉之助は南沢等明の画号を持つ絵師だ。お栄は他の弟子と肩を並べて絵師としての修行をしていた。火事見物に行って、兄弟子の善次郎にあう。

    お栄は離婚する。姉のお美与も離婚して時太郎と帰ってくる。姉の夫だった柳川重信は南総里見八犬伝の挿絵で当たった。馬琴がカナアリアという鳥を持ってきた。目が覚めるような黄色だ。善次郎も八犬伝の挿絵で当てた。お栄は善次郎にお前の美人画には艶がない。線が硬いと言われる。

    お栄と善次郎は花魁道中を見に行く。妓楼の襖絵の仕事を受ける。善次郎の妹たちはここで芸者をしていた。北斎にオランダから絵の注文が入る。浮世絵ではなく、西洋の画法で描いてほしいらしい。15枚の風俗画。お栄は納めにいく。注文主はシーボルトだ。

    善次郎の妹が白粉屋に嫁に行く。北斎が中風に倒れる。滝沢馬琴が見舞いに来る。ようやく北斎が動き始めた。散歩もするようになった。しかし母が亡くなった。善次郎はお滝と暮らしているというのに、恋に落ちた。西村屋は火事で板木を焼かれて身代が傾く。大仕事をしたいという。富嶽三十六景の誕生である。お栄は画号を応為とする。

    姉の息子の時太郎が方々で借金して北斎におっかぶせる。家の物は全て売り払い、家には何もないくらいだ。だご所帯を持って真面目に生きていくと誓ったばかりで、また姿をくらます。

    天保の改革で本屋はまた酷い目にあった。

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    2026年09月09日
  • グロリアソサエテ

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    実は一度圧倒されて感想と言える感想が浮かばず、半年あけて再読した1冊。
    国を征服するとは、されるとはどういうことか。
    最後に怒涛の勢いで情報が入ってきて初回では溺れた。
    読み直すとここに伏線が…となったのも新しい発見だった。
    心に残ったフレーズは下記。
    "子供が最初に出会う理不尽が父親なのよ。いずれ世に出たら必ず出会う理不尽、不条理。その最初の壁なの。"
    確かにそうかもしれない。私自身は両親どちらも理不尽で、祖父母が優しく教えてくれた。
    今の私の家も子どもに対して割と父親が理不尽なことを言っているので、、夫を変えずに私が優しく教えるのも良い手なのかもと。目から鱗だった。

    また、偉ぶらず、驕らず、信念を持って進むことは魅力的だなとも感じた。どうしても評価を求めがちだし、横道に逸れることもあるし、それが悪いことでもないと思うが、そうでない人の魅力はとても輝くなと。

    また、この話のように綺麗にまとまらずとも、すべての経験は糧になるとも改めて思わされた。
    改めて日々を大切にしたいと強く思う。

    また読みたい本。

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    2026年09月09日
  • 恋歌

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    ネタバレ

    恐るべし、朝井まかて。
    久々の満点評価作品です。
    本書は、第150回直木賞受賞作だが、歴代受賞作の中でもトップクラスの完成度&面白さだと思う(直木賞作品をあまり読んでない私が言うのもなんだが…)。
    物語の背景にあるテーマは、(解説の大矢博子氏も指摘しているが)幕末維新に最初に「桜田門外の変」で火を付けた藩なのに、新政府要人に水戸藩士の名前がないのはなぜかという疑問。
    簡単にいえば、藩内での無為な勢力争い(天狗党と諸生党との血で血を洗う権力抗争のみならず、天狗党内での勢力抗争もという乱れよう)で有為な人材がことごとく殺されていたため。為政者の優柔不断さが、水戸藩の内部崩壊を招いた。
    そんな骨肉相食う近親憎悪の様な藩勢の中で翻弄された人々が主人公。
    そして作者が目をつけたのは、明治の歌人、中島歌子。門下生に樋口一葉や三宅花圃らがいるが、水戸藩での過酷な運命を生きてきた女性が、心の叫びを吐露するかの如く読んだ異質な歌《君にこそ恋しきふしは習いつれ さらば忘るることもをしえよ》に注目した。
    本書は、簡潔で格式高い文体のみならず、後半に待ち受けるある意外な事実にも注目して欲しい。
    本書をこれから読む人には、読書の楽しさを存分に謳歌出来る好著です。

    【朝井 まかて(1959年8月15日 - )は、大阪府羽曳野市生まれの女性作家。大阪市在住。ペンネームは沖縄県出身の祖母、新里マカテの名に由来する。
    略歴:
    甲南女子大学文学部国文学科卒業。広告制作会社でコピーライターとして勤務し、結婚とともに退職して企画制作会社「あんばい房」を設立。
    2006年より大阪文学学校で学ぶ。2008年に文学学校の文芸誌「樹林」(通称在特)2006年12月号に本名名義で掲載されたものを改良した『実さえ花さえ』(応募時のタイトルは『実さえ花さえ、その葉さえ』)で小説現代長編新人賞の奨励賞を受賞し小説家デビュー。
    人生を変えた一冊として、ユクスキュル / クリサート著『生物から見た世界』を挙げている。人間や動物のものの見方、つかみ取り方を相対化する点が、小説執筆に通じることがあるという。
    琉球王国に仕えてきた家柄の曾祖父は琉球処分で禄を没収された。「まかて」の由来は「分かるものなら知りたい」、沖縄については「薩摩にやられっぱなしだったのかな、とも思うと悔しい。」】(ウィキペディア)

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    2026年09月10日
  • ぬけまいる

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    やっぱ柄杓一本きりじゃ、伊勢まで行けないよねぇ…3人娘の伊勢道中はやかましくて楽しかった。

    お以乃は一膳飯屋こいこいの娘。弟の貫太はおてるちゃんを女房に迎えるという。友達のお蝶がまた色恋沙汰でもめてやってくる。そこへお志花もやってきた。3人でお伊勢参りに行くことにする。

    とりあえず川崎宿を目指すが、なにしろ出立が遅かった。お蝶は指の股に靴擦れができてじくじくする。川崎のお宿はいっぱいで、しけた宿屋に泊まらざるを得ない。3人は手形を持っていない。窓から夜桜が綺麗に見えた。
    翌日、神奈川宿で買い物しすぎてお蝶は荷物いっぱい。女の子たちがお手伝いしましょうかと訊いてくる。巡礼だという。喜捨を弾んでやった。保土ヶ谷宿を目指す。すでに駕籠を頼む有様である。喜捨を弾んだ女の子たちと一緒になるが、お蝶は影でチョロいと嘲笑われていた。

    小田原宿。保土ヶ谷宿で無一文のすってんてんになった3人は川越えの銭が払えない。地元のおばあさんの後をついて川をわたる。団子屋さんでお爺さんが倒れる。転んで骨折していた。お団子屋で3人はしばらくあんま業を営みながら路銀を稼ぐ。お団子屋さんも手伝う。

    箱根では温泉に。さて女3人旅。どうやって関所を越えるか。教えてもらって偽造手形を作ってもらう。無事関所を抜ける。お以乃は長五郎と恋に落ちる。小間物屋が朝顔の品評会に行くことになり、その間店を任される。ずいぶん儲けて、高欄つきの台で大井川を渡る。

    七里の渡しを越える。保土ヶ谷宿で3人を落としいれた女の子たちに復讐する。宇治につく。

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    2026年09月08日
  • 朝星夜星(下)

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    明治の偉人たちとともに駆け抜けた人生は楽しうございました。

    自由亭の支店を開業して、萬助を店長とした。ゆきは犬の大吉を散歩させる。女正月の日、ゆきとよしと萬助は自由亭で食事を供される。鉄道が敷かれるので、明治天皇が来られる。晩餐を命じられたのだ。試食会だ。
    本番4日後、また行在所からご注文があり、西洋料理を献じた。明治天皇は美味しいおいしくないの感想は言わない人なので、お気に召したのだろう。
    西南戦争勃発。京都支店開業。丈吉は忙しい。

    と思えば、3人の女性が挨拶にくる。何も聞かされていない。だれの奥方だろうと思っていたら、丈吉が妾としてひいた女子らだという。
    10年ぶりに長崎に帰省。新店の開業に室礼などの手が足りないと言われたのだ。妾の件をしめあげようにも、張り切ってしまう。自由亭はくんちの傘鉾を一手持ちするらしい。名誉なことだ。中之島に進出したいという。よしが亡くなる。くんちに合わせて納骨に長崎に行く。貫太が神戸で菓子屋をやるというので送り出す。

    陸奥宗光が釈放されて現れる。丈吉がきんに店の若い者との縁談を持ってくるが、きんは家出してしまう。きんは女学校に籠城したが、4ヶ月ほどで帰ってきて縁談を受け入れて結婚する。孝次郎はアメリカに留学することになっている。初孫の喜見が生まれる。ゆうも結納だ。米三郎はすぐに離縁。ゆう結婚、孝次郎出立。大阪大水。丈吉は橋をかける。五代友厚が亡くなる。丈吉も亡くなる。46歳。

    結構借金があった。きんは京都、長崎の支店を売っぱらって大阪の店舗に力を注ぐ。伊藤博文も森有礼も陸奥宗光も泊まりに来てくれる。

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    2026年09月06日
  • 朝星夜星(上)

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    日本で初めてのレストランね!と読み始めたが、レストランと言っても、勝手が違った。明治の始めだから、なんだか政府が絡んでくる。しかも朝令暮改の黎明期だ。切った貼ったはないけど、登ったり降ったり忙しい。

    ゆきは長崎丸山町の引田屋で、女中をやっている。26歳。引田屋は女郎屋だ。4年前の安政6年に長崎は開港したので、各国領事館がある。オランダ総領事館で料理人をやっていた人との縁談が持ち上がる。丈吉に嫁ぐ。

    おゆきは料理ができないのを早々に悟られ、料理係を下されて掃除洗濯縫い物係になる。西洋式の洗濯を仕込まれる。丈吉は五代才助の勧めで料理屋をすることにする。良林亭だ。全然客が来なかったが、次第にちょろちょろやってくるようになった。だんだん大賑わいに。ゆきは食器洗いに入る。ところがなんでも一人でやる丈吉が倒れてしまった。予約制にする。

    きんが生まれる。良林亭は狭いので、少し離れたところに自遊亭を立てる。長崎奉行所や薩摩藩屋敷の出入りも仰せつかる。下働きの貫太を雇う。ゆきは子育てで手一杯だ。
    近所の和食料理店の藤屋でフランス料理を出し始めたので偵察に行ったがまずい。二人目のゆうが生まれる。丈吉が病に倒れる。借金が多くてやりくりが大変。亀山社中に出前に行く。

    丈吉が復帰。新しい料理人の萬吉を雇う。土佐後藤象二郎がやってきて宴を開く。
    王政復古により、長崎は火の消えたようになる。坂本龍馬も暗殺された。土佐藩に大阪での御用を頼まれてしばらく大阪に行くことになった。ゆきは長崎にいる。土佐藩に5人扶持で召し抱えられる。養父の和十が脳卒中で亡くなり、男の子孝次郎を産む。苗字を草野とする。五代才助より大阪の外国人止宿所つまりホテルの司長を命じられる。転居だ。

    よしと萬吉は祝言をあげる。開業日は忙しかった。ボールドウェン先生や五代、後藤、陸奥まで来てくれた。開業の時に五代が金をかき集めてくれた。本来政府の掛かりなっているはずのものだがお金が足りず1500両オランダ人に借りたら、バタッケという変な外人が乗り込んできた。主人気取りでいろんな人を集めて奢ったりする。新聞にも載ってしまった。五代に間に入ってもらって、政府からお金を用立てる。バタッケを追い払う。

    丈吉は読み書き算盤のできる番頭を雇い、ゆきはお役御免になる。

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    2026年09月05日
  • 眩(新潮文庫)

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    もっと報われてもいいのにな。

    貧乏でままらないことばかりで、
    辛くて苦しいことの方が多く思えるお栄の人生。
    人の人生などこんなものなのだろう。

    それでもお栄はどれだけ苦労しても
    キラキラとまぶしい光に
    包まれているように見えます。

    犠牲にしたものも多く、いわゆる女の幸せからは
    ほど遠い人生だろうけど、
    これほど自由でたくましくいきいきとした人生が
    あるだろうか・・・?

    朝井まかてさんのお栄はとても好きだ。
    自分と重なる部分など特にないように思うけど、
    このお栄のように自由に潔く生きたいものだと思えた。

    この作家さんも初読だったのだけど、
    他の作品もぜひ読んでみたいと思える
    よい作品でした。

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    2026年09月01日
  • グッドバイ

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    精一杯生きることの美しさを教えてくれる小説。明治という国が大きく変わる波の中で生きた人たちの熱い魂に触れて、ウキウキする。

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    2026年08月31日
  • 秘密の花園

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    朝井まかて先生が書かれる話はしっかりしていてドラマをみているかよう。
    八犬伝は学生の頃に読みました。非常に面白かったという印象が残ってます。
    滝沢馬琴という人物を知れたことに感謝。
    また百がこれまた肝の座った女性で面白い。この夫にしてこの妻あり。笑
    映像で朝井まかて先生書く秘密の花園をみてみたい。

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    2026年08月28日
  • どら蔵

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    流石は人情噺の名人、朝井まかて。いや読ませる、読ませる。道具商、つまり今の時代でいう骨董屋。しかし骨董品なんて、その昔、いや今もやってるのか、『なんでも鑑定団』で和服着た親父が「良い仕事してますね〜」とか言って高値を付けたり、これは贋作でお金にならないなどというのを見て、いや人間、欲を掻くと碌なことにならんな、国中に恥を晒すと思っていたが、この本を読んだらやってみようかなどという良からぬ気持ちが芽生えてしまった。

    主人公は寅蔵、碌でも無い奴なので皆んなからドラ蔵と呼ばれている。住んでいた大坂で厄介ごとを背負い込み、親に勘当されて江戸まで出て行く。作中の大坂弁が実にいい。町田康の饒舌とはちょっと違うが、関西人のノリを上手く方言で表現している。あと文章が良いんだな〜。ちょっと引用すると、「寅蔵はもう一度伸びをして、ぶらぶらと歩く。名も知らぬ川沿いの土堤には柳の並木が続く。青枝を風に靡かせている」。
    「ようやく生國魂神社の境内に足を踏み入れると、西の彼方が広がっていた。大坂の海、兵庫の山並み、遠くに淡路の島も見晴るかす」。そうか、あべのハルカスは見晴かすから名付けられたのか、違うか(笑)。

    少し真面目にコメントすると、最初に大塩平八郎がちょっと出てくる。またドラ蔵が江戸に入ると水野忠邦の名前も出て来る。どちらも日本史で出て来る名前だが、なるほどな、と思わせる役。今年の8月はきな臭い話ばかりだったが、この小説に出て来る情の深い、いや薄情も情の内ってのもいるけど、お前ら皆んなええやつやなと読後思わず呟いてしまう。まかてはん、おおきにありがとう。しかし女にはモテないドラ蔵(爆笑)。

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    2026年08月21日
  • グッドバイ

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    祖父の代は隆盛した油屋を継いだ女商人、大浦慶。
    商売を立て直そうと新しい動きを組合に提案するとバカにされる。
    それならば自らリスクを取ってやろうとすると、なかなか陽の目を見ない。
    それでも、彼女を信頼してくれる人と出会って、なんと日本のお茶をイギリス商人経由でアメリカに輸出することに成功する。
    しかし、それも江戸幕府がなくなり、明治新政府ができる中、
    日本の貿易の中心が長崎から横浜に移る中で、徐々に衰退していく。
    そんな時に、タバコの葉を輸出する仕事を共に取り組まないかとの提案がなされ、
    信頼していた外国商人に売り込むも、仕入れはできないと言う詐欺話だと気が付き、多くの借金を抱える。
    当時の隠居するに近い年齢になり、肉体労働に精を出し、なんとか借金を返し終わるころに、次は造船業の経営に携わることになる。
    こちらは、なんとか成功するものの、彼女の功績を讃えてくれるものは社会に多くない中で、最期に彼女の念願の夢だった船を手に入れることに成功し、この物語が終わる。

    幕末、本当に波あり谷ありの商人が沢山いただろう中の代表者が大浦慶でしょう。
    数々の裏切りや悲しい出来事を経験しつつも、常に新しいことに挑んできた彼女の生き様に、非常に感銘を受けた素晴らしい作品でした。

    40代50代、いろんな人生経験を積んだ方にこそ、おすすめの本です!

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    2026年08月20日
  • 類

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    森鴎外の家の息子の類の一生。面白かった。

    森林太郎と志げとの間に類は生まれた。父は陸軍軍医総監、陸軍省医務局長。類には姉がいて、茉莉、杏奴、兄の於兎は離れに暮らしている。
    類の成績は良くない。ことに算数。父に教えてもらえばわかるのだが。
    於兎がドイツに留学。茉莉も夫が留学中のパリへ。父はイギリスの皇太子が正倉院にいらっしゃるので、博物館長として奈良へ出張。だが父はげっそりして帰宅。病気なのだそうだ。父が亡くなる。

    類は中学生になった。小さな一軒家で使用人と家族と暮らしている。兄の於兎は東京帝国大学医学部の助教授を勤めている。類は中学を中退する。類は絵を描くようになった。茉莉が離縁されて帰ってくる。杏奴は肺を患ったが治る。杏奴は絵に復帰する。庭に池を掘る。杏奴の方が絵がうまくてイライラする。

    モデルの春江に恋をする。茉莉は連載を持つ。茉莉はふたたび嫁ぐ。しかしまた離縁される。

    類と杏奴はフランスに行く。杏奴は原稿を書く。4年ほどだったが実は母にも作家として活動していた時期があったと初めて知る。帰国後杏奴は結婚。子供産まれる。母が亡くなる。茉莉と二人暮らしになる。見合いをする。結婚となる。日本は戦争に突入する。

    子供が生まれる。生活が厳しくなる。いまだに父の印税で生活している。いろんなものが配給制になっている。妻と子供たちを福島に疎開させる。文章を綴り始める。結局、疎開することにする。茉里も連れて行く。空襲で東京の家が焼けた。国債も値下がりして財産がなくなる。父や姉の文章を読む。

    評論社という出版社に勤めはじめる。美術科講師の口も来た。類は出版社で使い物にならなくてクビになった。姉に借金を重ねて、本屋をやることにする。鴎外の小倉日記がタンスから発見される。

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    2026年08月18日
  • 朝星夜星(下)

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    出会いと別れ、事業の始まりと終わりが存分に描かれていました。素晴らしかったです。ごちそうさまでした!

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    2026年08月11日
  • 朝星夜星(下)

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    大阪・中之島で最高峰の西洋料理店「自由亭」を軌道に乗せ、国賓を接待する「食の外交官」するも病で急逝。長男考次郎はポンコツに育ち渡米、長女の錦なゆきと共にその遺志を継いで奮闘するも最終的には自由亭の幕を引く決断を下す。

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    2026年08月08日
  • 藪医 ふらここ堂

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    人情もの。

    ぶらんこのあるふらここ堂には三哲という医者がいる。その娘はおゆん。三哲はまじめではなくて、時々鬱陶しい患者から逃げてしまったりする。
    一応、専門は小児。だけどなんでもみる。
    四十肩に集団食中毒。

    実は三哲の父は紀州藩の藩医だった。御典医の候補に三哲が上がっているらしい。

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    2026年08月08日
  • グロリアソサエテ

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    最近民藝に惹かれているので、民藝にかかわる人たちの物語を知りたくて読んでみた。
    柳宗悦は民藝を創設したすごい人かもしれないが、家族から見れば困った人。
    自身の散財で家計が苦しいのに、金に糸目をつけずに民藝の品を収集する。
    若い仲間たちを気遣うのはよいが、手間や費用は人任せ。
    自分は好き勝手しているのに、声楽家である妻の留学には難色を示し、子どものように不機嫌になる。

    一方で、河井寛次郎は、卓越した才能があり仕事には厳しいものの、誠実で温かい人物として描かれている。
    柳の散財で窮する彼の妻に「困ったらいつでも来なさい。黙って耐えたらいけない。必ず相談してください」と言い、実際に援助を続ける。

    先日、河井寛次郎記念館を訪れたとき、彼自身が設計し、彼の美意識にかなった家具調度がおかれた空間がとても心地よかった。
    あの場所を居心地よく感じたのは、河井の人柄があの家をつくっていたからかもしれない。
    小説の本筋からはそれるが、創作とはいえ、河井の人柄や陶工としての姿勢に接して、ますます河井寛次郎が好きになった。

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    2026年08月08日
  • 悪玉伝

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    単なる後継話のこじれが、大疑獄事件に発展した。その裏には江戸時代特有の政治的な背景もあるのだが、そこはそれ。楽しく最後まで読めた。

    吉宗の御代。大阪奉行所の奉行は江戸からやってくるので、誰も名前を覚えていない。今は稲垣淡路守が奉行で11年目。その家臣の御家老源四郎が芝居茶屋に来ている。

    木津屋は身代がついえる寸前なのだ。今は取り繕っているが、そろそろ限界だ。お瑠璃が臭いを嫌がるので煙草をやめていたが、昨夜吸ってしまった。兄が死んだ。急いで向かう。兄の葬儀を仕切ろうとしたが、大番頭に追い出される。

    吉兵衛は塾生たちの面倒をみている。亡くなった兄の娘の伊波が訪ねてくる。伊波は大番頭が偽の遺言書を作ったという。養子に入るはずだった乙之助は女性がダメなタチで住太夫と懇意にしている。大番頭を追い出すことに成功した。

    吉兵衛は辰巳屋の跡目相続をしたところ、想像以上に貸付が多く、手元にお金が残っていなかった。大和屋さんと町役人が連れ立ってやってくる。おん出ていった乙之助が訴状を出したらしい。すぐに申し渡しがあって、構いなし正当と認められた。しかし目安箱に再度投書されて大岡忠相が裁くことに。

    伊波が亡くなった。吉兵衛は江戸送りになり、入牢させられる。

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    2026年08月04日