朝井まかてのレビュー一覧
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民芸といってもぴんとこない人も多い。民と芸、民の芸術、と言われても具体的に何なのだろう?と思う。その手探りの状態から、民芸という言葉自体を作り出し、業界を広げていったのが、柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らである。柳宗悦が中でも有名だ。一見、名字から中国人に思えるが、やなぎ、である。鑑賞する芸術品よりも、国民が普段使う日常品の中に芸術を見いだし、その美しさについて言及することによって、人々にその価値を認めさせる。しかし、価値が高まれば品物自体の価格にもはねあがっていく。人々に見せるためには、どこかに集めて、鑑賞させる事も必要だ。それら全てに金が要る。さあ、その金はどこから出てくるのか。
柳宗 -
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おうい応為の原作なのかな。北斎の娘、東洋のレンブラントと言われた絵師の話。脳卒中後に北斎が富嶽三十六景を描いたのに驚いたとともに、というか脳卒中後には無理でしょ!90歳近くまで生きたのもびっくりだし、というかそれは寿命だよね。面白かった。
お栄は北斎の娘。夫の吉之助は南沢等明の画号を持つ絵師だ。お栄は他の弟子と肩を並べて絵師としての修行をしていた。火事見物に行って、兄弟子の善次郎にあう。
お栄は離婚する。姉のお美与も離婚して時太郎と帰ってくる。姉の夫だった柳川重信は南総里見八犬伝の挿絵で当たった。馬琴がカナアリアという鳥を持ってきた。目が覚めるような黄色だ。善次郎も八犬伝の挿絵で当てた。お -
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実は一度圧倒されて感想と言える感想が浮かばず、半年あけて再読した1冊。
国を征服するとは、されるとはどういうことか。
最後に怒涛の勢いで情報が入ってきて初回では溺れた。
読み直すとここに伏線が…となったのも新しい発見だった。
心に残ったフレーズは下記。
"子供が最初に出会う理不尽が父親なのよ。いずれ世に出たら必ず出会う理不尽、不条理。その最初の壁なの。"
確かにそうかもしれない。私自身は両親どちらも理不尽で、祖父母が優しく教えてくれた。
今の私の家も子どもに対して割と父親が理不尽なことを言っているので、、夫を変えずに私が優しく教えるのも良い手なのかもと。目から鱗だった。
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ネタバレ恐るべし、朝井まかて。
久々の満点評価作品です。
本書は、第150回直木賞受賞作だが、歴代受賞作の中でもトップクラスの完成度&面白さだと思う(直木賞作品をあまり読んでない私が言うのもなんだが…)。
物語の背景にあるテーマは、(解説の大矢博子氏も指摘しているが)幕末維新に最初に「桜田門外の変」で火を付けた藩なのに、新政府要人に水戸藩士の名前がないのはなぜかという疑問。
簡単にいえば、藩内での無為な勢力争い(天狗党と諸生党との血で血を洗う権力抗争のみならず、天狗党内での勢力抗争もという乱れよう)で有為な人材がことごとく殺されていたため。為政者の優柔不断さが、水戸藩の内部崩壊を招いた。
そん -
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やっぱ柄杓一本きりじゃ、伊勢まで行けないよねぇ…3人娘の伊勢道中はやかましくて楽しかった。
お以乃は一膳飯屋こいこいの娘。弟の貫太はおてるちゃんを女房に迎えるという。友達のお蝶がまた色恋沙汰でもめてやってくる。そこへお志花もやってきた。3人でお伊勢参りに行くことにする。
とりあえず川崎宿を目指すが、なにしろ出立が遅かった。お蝶は指の股に靴擦れができてじくじくする。川崎のお宿はいっぱいで、しけた宿屋に泊まらざるを得ない。3人は手形を持っていない。窓から夜桜が綺麗に見えた。
翌日、神奈川宿で買い物しすぎてお蝶は荷物いっぱい。女の子たちがお手伝いしましょうかと訊いてくる。巡礼だという。喜捨を弾ん -
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明治の偉人たちとともに駆け抜けた人生は楽しうございました。
自由亭の支店を開業して、萬助を店長とした。ゆきは犬の大吉を散歩させる。女正月の日、ゆきとよしと萬助は自由亭で食事を供される。鉄道が敷かれるので、明治天皇が来られる。晩餐を命じられたのだ。試食会だ。
本番4日後、また行在所からご注文があり、西洋料理を献じた。明治天皇は美味しいおいしくないの感想は言わない人なので、お気に召したのだろう。
西南戦争勃発。京都支店開業。丈吉は忙しい。
と思えば、3人の女性が挨拶にくる。何も聞かされていない。だれの奥方だろうと思っていたら、丈吉が妾としてひいた女子らだという。
10年ぶりに長崎に帰省。新店の -
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日本で初めてのレストランね!と読み始めたが、レストランと言っても、勝手が違った。明治の始めだから、なんだか政府が絡んでくる。しかも朝令暮改の黎明期だ。切った貼ったはないけど、登ったり降ったり忙しい。
ゆきは長崎丸山町の引田屋で、女中をやっている。26歳。引田屋は女郎屋だ。4年前の安政6年に長崎は開港したので、各国領事館がある。オランダ総領事館で料理人をやっていた人との縁談が持ち上がる。丈吉に嫁ぐ。
おゆきは料理ができないのを早々に悟られ、料理係を下されて掃除洗濯縫い物係になる。西洋式の洗濯を仕込まれる。丈吉は五代才助の勧めで料理屋をすることにする。良林亭だ。全然客が来なかったが、次第にちょ -
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もっと報われてもいいのにな。
貧乏でままらないことばかりで、
辛くて苦しいことの方が多く思えるお栄の人生。
人の人生などこんなものなのだろう。
それでもお栄はどれだけ苦労しても
キラキラとまぶしい光に
包まれているように見えます。
犠牲にしたものも多く、いわゆる女の幸せからは
ほど遠い人生だろうけど、
これほど自由でたくましくいきいきとした人生が
あるだろうか・・・?
朝井まかてさんのお栄はとても好きだ。
自分と重なる部分など特にないように思うけど、
このお栄のように自由に潔く生きたいものだと思えた。
この作家さんも初読だったのだけど、
他の作品もぜひ読んでみたいと思える
よい作品で -
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流石は人情噺の名人、朝井まかて。いや読ませる、読ませる。道具商、つまり今の時代でいう骨董屋。しかし骨董品なんて、その昔、いや今もやってるのか、『なんでも鑑定団』で和服着た親父が「良い仕事してますね〜」とか言って高値を付けたり、これは贋作でお金にならないなどというのを見て、いや人間、欲を掻くと碌なことにならんな、国中に恥を晒すと思っていたが、この本を読んだらやってみようかなどという良からぬ気持ちが芽生えてしまった。
主人公は寅蔵、碌でも無い奴なので皆んなからドラ蔵と呼ばれている。住んでいた大坂で厄介ごとを背負い込み、親に勘当されて江戸まで出て行く。作中の大坂弁が実にいい。町田康の饒舌とはちょっ -
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祖父の代は隆盛した油屋を継いだ女商人、大浦慶。
商売を立て直そうと新しい動きを組合に提案するとバカにされる。
それならば自らリスクを取ってやろうとすると、なかなか陽の目を見ない。
それでも、彼女を信頼してくれる人と出会って、なんと日本のお茶をイギリス商人経由でアメリカに輸出することに成功する。
しかし、それも江戸幕府がなくなり、明治新政府ができる中、
日本の貿易の中心が長崎から横浜に移る中で、徐々に衰退していく。
そんな時に、タバコの葉を輸出する仕事を共に取り組まないかとの提案がなされ、
信頼していた外国商人に売り込むも、仕入れはできないと言う詐欺話だと気が付き、多くの借金を抱える。
当時の隠 -
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森鴎外の家の息子の類の一生。面白かった。
森林太郎と志げとの間に類は生まれた。父は陸軍軍医総監、陸軍省医務局長。類には姉がいて、茉莉、杏奴、兄の於兎は離れに暮らしている。
類の成績は良くない。ことに算数。父に教えてもらえばわかるのだが。
於兎がドイツに留学。茉莉も夫が留学中のパリへ。父はイギリスの皇太子が正倉院にいらっしゃるので、博物館長として奈良へ出張。だが父はげっそりして帰宅。病気なのだそうだ。父が亡くなる。
類は中学生になった。小さな一軒家で使用人と家族と暮らしている。兄の於兎は東京帝国大学医学部の助教授を勤めている。類は中学を中退する。類は絵を描くようになった。茉莉が離縁されて帰っ -
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最近民藝に惹かれているので、民藝にかかわる人たちの物語を知りたくて読んでみた。
柳宗悦は民藝を創設したすごい人かもしれないが、家族から見れば困った人。
自身の散財で家計が苦しいのに、金に糸目をつけずに民藝の品を収集する。
若い仲間たちを気遣うのはよいが、手間や費用は人任せ。
自分は好き勝手しているのに、声楽家である妻の留学には難色を示し、子どものように不機嫌になる。
一方で、河井寛次郎は、卓越した才能があり仕事には厳しいものの、誠実で温かい人物として描かれている。
柳の散財で窮する彼の妻に「困ったらいつでも来なさい。黙って耐えたらいけない。必ず相談してください」と言い、実際に援助を続ける。
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単なる後継話のこじれが、大疑獄事件に発展した。その裏には江戸時代特有の政治的な背景もあるのだが、そこはそれ。楽しく最後まで読めた。
吉宗の御代。大阪奉行所の奉行は江戸からやってくるので、誰も名前を覚えていない。今は稲垣淡路守が奉行で11年目。その家臣の御家老源四郎が芝居茶屋に来ている。
木津屋は身代がついえる寸前なのだ。今は取り繕っているが、そろそろ限界だ。お瑠璃が臭いを嫌がるので煙草をやめていたが、昨夜吸ってしまった。兄が死んだ。急いで向かう。兄の葬儀を仕切ろうとしたが、大番頭に追い出される。
吉兵衛は塾生たちの面倒をみている。亡くなった兄の娘の伊波が訪ねてくる。伊波は大番頭が偽の遺言 -
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ネタバレ読後ややしばらく、ほーっとなり、山下りんの生涯に思いを馳せた。この本は日本で初めてのイコン画家 山下りんの物語である。あまり知られていないかもしれないが、ハリストス正教会の聖堂にはイコン画と言われる、聖書の一場面や聖人などの肖像画が飾られており、それを描くのがイコン画家だ。
1857年幕末に生を受け、維新を経て、家禄の少ない士族として母と兄、祖父母とほそぼそと暮らしていた16歳のりん。当時は女は嫁ぐことと決まっていたが、幼いころから絵を描くことが好きだったりんはその道を行かず、画家として生きる道を選ぶ。
自分が「こう!」と思ったらまっすぐ突き進む。どんな軋轢も、困難も、貧困ももろともしない。 -
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尾張藩主徳川宗春をめぐる尾張藩名産まつたのお話。面白かった!!
小四郎は尾張藩藩士。江戸定府で元服間もない。経理に携わる軽輩である。父の旧友であるさんべえ、三谷官兵衛、長井藤兵衛、伊藤伝兵衛がやってくる。さんべえに連れ歩かれ、そして伝兵衛の刀が盗まれた。なぜかさんべえに連座させられている。減俸と逼塞を申しつけられる。そして小四郎は松茸同心を申しつけられる。
江戸から松茸2000本を頼まれるが、300しかできず、商人から買い取って江戸に詰め替えて送る。さらに2000本を言いつけられる。上役の矢橋が松茸をどうすればたくさん取れるのか考え続けて15年になるという。商人に頼んでいることを殿が知らな