朝井まかてのレビュー一覧

  • 藪医 ふらここ堂
    世間的には藪医者。娘やご近所の評価も変わりはない。でも肝心なところはきっちり治してくれる。こんなお医者がご近所にあるとはうらやましいねぇ皆さん!!
  • すかたん
    篠山十兵衛景義と対面した時、清太郎を助けた知里の口上がカッコよかった。
    後家であること、奉公先の若旦那には恋仲の芸妓がいること、そもそも若旦那がすかたんであること、、
    そんな理由から知り合うに連れて湧き出る清太郎への恋心を畳んでくるんでしまい込もうとする。

    夫婦を語るときにこんな話を聞いたことがあ...続きを読む
  • 御松茸騒動
    この著者の時代劇小説はどれを読んでもおもしろくて、飽きない。
    生物、特に植物に詳しく博識なので、いろんな知識が得られる。
    大阪出身の人なので、一度はお目にかかりたいかたである。

    昔も変わらないお役所仕事、窓際族の典型の武家さん達が松茸の偽装や産地偽装して、お上にごますり、忖度、手柄横取り、横領、し...続きを読む
  • 阿蘭陀西鶴
    西鶴の盲目の娘「おあい」からの視点で描いた井原西鶴。
    最初の部分は、「おあい」は父親の西鶴の人となりに対して、常に嫌悪感をいだき、それが読者にも伝播し、途中で読むのを止めようかなと思ったほどだった。
    人を集めてはお山の大将になり、ひときわ騒がしく、人間の欲望の厭らしさを凝縮したような西鶴が、時を経る...続きを読む
  • 阿蘭陀西鶴
    おあいが父、西鶴の本音というか気持ちに、少しずつ気づいていく様子がとても良かった。
    おあいの目線なので、読んでいる方も最初は西鶴のことをうとましく思い、理解不能だと感じるように引っ張られている。
    それが、辰彌、それから荒砥屋、そしてお玉らの言葉によって、父の内面、知ろうとしなかった気持ちに気...続きを読む
  • すかたん
    すかたんで最後には屁たれと言われるボンボンと侍の元奥様であった女中の恋物語であるけど、大坂の青物問屋や市場と農家の軋轢や問題も描いてて、読み応えありました。

    OBOP3回目の作品をやっと読みおわったので、去年の受賞作を読まなきゃ。
  • 阿蘭陀西鶴
    井原西鶴とその娘おあいの物語。

    亡き母親から炊事洗濯を仕込まれた盲目の娘おあい。
    見栄っ張りで威勢だけはよく、娘の気持ちを忖度しない父西鶴を嫌っているのだが――。

    日常の音や匂い、人の声、季節の気配を繊細にとらえるおあいの一人称で書かれているため、あらゆる描写が新鮮に感じられます。
    かたくななお...続きを読む
  • 阿蘭陀西鶴
    井原西鶴の娘の視点で書かれてあるので、西鶴の俳句に対する思いや取り組み方などが新しい角度で読む事ができたと思います。
    あいという娘に対する気持ちや扱い方で西鶴の愛情の示し方も独特のものがあると思いました。
  • 阿蘭陀西鶴
    正直なところ、あまり面白いと感じずに早く読み終わりたいと思いながら読んでいましたが、最後の1ページから巻外にかけて、ジーンと来ました。
    読んで良かった。
  • 阿蘭陀西鶴
    歴史の教科書では井原西鶴に関する記述はたったの数行だが
    その数行が実に生き生きと膨らんだ。江戸時代に市井の人々が何を食べどのように暮らしていたのか西鶴の盲目の娘を通して語られる。久しぶりに読んで楽しかった。井原西鶴の好色5人女など現代語版があれば読んでみたい。
  • 阿蘭陀西鶴
    井原西鶴は文学史で覚えるべき一人、というだけの存在だったけれど、この本でちょっと視点が変わった。
    人間味が溢れる人柄と作品に一気に興味が持てて、来年は西鶴作品を読んでみようと思った。

    実際はどんな人だったのか、もちろんわからないけれど、現実でもこの作品のように、おあいは西鶴の娘に生まれて、幸せであ...続きを読む
  • 阿蘭陀西鶴
    井原西鶴については、名前と好色一代男くらいしか知らず、その一代記ってことで、時代背景とかも楽しめました。松尾芭蕉、菱川師宣、近松門左衛門っていう、お馴染みどころも多く登場して、”なるほど、こういう繋がりがあったのか”っていう発見もちらほら。西鶴って、俳諧にその基礎が置かれていて、あまりパッとしなかっ...続きを読む
  • すかたん
    初っ端から掴まれっぱなし(笑)
    空き時間に1章だけ読み終えることはできたのだけれど、もう、続きが気になって気になって、仕事が手につきません!(ダメな大人)

    「大坂なんて、大っ嫌い!」なんてセンセーショナルなセリフから始まるのだけれど、どぶ板を踏み鳴らしながら言うので、なんだかとても可愛らしく思えて...続きを読む
  • ちゃんちゃら
    植物や庭師の仕事へのアプローチがとても詳しくて面白い。
    主役のちゃらが良い。お百合も可愛い。師匠がかっこいい。敵役が悪い。
    意外な人が意外な動機でそういう結果になるどんでん返し。ひどいことになるけど、そうか、と思ってしまう。憎めない!
    人情もあり、伝奇的でもあり、お仕事小説でもあり、可愛い恋模様もあ...続きを読む
  • ぬけまいる
     若いころは「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、ブイブイ言わせていた三人娘も、それぞれの人生や家庭に、鬱屈と閉塞感を感じる年齢になってきた。その三人がふとした思い付きと勢いから、伊勢参りに行くこととなり…

     旅の醍醐味がいっぱいに詰まった小説です。旅先での様々な人との出会いは、クスリとさせることもあれば、...続きを読む
  • ぬけまいる
    2015年9月23日
    女3人のお伊勢まいりは抜けまいり。
    幼馴染の3人は長所短所を知り尽くし、気のおけない仲間で、ずけずけものは言うけど、放っておいてほしいと察することもうまくやる。 みすずちゃんにしてやられたときの団子屋の切り回しや朝顔尽くしの小間物屋、博打で稼ぐきっぷの良さが痛快。みすずちゃんへ...続きを読む
  • ちゃんちゃら
    チャペックのエッセイからこの小説を読むという順番、読書の神様もイキな計らいをしてくれるものである。

    造園業を舞台にした時代小説。人情モンであり、推理モンであり、恋愛モンでもあり意外や意外に怪奇譚の一面も持った盛りだくさんな中身。盛り込みすぎかなと思いきや、庭・空仕事と言うしっかりした幹を据えている...続きを読む
  • 花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
    読んでいて、心地よいお話でした。チョット出来過ぎでしたが、穏やかな気持ちのまま、読み終わりました。ただ、主人公に子供が生まれたかどうか、知りたかった。
  • ぬけまいる
    お以乃、お志花、お蝶3人が
    最初は欠点ばかり目につき、バラバラ状態なのに
    欠点は美点、短所は長所、3人集まればなんとか
    痛快で、やさしくて、楽しく、あたたかい
    伊勢へのお参りの道すがらを一緒に旅した気分
    とっても面白かった~
  • 花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
    読み終わって改めて表紙を見てみると、この本の内容がぎゅっと詰まっていたことに気付いた。
    主役である新次とおりん夫婦に預かりっ子の雀(しゅん吉という名前なのに鼻が詰まってちゅん吉としか言えないから雀というあだ名がついたなんて由来が可愛い)。若旦那に六兵衛さんなどなど、登場人物が魅力的でいきいきとしてい...続きを読む