朝井まかてのレビュー一覧

  • すかたん
    朝井まかてデビュー三作目。
    江戸時代の大阪が舞台の、笑えて威勢のいい商家物です。描かれる業界は、植木屋から離れて、青物屋へ。

    大坂城へ赴任した武士の夫と共に、知里は生まれ育った江戸から大坂へやってきました。
    ところが、頼みの夫が急死。
    食い詰めかけたが~ひょんなことから、青物問屋の老舗「河内屋」で...続きを読む
  • 眩(新潮文庫)
    葛飾北斎の娘にて、”江戸のレンブラント”とも称される天才絵師の知られざる生涯を描く筆者渾身の物語。お栄は、町絵師と夫婦になったのも束の間、絵筆を忘れる事が出来ず北斎のもとへ戻ることに。そして、北斎も追及してやまなかった光と影に生涯をかけて情熱を注ぐ事になる。時が過ぎ、北斎もこの世を去り、お栄は一つの...続きを読む
  • すかたん
    たまーに、上方落語の番組を観ます。流れるようなしゃべりと、様々な人を一瞬で演じ分ける演技は毎回すごいな、と思うのですが、その落語の演目にこの『すかたん』の冒頭を入れてもいいのではないかなあと、思ってしまいます。

    夫に共に江戸から大阪に移り住んだ智里ですが、その夫が急死。智里は子どもたちに手習いを教...続きを読む
  • 銀の猫
    江戸時代のヘルパーさん。
    当然江戸時代にも介護問題はあったはず。
    こんな素晴らしい介抱人がいたら本当に引く手余多だろう
  • 銀の猫
    銀の猫/隠居道楽/福来雀/春蘭/半化粧/菊と秋刀魚/狸寝入り/今朝の春

    「介抱人」として働き、そりの合わない母と二人の生活を支えるお咲。江戸の町は結構老人が多かったようなので、こんな仕事も在ったかもしれない。色々な老人の世話をする事で自分なりの仕事への思いが固まっていく彼女は、なぜこんな仕事をとい...続きを読む
  • 花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
    ぎゅっと、ぎゅっと、詰まった一冊。短編集になっているのが、もったいない。
    桜の描写も美しくて。
    来年の桜は、この話を思い出して切ない気持ちで見上げることになりそうです。
    辰之助の人生を、別冊でじっくり読んでみたいなぁ。
  • 最悪の将軍
    江戸幕府の5代将軍であった徳川綱吉の物語である。
    “最悪の将軍”という題名が酷く目立って、同時に強く好奇心を刺激されたので当初は然程気に掛からなかったが、表紙イラストに犬が描かれている。徳川綱吉と言えば、“犬公方”なる綽名を賜った人物で、平和になった時代に君臨して、「犬を大事にする」というような、何...続きを読む
  • 最悪の将軍
    歴史というものは、人々が見たいものが積み重なり、出来上がるのかもしれない。

    ここで描かれているのは、心ならずも将軍になってしまった男の生き様であろう。

    戦国の世はすでに遠く、何を持って、この国を治めるのか、彼が出した答えに、家臣も民も理解が及ばない。

    正室の信子だけが真意を理解して、その背を押...続きを読む
  • 福袋
    ぞっこん/千両役者/晴れ湯/莫連あやめ/福袋/暮れ花火/後の祭り/ひってん

    それぞれが暮らす町でそれぞれの事が起きる。辛かったり苦しかったりしてもしまいには何とかなるのが嬉しい。
    ひってんもそれなりにね
  • 残り者
    江戸城明け渡しが命じられた大奥最後の日。それぞれの事情から大奥から離れられずにいる5人の女の物語。
    呉服之間のお針子をはじめ、大奥に来た事情もやっていた仕事もバラバラな5人。江戸末期の女性の様々な生き方が垣間見れておもしろかった。
    時代の変わり目に直面して翻弄される不安な気持ちもありありと伝わってく...続きを読む
  • 福袋
    面白かった!
    特に「福袋」「暮れ花火」同じ女の話 なのに、全く違うのに、どうしてこんなに哀しいのだろう。
    やはりすごい才の持ち主だ。
  • 残り者
    時代もの
    そして女のけんか
    ときたら、朝井まかてだろう。

    そして
    期待を裏切らない面白さは、たくさんの取材のおかげ
  • 落陽(祥伝社文庫)
    明治天皇の崩御にともなって、明治神宮が出来る。
    神聖な人口の森(杜)を作る為の、ストーリーが楽しめる。

    日本という国が、江戸という共和国からから脱却して一つの国になった。
    その初代元首の苦悩と人となりが軸となり、本書が進んでいくのが良く分かる。

    自分自身、どんな元首になるべきなのかに一人で悩み、...続きを読む
  • ぬけまいる
    男勝りで博打の才のある「お以乃」
    冷静で武芸の達人「お志花」
    派手好きで商売の達人「お蝶」

    馬喰町の猪鹿蝶と呼ばれた少女たちも
    はや三十路手前
    さまざまな屈託を抱えてた3人がある日突然
    すべてをほっぽり出してお伊勢詣りへ♪

    旅の途中でトラブルに巻き込まれたり
    自分たちから首をつっこんだり。
    果て...続きを読む
  • 先生のお庭番
    面白くてどんどん読んだ。
    史実があるから、ラストは、ちょっと寂しさや哀しさが残るけれど。しぼると先生は本当は何を考えていて、どんな事情があったのだろう。日本の四季や草木を愛したことは疑う気にはならない。
    それぞれが幸せな日々を送っていることが描かれ、朝井さんらしいと思った。
  • すかたん
    内容(「BOOK」データベースより)
    江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように...続きを読む
  • 花競べ 向嶋なずな屋繁盛記
    江戸中期、花師の「なずな屋」
    若夫婦とその周りの人々の人情物語

    ちょっとしたミステリ要素もあり
    恋愛模様もあり。

    これがデビュー作と知ってびっくり
    なんと達者な・・・
  • 先生のお庭番
    江戸時代後期の話。
    ここで言う先生=シーボルトのこと。
    出島にあるシーボルトの薬草園の世話に任命されて嫌々行く熊吉くん。
    でもめちゃめちゃ体力も頭も使って庭番の仕事を頑張る
    今まで全くと言っていいほど幸せではなかった熊吉くん
    でもシーボルトのおうちに「やりがい」とか「幸せ」とか徐々につかむけど
    まさ...続きを読む
  • すかたん
    初読みの作家さん。楽しく読むことができた。食べ物の話もあり、問屋の仕事内容あり、恋の話もあり等、満足できました。結婚後の、河内屋の話があればぜひ読みたいと思う。
  • 藪医 ふらここ堂
    世間的には藪医者。娘やご近所の評価も変わりはない。でも肝心なところはきっちり治してくれる。こんなお医者がご近所にあるとはうらやましいねぇ皆さん!!