なんだか先が気になって、読み進めてしまった。
きっと、一人では生きてはいけないんじゃないかというくらい、頼りない主人公。
でも不思議とどこかから手が差し伸べられて、手を引かれながら、歩んでいく感じ。
類の考え方に「どうして〜」と歯痒く思いながらも、嫌な感じはなくついつい弟を見るような目で見守るように
...続きを読む読んだ。
どこまで史実に忠実なのかわからないけど、類の一番の幸運は、奥様の美穂さんと結婚して子宝に恵まれたことだろうなぁ、と思う。美穂さんはまさしく良妻賢母。自分も生まれの良いお嬢様のはずなのに、あの状況で家計をやりくりし(そもそもまともな収入ないのに…お金に無頓着な夫なのに…)家族に美味しいものを食べさせる努力を惜しまず、子供達を育て上げ、さらには夫が一人で贅沢をしていることを過度に咎めないなんて(一度本気で怒ってたけど)同じ主婦として尊敬しかない。と同時にこれがほんの数十年前までは、嫁に行った女性の当たり前の姿だったのかなぁ、とせつなくなり、「森類!もうちょっと美穂さんを気遣って!頑張って!」と声をかけたい気持ちになった。
そして美穂さん亡き後は、子供達がかわりに父、森類を気にかけ、晩年まで支えている。
どこか放っておけない人だったのかなぁ。
あと、面白かったのは、そこかしこに出てくる草花の名前、昔ながらの色の呼び方、着物の柄など。
全然わからないからネットで調べながら読んだんだけど、とても色彩豊かで楽しかった。