朝井まかてのレビュー一覧

  • 藪医 ふらここ堂

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    世間的には藪医者。娘やご近所の評価も変わりはない。でも肝心なところはきっちり治してくれる。こんなお医者がご近所にあるとはうらやましいねぇ皆さん!!

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    2018年01月20日
  • すかたん

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    篠山十兵衛景義と対面した時、清太郎を助けた知里の口上がカッコよかった。
    後家であること、奉公先の若旦那には恋仲の芸妓がいること、そもそも若旦那がすかたんであること、、
    そんな理由から知り合うに連れて湧き出る清太郎への恋心を畳んでくるんでしまい込もうとする。

    夫婦を語るときにこんな話を聞いたことがある。
    長年連れ添うとその人を好きになった理由こそ、嫌いなところになる
    向こう見ずで危なっかしい、でも周囲に好かれる清太郎。いつか知里はそんなところが嫌になるのかな、と思った。

    河内屋のお家さん、志乃の言葉。
    仕事いうもんは片付けるもんとちゃいます。どない小さなことでも、取り組んだ物事の質をちょっと

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    2018年01月17日
  • 御松茸騒動

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    この著者の時代劇小説はどれを読んでもおもしろくて、飽きない。
    生物、特に植物に詳しく博識なので、いろんな知識が得られる。
    大阪出身の人なので、一度はお目にかかりたいかたである。

    昔も変わらないお役所仕事、窓際族の典型の武家さん達が松茸の偽装や産地偽装して、お上にごますり、忖度、手柄横取り、横領、していてるバブル世代と右にならえの上司たち。このままではいけないと 藩政改革をすることになったその御松茸同心に命じられた今時の次世代部下が松茸の知識も何もないまま松茸山を舞台に奮闘する、松茸をよみがえらせ里山を循環させた物語り。歳月をかけて松茸の生態を勉強してちゃんと松茸が育つ環境に戻して里山資本主義

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    2017年12月22日
  • 阿蘭陀西鶴

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    ネタバレ

    西鶴の盲目の娘「おあい」からの視点で描いた井原西鶴。
    最初の部分は、「おあい」は父親の西鶴の人となりに対して、常に嫌悪感をいだき、それが読者にも伝播し、途中で読むのを止めようかなと思ったほどだった。
    人を集めてはお山の大将になり、ひときわ騒がしく、人間の欲望の厭らしさを凝縮したような西鶴が、時を経るに従い、特に俳諧で身を立てようとした西鶴が、草双紙の戯作者へと変貌する当りから、娘の「おあい」は、血の通った情の厚い父親として見直していく。

    同時代に活躍した俳諧の西山宗因、其角、芭蕉や、浄瑠璃作者の近松門左衛門などが登場し、この時代に興味をそそられる。

    特に、芭蕉は西鶴を厳しく批判し、「点者と

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    2017年11月18日
  • 阿蘭陀西鶴

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    おあいが父、西鶴の本音というか気持ちに、少しずつ気づいていく様子がとても良かった。
    おあいの目線なので、読んでいる方も最初は西鶴のことをうとましく思い、理解不能だと感じるように引っ張られている。
    それが、辰彌、それから荒砥屋、そしてお玉らの言葉によって、父の内面、知ろうとしなかった気持ちに気づかされる。
    見えていれば、もしかしたら、言葉と表情が違うことがもっと早く分かったかもしれない。でも、おあいには口に出された言葉が全てだった。でもでも逆に言えば、言葉がしっかりしていればなんだって伝わるってことなのかも。

    西鶴の造形もなかなか興味深かった。けしていい父親ではなかったけれど、

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    2017年10月29日
  • 阿蘭陀西鶴

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    井原西鶴とその娘おあいの物語。

    亡き母親から炊事洗濯を仕込まれた盲目の娘おあい。
    見栄っ張りで威勢だけはよく、娘の気持ちを忖度しない父西鶴を嫌っているのだが――。

    日常の音や匂い、人の声、季節の気配を繊細にとらえるおあいの一人称で書かれているため、あらゆる描写が新鮮に感じられます。
    かたくななおあいの心。
    近くにいるのに互いに伝わらない父と娘の気持ち。
    物語が進むにつれて変わっていく様子が、温かくも切ない。
    すべて読み終えて、帯にある「お父はんのお蔭で、私はすこぶる面白かった」という言葉を見ると、ぐっとくるものがあります。

    大阪弁の会話、ってなんかいい。
    感情とか情感が加味されて、表現と

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    2017年05月29日
  • 阿蘭陀西鶴

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    井原西鶴の娘の視点で書かれてあるので、西鶴の俳句に対する思いや取り組み方などが新しい角度で読む事ができたと思います。
    あいという娘に対する気持ちや扱い方で西鶴の愛情の示し方も独特のものがあると思いました。

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    2017年05月01日
  • 阿蘭陀西鶴

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    正直なところ、あまり面白いと感じずに早く読み終わりたいと思いながら読んでいましたが、最後の1ページから巻外にかけて、ジーンと来ました。
    読んで良かった。

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    2017年03月11日
  • 阿蘭陀西鶴

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    歴史の教科書では井原西鶴に関する記述はたったの数行だが
    その数行が実に生き生きと膨らんだ。江戸時代に市井の人々が何を食べどのように暮らしていたのか西鶴の盲目の娘を通して語られる。久しぶりに読んで楽しかった。井原西鶴の好色5人女など現代語版があれば読んでみたい。

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    2017年01月19日
  • 阿蘭陀西鶴

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    井原西鶴は文学史で覚えるべき一人、というだけの存在だったけれど、この本でちょっと視点が変わった。
    人間味が溢れる人柄と作品に一気に興味が持てて、来年は西鶴作品を読んでみようと思った。

    実際はどんな人だったのか、もちろんわからないけれど、現実でもこの作品のように、おあいは西鶴の娘に生まれて、幸せであったことを願います。

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    2016年12月31日
  • ちゃんちゃら

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    植物や庭師の仕事へのアプローチがとても詳しくて面白い。
    主役のちゃらが良い。お百合も可愛い。師匠がかっこいい。敵役が悪い。
    意外な人が意外な動機でそういう結果になるどんでん返し。ひどいことになるけど、そうか、と思ってしまう。憎めない!
    人情もあり、伝奇的でもあり、お仕事小説でもあり、可愛い恋模様もあり。江戸時代後期ならではの葛藤もあり。
    とても贅沢な時代小説。

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    2016年09月11日
  • ぬけまいる

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     若いころは「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、ブイブイ言わせていた三人娘も、それぞれの人生や家庭に、鬱屈と閉塞感を感じる年齢になってきた。その三人がふとした思い付きと勢いから、伊勢参りに行くこととなり…

     旅の醍醐味がいっぱいに詰まった小説です。旅先での様々な人との出会いは、クスリとさせることもあれば、しんみりとさせられるところも。だんご屋を営む老夫婦の家に居候したり、奥さんに尻を敷かれるご主人を叱咤したり、はたまたお金をだまし取られたり、危ない男との恋の予感があったり…

     三人娘の個性の強さも読んでいて楽しく、旅先での様々な事件、出来事もどれも読ませます。それは三人娘以外のどの登場人物たちにも

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    2016年08月20日
  • ぬけまいる

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    2015年9月23日
    女3人のお伊勢まいりは抜けまいり。
    幼馴染の3人は長所短所を知り尽くし、気のおけない仲間で、ずけずけものは言うけど、放っておいてほしいと察することもうまくやる。 みすずちゃんにしてやられたときの団子屋の切り回しや朝顔尽くしの小間物屋、博打で稼ぐきっぷの良さが痛快。みすずちゃんへの仕返しもすごく良い。
    でも今思い返すと3匹のおっさんシリーズと似たところあるかも。
    博打で稼ぐのは結構いろんな本に出てきてた。
    おしかちゃんがまたあの家に戻るのか。ようやくできた恋人から離れていくおいのもせつない。元の鞘に戻ろうとも心持ちはかわってる。成長物語だね。
    すごく面白くて好きな本です。

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    2015年09月23日
  • ちゃんちゃら

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    ネタバレ

    チャペックのエッセイからこの小説を読むという順番、読書の神様もイキな計らいをしてくれるものである。

    造園業を舞台にした時代小説。人情モンであり、推理モンであり、恋愛モンでもあり意外や意外に怪奇譚の一面も持った盛りだくさんな中身。盛り込みすぎかなと思いきや、庭・空仕事と言うしっかりした幹を据えているので意外と腰の据わりが良い読み心地。

    主人公のまわりを囲む登場人物たちの人物像が爽快。出来すぎかと思うくらいのキャラ設定、江戸時代にそんな生き様するヤツおらんやろと思う部分も少々あるも、読み心地損なうには至らず。

    朝井まかて、前から気になっている小説家だったけど、かなり好みの小説を書く作家のよう

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    2015年03月30日
  • ぬけまいる

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    ネタバレ

    お以乃、お志花、お蝶3人が
    最初は欠点ばかり目につき、バラバラ状態なのに
    欠点は美点、短所は長所、3人集まればなんとか
    痛快で、やさしくて、楽しく、あたたかい
    伊勢へのお参りの道すがらを一緒に旅した気分
    とっても面白かった~

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    2014年12月28日
  • ちゃんちゃら

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    ネタバレ

    よかった!さらっと読めてしまうけれど、江戸の職人気質がささる。妙青尼の優しくも凛とした言動も心が洗われた。

    人ってのはすごいもんだ。一度小さな失敗をしておくと軀が覚えちまう。・・・新セtが過ぎるとその機会を奪っちまう。もしかしたら俺が拵えようとしてた庭は、そういうことなんすか(P83)
    →トレーニングの時には注意しないと!

    あの人たちをいずれ世間に帰すのが私の務めです。ですが、この世は強い人間ばかりではないのですよ。何の希望も持てず辛苦に立ち向かえず、捨て鉢になってしまう人間の方がむしろ多いでしょう。そんな人々をお助けするのが仏の道であるはずなのに、何をして差し上げればよいのかが見いだせず

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    2014年02月26日
  • どら蔵

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    飄々としたお調子者のドラ息子「どら蔵」のおしゃべりに笑った。「道具商は金と権勢を持つお人ら相手の商いや。金がすべての世の中で、黄金色の泡を啜って回ってる。目利きや学識や度胸を看板にしたとて、所詮は幇間やないか」

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    2025年11月30日
  • ぬけまいる

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    朝井まかてさんの作品が好きで、続けて読んできました。この本は友人から紹介されて。3人の特徴は昔こんな仲間がいて、こんなやり取りしたな。そんな思いでどこか懐かしく面白がって読みました。内容もホームドラマ風に展開。作者の別の手腕を感じました。言葉の巧みさ、表現の豊かさ等、軽い作品なれど、やっぱり朝井まかては、朝井まかてです。

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    2025年11月26日
  • すかたん

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    気持ち良いラストまで、心地良い思いで読めた。
    仕事とは、働くとは、を考えさせられる。勧善懲悪の痛快さも美味しい料理も大満足。良い話だったなぁと余韻に浸れる。

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    2025年11月15日
  • 恋歌

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    朝井まかてさんのお話を読むのは2作目。

    実在する歌人の中島歌子さんを主人公にした物語。
    生来の純粋さを持ちながらも、時代に振り回されながら生きてきた彼女が、どうして歌人として生きることになったか。

    登世の物語に引き込まれて読み進めるなかで、知らず知らず緻密に張り巡らされていた一つ一つが一気に回収される最後に圧倒された。登世と以徳さまとを結びつけた歌のことと思っていたけれど、手記に書かれる最後の歌を読んだ時に、このタイトルがぐっときた。

    全て知った後に、また歌人として生きたパートも含めて改めて読み返したい。

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    2025年11月09日