朝井まかてのレビュー一覧
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おあいが父、西鶴の本音というか気持ちに、少しずつ気づいていく様子がとても良かった。
おあいの目線なので、読んでいる方も最初は西鶴のことをうとましく思い、理解不能だと感じるように引っ張られている。
それが、辰彌、それから荒砥屋、そしてお玉らの言葉によって、父の内面、知ろうとしなかった気持ちに気づかされる。
見えていれば、もしかしたら、言葉と表情が違うことがもっと早く分かったかもしれない。でも、おあいには口に出された言葉が全てだった。でもでも逆に言えば、言葉がしっかりしていればなんだって伝わるってことなのかも。
西鶴の造形もなかなか興味深かった。けしていい父親ではなかったけれど、 -
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井原西鶴とその娘おあいの物語。
亡き母親から炊事洗濯を仕込まれた盲目の娘おあい。
見栄っ張りで威勢だけはよく、娘の気持ちを忖度しない父西鶴を嫌っているのだが――。
日常の音や匂い、人の声、季節の気配を繊細にとらえるおあいの一人称で書かれているため、あらゆる描写が新鮮に感じられます。
かたくななおあいの心。
近くにいるのに互いに伝わらない父と娘の気持ち。
物語が進むにつれて変わっていく様子が、温かくも切ない。
すべて読み終えて、帯にある「お父はんのお蔭で、私はすこぶる面白かった」という言葉を見ると、ぐっとくるものがあります。
大阪弁の会話、ってなんかいい。
感情とか情感が加味されて、表現と -
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若いころは「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれ、ブイブイ言わせていた三人娘も、それぞれの人生や家庭に、鬱屈と閉塞感を感じる年齢になってきた。その三人がふとした思い付きと勢いから、伊勢参りに行くこととなり…
旅の醍醐味がいっぱいに詰まった小説です。旅先での様々な人との出会いは、クスリとさせることもあれば、しんみりとさせられるところも。だんご屋を営む老夫婦の家に居候したり、奥さんに尻を敷かれるご主人を叱咤したり、はたまたお金をだまし取られたり、危ない男との恋の予感があったり…
三人娘の個性の強さも読んでいて楽しく、旅先での様々な事件、出来事もどれも読ませます。それは三人娘以外のどの登場人物たちにも -
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2015年9月23日
女3人のお伊勢まいりは抜けまいり。
幼馴染の3人は長所短所を知り尽くし、気のおけない仲間で、ずけずけものは言うけど、放っておいてほしいと察することもうまくやる。 みすずちゃんにしてやられたときの団子屋の切り回しや朝顔尽くしの小間物屋、博打で稼ぐきっぷの良さが痛快。みすずちゃんへの仕返しもすごく良い。
でも今思い返すと3匹のおっさんシリーズと似たところあるかも。
博打で稼ぐのは結構いろんな本に出てきてた。
おしかちゃんがまたあの家に戻るのか。ようやくできた恋人から離れていくおいのもせつない。元の鞘に戻ろうとも心持ちはかわってる。成長物語だね。
すごく面白くて好きな本です。 -
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ネタバレチャペックのエッセイからこの小説を読むという順番、読書の神様もイキな計らいをしてくれるものである。
造園業を舞台にした時代小説。人情モンであり、推理モンであり、恋愛モンでもあり意外や意外に怪奇譚の一面も持った盛りだくさんな中身。盛り込みすぎかなと思いきや、庭・空仕事と言うしっかりした幹を据えているので意外と腰の据わりが良い読み心地。
主人公のまわりを囲む登場人物たちの人物像が爽快。出来すぎかと思うくらいのキャラ設定、江戸時代にそんな生き様するヤツおらんやろと思う部分も少々あるも、読み心地損なうには至らず。
朝井まかて、前から気になっている小説家だったけど、かなり好みの小説を書く作家のよう -
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ネタバレよかった!さらっと読めてしまうけれど、江戸の職人気質がささる。妙青尼の優しくも凛とした言動も心が洗われた。
人ってのはすごいもんだ。一度小さな失敗をしておくと軀が覚えちまう。・・・新セtが過ぎるとその機会を奪っちまう。もしかしたら俺が拵えようとしてた庭は、そういうことなんすか(P83)
→トレーニングの時には注意しないと!
あの人たちをいずれ世間に帰すのが私の務めです。ですが、この世は強い人間ばかりではないのですよ。何の希望も持てず辛苦に立ち向かえず、捨て鉢になってしまう人間の方がむしろ多いでしょう。そんな人々をお助けするのが仏の道であるはずなのに、何をして差し上げればよいのかが見いだせず -
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今回は、民藝という運動が多くの芸術家と関わっているためだろうか、経緯を登場人物の台詞で説明することが多いのが気になった。一人称ではないのだから、客観的に描かれてもよかったのではないかと思う。
それにしても、まかてさんの描く女性は相変わらず素敵だ。
男たちは物事を成し遂げてはいるが、なんとなく印象が薄い。時代の影響もあって、まだ女性の地位は低く、男性優位な社会にも関わらず。
中島兼子という声楽家の存在感が素晴らしい。彼女は、芸術家として自分を表現する欲求と、家庭の主婦のタスクの間で苦しむ。しかも、柳の活動を金銭面で支えなければならず、そのためには公演会を催して稼がなければならない。
芸術家とし -
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これまで葛飾応為はさまざまな作品で描かれてきたけれど、この物語の応為像が一番好き。出戻りであったり、炊事や洗濯といった日々の暮らしに不器用だったりと、男社会で理想とされる“良妻賢母”の女性像には収まりきらない存在でありながらそんな価値観に縛られることなく、ただ絵筆一本を頼りに自分の人生を切り開いていく、その揺るがない生き方は凛としていて、とても格好良かった。
父である葛飾北斎と滝沢馬琴の関係性も魅力的。特に北斎が病に伏した際、馬琴があれこれと助言を与える場面は、健康オタクの側面があったとされる馬琴の人となりがよく表れていて面白かった。
自分の技ひとつで世の中を渡り自らの道を切り開いていく応為の -
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中島歌子は、歌人というより、樋口一葉の師としての方が通りが良いくらいだが、しかし明治におけるれっきとした歌人である。私もこれを手に取った時は、古風な和歌を詠む歌子の創作の様子や、上流階級の子女が集まる「萩の舎」について描かれているのだろうと思っていた。
ところが読み始めると、水戸藩のお家事情と、(のちの天狗党の)武士林以徳に嫁いだ池田登世(歌子)の半生が主な物語で、その内容にとても驚いた。水戸藩のお家騒動の顛末は凄惨であるが、その筆は冷静で、とても読み飛ばそうなどとは思えない。
有栖川宮織仁親王の第12王女、徳川慶喜の母である貞芳院や、天狗党の武士の妻たちの描写が素晴らしく、しっかりと人格が読