朝井まかてのレビュー一覧

  • どら蔵

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    どら蔵

    著者:朝井まかて
    発行:2025年9月8日
    講談社
    初出:2023年3月~2025年2月新聞掲載(陸奥新報ほか)

    朝井まかてによる時代小説の新刊本。地方紙9紙に順次連載した作品。大阪は船場・北久太郎町にある道具商「松仙堂」の長男・松井寅蔵が主人公。舞台は主に江戸、時代は幕末に近い天保年間(主に1830年代)。寅蔵は船場・高麗橋にある骨董商「龍仙堂」で丁稚として修業の身だが、すでに18歳になっている。松仙堂は龍仙堂の別家筋で、何代か前がのれん分けされて開業した店。血のつながりがない「別家筋」。

    血のつながりがないので、何代を経ても家臣のごとき身分で、盆暮れには音物(いんもつ)を携え

    0
    2025年10月10日
  • どら蔵

    Posted by ブクログ

    2018年のニッポンのファンタジー『雲上雲下』を最後に、それ以降はずっと市井の人物を主人公にした歴史小説を書いてきた朝井さん。久しぶりのエンタメ系の長編時代小説です。
    大坂の道具商の放蕩息子の寅蔵(どら蔵)は、ひょんなことで奉公先に大損害を与えてしまって勘当されます。江戸に流れ着いたどら蔵は、自慢の目利き力を生かして骨董屋として一旗上げようと目論むも、拾ってくれた親方やその仲間、どら蔵が預けられた師匠も一癖も二癖もある連中で・・・。
    全6章。2章目当たりで「これは良い」と思ったのですが、その後はあまり盛り上がらず。次から次に登場するキャラクターの濃い登場人物たちを朝井さんが廻し損ねたのか、私が

    0
    2025年10月05日
  • 御松茸騒動

    Posted by ブクログ

    HCUで暇していたら、母が鞄に入れていた文庫を貸してくれた。初めて読む作家だったけど、面白くて一気に読み終わってしまった。
    どの人物もいいキャラクターで、読み終わるのが惜しかった。

    0
    2025年10月04日
  • 朝星夜星

    Posted by ブクログ

    中華街で今はない中華料理屋二代目の娘に生まれた。二代目のボンボン、中国人に嫁いだ日本人の母。昭和一大観光地に成長すり横浜の日々を重ねて読み終えた。

    0
    2025年10月01日
  • 白光

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     文明開化、下級武士の娘が絵画を学ぶ苦労が読み取れる。お雇い外国人の表と裏、「先進国」での日本人の扱われ方、日本での女性の地位など、さまざまなことが書かれている。

    0
    2025年09月21日
  • 残り者

    Posted by ブクログ

    あまりに平凡な感想になってしまうけれど、まず思い浮かぶのはやはり大奥版 黒書院の六兵衛かな。
    徳川家の家臣としての最後の矜持という芯は似ているけれど、行動や知識が非常制限されていたであろう当時の女性の限界と、その中でも力強く生きる姿がとても朝井作品らしいです。
    また、最後に維新後の様子が少しだけ入っていたのも、まるで外伝を読んでいるようで良かったです。

    0
    2025年09月20日
  • 落陽(祥伝社文庫)

    Posted by ブクログ

    明治神宮の創建をテーマにした本。杜や社殿をつくる話が中心かと思ったが、そうではなく日本人にとっての明治という時代とは何か、そして明治天皇や昭憲皇太后の人物像について迫るストーリーに引き込まれる。

    0
    2025年09月13日
  • 眩(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    葛飾北斎の娘、お栄(葛飾応為)が光を求めて生きていく物語。面白かった。


    「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。なぜだかわかるか。こうして恥をしのぶからだ。己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。やっちまったもんをつべこべ悔いる暇があったら、次の仕事にとっとと掛かりやがれ」
    オランダ商館の依頼で取り組んだ西洋画の出来に満足できていない弟子達に、親父どのがかけた言葉。一番印象に残っている。
    もともと北斎についてそんなに知識があるわけではなく、「変わった人」というくらいのイメージしかなかったが、読み進めるうちに絵や仕事に対する凄まじい情熱を感じて熱くなった。


    登場する絵

    0
    2025年09月08日
  • 眩(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    葛飾北斎という偉大な父であり師匠を持つお栄。
    波瀾万丈な人生の中で、筆を置くことはなく、ひたすらに描き続けた。絵そして己に向き合い、力強く歩む姿が目に浮かぶようでした。
    蔦屋とか西村屋の名前が出てくるのも熱い(べらぼう)歴史に関する小説も色々と読んでいきたいな。

    0
    2025年08月30日
  • 残り者

    Posted by ブクログ

    江戸城明け渡しにまつわる話で、読みやすく、こんなことがあったかもしれないなと思わせる話。大奥や、天璋院苦手意識があったが、その時代について興味がわいた。

    0
    2025年08月28日
  • 雲上雲下

    Posted by ブクログ

    日本昔話や民話が好きな方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

    解説では、朝井まかてさんが民話に独自のエッセンスを加えることに
    苦悩されたとありましたが、どれも面白く読ませていただきました。

    田畑が広がる風景や雲の上の神々の世界が、ありありと想像できました。
    もっと朝井まかてさんバージョンの昔話が読みたいです。

    解説の最後にあった中央公論文芸賞受賞時のコメントがとても良く、あたたかい気持ちになりました。

    0
    2025年08月20日
  • グッドバイ

    Posted by ブクログ

    坂本龍馬関連の作品などで登場するので名前だけは知っていた大浦慶さんの物語。
    幕末から明治にかけての激動の時代に、女性ながらにして海外との交易を手探りで始め、憂国の志士たちを支え、グラバーなオルトなどの海外商人、ひいては岩崎弥太郎や大隈重信などとも交流していた彼女の生涯を一人称で語る本作は、まさに朝井さんならではのものです。
    それにしても現在でも名を残している人達の、野心だけはあるものの品性や信義に欠けている様を読むと、一歩間違えは法螺吹きの山師がたまたま運が良かっただけじゃないかと思えてくる。

    0
    2025年08月13日
  • グッドバイ

    Posted by ブクログ

    時代物は読んだ事がなかつたので、慣れるまで読むのに時間がかかった。読んでる間は影響されて、つい長崎弁を交えて話したくなってしまった。大浦慶は江戸末期から明治の正に時代が変わる時に茶葉の商いで奔走した。女性があまり前に出る事がない時代に堂々と外国人と交流し、商売を成功させ富を築いた。慶との関わりの中で後の偉人達が出てくる。彼らも出会った頃よりどんどん出世して活躍していく。すごい時代を生きた人だったんだなぁ。

    0
    2025年07月12日
  • 秘密の花園

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    曲亭馬琴の一生、読み終えて「秘密の花園」という表題がふさわしいか疑問だが内容は多くの先行研究に基づき丁寧に事実を拾いつつも「人間馬琴」を描きつくす事に成功
    歴史を楽しむポイントは人と人が意外なつながりがある事で、特に南総里見八犬伝が多くの人に読まれ愛好家が作家と交誼を結ぶ事も増えた
    松前道広は馬琴の書を好み、息子の宗伯を医師として家臣となした、また宗伯は渡辺崋山とも友誼を結び肖像画まで残されている、この辺りの親交は小説の方が楽しめる

    0
    2025年06月27日
  • 実さえ花さえ

    Posted by ブクログ

    江戸向嶋の苗物屋「なずな屋」をめぐる物語。

    普段は時代小説をあまり読まないけれど、完全に掴まれた。新次、おりん、雀は勿論、その周りの登場人物が挙げたらきりがないほどみんな魅力的。

    それぞれの章で起きる出来事とそこに流れる日常。桜の謎からの吉野でクライマックスかと思いきや、一気に思いも寄らない展開とその後の軽やかにすべてが回収される終章に痺れた。花火を取ってきてあげる場面が一気に蘇ってきた。

    自然に流れていたそれぞれのお話が、すべて緻密に巡らされていたことに気づいたうえで、もう一度振り返りたい。

    粋という言葉がぴったりの、じんわりと心に残るお話でした。

    0
    2025年06月26日
  • すかたん

    Posted by ブクログ

    生粋の大阪の商人さんの言葉は、そこいらの関西弁の関西人とは違って、品があっていいなと思ってます。江戸っ子もいいけど、大阪商人さんもいいなーって会話の節々から思いました。

    0
    2025年06月19日
  • 先生のお庭番

    Posted by ブクログ

    人の書き方が好き。
    人のずるいところや真摯なところが上手く調和され、読みやすく全体を描いている。
    没頭=ついつい辞められなくてひとつの事に尽くしているうちに、気がつけばご飯も食べてなくて寝る時間も忘れていた、そしていつの間にか自分でも思いもよらない高いレベルに達していた、そんな経験がある人は、そのときの感覚を思い出すと思う。若さがなせる技。

    0
    2025年06月11日
  • 実さえ花さえ

    Posted by ブクログ

    朝井まかてさんのデビュー作

    隅田川のほとり、向嶋で種苗屋「なずな屋」を営む
    花師「新次」と妻「おりん」の商売繁盛記。

    商売を営む傍らで、品評会、宴の庭造りなどの難題に取り組む新次とおりん。
    2人の元に預けられている子供「しゅん吉」や
    いつも温かい手を差し伸べてくれるご隠居の「六兵衛」、何かと人騒がせな夫婦「留吉とおそで」たちと力を合わせ、知恵を合わせ乗り気って行く。

    横槍をいれてくる老舗「霧島屋」はかつて新次が修行をした店だが、こちらとのやり取りも清々しい。

    江戸の職人物語なので商売への心意気や、人情味あるやり取りも気持ちが良い。

    そして題名にもなっている「実さえ花さえ」とは
    桓武天

    0
    2025年06月07日
  • 実さえ花さえ

    Posted by ブクログ

    新次とおりん。種苗屋の夫婦を軸に江戸の風景が立ち上がる。
    江戸の経済、風俗、夫婦に親子、植物を育てる者の気概も見えてくる。

    母親の想いに触れてしんみりとし、
    叶うことのなかった恋には泣いてしまった

    0
    2025年06月06日
  • 実さえ花さえ

    Posted by ブクログ

    うわー いやぁー 新改訂版ってそりゃないって朝井さん。とうとう最後の最後まで気づかなかった。雀とお梅と結ばれたのも。 自分読んでたんで、もうデビュー作で気づこうよ自分って。まんまと買わされた気分で内容どうこうじゃない話で粋じゃないって。買ってるんで、どこで気付いてもショックだけど、こうしてぐちぐち言うのも粋じゃないって たしかに話の内容が綺麗すぎて一夜を共にしたのもうっちゃってるし。

    0
    2025年06月05日