【感想・ネタバレ】すかたんのレビュー

あらすじ

江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?

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この著者の本は昨日読んだ『恋歌』が初めて。
『すかたん』は江戸育ちの主人公が一人で大阪に暮らすことになり、江戸弁をからかわれて何度も寺子屋の雇われ師匠をクビになるところから始まる。
大阪出身の著者だからか、大阪の子供が関東弁をばかにすることをよくご存じなんですね。それと、大阪弁は人によって全然違うということもきちんと使い分けてはるのが良い。(もちろん江戸時代の設定なので、今とは違う言葉遣いもあるけれど)
私はこちらの話の方が、それぞれの登場人物がよく書き込まれていて魅力的で、ストーリーも経済的なネタがうまく入ってて面白かったです。

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2025年05月31日

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岩村藩士の夫に先立たれ、江戸に帰る費用を稼ぐ為大坂の青物問屋河内屋の上女中として奉公に出ることになった知里。芸妓遊びに興じ、自由人の若旦那清太郎。二人が違法である野菜の立売を行う富吉と出会ったところから物語は進み出し、清太郎の野菜を売る商人としての真っ直ぐな気持ちを知り恋心が芽生える知里。
二人の恋の行方、ひそかに野菜問屋仲間を牛耳ようと陰謀を企む伊丹屋をこらしめる勧善懲悪の物語、大坂言葉と商人の生活が詰まったら時代小説です。

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2025年01月12日

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ネタバレ

びっくりするような展開はないけれど、読後にやにやしちゃう様な、最高な終わり方だった。

清太郎の「江戸のお人っ」とか言っちゃう感じや、知里が清太郎にしっしと思わず雀を追う手つきをした。ってとことか本当好き。

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2024年11月20日

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最初のとっつきは 悪かったです。

寺子屋を首になった頃は やたら江戸うまれを押し通す やな女です。

青物屋の女子衆として 働き始めてから やっと心根がシャンとしたような。

食べることが好きなことが 人生をいい方に向かわせます。

美味しそうに食べる っていいことなんですね。

ご飯作った人も 食べるの見ているひとも気持ちがいい

この美味しいものいっぱい食べる ということが気持ちも素直にさせ いろんな人が目をかけてくれる。

難しく気難しい御寮さん

何故か 裏の畑の世話を知里に任せる。

ここでいろんな野菜を人に聞きながら育てる。

これが 心を耕したのかな?

たぶん 若くして死んだ亭主の方が 若旦那の清太郎より いいおとこだったんだろうなあ!

清太郎のいい所をわかりながら 主人夫婦の心も解きほぐしていく。

ハッピーエンドが大好きな私好みの ハッピーエンドに向かうお話しです。

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2022年01月28日

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数々の問題に真剣に、しかも大胆に取り組んでいく2人の行動力に目を見張ります。そして清太郎と知里の心の揺れ具合にこれまた、どうなるんや⁉️と言う期待と不安が交差する。読後の清々しい気持ちと、ああ良かったと言う満足感が残る一冊です。

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2021年08月29日

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まかてさんの浪花もの
デビュー三作目の長編とは思えないストーリー。
この作者に共通する話のテンポが個人的には好きです。

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2020年09月18日

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朝井まかてデビュー三作目。
江戸時代の大阪が舞台の、笑えて威勢のいい商家物です。描かれる業界は、植木屋から離れて、青物屋へ。

大坂城へ赴任した武士の夫と共に、知里は生まれ育った江戸から大坂へやってきました。
ところが、頼みの夫が急死。
食い詰めかけたが~ひょんなことから、青物問屋の老舗「河内屋」で働くことになります。
それも、お家さん(女主人)の志乃に仕える上女中として、びしびししごかれることに。
仕事を紹介してくれた若だんな・清太郎は、家にろくに寄り付きもしない道楽息子という噂。
しかし、野菜にかけては真剣で、農家にも熱心に顔を出している。

さまざまなトラブルに一緒になって奔走し、河内屋の事情も知っていく知里。
最初は不慣れで頼りなかったが、ちゃきちゃきの江戸っ子の知里は頑張り屋で、いざとなれば啖呵を切ることもある。
いつしか、清太郎と惹かれあうようになりますが…?
周りにはバレバレになっても、黙って身を引こうとしているじれったさ(笑)
恋愛描写は多くはないけれど、展開がわかりやすくてストレート。
1作目2作目よりも快適な印象で、楽しく読めました。

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2020年05月31日

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たまーに、上方落語の番組を観ます。流れるようなしゃべりと、様々な人を一瞬で演じ分ける演技は毎回すごいな、と思うのですが、その落語の演目にこの『すかたん』の冒頭を入れてもいいのではないかなあと、思ってしまいます。

夫に共に江戸から大阪に移り住んだ智里ですが、その夫が急死。智里は子どもたちに手習いを教えることで、糊口をしのいでいます。
しかし、大阪の子どもたちに言葉遣いをからかわれ職を失い、その上空き巣に入られ、家賃が払えないという状況に。そこに現われたのが青物問屋の若旦那である清太郎。ただ、この清太郎がなかなかのくせ者で。

智里と大阪人たちとの小気味の良いやり取りと語り口、江戸から来た智里の見る大阪人たちの特性の表現、何より智里の啖呵と開き直りが素晴らしい!

時代小説とはいえ「おたんこなすの唐変木」なんて言葉を自然に読ませる、朝井まかてさんの文章の技量、そしてキャラクターと会話の妙にあっという間に引き込まれます。これを上手い落語家さんがやったら、たぶん一つの演目として通用すると思うのです。

そして清太郎の問屋に女中奉公することになった智里。そこに待っていたのは、清太郎の母親で家の女将である志乃。この志乃の上品でいて、厳しさが随所ににじみ出る関西弁がまた良い味を出してます。そして何より彼女に一本気が通っているのが良い。

立場的に下手すれば嫌味なキャラになりかねないのに、それを感じさせません。そんな志乃にビシバシ鍛えられつつも、徐々に日々の生活に馴染んでいく智里の様子は、時代は違えど上質な朝ドラを見ているよう。

そして、食べ物の描写も良い。青物問屋なので出てくる料理に肉は全くないのに、それでもお腹がすいてくるような気がします。ある意味これは飯テロ小説だ(笑)

若旦那の清太郎は始終フラフラしながらも、野菜に関しては純粋で熱い。青物問屋という自身の立場を省みることなく、一心に行動します。しかし、それが大阪の青物業界を騒がせる事態となり……

そんな清太郎に振り回されながらも、どこか放っておけなくなる智里。そんな折りに頭に浮かぶのが智里の亡夫への思い。この思いがまた切ない……
話の前半はユーモア・ポップ路線だったのに、シリアスにしんみりとも、朝井まかてさんは読ませてくるのです。

そして、そんな智里の恋のライバルはもう一人。清太郎がひいきにしている芸者の小万。志乃の関西弁も好きだけど、この志乃の関西弁も魅力的。柔らかさと可愛さ、でもどこか抜け目無さも感じさせるしゃべりです。
そして物語のラストに魅せる彼女の芸者としての矜持も読ませます。志乃にしろ、この小万にしろ脇役なのが勿体ない……

魅力的な作品だと、その世界に入りこみたくなるときがあるのですが、この小説のラストは特にそれを強く感じました。自分も市場の商人たちと一緒に叫び、その場の空気を感じたくなります。最後の場面にずっととどまっていたい、そんな風に思ってしまいました。

『すかたん』は登場人物たちそれぞれの個性と矜持が連鎖に連鎖を重ね、そして素敵で"おもろい"作品に導かれた作品のように感じました。

朝井まかてさんの小説は久々に読んだけど、面白かったなあ。これからも定期的に、お世話になる作家さんになりそうです。

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2020年04月19日

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内容(「BOOK」データベースより)
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?

平成30年12月19日~20日

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2018年12月20日

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初読みの作家さん。楽しく読むことができた。食べ物の話もあり、問屋の仕事内容あり、恋の話もあり等、満足できました。結婚後の、河内屋の話があればぜひ読みたいと思う。

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2018年03月21日

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篠山十兵衛景義と対面した時、清太郎を助けた知里の口上がカッコよかった。
後家であること、奉公先の若旦那には恋仲の芸妓がいること、そもそも若旦那がすかたんであること、、
そんな理由から知り合うに連れて湧き出る清太郎への恋心を畳んでくるんでしまい込もうとする。

夫婦を語るときにこんな話を聞いたことがある。
長年連れ添うとその人を好きになった理由こそ、嫌いなところになる
向こう見ずで危なっかしい、でも周囲に好かれる清太郎。いつか知里はそんなところが嫌になるのかな、と思った。

河内屋のお家さん、志乃の言葉。
仕事いうもんは片付けるもんとちゃいます。どない小さなことでも、取り組んだ物事の質をちょっとでも上げてこそ仕事や。
女中の頃、多くの苦労をこなして女主人となった志乃が語る仕事論には百戦錬磨の凄みがあった。

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2018年01月17日

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気持ち良いラストまで、心地良い思いで読めた。
仕事とは、働くとは、を考えさせられる。勧善懲悪の痛快さも美味しい料理も大満足。良い話だったなぁと余韻に浸れる。

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2025年11月15日

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生粋の大阪の商人さんの言葉は、そこいらの関西弁の関西人とは違って、品があっていいなと思ってます。江戸っ子もいいけど、大阪商人さんもいいなーって会話の節々から思いました。

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2025年06月19日

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登場人物一人一人、心の内と行動が少しちぐはぐながら、みな人間的に奥深く、慈愛に満ちている。表面的ではない、相手を心から想ってのそれぞれの慈愛が読み手にじんわりと伝わる。

江戸時代の大阪の賑やかさの中で繰り広げられる一連の物語がとてもドラマチックで、終わり方も素晴らしく、大満足の読後感。

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2025年06月05日

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2012年の作品。昔から男女の組み合わせは東男と京女がよいといわれているが、この話は東女と難波男子の組み合わせ。文化の差異に本人の出自の違いも重なり、場面が次々と展開していき一気に読み進められた。江戸中期の設定でものの流通が問屋ー仲買で安定した供給を維持していた歴史が読み取れ、それに終盤で生産者と市場を結ぶ運搬業者「青田師」まで登場して、今につながる流通の仕組みを知ることができた。それにしても値上がりを期待して思惑買いをして流通が滞るところは今のコメ値上がりに通じるところだと思った。しっかりした時代考証とそんなことないでしょうというお話し部分と織り交ぜて朝井まかてさんのおもろい話でした。

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2025年02月23日

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知里、小万、志乃、おかね、女性陣が魅力的だ。
芯があって、仕事をしている姿がかっこいい。
最初の頃の知里に対する志乃の説教は私にも刺さりました…
ちゃんと仕事します…

武家と商人と農家、それぞれの立場や暮らしがあって、江戸時代らへんの日本史を学び直したくなりました。

難波葱や勝間南瓜、そして田辺村の丸大根
食べたことのないなにわの伝統野菜たち
大阪旅行の際は、551の豚まんとりくろーおじさんのチーズケーキだけでなく野菜も買って帰ろうと思います^^

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2024年07月09日

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武士の後家が生きていくために大坂の青物問屋に女中奉公に上がり、慣れない風習と仕事に戸惑いつつも市場構造の改革を目指す若旦那を支える話。
一言で言えばこんな感じですが、若旦那は信念と人柄だけで暴走するタイプだし、主人公の知里も最初の頃は単なる使えない女子衆だし、お決まりの敵役もなかなか巧みで一筋縄ではいかないところに加え、御家さんや志乃さんといった格好いい女性達の存在が物語を引き締めている。
当時の大坂の様子が窺えるところも良し。

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2023年04月09日

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主人公・知里は江戸っ子。藩主の大坂城代赴任に伴い、藩士の夫と共に大坂で暮らすようになるが、一年ほどで夫は病で亡くなる。ひょんなことから青物問屋「河内屋」の上女中となる。そこで遊び人で問題児の若旦那が起こす色んな問題に巻き込まれながらも、若旦那に惹かれていく。憎めない人柄の若旦那と知里がどうなっていくのかと終盤は一気読みでした。知った地名が沢山出てくるし、上方の言葉が心地良い。とても面白かったです。

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2023年01月02日

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高田郁の「みをつくし料理帖」や「あきない世伝金と銀」の様な味わいを感じる小説でした。
商いに対する思い、周りの人に対する思い、何かに取り憑くように事に勤しむ思い、楽しんで読ましていただきました。少し出来すぎた結末に軽さを感じるも、御寮人志乃の最初からの思いも最後に明らかになり、納得。次は、「恋歌」のページを括りたいと思います。

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2022年02月03日

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しばらくぶりに読む、朝井まかてさんの作品。
筋立の確かさとリズムの良い文章は常のごとく、そこに商売を巡る騒動といくつかの恋が重なり、気がつけば物語の世界にすっかり入り込んでいた。登場人物がみな魅力的で生き生きとしているからか、誰の気持ちもよく分かる気がして、時代物なのに、同じ時間・空間にいるような隔てのなさがある。
重さと軽さのバランスが絶妙。

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2021年07月25日

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とってもよかった~!
夜更けに読み始めて、そのまま読んでしまった。軽快な恋愛ものでありつつ、舞台である大阪の人たちが好みそうな勧善懲悪ものでもある。
かっこつけたキラーフレーズとか、取り澄ました一文とかがあるわけじゃないのに、ああすきだなあと思わされる文章だ。朝井まかて、やはりとてもすき。

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2020年12月30日

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ネタバレ

再読だけど、面白かった。銀二貫とかを彷彿とさせるね。一生懸命農村を何とかしようとする若旦那に惚れちゃうよね。女ぐせ悪いけど。お家さんがとっても魅力的です。

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2019年11月07日

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上方言葉がぽんぽん飛び出て、でっちや商人が出てきて、上方落語みたいだった。風景描写や年中行事、野菜のことなど、大阪通になれるくらい詳しく書いてあって、面白い。

大阪に来たばっかりの他所の人とか、詳しくなりたい人とか、これを読んだらいいと思う。

大阪の風情を書きたかったのかな、というところで、思っていたより恋愛要素は薄かった。商人としての生き方とか、主人公の自分を励ます言葉とか、さりげない言葉にはっとする、胸に刺さる書き味があって、この人の魅力だなあと思う。

たんかきるところとか、主人公の亡き夫への気持ちとか、ここぞ、というところの聞かせ方がうまい。江戸時代の話だけど、夫婦や子ども、独り身の話などはいまにも通じるところがあった。

上方言葉の意味がじんわり染み込む、まったりとした、江戸時代の大阪の風情を味わえる小説。

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2019年11月15日

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大坂ほんま本大賞受賞作
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大阪の青物問屋に女中奉公に出た知里が、遊び人でトラブルメーカーの若旦那にかき回されながらも、野菜に傾倒していく話である。
我が家から歩いて5分ぐらいの所にあった天満青物市場が主要な舞台のひとつなので親しみが湧きます。
高田郁の銀二貫も大坂商人の話ですが、こちらは大坂商人の話ぷらすなにわ伝統野菜の話が加わりさらに興味深い。また、会話が大阪弁なのでテンポ良く話が進む。主人公、知里が関東もんなので所々大坂に関する説明が入るので、大阪以外の読者も楽しめると思われる。
巻末に参考文献も挙げられているが、作中に出てくる大阪代官「笹山十兵衛」は実在の人物で作品の中で描かれている経歴の持ち主のようである。知里が奉公する河内屋も享和元年(1808)付けの八百屋問屋37人の中に屋号があったりしてなにげに歴史物っぽい演出もある。
なんとなく続編を匂わせる終わり方ではあるが、著者の本の作り方からいくと多分一話完結でしょうか。

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2018年08月16日

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ネタバレ

評価は4.

内容(BOOKデーターベース)
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?

江戸を舞台とした恋愛話なので結果は読めちゃったが、破天荒な若旦那はなかなかのやり手だし、女主人は絵に描いたような厳しさの中にこれまた良くある優しさと苦しみを抱えて等々ドラマには向いていると改めて。キャストだな~~~。

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2018年11月14日

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うんうん、楽しい。

時代小説ってのは痛快小説が多いのか(時代小説ビギナーです)、わかりやすくって読後スッとする。

大阪の商いの様子がよくわかって、季節や行事事を大切に過ごしていたことを羨ましく思う。あと、なんとなく大阪ってケチ臭い(値切ってなんぼが浅ましい)イメージがあるんだけど、払拭されるような小気味の良さある。

恋ばなありで今村翔吾さん言うように朝井まかてさんの女の時代小説いいわ。好き。

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2023年12月04日

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202108/知里のキャラが好きになれない所がちょっとあったけど、舞台や展開も面白くテンポ良く一気に楽しめた。

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2021年09月27日

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江戸詰め藩士だった夫がたった2年で急死
大阪の青物問屋に女中奉公に出た知里。
破天荒な若旦那に振り回されながらも
次第に天下の台所の美味い物に目覚めていく

ちゃきちゃきの江戸っ子の主人公が大阪の生活に
悪態をつきながら馴染んでゆく様子が秀逸

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2019年08月21日

Posted by ブクログ

大阪商人に馴染みがないから序盤は読みにくかったけどどんどん引き込まれた
二人の距離がだんだん近づくのが楽しいようなもどかしいような
ラストはいい〆方だった
志乃にはしてやられましたわー

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2017年11月10日

Posted by ブクログ

朝井まかてさんの時代小説は、私にとって2作目になります。

関西人ならなんとなく耳にしたことがあるこのタイトル。
私も、子供の頃、よく父母から、言われました。
呆れた行為だが、それでもなんだか憎めないような時に
使われたような気がします。

あらすじはといいますと・・・ほとんど内容紹介の通りです。
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た主人公知里。江戸と大坂の言葉や土地文化の違いに、戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていきます。
人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那の存在に、知里も呆れたり迷惑に思ったりしますが、いつしか、強くひかれるように・・・

第一章から第十章まで。
すべて大坂言葉がタイトルになっています。
「ちゃうちゃう」「まったり」「だんない」「ぼちぼち」
「ええねん」「しんど」「ほな」「かんにん」「おもろい」
そして、表題の「すかたん」
なんだか、全部、
吉本新喜劇を思い出させる言葉です。

タイトルだけ読んでも
大坂へ行った気分になる楽しい時代小説でした。

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2017年11月09日

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