朝井まかてのレビュー一覧

  • 先生のお庭番
    人物や土地や花木、あらゆる描写が写実的で、自分も出島にいるかのごとき錯覚に陥ってしまうほど。その中で主人公と先生、奥方との絆が生き生きと描かれている。「恋歌」も見事だったが、こちらも最後に深い感銘を受け、余韻の残る秀作であった。
  • ボタニカ
    やはり朝井まかてさんの本は話に入り込めて良い。
    屋久杉や桜の描写等が綺麗で、実際に見てみたくなった。

    本当に奇人であったのだろうが、周りの人は本当に誇りに思っていたのだろうなぁ
    出会いにも恵まれている。というよりも掴み取りに行っている気はするが。

    興味と才能と(環境も少し)あると、これほどのめり...続きを読む
  • ボタニカ

     まかてさんの大ファンです。

    読みたいと思っていてついに買って読み始めましたがまだ途中なのですが読みやめられなくてついつい遅くまで読んでしまいます
    ものすごくきょうみがわきますとともに先の進行具合が楽しみです。
    植物の名前も知っているものや知らないものなど専門家でなくても辞典を一度目にしたいと思うほどです。
    いろんな書かれ...続きを読む
  • 朝星夜星
    流石朝井氏の作品は素晴らしい。江戸末期から明治大正へと生きた女性の生涯に感動する。それにしても当時の人々は短命であることよ、一歩間違えれば悲劇の物語になるところを淡々と語る技量は流石だ。余計な事だが最後に小生の祖父はこの時代にピッタリ重なる。
  • 銀の猫
    江戸もの+老人介護という新しい視点も面白いし、その介護への著者の眼差しがとても深い。現代的なテーマでありつつ、舞台を江戸にすることで、読者に素直に介護のテーマに向き合わせる。著者が主張するように、誰も追い詰めない、風通しの良い介護を皆で考えたいもの。
  • 恋歌
    やっと気持ちが乗って読み始めたら、一気読み。
    なんとない恋物語から一変し、読むのが辛いのに、止められない。
    歴史上幸せな結末でないとわかっているのに、水戸藩の幸せを祈ってしまう。

    愛する人を失うとは本当に恐ろしいことだ。斬首も自害も戦死も、想像しただけでゾッとした。
    それでも、人は、進まなきゃいけ...続きを読む
  • 草々不一
    贅沢な短編集。
    朝井まかてさんのエッセンスがたっぷり!
    概ね武家の、窮屈で面倒くさいあれこれが面白い機微となって読み応えがある。
    恋、料理、政治、ミステリ、忠臣蔵!
    いろいろ含有された、面白いお話ばかり。
    1日で読んだのに、あまりに盛りだくさんな内容のため、最後まで読み終えたら、最初のお話が、遠い旅...続きを読む
  • 恋歌
    本を読んで泣いたのは初めてでした。
    中盤は読んでいて辛く悲しい部分もありますが、手に取ったら、ぜひ最後まで読んでいただきたいです。
  • 決戦!忠臣蔵
    もしかしたら歴史小説を初めて読んだのは忠臣蔵だったかもしれない。
    何作か読んだと思うけど、久しぶりのこの忠臣蔵はアンソロジーで、様々な視点で7人の歴史小説家が書いています。

    葉室麟『鬼の影』
    朝井まかて『妻の一分』
    夢枕獏『首無し幽霊』
    長浦京『冥土の契り』
    梶よう子『雪の橋』
    諸田玲子『与五郎の...続きを読む
  • 恋歌
    幕末から明治にかけての水戸藩の内紛、そしてそれに翻弄される決して名を馳せたる人ではなかった武士、そして庶民の悲哀のお話。
    明治維新は、「維新」という綺麗な言葉だけには括れない勢力争いの果てのクーデターではなかったのか...
    最終盤、貞芳院と歌子の会話「薩長と水戸は何が違うたと思う」の問いへの想い、心...続きを読む
  • グッドバイ
    大浦慶の話。この人実在の人だけど全然知らなかった。とてもやり手の女将さん。そしてとても面白かった。外国人と対等にビジネスしたり、幕末の偉人(坂本竜馬とか大隈重信とか)たちとやり取りがあったり。引退した番頭さんがピンチの時に帰ってきたのはかっこよかった。
  • 眩(新潮文庫)
    葛飾北斎の娘、葛飾應為ことお栄さんの話。
    当時では女性絵師は珍しい。女性は家事というジェンダーロールが疑いなく信じられていた頃。
    お栄は、描かずにいられない絵師の業が身体に備わっている。絵の才もある。父親の北斎と同じ。
    しかし女性であるお栄の感覚は、母親や夫からは欠陥としか見做されない。
    やりきれな...続きを読む
  • 残り者
    大奥と呼ばれる職場で江戸城を明け渡す場に居合わせた5人の出自の異なる女性たちの物語。それぞれが如何なる思いで城に残ろうとしたのか、そして、残る者がいるであろうと予測した天璋院の思惑とは。私の知る大奥とは、女性の園で殿様にかしずくだけの所であると思っていたのだか、5人のそれぞれのキャラクターを通して大...続きを読む
  • 眩(新潮文庫)
    自分自身もそうなのですが、浮世絵だったり、北斎に興味を持ち始めた人が読むのに、おすすめしたい作品です。娘の眼を通して、葛飾北斎を取り巻く暮らしぶりがよくわかります。富嶽三十六景を出版したきっかけや、ゴッホが作品を模写した渓斎英泉が登場することも興味深かったです。
  • グッドバイ
    傑作。熱い展開に何度も涙し、大河ドラマを見終わったような読後感がある。
    幕末〜明治の有名人が多数出てくるのも楽しいが、おそらく創作であろう、お店の奉公人たちの造形が実に魅力的。
  • 恋歌
    日本史にある程度詳しければ、問題なく読める作品。天狗党の乱を、こういった視点で読む機会に恵まれたことに感謝したい。素晴らしい作品でした。電車の中で何度も涙がこぼれそうになりました。
  • グッドバイ
     長崎の油商・大浦屋の女あるじのお希以(けい)は女だてらに海外との交易をしたいと願う女商人。
     時代は浦賀に黒船がたどり着いた時期、彼女はこれを機会と思い、通詞(通訳)の品川という武士を通じて、テキストルという青年と交易をおこなうことになる。
     油を売るはずの油商が油ではないものを売る、ということで...続きを読む
  • 阿蘭陀西鶴
    大矢博子さんの解説を読んで、そうだったのか!とスッキリした。読み初め、やや物語に入り込めない感があったのだが、「おあい」を見ていた自分が、いつしか「おあい」として見るようになっていき、すっかり作品世界に没入していたからだ。大矢さんが書かれている「思えば、目が見えない ー 映像情報がないということは、...続きを読む
  • 恋歌
    桜田門外の変を起こすほど尊王攘夷派であった水戸藩が維新前後に有力な人物を排出しなかったのは、御三家といういわば幕府を象徴するような藩だったからだと、今までは漠然と思っていました。それなりに時代小説を読んできたのに、水戸の内乱にを描く作品と何故出会わなかったのだろうか。
    本書の凄いところは珍しさそのも...続きを読む
  • 福袋
    可愛くてしみじみする江戸情緒あふれる短編集
    銭湯の女の子の話が一番好きかな
    ラストの両親の会話で心がぐっともっていかれた