朝井まかてのレビュー一覧
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流石は人情噺の名人、朝井まかて。いや読ませる、読ませる。道具商、つまり今の時代でいう骨董屋。しかし骨董品なんて、その昔、いや今もやってるのか、『なんでも鑑定団』で和服着た親父が「良い仕事してますね〜」とか言って高値を付けたり、これは贋作でお金にならないなどというのを見て、いや人間、欲を掻くと碌なことにならんな、国中に恥を晒すと思っていたが、この本を読んだらやってみようかなどという良からぬ気持ちが芽生えてしまった。
主人公は寅蔵、碌でも無い奴なので皆んなからドラ蔵と呼ばれている。住んでいた大坂で厄介ごとを背負い込み、親に勘当されて江戸まで出て行く。作中の大坂弁が実にいい。町田康の饒舌とはちょっ -
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祖父の代は隆盛した油屋を継いだ女商人、大浦慶。
商売を立て直そうと新しい動きを組合に提案するとバカにされる。
それならば自らリスクを取ってやろうとすると、なかなか陽の目を見ない。
それでも、彼女を信頼してくれる人と出会って、なんと日本のお茶をイギリス商人経由でアメリカに輸出することに成功する。
しかし、それも江戸幕府がなくなり、明治新政府ができる中、
日本の貿易の中心が長崎から横浜に移る中で、徐々に衰退していく。
そんな時に、タバコの葉を輸出する仕事を共に取り組まないかとの提案がなされ、
信頼していた外国商人に売り込むも、仕入れはできないと言う詐欺話だと気が付き、多くの借金を抱える。
当時の隠 -
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森鴎外の家の息子の類の一生。面白かった。
森林太郎と志げとの間に類は生まれた。父は陸軍軍医総監、陸軍省医務局長。類には姉がいて、茉莉、杏奴、兄の於兎は離れに暮らしている。
類の成績は良くない。ことに算数。父に教えてもらえばわかるのだが。
於兎がドイツに留学。茉莉も夫が留学中のパリへ。父はイギリスの皇太子が正倉院にいらっしゃるので、博物館長として奈良へ出張。だが父はげっそりして帰宅。病気なのだそうだ。父が亡くなる。
類は中学生になった。小さな一軒家で使用人と家族と暮らしている。兄の於兎は東京帝国大学医学部の助教授を勤めている。類は中学を中退する。類は絵を描くようになった。茉莉が離縁されて帰っ -
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最近民藝に惹かれているので、民藝にかかわる人たちの物語を知りたくて読んでみた。
柳宗悦は民藝を創設したすごい人かもしれないが、家族から見れば困った人。
自身の散財で家計が苦しいのに、金に糸目をつけずに民藝の品を収集する。
若い仲間たちを気遣うのはよいが、手間や費用は人任せ。
自分は好き勝手しているのに、声楽家である妻の留学には難色を示し、子どものように不機嫌になる。
一方で、河井寛次郎は、卓越した才能があり仕事には厳しいものの、誠実で温かい人物として描かれている。
柳の散財で窮する彼の妻に「困ったらいつでも来なさい。黙って耐えたらいけない。必ず相談してください」と言い、実際に援助を続ける。
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単なる後継話のこじれが、大疑獄事件に発展した。その裏には江戸時代特有の政治的な背景もあるのだが、そこはそれ。楽しく最後まで読めた。
吉宗の御代。大阪奉行所の奉行は江戸からやってくるので、誰も名前を覚えていない。今は稲垣淡路守が奉行で11年目。その家臣の御家老源四郎が芝居茶屋に来ている。
木津屋は身代がついえる寸前なのだ。今は取り繕っているが、そろそろ限界だ。お瑠璃が臭いを嫌がるので煙草をやめていたが、昨夜吸ってしまった。兄が死んだ。急いで向かう。兄の葬儀を仕切ろうとしたが、大番頭に追い出される。
吉兵衛は塾生たちの面倒をみている。亡くなった兄の娘の伊波が訪ねてくる。伊波は大番頭が偽の遺言 -
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ネタバレ読後ややしばらく、ほーっとなり、山下りんの生涯に思いを馳せた。この本は日本で初めてのイコン画家 山下りんの物語である。あまり知られていないかもしれないが、ハリストス正教会の聖堂にはイコン画と言われる、聖書の一場面や聖人などの肖像画が飾られており、それを描くのがイコン画家だ。
1857年幕末に生を受け、維新を経て、家禄の少ない士族として母と兄、祖父母とほそぼそと暮らしていた16歳のりん。当時は女は嫁ぐことと決まっていたが、幼いころから絵を描くことが好きだったりんはその道を行かず、画家として生きる道を選ぶ。
自分が「こう!」と思ったらまっすぐ突き進む。どんな軋轢も、困難も、貧困ももろともしない。 -
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尾張藩主徳川宗春をめぐる尾張藩名産まつたのお話。面白かった!!
小四郎は尾張藩藩士。江戸定府で元服間もない。経理に携わる軽輩である。父の旧友であるさんべえ、三谷官兵衛、長井藤兵衛、伊藤伝兵衛がやってくる。さんべえに連れ歩かれ、そして伝兵衛の刀が盗まれた。なぜかさんべえに連座させられている。減俸と逼塞を申しつけられる。そして小四郎は松茸同心を申しつけられる。
江戸から松茸2000本を頼まれるが、300しかできず、商人から買い取って江戸に詰め替えて送る。さらに2000本を言いつけられる。上役の矢橋が松茸をどうすればたくさん取れるのか考え続けて15年になるという。商人に頼んでいることを殿が知らな -
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老いに対して如何に支え合うかという普遍的な課題、時代は変われども、江戸時代も現代と同じ悩みや葛藤を持ちながら、介護看護に取り組んでいたんだと教えてくれるストーリー。
仕事とは言え、他人の介護看護には親身になって尽くすのに、自分の母親には素直になれない主人公の葛藤、現代も変わらないのではないかと、共感してしまった。
武家時代の忠孝という規範の縛りがあるとは言え、親の介護看護に疲弊し、家族関係が崩壊しかける描写は、制度や仕組みが新しくなった今の時代の「老老介護」や「手厚くならない介護職」の問題に対して何も変わっていないのだな。
介抱人の仕事を通して、死に向かう時間に寄り添い、老いの豊かさに少し -
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まかてさんプレゼンツ、江戸の介護実態。派遣の介護人お咲が一生懸命に介護をしながら紡がれる人情噺。面白かった。
お咲は介抱屋として仕事をしている。40歳くらいの母を養っている。江戸では当主になる者が介護をする。孝を幕府が大事にしているせいだ。
料理屋の主人が3日間家を空けるのでと仕事を頼まれた。中風の後で半身不随だが、頭はしっかりしている模様。お咲は母の借金を背負っているので働かなくてはならない。母はお咲の嫁ぎ先からお金を無心して、お咲は離縁された。給料の前借りにも来る。
道楽婆さんの相手を頼まれる。釣りに連れて行かれて、お咲は酔ってしまった。10日間と言われているがほとほと疲れる。何をやっ -
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ネタバレとてもよかった。私の身体や心によい小説。
もういちどはじめから読みたいと思う小説はほぼないけど、これはもう一度読みたい。
輝ける仲間たち、前から好きだったが、ますます好きになれた。
鮮やかにつぶさに情景がうかぶ。
朝市で「いいね」と目を輝かせる人々と後に続く大蔵大臣。
ねえやの目を通して、その時代の新しい価値観が生まれる瞬間を味わえた。
「グロリアソサエテは三人だけじゃない。奥様、家族、そしてたくさんのひとの心が光を放っている。」と沖縄で思うねえやの佇まいもとても美しい。
10年も前になるが、壷屋で自分で探して買い求めた小皿たちがある。毎日使いながら日々の暮らしの中に用の美を感じられて豊か -
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歴史物が苦手なので時代小説もあまり得意ではなく、義母に勧められて一度借りるもあまりの分厚さに手が出ず…
リベンジともう一度手にしたら、あまりの面白さに驚く。
上方落語のような、調子のよさ。
読んでいるはずなのに、まるで落語を聴いているのかのように会話のやりとりが心地よい。
意味がわからない単語が次々でてくるけれど、平気の平左で読み飛ばせる。でもストーリーは追える。私でも読める!という喜び。
私が時代小説が苦手なのは、日本語なのに単語がわからないからなのかもなぁ。
子どもの頃、本を読むとわからない言葉ばかりで読むのをやめてしまった日々を思い出す。
この本は、先の展開が全く読めないし、全然期 -
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『恋歌』は、幕末の歌人・樋口一葉…ではなく、樋口一葉の師として知られる中島歌子の半生を描いた、第150回直木賞受賞作品です。
特に印象に残ったのは、崇徳院の百人一首の歌です。
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に あはむとぞ思ふ
「今は離れ離れになっても、最後にはまた会えると信じている」という恋の決意を表した歌で、この物語全体を象徴しているように感じました。
物語は、歌子のおてんばな少女時代から始まり、恋をし、やがて水戸藩の天狗党の乱に巻き込まれます。投獄されるなど過酷な運命に翻弄されながらも、一人の人を信じて待ち続ける姿には心を打たれました。
また、二度と内乱が起こらない