感情タグBEST3
Posted by ブクログ 2024年01月16日
また渋い分野を選びましたけど、知らない知識があるのと美味しい松茸を食するイメージが浮かぶ本ですね。3ベエのアクセントがこの醍醐味なのかも。とにかく出てくる出てくるし、頼りになるって言う。いつの時代も仕事が出来ないで世の中の害になる人間は存在するのですね。お母さんが別れてそのまま会わないのもちょっと残...続きを読む念、自分の人生をしっかり生きているのだ。朝井まかてさんは読みやすいし好きです。必ず1冊はストック置きたいが、もうほとんど読んでしまった。
Posted by ブクログ 2024年01月08日
現代にも通ずるような話でとても面白い。
御奉行への説明シーンでの、赤松と松茸の関係は主従関係という例えはとてもわかりやすく良いシーンだったし、主人公小四郎がさらっと重ねた年月分成長して人柄が練れてきているのがよくわかった。
朝井まかての小説でこの薄さ。
初心者向けにおすすめだな。読みやすく、かつ...続きを読む朝井まかての作風も感じられる丁度よい小説。
Posted by ブクログ 2021年10月26日
秋ですね。
茸のおいしい季節となりましたが、高級食材の松茸を庶民が口にするには、相当な覚悟が必要です。
江戸中期の尾張藩でも事情は同じようで、藩の特産品として方々のお偉いさんにご進物するのですが、近年は不作続きで、全く足りません。足りない分はどうすのかといいますと、商人から買いつけます。ただで...続きを読むあげるものを商人から買うのですから、お金はすべて持ち出し。ただの見栄のためだけに、莫大なお金をつぎ込むます。名古屋らしいといえばらしいのですが、藩の財政は悪化の一途。今の世なら財政破綻自治体入り確実です。さあ、ここで御松茸同心の出番です。
その任についたのは江戸詰めの若き藩士、小四郎。優秀だが融通のきかぬ頑固者。上司も同期もみんなバカにみえる。その優秀さを買われての任かというとその逆で、生意気すぎて左遷させられた。要するに都落ち。
だいたい、御松茸同心なんて役職、ほんとにあったのか?
天才的に作り話のうまい朝井まかてさんなので、すべてありそうな感じで読んでしまったけど、どこまでほんとなのだろう。尾張藩の特産品が松茸だってことは合っているのかな?
それはさておき、松茸の不作豊作は人が介入してどうこうできる問題ではないというのが、その当時の常識。当たり年もあればハズレもある。しかし、それでは己のプライドが許さぬ小四郎は、年月をかけて、書物にあたり、人に頭を下げて、とうとう松茸生育の謎を解き明かしてしまう。
なかなかの熱血漢じゃないか。
その過程で見えてくる人間模様は、じんわり人情物語が満載だ。
朝井まかてさんの時代小説、女性が主人公だと生き生きと描くんだけど、男だとそうでもないのが多かった。でも今作品は男が主人公でも生き生きとしていた。
聞いたこともない変わり種の松茸料理も出てくるので、生唾がでてくる。
ああ、松茸たべたい。
Posted by ブクログ 2021年01月31日
面白かった!
社会の理不尽や人間関係の摩擦といった、どことなく現代的な要素が盛り込まれた時代小説。
石の上にも3年とはよく言ったもの。
エリート意識が鼻に付く若造だった小四郎の成長振りが読んでいてとても快いし最後の大逆転には大変スカッとする。
ほんとうに素晴らしい読後感。
ちなみに松茸同心とい...続きを読むうのは史実なのだろうか…?実際、岐阜県は松茸の名産地らしいのでこういったこともあったのかもしれないな、なんて思ったり。
1刷
2021.1.30
Posted by ブクログ 2017年12月22日
この著者の時代劇小説はどれを読んでもおもしろくて、飽きない。
生物、特に植物に詳しく博識なので、いろんな知識が得られる。
大阪出身の人なので、一度はお目にかかりたいかたである。
昔も変わらないお役所仕事、窓際族の典型の武家さん達が松茸の偽装や産地偽装して、お上にごますり、忖度、手柄横取り、横領、し...続きを読むていてるバブル世代と右にならえの上司たち。このままではいけないと 藩政改革をすることになったその御松茸同心に命じられた今時の次世代部下が松茸の知識も何もないまま松茸山を舞台に奮闘する、松茸をよみがえらせ里山を循環させた物語り。歳月をかけて松茸の生態を勉強してちゃんと松茸が育つ環境に戻して里山資本主義のように経済を回し始めたところがおもしろくてとてもよかった、バカにしていた上司、先輩武士たちは横領したり忖度してたりがばれて処分されたのが気持ちよかった、物語の中の出来事が今の安倍内閣を彷彿させてくれて加計学園や森友学園問題もこの小説のように罰せられたら総会なのにな。現実はそうもいかないらしい・・・・
Posted by ブクログ 2021年03月26日
主人公の上から目線 見下した感
清く正しくが 必ずしも歓迎されない社会
コミュニケーション下手で頭脳明晰な主人公が
人間味ある成長をしてく
幸せって地位でも名誉でもなく
他人ではなくその人自身が幸せと思うことやなー
大殿 素晴らしい。
もっと大殿の考えを聞きたかった
Posted by ブクログ 2018年02月03日
面白かったです。まさに、「御松茸騒動」でした。
始めは、自分は有能だと周りを見下していた小四郎があまり好きではありませんでしたし、周りの三べえなどのキャラもちょっと…と思っていましたが、小四郎が御松茸同心に左遷されてからの奮闘に引き付けられました。
松茸のことがあまりわからない時代に、松林を再生させ...続きを読むるところから始めることは並大抵ではないです。小四郎の成長と、最後の決断が良かったです。
ちょっと…と思いながら読んだのに、読後感は清々しいです。
大殿の一言も素敵でした。大殿のお話も読んでみたいです。
Posted by ブクログ 2017年11月10日
朝井まかて氏の時代小説は楽しい。ユーモアがあるし、庶民に生きる力をくれる。▼幼いころから才気にあふれた18歳の尾張江戸藩士の榊原小四郎は、同僚上司の事なかれ主義に反感を抱く。その結果、尾張国許の御松茸同心を命じられ、ひょうきんな3人の叔父「さんべえ」と尾張に赴く。心に不満を抱きながらも、松茸の不作の...続きを読む原因を探り、ついには御松茸の御林をよみがえらせる。筋も通っているし、人情もあふれている。
Posted by ブクログ 2023年01月07日
星3つと半分。主人公のキャラクターが少し、らしくないなぁと何度か思った。けど、すがすがしい話だ。最後のくだりも良かった。少し読み終わるのがさみしい気持ちになった。娘の千草も、うっとおしい三べえも好きになった。この人たちでもう一話編んでほしく思う。
Posted by ブクログ 2021年08月06日
優秀だけど堅物が故煙たがられ、故郷の山へ松茸奉行として飛ばされる。
松茸の豊作を目指し、そもそも松茸とは?から考え直し地道な努力をする。
山の人々に受け入れられるには年月もかかったが…という奮闘物語。
腐らず前を向き、やり甲斐を求め働く若者に拍手。
Posted by ブクログ 2020年08月09日
私が読んでるものの中では、ちょっと展開が渋かった。
江戸時代中期?太平の世の、がちがちの武家社会の中。
主人公は、頭でっかちで自分が優秀と自信満々、周りのやる気のなさに憤慨している、若い江戸詰尾張藩士。
借金に苦しむ藩のために、自分がなんとかするんだ、と意気込んでいるのに、ひょんなことから左遷さ...続きを読むれて、生まれて初めて江戸を離れ、頼れる育ての母からも子離れされ、尾張の山中で松茸のために四苦八苦することになる、という話。
世間知らずとはいえ、特に悪いことしてないのに、どんどん苦境に追いやられる主人公が不憫だけど、めげずに、なんとか松茸の生産量を増やしてやろうと、がんばるところがいいかな。でも、がんばってもそう簡単に大成功!とはならないし、最終的に与えられるご褒美(?)も、静かで、渋い、密かに噛みしめるような喜び。現実ってこんなもんだよね、人生って、こういう、たくさんがんばった後に、ちょっとだけご褒美もらって、またがんばるの繰り返しだよね、って言われてるような話。
私は、どちらかというと、小説にもう少しドラマチックな展開を求めてるので、読んだ後、ちょっと疲れました。
Posted by ブクログ 2019年01月31日
尾張藩の若き藩士・榊原小四郎は利発で学問にも優れ、出世をめざし職務に励んできた。
しかし、才気をひけらかした態度が災いし上司に疎まれ、国もとの御松茸同心に左遷されてしまう。
悄然として国に移る小四郎だったが、慣れない山歩き仕事に右往左往するばかり。
果たして、小四郎の出世の夢はかなうのか。
面白か...続きを読むったです。
現代日本にも通じるお話なので、身近に感じられました。
小四郎は生まれてこの方ずっと不況しか知らないのですが、周囲のオッサン達はかつて尾張に訪れたバブルが忘れられず、その話ばかり。
私の周りにもこういうオッサンはまだいます笑。
松茸の不作続きの要因を調べ収穫量を上げるというお仕事を拝命したわけですが、小四郎は現実に叩きのめされます。
松茸献上のノルマが毎年課されているが、山の松茸では到底足りないので御用商人から買い上げて補填しているという矛盾。
財政赤字は増える一方なのに、何もできない自分。
融通の利かないカタブツの小四郎は、山廻同心には邪険にされ、立場の違う村の平民にも松茸についてうまく聞き出せず、誰の助力も得られない。
しかも都会育ちの彼は虫も大嫌いで山仕事なんかしたこともない。
可哀想になるほど八方ふさがりの状態ですが、小四郎はかすかな出世の道をあきらめず、増産を目指しこつこつと資料を読み試行錯誤していきます。
最初は鼻持ちならない青臭い青年だった小四郎は、苦労を重ね、やがて周囲の助けを得て視野を広げていくのです。
その様子は現代の青年の成長を描いたお仕事小説を読んでいるようで、すがすがしい気持ちになれました。
納得のいかない仕事に異動になっても、腐らずに目の前の仕事に励むことって大事ですよね。
骨身に沁みる教訓だと思います。
先代宗春公や父親に対しての気持ちが変化していくのもほっとさせられました。
結構堅い話ですが、ユーモアにまぶされて読みやすいので時代物が苦手な方でも楽しめると思います。