【感想・ネタバレ】朝星夜星のレビュー

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Posted by ブクログ

日本で初めて洋食屋を開いた草野丈吉の妻の視点で書かれ、女性の立場に大いに感情移入しながら読んだ。幕末から明治にかけて、長崎、大阪の文明開花の様子、著名人との交流も興味深かった。壮大な映画を観た気分。

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2024年02月12日

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ネタバレ

実在の人物をあつかう物語にはそれなりの制約がある。事実を歪めての展開はできない。にもかかわらず、これだけの広がりを物語に持たせる朝井まかてさんはさすがと思う。

綺羅星の如く、幕末明治の歴史をを作ってきた人々が次々と表れるが、彼らはこの物語の中では、時代の背景にすぎないとさえ思われる。事実の隙をつくように、いきいきと描かれた庶民たちが、時代の中で精一杯生き、次の時代へと命を繋ぐ物語だ。

草野丈吉の妻であるゆきについても、どれだけの資料があったのか。色白で大柄ということくらいしかわかっていないようだ。そこからこんなにも個性的な人物に仕立てられて、見事というほかない。
引田屋の女将の凛とした佇まい、松竹梅の芸姑たちは、物語のそこここでコミカルな役割を演じるし、豆腐屋の親父も狂言回しとして上等だ。

ゆきと、姑のふじが丈吉に珈琲を淹れさせる場面など秀逸でユーモアに溢れているし、義妹の相手が浮気しているのではと確かめようとしたらそれが・・・というところも展開が見事で思わず膝を打つ。
丈吉は、事業には成功したが、家族は幸福なことばかりではなかった。それでも時代が進み、ゆきは精一杯生きる。市井の人としての姿には引き込まれ、ほぼ一気読みだった。

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2024年02月02日

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これもまた傑作!ボタニカの時も感じた「色彩や景色が目の前に広がるような」作品.
今回はそこに「料理の味や香り」までも感じられるようで,鮮やかで,爽やかで,躍動感あるれる作品.
出だしからまるでNHKの朝の連続テレビドラマを見ているかのよう.牧野富太郎はボタニカが原作となることはなかったが,これこそ映像化にピッタリの作品だと思う.
登場する幕末から明治の偉人たちもあくまでも登場人物で,市井の…というには立派過ぎるけど,一般人の幕末明治が主軸なのが素晴らしい!

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2023年09月02日

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時は明治維新後です。

西洋文化に追いつこうと、外国人との饗応にも
使える西洋式のホテルやレストランを大阪で始
めた草野丈吉。

その妻であるおゆきという女性が主人公です。

あの五代友厚をはじめとして、名だたる歴史上
の登場人物が顧客として描かれています。

「細腕繁盛記」ではなく、おゆきは体も大きく、
たくましいですが、明治という時代を懸命に生
き抜いた物語は、朝の連続テレビ小説を観てい
るかのようです。

本当に原作として使って欲しい一冊です。

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2023年07月17日

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長崎の丸山で女中をしていたゆきは食べっぷりを見染められて料理人丈吉の妻となる。西洋料理を世に広め長崎から大阪へと場所を移し、幕末から明治を国作りにかけた人々とも交流を持ち視線の先に常に公があった。妻目線で語られる草野丈吉のそこかしこにゆきのおおらかで力持ちで自然体なところが表れて、とても暖かい物語になっている。
お妾が3人もいて、そのやり取りが面白く、ラストにはつい笑ってしまった。

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2023年06月02日

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流石朝井氏の作品は素晴らしい。江戸末期から明治大正へと生きた女性の生涯に感動する。それにしても当時の人々は短命であることよ、一歩間違えれば悲劇の物語になるところを淡々と語る技量は流石だ。余計な事だが最後に小生の祖父はこの時代にピッタリ重なる。

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2023年03月09日

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長かったけど・・・楽しめたかな。
朝井さんの作品は6冊くらいしか読んだことないので、
これを機に、未読の作品を読んでみようかな。
読もうと思っていて、読まないままの本が結構ある。
敬遠の原因は、本の厚さかも。
ただ、こういう書き方というか進め方は、
時間がかかるけど、読み手のストレスは少ない。
安心の筆力。朝ドラになりそう。

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2024年03月13日

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実在の日本初の洋食店を開いた料理人をモデルに、料理人の奥さん視点で書かれた物語。
幕末や明治の歴史上の人物も多数登場し、新しい時代や国のために熱く生きる様子も感じられ、とても面白かった。
大阪の中之島に明治にそんなレストランやホテルがあったのかと、今の中之島の様子から想像しながら読むのも楽しい。

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2024年02月24日

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本格的な西洋料理店を起こした夫婦のお話。

貧しい家に生まれたふたり。
妻は幼い頃に女中奉公に出され。
夫は酒に溺れた父親の代わりに少年の頃より、家計を支えた。
外国船にのったり、下働きから文字も読めなかったが蘭語、英語、支那語を使えるようになり、料理を覚える。
働き者で工夫をたやさない丈吉は、美味しい料理人となる。

激動の幕末から明治の時代を、歴史の教科書に登場するような人々が客となり、友人となる。

一代期。どちらかというと丈吉の妻である「おおおんな」のゆきが主人公。

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2023年11月30日

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まかてが小説のネタにする人物と歴史にはいつも感嘆する。そして、その料理の仕方が格別だ。いい味を出して最後まで飽きさせず、一緒に時代を駆け抜けさせてくれる。

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2023年10月30日

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ネタバレ

ボタニカを読んで
頭で考えたりするミステリーや
心が動かされてしまうほのぼの系や
感動系の小説ではなく
つらつらと文字と話だけを
追いかけれる小説にはまってしまい、
朝井先生のシリーズを手に取ってしまった。

時代にもまれながら
この人も一生を料理に支えた草尾丈吉さん。
料理で日本を支え、そのうえ
料理でたくさんの人を幸せにしてきた。

妻のゆきも分からないながらも
自分なりに夫と店を見事に支え、
浮気にも肝の座った態度で受け流し
さすがああああと
ゆきをさらに好きになった。

料理の描写も美味しそうで
お料理系が好きな人は
長いかもしれないけど
ぜひ読んでみてほしいです

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2023年10月25日

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ネタバレ

日本初の洋食~という件のオムライスやハンバーグ店など多く見かけるが、この丈吉は日本流初のヨーロッパ式配膳サービスまで仕掛けている歴史的な話で舐めてかかってすみませんでした!
昔の人は偉かった、と本当に感心しかできないと溜息が漏れる。なんで昔の日本人はこんなにも献身的な人が多く孫算したんだろう、いつから自分中心な人ばかりになったんだろうと思う(あ、政を行う政治屋や今も昔も変わらず自己の懐を増やす事しか考えていない人はいる)。そして、いつもその偉人には同じく苦労を共にする奥さんがいて、今回もその奥さん視点で話が語られるのだが、やはり内助の功然りだなぁと。今は共働きが当たり前で男女平等を謳い、嫁が夫を立てる時代ではなくなった。差別するわけではないが、それが男をダメにしたともいえるかな。もともと男は馬鹿なんで笑。
後半は水滸伝よろしく英傑が次々亡くなっていくので栄枯盛衰とはまさにこれ、ラストに長崎の実家を買い戻すという僅か一文がキュッと濾して凝縮させた秘伝のたれのようにこの物語の締めておりハラハラしていたのがホッと和ませた。
朝星夜星、いい言葉だと思う。ただし今のご時世そんな働きはブラックだ、パワハラだ、鬱だ、労災だと騒ぐんだろうなあ、日本の産業が衰退するはずだ。

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2023年06月30日

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奉公先で見初められ、小料理屋の女将となった女性の半生記かと思いきや
もっともっと壮大な物語であった。

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2023年06月13日

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極貧の家に生まれた丈吉は阿蘭陀船で調理を学び、幕末の長崎で本邦初の洋食屋を始める。
長崎で若き五代友厚、岩崎弥太郎、陸奥宗光らの知遇を得、五代の勧めで大阪でホテルを開業し、大阪経済界の大立者となっていく。

民間の立場で国家に貢献したいという熱意は時代の空気か。
不平等条約を背景に、政治家、実業家たちの気概も熱い。

妻ゆきの視点で書かれる本書は、同時に草野家の家族の物語でもある。

まだ「人生五十年」の時代なのか、大きな仕事をした人々はみな50前後でこの世を去り、草野家縁者の命も短い。

言葉のやり取りなど、作者の大阪人らしさが本書のところどころに顔を出す。

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2023年05月31日

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ネタバレ

 12歳から13年、傾城屋の女中として働いてきたゆき、大女で力持ち、25歳の時、本当に美味しそうに食べてる姿に惚れられ、料理人の丈吉24歳に嫁ぐ。そのおゆきの生涯を、幕末から明治の時代の流れと相まって描いた大作、510頁。朝井まかて「朝星夜星」、2023.2発行。前半は、テンポも悪く、明治維新を辿ってる感もして、まかてさんでなかったら途中で止めてる気がします。読むのを難儀しました。中ほど、洋犬の大吉(だいき)を飼う頃からテンポが良くなり、後半は流石の読み応えでした。それにしても、当時、病死の多いこと。

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2023年05月25日

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江戸時代末期から明治時代、西洋食を提供し続けた自由亭の成り立ちから終わりまで。
草野丈吉という実在した料理人兼経営者とその妻の奮闘記。
有名な政治家なども登場して、大エンタテイメントを味わった感じ。
新時代を築くという意気込みが心地良かった。

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2023年04月17日

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時代の流れと翻弄されながらもつむぎあって行く自由亭の仲間たちや家族の細々が丁寧に書かれていてあっという間に読んでしまった。ご飯が出てくる本は好き。陸奥さんが良かったー。

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2023年04月15日

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日本初の洋食屋「自由亭」の誕生物語。
料理人である草野丈吉の妻ユキの目線で描かれているところが、より物語に入りやすくさせているように感じた。
明治時代の長崎、土佐、大阪の著名人もたくさん登場して、激動の時代の歴史がリアルに感じられる。
しかし、この時代のユキのような生き方は、とてもじゃないけど出来そうにないなと思った。
色んな意味でとても強い女性!

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2023年04月05日

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日本人初の西洋料理店スターシェフの草野丈吉と妻ゆきの評伝。全く知らなかったことばかりだったので大変面白く読んだが、まかてさんの小説の出来としては今一つかな。

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2023年03月27日

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実在した日本最古の洋食屋・自由亭の主人・草野丈吉が主人公。
長崎の貧農に生まれ、子供時代に異人のボーイとなり、 洗濯係、コック見習いを経て若くしてオランダ総領事の専属料理人に昇進、その後、自由亭を起こした草野丈吉。維新後は自由亭を大阪に移し、外国人を中心にしたホテル経営に拡張し、京都・神戸などの各所に支店を展開するなど実業家としての才も発揮し、儲けだけでなく社会的貢献も果たして行く。その生涯を妻のゆきの視点で追いかけます。このゆきがなかなかです。鈍、叩いてもカンと響かず、一旦振動を吸収し、すこし遅れて思わぬ方向に吐き出す。そこが妙に可笑しい。
自由亭を訪れる多彩な人々、後藤象二郎・坂本龍馬・岩崎弥太郎・五代友厚・陸奥宗光。幕末の長崎、明治の大阪を舞台にするだけに、官よりも在野の偉人たちが多く登場します。そうした人物像や時代の流れも面白い。これを丈吉視点で描けば明治の時代そのものが主体の物語になったと思いますが、朝井さんが取ったのは妻の視点。この為に、時代はすりガラス越しに見る様な背景となり、あくまで主人公とその家族の姿を生き生きと描いた物語になっています。それはそれで良いと思います。
510頁、最初はやや冗長感を感じましたが(ちょっと無理に柔らかな笑いをとろうとする感じもある)途中からはグイグイと引っ張られました。そして最後に清々しいエンディング。良い作品でした。

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2023年03月14日

Posted by ブクログ

読書備忘録764号。
★★★。

幕末から維新、明治にかけて、鎖国状態から一気に世界との外交に晒された日本。不平等条約のオンパレード。その外交を食で支えた男がいた。草野丈吉。
日本初の洋食屋「自由亭」を長崎で開き、大阪に拠点を移し、レストラン、ホテルを開業し大きくしていった男。
それを支えた偉人達。陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎。
特にうちの企業グループの礎を作った弥太郎さま。
土佐藩出身。国に期待し、裏切られ、だったら企業で世の中を動かしてやろう。どんだけ凄いの!あなた様は!息遣いが聞こえてくるような弥太郎さんを感じられたのは凄く嬉しかった。

なので、どんだけワクワク感満点で、どんな壮大な大河ドラマを楽しませてくれるのか、と思いきや・・・。
物語は丈吉の妻ゆきの視点で描かれる。
やはりまかてさんはそっちに行ってしまうか。
丈吉の強い意志を感じたかった。ゆきはすごいですよ。でもやはり、どこまでも受け身の世界での凄さ。「夫婦で挑んだ」と書かれているが挑んだのは丈吉。全然面白いです。ただ、500pの大作。山崎豊子を期待してしまった。

例えば、ゆきの視点では丈吉は一度外出すると何ヶ月も帰ってこない・・・。
丈吉がその何ヶ月なにをしているのか?日本国の文明開化の為に。命を削って。それが知りたい!その物語が!まあ、個人的にはそっちを読みたかったです。

はい。繰り返します。間違いなく面白かったです。

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2023年09月17日

Posted by ブクログ

幕末から明治にかけ、世の中が大きく変わる時代に長崎から西洋料理の(オランダ料理)シェフからホテル経営者の夫と共に生きた女性。
実際の話なので夫の女性に対する扱いにはイラつく。始めは妻も妹も率先して働いていたのに段々ととなると、時代なのだろうけど男の都合よさ、それこそ近代化が女性を奥に追いやったんだなぁと。
行け行けどんどんの時は大変ながら充実していた感があるが、認められてからの方が家族一人ずつが問題を抱え、最後は大団円を迎えるとならないのが現実ということ。

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2023年06月24日

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