朝井まかてのレビュー一覧

  • 銀の猫

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    介護をテーマとした時代小説。
    違和感なく、すっと入ってくるのは、老いや家族といったテーマは時代を越えるのだと納得できるうえ、
    それでも江戸時代の雰囲気がきちんと描かれているから。
    憎たらしい母と、どう決着するのか興味津々で読み進めた。いい感じに終わって満足。、

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    2024年05月27日
  • 先生のお庭番

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    長崎におたくさという銘菓があります。昨年初めて知ったのですが、砂糖が掛かったパイのような食感で、花びらのような形状のとても美味しいお菓子で、以来何度か買い求めています。馴染みのない名前を軽く調べ、紫陽花のことらしいとまでは認識していたのですが、その由来にこんな物語があったとは。
    シーボルトが密命を帯びていたのか、それとも純粋な学者であり医師であったのかは分かりませんが、少なくとも日本を愛したことと、日本に残した功績は揺るぎないものだと思います。
    とても良い本でした。

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    2024年05月16日
  • 類

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    森鴎外の末子、森類が大正から昭和、平成を生き抜く物語。
    偉人の息子として生まれた森類の煌びやかな少年時代と、偉大すぎる親を持った故の懊悩を描いている。

    類は森鴎外の事をパッパと呼ぶ。
    それだけで、当時の森類の生活レベルが分かるようだ。
    大正時代に海外文化を生活に積極的に取り入れ、食事や芸術を楽しんでいる森家の雰囲気がなんともモダンで、読んでいるとなんだか羨ましくなる。
    現代のように日本の生活と海外の文化が混ざり合っておらず、それぞれを大事にし、意識を持って向き合い大切にしている空気に、この時代特有の豊かさを感じた。

    誰もが名前を知っている森鴎外という作家の人間像も温かく描かれる。
    妻と子供

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    2024年04月10日
  • 草々不一

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    朝井まかてさんの短編集、
    決して楽しい話ばかりではないのに、心が休まる。
    表題の「草々不一」、隠居してから妻が遺した書を読むために子供に交じって文字を習う姿、我が身に置き換えてみる。

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    2024年04月09日
  • 銀の猫

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    今で言うところの介護ヘルパーを通して江戸時代の介護の様子を描いた物語。
    当時は後継ぎである男性が両親を介護することが当然だとか、今と変わらない年齢まで生きている人がいたとか、意外な情報はあったけれど、今も昔も介護を取り巻く苦労は同じですね。介護を美化することなく、苦労ばかり語るでもなく、あるがままを受け入れて最期を見送ろうというメッセージが心に沁みました。

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    2024年03月20日
  • 類

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    森鴎外の末子、明治時代のお坊ちゃんである森類の生涯。
    550頁超の読み応えだが、類さんの名前も知らなかったくらいなので、どのような展開になるのかがわからなくて、ずっと面白い。こういう人の小説こそ読みたい。

    甘ったれで勉強ができず、社会に出て苦労したことがなく、パッパのような何者かになろうとするが、画家としても作家としてもなかなか芽が出ない。贅沢をして煙草ばかり喫んでいる。
    森家の財産を食いつぶしていく様子、特に鴎外の版権が切れた後、戦後は読んでいて恐い。それでも、お坊ちゃん特有のおおらかさ、無邪気さ、善良さのため、どこか話が深刻にならないのがおかしい。

    「役に立つ立たないじゃないんですよ。

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    2024年03月15日
  • 恋歌

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    朝井まかて、すごい!凄腕!思わず引き込まれてぐんぐん読みました。ラストはこらえきれず、目頭が熱くじーんとなってしまった。知りませんでした。中島歌子がこんな人物だったなんて。もちろん萩の舎のことは知っていたし、一葉さんの師匠だということも知っていたけど。超ド級の純愛物語でした。短歌に限らず芸術に命をかけるって、私には想像もできないけれどその境地に至れるのはこの上ない幸福なのでしょう。萩の舎のあった安藤坂界隈は私の母の育った町。私も学生時代初めてバイトした土地なのでとても思い入れがある。今度訪ねてみよう。

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    2024年03月03日
  • 落陽(祥伝社文庫)

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    明治神宮外苑内苑は人工の杜である。この事業のとてつもない苦労は想像できました。それだけでも、興味深いのですが、更に明治天皇の人柄にもスポットライトが当てられ、あっと言う間に読み進んでしまいました。明治から大正、昭和と時代は移り変わり、杜も豊かに育っている。そして、現代は令和、明治天皇のお人柄と今上天皇のお人柄、共通する所が多く、変わらない皇室の姿勢に胸が熱くなりました。世界一歴史のある天皇と言う存在を守り続ける日本。私はなんと素晴らしい国に生まれて来たのか、今、とても感動しています。日本人の在り方を今一度考え、忘れてはいけないと思いました。

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    2024年02月28日
  • 銀の猫

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    久々の五つ星。
    人生の道しるべの様な作品、朝井さんの引き出しの深さに驚きました。
    介護の道しるべにもなるんだとうと思ってます。

    巻末解説の秋山さんの言葉も感慨深いものです。

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    2024年02月26日
  • 恋歌

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    時代の流れ、運命は悲しくて
    歴史で学ぶと「尊王攘夷」「水戸藩士」「内乱」と点で終わってしまう事柄に、ひとりひとりの人間のドラマがあることにはっとさせられます。
    ひとりの女性がきゅんと恋をして力強く愛を貫いていく姿に胸が熱くなりました

    その人の今に至るまでに、どんな人生があったか。
    これまでもこれからも出会う相手を、その人の生きてきた過程も含めて大切にしたいなと思いました

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    2024年02月24日
  • 恋歌

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    主人公で小説家の三宅花圃が萩の舎を開き樋口一葉の師として知られる中島歌子の過去を手記を読む形で振り返る形で物語が進む。手記を通した読んだ水戸藩内での天狗党と諸生党の争いが凄まじく壮絶で言葉を失った。

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    2024年02月15日
  • 朝星夜星

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    日本で初めて洋食屋を開いた草野丈吉の妻の視点で書かれ、女性の立場に大いに感情移入しながら読んだ。幕末から明治にかけて、長崎、大阪の文明開花の様子、著名人との交流も興味深かった。壮大な映画を観た気分。

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    2024年02月12日
  • 朝星夜星

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    ネタバレ

    実在の人物をあつかう物語にはそれなりの制約がある。事実を歪めての展開はできない。にもかかわらず、これだけの広がりを物語に持たせる朝井まかてさんはさすがと思う。

    綺羅星の如く、幕末明治の歴史をを作ってきた人々が次々と表れるが、彼らはこの物語の中では、時代の背景にすぎないとさえ思われる。事実の隙をつくように、いきいきと描かれた庶民たちが、時代の中で精一杯生き、次の時代へと命を繋ぐ物語だ。

    草野丈吉の妻であるゆきについても、どれだけの資料があったのか。色白で大柄ということくらいしかわかっていないようだ。そこからこんなにも個性的な人物に仕立てられて、見事というほかない。
    引田屋の女将の凛とした佇ま

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    2024年02月02日
  • 眩(新潮文庫)

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    余韻の残る良い話でした。場面転換が激しくて途中着いて行くのに苦労したところはありましたが、その分主人公の生き方の迫力は増したと思います。親しい人たちが去って行くところは寂しかった。絵画は何も分からないのですが吉原格子先之図は素晴らしいと思います。

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    2024年01月29日
  • 眩(新潮文庫)

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    朝井まかてさんらしい今回も、化粧っ気のない女性のストーリーでした。エピソードが絵の名前ごとに別れていて、絵をネットで検索して見ながら読むと面白かったです。天然の絵の具で絵を描くことは一苦労である事がわかり、自分の中で昔の絵の価値がグッと上がりました。

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    2024年01月24日
  • 残り者

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    朝井まかての大奥もの、というか、幕末ものでしょうか。
    仕事に生きてきた女性たちの、江戸城最後の日を描きます。

    江戸城の無血開城が決まった後。
    天璋院篤姫が出立前に一同を集め、粛々と城を出ていくように諭します。
    荷物はすべて後から送ってくれるはずだからと。
    天璋院が去った後、奥勤めの女中たちは皆右往左往して、出来る限り荷物を持って我先に出ていくのでした。

    呉服之間に勤めるお針子だったりつは、もう一度部屋を確かめたくなり、戻ります。
    お蛸という女中が天璋院の猫を追いかけているのに出くわし、一緒に捜し歩きます。
    すると、ちかという女中もまだ残っていました。
    さらには御中臈のふきと、和宮のほうの呉

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    2024年01月20日
  • グッドバイ

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    大浦慶の名前を知りませんでした。お恥ずかしい限りです、知ってるであれっ。もはや歴史教科書の登場人物なんですね、ヲルトに登場人物は実在するし長崎事件も本当でした。これが原因で没落するのだが、そこから不死鳥の姿になるって事 大河ドラマにもなれるって事 いやあ知らない事が恥ずかしいとまたも思う お祖父さんの勘を磨けの言葉が良かったです

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    2024年01月16日
  • 草々不一

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    福袋に続いて短編でした。内容の濃い短編でしたよね。こんなにたくさんあるのはアイデアノートがいっぱいになって本には出来ないけど世に出そうと考えたのですか?うがった見方してみた。でも完結しているから、そういう訳じゃないか。蓬莱が1番気に入った。まさに仙人の様な波津の存在に献身的な生き方、一目惚れして一途に好きだったのだね、子供達の成長をみればどれだけ仲の良い夫婦なのかわかります。旦那も疑いから始まって途中から気付いたんだね、あの魚を持って台所に入った時から時は動いたのかな。

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    2024年01月16日
  • 落花狼藉

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    なんだろうこれって、昨日も一気に読み終える金と銀、まさかやーあさいまかてをほんの1日で終えるとは。よっぽど面白くて朝井まかてが合うんだろうな、吉原に新吉原に街を一から作るという物語で、歴史も読めたし花魁の粋も素敵だな。甚右衛門の生き様が一本通る、死に際もだよ、貢献して最後はひっそりとか。清五郎にトラ婆にかやが死ぬ場面も全部出てきて、身近にあるのだよと教わったよ。桜も吉原に咲くから、凄いやり方で。

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    2024年01月16日
  • 残り者

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    コンプリートってこと 最後になってしまったけど、残り者を読んで朝井まかての文庫本を読み終える。表示で決めるのは良くないので こんなに江戸のど真ん中の話だとは、明治維新かなとか勝手に思いました、大奥に中奥に本丸に、構造も難しい 難しいけど順繰りとごふくのまとか出て来るから、楽しいし40歳になるリツがフキの本当の理由を解き明かすラストに惚れた。百も承知二百もガッテン。不思議な5人だったら でも心意気が結び付けてずーっと長く友になるってこと フキのテヤンデェーが1番好きかも

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    2024年01月16日