朝井まかてのレビュー一覧

  • 落花狼藉
     戦国乱世が終わって、吉原が出来上がるまでの物語を一人の女将の目から描いた作品。

     元々、新しいものが作り出されていく作品が大好きな私には最高に面白かったです。

     葦しか生えず、水はけも悪い最悪の土地に売色の場所を作ろうという江戸幕府の思惑から始まった吉原の計画。

     土地を埋め立て、ここで生き...続きを読む
  • 銀の猫
    江戸時代の介護ヘルパー…という設定の職業人の話。
    全く知らない世界観で、どの老人に話も非常に興味深かった。
    介護しながら指南書を作るために自分自身の気持ちを見つめ直すくだりでは、今の介護にも通じる落としどころがあり、妙に納得した。

    介抱人としてはベテランで引く手あまたの主人公も、プライベートは恵ま...続きを読む
  • 阿蘭陀西鶴
    井原西鶴と言えば、「好色一代男」を書いた坊主頭の人という知識くらいしかなかったが、読みやすく、登場人物がとても魅力的で非常に面白かった。

    盲目の娘おあいの目を通して、父として、また、俳諧師、草子書きとしての井原西鶴を描いている。自尊心が強く何よりも自分が大好きで、自由奔放に人間臭く生きる西鶴が活き...続きを読む
  • 恋歌
    出会ってしまった、と思える本に、一生のうち何冊出会えるだろう。
    思い返せばそんなに多くはない。これだけ沢山の本があるというのに。
    だからこそ、出会えたとき、その奇跡に震える。
    出会ってくれてありがとう。私のもとに来てくれてありがとう。
    この本は私にとって、そんな本となった。
  • 恋歌
    こんな凄惨なことがあって、今の日本があるって
    史実を知るたびに自分の浅学が恥ずかしくなります。

    「恋歌」という切り口で、幕末の水戸藩を描いたまかてさんの想い、
    市井の生活の尊さを教えてくださったお仕事に敬意を表します。

    幕末って自分にはややこしいけど、世の男性がのめりこむの、
    ちょっぴりわかりま...続きを読む
  • 雲上雲下
    「物語が世界から消える?」

    昔、むかしのそのまた昔。
    「草どん」が子狐や山姥に語る「昔話」

    物語が消えてしまう世界はどうなってしまうのか。
    「草どん」の本当の姿は。

    雲上から雲下へ降りてきた存在は。

    壮大で「語る」ことの大切さを感じる1冊
  • 残り者
    歴史の「その時」を描くとともに、しっかりしたお仕事小説でもあった。
    多くの人に読んでほしい良作。

    幕末、開城前夜の江戸城大奥。
    大奥はハーレムではなく、女性が自らの才知と器量を発揮し、矜持を抱いて働く、数少ない場だった。
    政治と戦争の影響によって、働く場が消失する。
    その場に臨んだ5人の大奥女中が...続きを読む
  • 藪医 ふらここ堂
    神田三河町の小児科医 天野三哲 娘 おゆん

    お話しは ずっと長屋の人たちと薮医と言われててもツボはしっかり押さえてる

    でも いい加減なお医者の話し

    と思ったら

    なんと 天野三哲は 御殿医の家系の息子だった!

    なんて話しになる。

    毎日 手伝っている娘のおゆんも 父親がどこで産まれて 親は誰...続きを読む
  • 眩(新潮文庫)
    お栄がかっこいい。
    この時代に女性がこういう風に活躍するのはむしろ稀だったんだろうなと思うから、誰もやっていないことを先駆けてやる女性はやっぱりかっこいい。
    ドラマで演じた宮崎あおいさんもかっこよかったです。
  • 銀の猫
    この本 うちにあったはず

    でもなんで読まないまま終わっちゃったんだろう?

    と思い 又 取り寄せて読みました。

    前は まだ 母を見送ったばっかりで読めなかったのかもしれません。

    江戸時代にも 介護人なんていたのかなあ!

    長寿の人もいたらしいし 世話はしなくちゃいけないから いたのかもしれませ...続きを読む
  • すかたん
    最初のとっつきは 悪かったです。

    寺子屋を首になった頃は やたら江戸うまれを押し通す やな女です。

    青物屋の女子衆として 働き始めてから やっと心根がシャンとしたような。

    食べることが好きなことが 人生をいい方に向かわせます。

    美味しそうに食べる っていいことなんですね。

    ご飯作った人も ...続きを読む
  • 最悪の将軍
    政治を志す人に一読してほしい施政者の難しさが、描写されている一冊。
    元禄時代、徳川綱吉、その教科書的なイメージとはかけ離れた、苦悩の連続であった将軍の姿、そして当時の民衆の困難具合が手に取るように伝わる作品。
    経済、社会的に混迷を極める現代に、読まれる歴史小説ではないか。泣ける。
  • 雲上雲下
    ミヒャエル・エンデさんの
    「はてしない物語」の中で、
    主人公のセバスチャンが、
    ある一冊の「物語」を読んでいくうちに、
    その物語の中に入り込んでしまって、
    あの愛嬌のあるファルコンと一緒に
    旅を続けていく中で、
    とてつもない経験と、
    とてつもない勇気を
    身につけていく…
    あのセバスチャンの「奇跡」...続きを読む
  • 草々不一
    久しぶりの時代小説&朝井まかて
    やっぱり朝井まかては良いなぁ。

    8編からなる短編集です。
    一話約60ページ…
    無駄な表現なく、読みやすく、笑いありのホロっと涙

    表題作の草々不一には泣かされました。

    長編もいいけど短編は上手さが際立ってます(^ ^)



  • 草々不一
    朝井まかてさん、大好き(^^)

    短編集だったので、一編ずつ楽しみました。

    やはり彼女の作品はいい!
  • 銀の猫
    母が婚家にした借金を咎められ、離縁されたお咲。
    介抱人として働くことになる。
    丁寧な仕事ぶりが認められ、差配する口入屋の鳩屋主夫妻にも一目置かれるようになる。
    介抱した老人たちは、みなそれぞれの過去を思わせる、一癖ありそうな人物ばかり。
    どうやって人間関係を作って、介抱させてもらえるか。
    そこが一つ...続きを読む
  • 恋歌
    幕末に悲しい物語がいくつもあるのは知っていたものの、水戸藩士にまつわる逸話は知らなかった。

    当初の無邪気で一途な登世の描写からは、こんな悲劇に見舞われるとは思えない。

    国のために思いを持っていてもそれを遂げられず、それだけではなく悲惨な最期を迎えた名もない人たちのことが悲しくて、切ない。
    生き残...続きを読む
  • 御松茸騒動
    秋ですね。

     茸のおいしい季節となりましたが、高級食材の松茸を庶民が口にするには、相当な覚悟が必要です。
     江戸中期の尾張藩でも事情は同じようで、藩の特産品として方々のお偉いさんにご進物するのですが、近年は不作続きで、全く足りません。足りない分はどうすのかといいますと、商人から買いつけます。ただで...続きを読む
  • 草々不一
    紛者/青雲/蓬莱/一汁五菜/
    妻の一分/落猿/春天/草々不一

    信次郎の心、真吾の想い、波津の愛、伊織の料理、りくの心意気、野口の返答、芙希の望み、忠左衛門の不一

    誰にも、語りつくしていない思いがある。それを思いやる人がいる。大事にしたいことだ
  • 悪玉伝
    時の権力に叩き潰されそうになりながら、文字通り不撓不屈で挑む主人公。大団円とは言い切れない結末も、続きが読みたくなる一冊