あらすじ
出戻り介抱人・お咲は今日も寝不足!
江戸の介護を通して描かれる絶品小説。
嫁ぎ先を離縁され、「介抱人」として稼ぐお咲。
百人百様のしたたかな年寄りたちに日々、人生の多くを教えられる。
一方、妾奉公を繰り返し身勝手に生きてきた自分の母親を許すことができない。
そんな時「誰もが楽になれる介抱指南書」作りに協力を求められ――。
長寿の町・江戸に生きる人間を描ききる傑作小説。
解説・秋山香乃
※この電子書籍は2017年1月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
介護(本作中では「介抱」)がテーマになる話を、現代を舞台にした小説で読んでいたら、実際に介護にかかわる日々を送っている読者にとっては、あまりにシビアで結構滅入ってしまったかもしれません。
本作を読んでみて、決して滅入ることはありませんでした。これは江戸の町人の暮らしの中での話…と割り切りながらも、老いるということの意味は昔も今も変わらないのだと思いました。
本作のよいところは、「こうあるべき」とか「こうあらねばならない」などと結論付けていないところなのかなと。むしろ本作そのものが、作中に登場する洒落の効いた『介抱指南』のようにも思えてきます。
他人さまの介抱にかけてはプロフェッショナルの域にある主人公の"お咲”が、こと自分の母親のこととなると冷静ではいられなくなる性分であるのも、とても親近感がもてます。
完璧な人なんていない。完璧でなくても、どうしようもない状況でも、少しでもお互いが楽になれるよう、みんなで助け合ってなんとかかんとかやっている。
実際の自分が経験している介護やこれから経験するであろう介護、あるいは自分が受けるであろう介護のことを、割と冷静に考えられる時間にもなりました。
Posted by ブクログ
初めて時代小説を読みました。
言葉の意味や、時代背景が理解できるか
不安もありながら読み始めましたが
いらぬ心配でした笑
とても読みやすく、主人公のお咲や周囲の人の心情、江戸時代の介護の大変さが思い浮かびました。
人情話は切ない… 泣けますね。
また他の時代小説も読んでみたいなぁと思いました。
おすすめがあったら教えてください(^^)
Posted by ブクログ
江戸時代、介抱人という職業自体はフィクションらしいが、親子の関係はこういう感じだろうなあと思う(現代も変わらない)。庄助とおきんさんの件は見に積まされるところがあって、また読みたくなりました。
Posted by ブクログ
江戸の介護を描いた時代小説。帯によると「隠れた逸品」とあるが、そのとおり。江戸時代は平均寿命こそ短かったが、これは乳幼児死亡率が高かったためで、60才まで生き延びれば70才、あるいそれ以上生きたらしい。
お咲は嫁ぎ先から離縁され、「介抱人」として働いていた。お咲は母親の借金を返済するため、通常の女中奉公より給金のよい介抱人をしていた。口入屋を介しての今でいう派遣労働者である。
現代も江戸時代も介護の状況は変わらない。日常生活の介助や食事の世話、そして下の世話である。現代ならば介護保険もあり、要介護認定によっては施設入所も可能だ、しかし江戸時代では、儒教思想から親の介護は子の「孝」として考えられていた。そして手が足りない、追いつかない時は、介抱人を頼むというわけだ。
それとてお金がかかるので、一般庶民には無理。本書に出てくる依頼人も裕福な商家や旗本である。そしてお咲が暮らす長屋で菊職人をしながら、一人で老母を介護する庄助の話が出てくる。自分の母親は介護保険を利用して、デイサービスや施設入所ができたが、昔は本当に大変だったと思う。
表紙カバーのネコのイラストを見て買ったのだが、タイトルの「銀の猫」とは、嫁ぎ先の舅からもらった銀製のネコの根付のことである。また、長屋にくるネコのことも指しているのだろう。
Posted by ブクログ
お咲が何もかもできるヒロインでないところがいい。実の母との確執、それを乗り越えその先の介護まで覚悟を持つラストに読者の心もやっと緊張がほぐれる
介護は今この令和の時代も大きな関心事。今現実的ではない人々も必ず向き合わねばならない問題。個人も国も試行錯誤している現状
高齢者を“老害”の言葉だけで片付けようとする風潮は高齢者だけでなく若者たちにも明るい未来がない。誰もが向かう先に一人一人咲のように真摯に向き合う心を持たないといけないと痛感した
肩肘張らずにそんなことを考えさせられる物語
Posted by ブクログ
舞台は江戸時代、年寄の介抱を仕事としている主人公お咲と、彼女に関わる人々との物語です。
作中に出てくる解放される人達の振る舞いは、一見すると身勝手なように捉えられます。しかしお咲との関わりと通してその人達の背景が見えてくると、なぜこの振る舞いとなったのか分かるようになります。ーこの振る舞いとなったのは、その人が今まで生きてきた過程の中で根底に残る事柄があるのではないか?これは現代の介護の世界でも見受けられる光景や理解をする際に必要な視点なのではないかと感じました。
よく参考書や教科書などでは、行動の背景に何があるのか知ることが、その人らしさを尊重しつつ適切な援助が行えるようになる…といった事を書かれていますが、この作品では物語(主人公)を通してその気づきを得られるような感覚がありました。実践とまではいきませんが、具体的な例のようにすっと理解できる感じです。
また主人公の人との関わる姿勢が印象的です。戸惑いや理不尽なことに対する怒りなどの感情があっても、相手と正面から向き合い関わっていく姿が心強く思えました。
介護の場で思うことがあった時だけでなく、作品を通して人と向き合う姿勢を感じたいと思う際に読むのも良いかと思います。
Posted by ブクログ
江戸時代も介護問題ってあったんだなぁ。
江戸時代は今よりもっと親の介護は子供が何をおいてもしなければならないという世間体に縛られていて大変だったんだなぁ。
介護問題って、先には死しかなく暗く辛くなりがちだし、この物語の主人公は母親が毒親という悲惨な状況なのに、読み進めていくうちに、人は誰しもゆっくり老い弱っていくのは当たり前で、それとどう向き合っていくかという、ヒント、光を見せてくれてよかった。
Posted by ブクログ
星6つにしたいほどの面白さ。
自分の境遇と重なる部分もあり、言語化できずにいた気持ちをふわりと示してくれる巧みさにも唸る。
25歳の介護人お咲は所謂シゴデキで、雇用主にひっきりなしに頼りにされる。自宅に於いても休む暇はなく働き詰めだ。別れた亭主に借金を返さねばならず、気持ちも沈むし時に苛立つ。妙な達観を見せず、自分事はぐずぐずと同じところに留まっているが、人の事となると心の機微に聡く核心をつく。そこがリアルで魅力だ。
今だと35歳位の感覚だろうか。中堅どころ。
傍から見れば仕事をそつなくこなせる頼れる人材だが、本人は時に「私は玄人」と自分を鼓舞しながら必死に仕事に食らいつく。その内面がとてもリアルで自分の若かりし頃も思い出した。
登場人物は皆魅力に溢れ、町の活気が隠居生活の暗さと共に鮮やかに目に浮かぶ。
何度も読み返したくなる一冊だった。
Posted by ブクログ
よかった。ほんとによかった。
お咲も佐和も庄助もおぶんも、みんなほんとによかった。
登場人物が全員魅力的。
江戸東京博物に行きたくなったので、調べてみたら2025年まで(予定)長期休館中でした…
好きな人が老いて弱っていくのは悲しい。
そんなとき私は笑って介抱できるだろうか。優しい声を掛けられるだろうか。
そのときになってみないとわからないけれど、もし思い詰めたときは『銀の猫』を再読したいと思います。
Posted by ブクログ
介護をテーマとした時代小説。
違和感なく、すっと入ってくるのは、老いや家族といったテーマは時代を越えるのだと納得できるうえ、
それでも江戸時代の雰囲気がきちんと描かれているから。
憎たらしい母と、どう決着するのか興味津々で読み進めた。いい感じに終わって満足。、
Posted by ブクログ
今で言うところの介護ヘルパーを通して江戸時代の介護の様子を描いた物語。
当時は後継ぎである男性が両親を介護することが当然だとか、今と変わらない年齢まで生きている人がいたとか、意外な情報はあったけれど、今も昔も介護を取り巻く苦労は同じですね。介護を美化することなく、苦労ばかり語るでもなく、あるがままを受け入れて最期を見送ろうというメッセージが心に沁みました。
Posted by ブクログ
久々の五つ星。
人生の道しるべの様な作品、朝井さんの引き出しの深さに驚きました。
介護の道しるべにもなるんだとうと思ってます。
巻末解説の秋山さんの言葉も感慨深いものです。
Posted by ブクログ
介護士。当時はいなかったのだろう。人間は必ず死ぬ、それは今も同じこと、現代の病院では心臓が止まるまで死んだと認められないから、延命措置されて、死んだらみんながどうして死んだんだと嘆く。頑張って最後まで行きたねと言う人はいない。この主人公は最後の日々をどう過ごすのか分かる人だよ
Posted by ブクログ
江戸もの+老人介護という新しい視点も面白いし、その介護への著者の眼差しがとても深い。現代的なテーマでありつつ、舞台を江戸にすることで、読者に素直に介護のテーマに向き合わせる。著者が主張するように、誰も追い詰めない、風通しの良い介護を皆で考えたいもの。
Posted by ブクログ
江戸時代の介護ヘルパー…という設定の職業人の話。
全く知らない世界観で、どの老人に話も非常に興味深かった。
介護しながら指南書を作るために自分自身の気持ちを見つめ直すくだりでは、今の介護にも通じる落としどころがあり、妙に納得した。
介抱人としてはベテランで引く手あまたの主人公も、プライベートは恵まれているとはいえず、仕事をしながら気持ちの通じ合いにくい母と付き合い、わかれた元亭主とも借金返済のために会うという、そこを読むときはこちらの気持ちも沈んでしまう。
ただ、周りには主人公の理解者がいて、なんでもすべて味方だというのではなく、必要な意見をちゃんと伝えてくれる。年齢層の離れた友人というか、おぶんや旗本家ご用人の大野、鳩屋のお徳らの一言一言に行く方を修正する主人公をほほえましく思う。
好きな仕事、誇りを持ってできる仕事に一生懸命になれることが、読んでいて何より気持ちが良かった。
Posted by ブクログ
この本 うちにあったはず
でもなんで読まないまま終わっちゃったんだろう?
と思い 又 取り寄せて読みました。
前は まだ 母を見送ったばっかりで読めなかったのかもしれません。
江戸時代にも 介護人なんていたのかなあ!
長寿の人もいたらしいし 世話はしなくちゃいけないから いたのかもしれませんね。
行く先々で 様々なひとの介護をし その家族やまわりの人の状況もみんな違う。
その仕事の大変さより 自分の母親との関係が大変!
別れたまえの亭主も はんちくな奴
この主人公お咲 勤め先の鳩屋と 世話しに行ったお宅で とても認められている。
介護に行った先の元気なおぶん そして長屋のおっかさんを看取った庄助は お咲を温かく見守ってくれる。
母親の佐和と一緒になってくれる光兵衛が 懐の大きないい人でよかった!
姑がくれたお守り銀の猫を にぎりながら 一生懸命に生きる主人公
いい作品です。
Posted by ブクログ
母が婚家にした借金を咎められ、離縁されたお咲。
介抱人として働くことになる。
丁寧な仕事ぶりが認められ、差配する口入屋の鳩屋主夫妻にも一目置かれるようになる。
介抱した老人たちは、みなそれぞれの過去を思わせる、一癖ありそうな人物ばかり。
どうやって人間関係を作って、介抱させてもらえるか。
そこが一つの読みどころでもある。
しかし、このお話には、もう一つの筋がある。
母親との相克だ。
母の佐和は器量自慢で、長年妾奉公をしてきた。
お咲は幼時から養い親の下で育ち、たまに来る佐和に抱かれた思い出もない。
離縁された後、母と二人暮らしをはじめるが、派手で金遣いも荒く、家事を一切しない母にイライラを募らせる。
お咲がどんなに疲れて帰ってきても、ねぎらいの一言もない。
おまけに、新しい恋人を作り、祝言を上げようという。
この二人の関係がどう変わっていくのかも、もう一つの関心の焦点になる。
母子関係の難しさは、現代の小説にそのまま置き換えても通用しそうな気がする。
最終的には良い方向へ向かっていくが、読んでいてつらい場面もある。
ただし、全体としてはユーモアも感じられる作品だったことも書き添えておく。
積年の姉妹間の恨みを、老境に至ってぶつけ合う、元奥女中のお松と、その妹のお梅。
相手の攻撃を、狸寝入りでかわす、年輪を重ねた人でないとできない「技」を繰り出す。
商売に抜かりがないお徳と、その尻に敷かれっぱなしの亭主五郎蔵夫婦のやりとり。
軽妙な場面もそれなりにあり、深刻になりすぎずにすむ。
時代小説なので、孝の思想や、跡取り息子が介護するという、江戸時代特有の設定はある。
しかし、描かれている問題のおおよそは、まったく現代の私たちに置き換えられる。
介護が、介護を担う若い家族の人生を食いつぶすこと。
介護には、その家庭の問題が集約的に表れてしまうこと。
介護を受ける人が、家族であれ、外部の人であれ、相手を受け入れられるかということ。
ぽっくり死を称揚するあまり、ほかの死に方を忌避するような風潮ができてしまうこと。
こんな、新聞や論文で読んだような内容が、物語として形象化されている。
しあわせな往生を遂げる、おきんが登場するのは救いだ。
お咲親子の近所の菊作りの職人、庄助の母親だ。
お咲がかつて介抱した干鰯問屋の隠居、おぶんが「道楽」として、おきんの介抱を引き受ける。
最初第三者の介入を拒んだ庄助も、やがて人間らしさを取り戻していく。
やがて、おきんはゆっくりと、枯れるように最後の時を迎えたが、庄助もその最期に納得し、穏やかに母を見送ることができたのだ。
介護がエンタメ小説になるとは。
まったく驚きの一冊だった。
Posted by ブクログ
江戸時代は、家族内(自宅)での看護・介護が主流で、職業としての介護はなかったそうですが、本作では、主人公のお咲が口入屋に斡旋され、「介抱人」として仕事をする設定です。この構成と展開が味わい深い作品でした。
8編からなる連作短編集で、様々な老人たちが登場します。この一人一人の老人を始め、登場人物の個性が際立っていて、人物造形が素晴らしいです。
各話が進む中で、お咲の離縁や毒親による借金などが明かされ、物語の深みも増していきます。
介護の陰鬱印象は薄く、けれども軽過ぎず…。人同士の交流が小気味よいです。過酷な介護の困難を超越して、お咲の誠実さ、人の心を推し量る共感力が素晴らしい! お咲ちゃんに私の老後をお願いしたい! けどやっぱり"ぽっくり"逝きたいなぁ。
時代も変わり制度も進んだとは言え、経済的・世間体などによる諸問題は現代にも相通じている気がしました。そんな中に、介護問題緩和のヒントと希望も感じ、読みながらハッとさせられることも多かったです。
江戸の市井の人々の暮らしや四季の情景が背景として散りばめられていて、その描かれ方も物語を支える要因の一つと感じました。題材は地味でも内容は乙な一品でした。
Posted by ブクログ
江戸の介護の様子が描かれているけど、恥ずかしながら、私は江戸時代の江戸の人たちが長寿であるとか、倅が親の世話をするとか知らなかった。それが一番の驚きであったけれど、時代が変わっても、老後の介護を他人に任せることへの家族の抵抗や後ろめたさ、介護人を雇えない家族の苦労などは変わらないのだなと思うとちょっと苦しくもなった。
作者の思いや主人公の思いなど共感することも多く、改めて良いものを描かれる朝井まかてさんだなと思う。
「類」もお薦めです!
Posted by ブクログ
現代に当てはめても心に刺さる部分のなんと多いこと。でもなんだか愉快な場面も多く、介護問題を抱えている人にとって、ほんの少しだけでも気持ちが軽くなるように思う。
めんどくさい人に思えたご隠居のおぶんさんがその後凄く頼りになる存在になったのが良い。
最後のほうで庄助の母の通夜の後、お咲と庄助とおぶん、家族でもない、友人というわけでもない3人でお茶を飲んで喋っている場面になんともいえず和んだ。
Posted by ブクログ
読んだのは単行本の方なんですが…文庫版の表紙かわいいな(^^)
江戸時代に介抱人として女中奉公をする、お咲が主人公の物語。現代風に言えば、派遣で勤める介護ヘルパーさんってとこでしょうか。介護する人とされる人、その家族を描いていて、現代にもじゅうぶん通じるお話。介抱人という呼称が実際あったかどうかは知りませんが、女中奉公という名で今でいう介護を担った人がいたかもというのはリアリティがあるなと思いました。「五十過ぎまで生き延びればたいていは長生きで」というのも、然もありなん、て感じです。お咲にはぜひしあわせになってもらいたいなぁ…
Posted by ブクログ
介護のことなんかがサラッと書かれているけど、じっくり読むとなるほどーということも多くて楽しめた。母親との確執もそれほどきわどくなくて読みやすい。
Posted by ブクログ
標題の「銀の猫」は別れた夫の義父から貰った銀細工の小さな御守り。別れた理由は、妾奉公ばかりしていた実母が、この義父から大金を借りたことから。この借金を返すために給料が高い「介抱人」となったのも、この義父の介抱があったからでもあった。何も出来ない実母と関わり合いになるのが嫌で、大変な仕事の介抱人をどんどん入れて行く。
現代でも家族の介護は大変だが、江戸時代は息子や後継者が介護をすると決められていたとか。他人が入ることで良い方に向かうという事で、色々な問題を抱えた家に入って、介護される側との交流が小気味良い。元気な意地悪婆さん、大身の旗本の隠居、大奥勤めを引退した老婆など、意外な交流とその後が面白い。最後には嫌っていた実母との邂逅もあり、心が暖かくなる。
Posted by ブクログ
江戸時代の介護のお話。当時は長男が親の世話を最後までみるから家督を譲られるということを知った。お金持ちは介護を今でいうヘルパーさんに頼み、彼女がやさしく対処するなかでのお話。人に優しくできる人は何らかの痛みを知っている人だということも描かれている。
Posted by ブクログ
将来自分の親や義親の介護が必要になったとき、果たして心から尽くすことができるだろうか。尽くしてあげたいという気持ちはある。この気持ちを将来も維持したい。
現代における介護職の賃金も上げてあげたいとも思う。
Posted by ブクログ
病人や老人の介抱を仕事にしているお咲。
その仕事ぶりは仲立ちをしている鳩屋の中でも一番だ。そんなお咲の仕事ぶりを江戸の四季とともに描いた短編集。
お咲には我儘で自堕落な母親がいて、その母が作った借金を返す為に割りのいい介抱人の仕事をしている。そんなおさきの心の支えが元の舅がくれた小さな猫の銀細工だった。
様々な人を介抱する中でお咲が気づく家族の在り様や生き方を丁寧に描いている。
お咲が大変な仕事をしながらも色々な人の人生を垣間見て成長していくのがいい。
Posted by ブクログ
嫁ぎ先を離縁され、「介抱人」として稼ぐお咲き。百人百様のしたたかな年寄りたちに日々、人生の多くを教えられる。一方、妾奉公を繰り返し身勝手に生きてきた自分の母親を許すことが出来ない。そんなとき「誰もが楽になれる介抱指南書」作りに協力を求められる。
Posted by ブクログ
朝井さんの本なので手に取りました。内容はさすがでしたが、介護の話はもう既にお腹いっぱいでした。とても面白そうな人たちが揃って登場していたので違うテーマだったら良かったのに。
Posted by ブクログ
江戸の老人介護人の話。
人物造形とストーリー展開はさすが上手い。
昔も今も、介護の手厚さはやっぱりお金だなあ…。だいぶ身につまされる話で、入り込みやすかったけれど、楽しいとは思えなかった。
老いと向き合う時代小説
必死で生と向き合う江戸の人々や介抱という仕事をとおして、色々な生き様と出会う主人公。
絶対に避けられない老いと死がテーマになっているけど、軽やかなタッチと個性的で前向きな登場人物たちで織りなされている物語は読むペースが落ちない。
読んだ後、哀切とともに胸がほっこりする作品。