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Posted by ブクログ 2024年03月20日
今で言うところの介護ヘルパーを通して江戸時代の介護の様子を描いた物語。
当時は後継ぎである男性が両親を介護することが当然だとか、今と変わらない年齢まで生きている人がいたとか、意外な情報はあったけれど、今も昔も介護を取り巻く苦労は同じですね。介護を美化することなく、苦労ばかり語るでもなく、あるがままを...続きを読む受け入れて最期を見送ろうというメッセージが心に沁みました。
Posted by ブクログ 2024年02月26日
久々の五つ星。
人生の道しるべの様な作品、朝井さんの引き出しの深さに驚きました。
介護の道しるべにもなるんだとうと思ってます。
巻末解説の秋山さんの言葉も感慨深いものです。
Posted by ブクログ 2024年01月16日
介護士。当時はいなかったのだろう。人間は必ず死ぬ、それは今も同じこと、現代の病院では心臓が止まるまで死んだと認められないから、延命措置されて、死んだらみんながどうして死んだんだと嘆く。頑張って最後まで行きたねと言う人はいない。この主人公は最後の日々をどう過ごすのか分かる人だよ
Posted by ブクログ 2023年03月04日
江戸もの+老人介護という新しい視点も面白いし、その介護への著者の眼差しがとても深い。現代的なテーマでありつつ、舞台を江戸にすることで、読者に素直に介護のテーマに向き合わせる。著者が主張するように、誰も追い詰めない、風通しの良い介護を皆で考えたいもの。
Posted by ブクログ 2022年07月29日
江戸時代の介護ヘルパー…という設定の職業人の話。
全く知らない世界観で、どの老人に話も非常に興味深かった。
介護しながら指南書を作るために自分自身の気持ちを見つめ直すくだりでは、今の介護にも通じる落としどころがあり、妙に納得した。
介抱人としてはベテランで引く手あまたの主人公も、プライベートは恵ま...続きを読むれているとはいえず、仕事をしながら気持ちの通じ合いにくい母と付き合い、わかれた元亭主とも借金返済のために会うという、そこを読むときはこちらの気持ちも沈んでしまう。
ただ、周りには主人公の理解者がいて、なんでもすべて味方だというのではなく、必要な意見をちゃんと伝えてくれる。年齢層の離れた友人というか、おぶんや旗本家ご用人の大野、鳩屋のお徳らの一言一言に行く方を修正する主人公をほほえましく思う。
好きな仕事、誇りを持ってできる仕事に一生懸命になれることが、読んでいて何より気持ちが良かった。
Posted by ブクログ 2022年02月19日
この本 うちにあったはず
でもなんで読まないまま終わっちゃったんだろう?
と思い 又 取り寄せて読みました。
前は まだ 母を見送ったばっかりで読めなかったのかもしれません。
江戸時代にも 介護人なんていたのかなあ!
長寿の人もいたらしいし 世話はしなくちゃいけないから いたのかもしれませ...続きを読むんね。
行く先々で 様々なひとの介護をし その家族やまわりの人の状況もみんな違う。
その仕事の大変さより 自分の母親との関係が大変!
別れたまえの亭主も はんちくな奴
この主人公お咲 勤め先の鳩屋と 世話しに行ったお宅で とても認められている。
介護に行った先の元気なおぶん そして長屋のおっかさんを看取った庄助は お咲を温かく見守ってくれる。
母親の佐和と一緒になってくれる光兵衛が 懐の大きないい人でよかった!
姑がくれたお守り銀の猫を にぎりながら 一生懸命に生きる主人公
いい作品です。
Posted by ブクログ 2021年11月07日
母が婚家にした借金を咎められ、離縁されたお咲。
介抱人として働くことになる。
丁寧な仕事ぶりが認められ、差配する口入屋の鳩屋主夫妻にも一目置かれるようになる。
介抱した老人たちは、みなそれぞれの過去を思わせる、一癖ありそうな人物ばかり。
どうやって人間関係を作って、介抱させてもらえるか。
そこが一つ...続きを読むの読みどころでもある。
しかし、このお話には、もう一つの筋がある。
母親との相克だ。
母の佐和は器量自慢で、長年妾奉公をしてきた。
お咲は幼時から養い親の下で育ち、たまに来る佐和に抱かれた思い出もない。
離縁された後、母と二人暮らしをはじめるが、派手で金遣いも荒く、家事を一切しない母にイライラを募らせる。
お咲がどんなに疲れて帰ってきても、ねぎらいの一言もない。
おまけに、新しい恋人を作り、祝言を上げようという。
この二人の関係がどう変わっていくのかも、もう一つの関心の焦点になる。
母子関係の難しさは、現代の小説にそのまま置き換えても通用しそうな気がする。
最終的には良い方向へ向かっていくが、読んでいてつらい場面もある。
ただし、全体としてはユーモアも感じられる作品だったことも書き添えておく。
積年の姉妹間の恨みを、老境に至ってぶつけ合う、元奥女中のお松と、その妹のお梅。
相手の攻撃を、狸寝入りでかわす、年輪を重ねた人でないとできない「技」を繰り出す。
商売に抜かりがないお徳と、その尻に敷かれっぱなしの亭主五郎蔵夫婦のやりとり。
軽妙な場面もそれなりにあり、深刻になりすぎずにすむ。
時代小説なので、孝の思想や、跡取り息子が介護するという、江戸時代特有の設定はある。
しかし、描かれている問題のおおよそは、まったく現代の私たちに置き換えられる。
介護が、介護を担う若い家族の人生を食いつぶすこと。
介護には、その家庭の問題が集約的に表れてしまうこと。
介護を受ける人が、家族であれ、外部の人であれ、相手を受け入れられるかということ。
ぽっくり死を称揚するあまり、ほかの死に方を忌避するような風潮ができてしまうこと。
こんな、新聞や論文で読んだような内容が、物語として形象化されている。
しあわせな往生を遂げる、おきんが登場するのは救いだ。
お咲親子の近所の菊作りの職人、庄助の母親だ。
お咲がかつて介抱した干鰯問屋の隠居、おぶんが「道楽」として、おきんの介抱を引き受ける。
最初第三者の介入を拒んだ庄助も、やがて人間らしさを取り戻していく。
やがて、おきんはゆっくりと、枯れるように最後の時を迎えたが、庄助もその最期に納得し、穏やかに母を見送ることができたのだ。
介護がエンタメ小説になるとは。
まったく驚きの一冊だった。
Posted by ブクログ 2021年03月18日
江戸時代の介抱人のお話。おばあさんを看取るシーンで、猫ちゃん看取ったときのことを思い出した。主人公のお咲ちゃんの心持ちがすごく分かるなぁ。これ先に読んでたら、もっと心穏やかに看取ってやれたかもしれない。
介抱人の負担にならない介抱指南書を出版しようとするお話が出てくるけど、この小説がまさにその指南書...続きを読むになってる。近い将来の自分と重ねながらしみじみ読みました。
Posted by ブクログ 2021年01月15日
「介抱人」として身も心も削りながら働く主人公のお咲。
心底ウンザリする、だらしのない母親との暮らしを支えるために誠心誠意、老人たちのために尽くす
江戸の人たちの人情たっぷりの作品。
Posted by ブクログ 2021年08月22日
江戸時代の介護のお話。当時は長男が親の世話を最後までみるから家督を譲られるということを知った。お金持ちは介護を今でいうヘルパーさんに頼み、彼女がやさしく対処するなかでのお話。人に優しくできる人は何らかの痛みを知っている人だということも描かれている。
Posted by ブクログ 2020年03月31日
銀の猫/隠居道楽/福来雀/春蘭/半化粧/菊と秋刀魚/狸寝入り/今朝の春
「介抱人」として働き、そりの合わない母と二人の生活を支えるお咲。江戸の町は結構老人が多かったようなので、こんな仕事も在ったかもしれない。色々な老人の世話をする事で自分なりの仕事への思いが固まっていく彼女は、なぜこんな仕事をとい...続きを読むう問いに給金が良いからと答える。
それが一番大きな理由とは思えないけれど、やりがいと共にそういう現実的な面もあるだろう。
介護するほうもされるほうも、気楽に過ごせる時間が持てると良いなと思う。
Posted by ブクログ 2020年03月22日
江戸時代の介護士、介抱人を描いた物語。
主人公のお咲は金持ちの家に嫁いだだが、妾奉公をしていた母親が婚家に金を借りたため、離縁。その金を返すために普通の女中奉公より金が良い介抱人をしている。
介護はしたことがない人はわからないくらい過酷だ。身内でさえそうなのに、他人のそれは心を擦り減らすようだろう...続きを読む。
借金を返すまでと、大嫌いな母親のために働くお咲の姿が、哀しい。
読みながら、5年間、寝たきりの祖母を介護していた母の姿が目に浮かんだ。
介護をした者は介護されることを望まない、と作中にあるが、まさにその通りに逝ってしまった。
誰もが歳を取る。最後がどうなるかなんて、わからない。
私にはまだ父がいるが、介護できる自信はない。
多くを思い出させ、多くを考えさせられた一冊である。
解説の秋山香乃氏の言葉に多く共感させられた。
Posted by ブクログ 2022年10月14日
介護のことなんかがサラッと書かれているけど、じっくり読むとなるほどーということも多くて楽しめた。母親との確執もそれほどきわどくなくて読みやすい。
Posted by ブクログ 2022年06月11日
標題の「銀の猫」は別れた夫の義父から貰った銀細工の小さな御守り。別れた理由は、妾奉公ばかりしていた実母が、この義父から大金を借りたことから。この借金を返すために給料が高い「介抱人」となったのも、この義父の介抱があったからでもあった。何も出来ない実母と関わり合いになるのが嫌で、大変な仕事の介抱人をどん...続きを読むどん入れて行く。
現代でも家族の介護は大変だが、江戸時代は息子や後継者が介護をすると決められていたとか。他人が入ることで良い方に向かうという事で、色々な問題を抱えた家に入って、介護される側との交流が小気味良い。元気な意地悪婆さん、大身の旗本の隠居、大奥勤めを引退した老婆など、意外な交流とその後が面白い。最後には嫌っていた実母との邂逅もあり、心が暖かくなる。
Posted by ブクログ 2021年08月31日
今で言うなら訪問介護者、「介抱人」として稼ぐお咲を主人公とした8篇の連作短編集。
平均寿命から見れば、昔は短命と思えるが、それは多産多死の影響で、江戸時代は意外と長寿の人が多かったようだ。
身内に変わって、年寄を介護するという介抱人の仕事は、江戸時代が舞台とはいえ、現代の状況にそっくりで、グッと身近...続きを読むに感じる。
各編に様々な年寄りやその家族を登場させ、現代に通じる介護小説となっている。
同時に、介抱人を通してのお咲の成長物語でもある。
第2話で登場し、それ以降おしかけ介抱をする女隠居おぶんさんが、魅力的なキャラとなっている。
『養生訓』をもじった『養生訓』は、楽しく学べる介抱指南として、現代にも必要だろう。
Posted by ブクログ 2021年08月22日
江戸時代の介護事情とは? 家の中に病人がいると家族も病んでいく様や介護する側、される側の心情を丁寧に描いた良作。
戦前まではこのように普通に家で看取っていたんだろう。これから病床数も減り、病院で死ねなくなる時代がやってくる日本。死に抗うことなく受け入れる...。もう覚悟はできている。
Posted by ブクログ 2021年03月10日
心のこもった介護をするお咲と、男と浮名を流す母との関係が、痛々しい。でもこんなことあるよな…と身につまされる。介護は育児と違い、成長ではなく、看取り。先が見えない毎日。そのなかでもふとした瞬間に希望があるのだと、気付かされる作品。
Posted by ブクログ 2020年07月19日
江戸時代に見立てた介護する側、される側、それを見守る周囲の人々の話。介抱人という職種は、きっと江戸時代に名はなかったのだと思うが、現代のホームヘルパーを想定させる。急死でない限り、次第に衰えながら死んでいくことになる日々を「こうしたら互いに楽になる」を目指して暮らしていくことを、豊かに描いている。介...続きを読む護にまつわる重さ、暗さを少し吹き払ってくれるおそらく作者の介護体験を基盤にした一冊だった。
Posted by ブクログ 2020年07月09日
江戸時代の介抱人、お咲の物語。
人々の寿命が延び、江戸の人々も介護の問題に苦しんでいた。そこに目をつけたのが、口入屋。女中賃金に色を付け、介抱人としてあちこちに派遣していた。いま、こういうフリーの一流介護士さんとかいたら流行りそう…。
お咲は介護のプロとして、あちこちの隠居さんから引く手あまた。一...続きを読む人の介護が短編として描かれ、お咲と母親との確執についての問題が全体を通して描かれる。
お咲と自分の立場が何となく似ていて、途中つらくなって読みすすめるのに時間がかかっていまった。お咲が、介抱人としてはプロでも、人間としては、いたって普通(解説ではまだ未熟とかかれていたが)なとこが、いいんだよなあ。
すごく今っぽい時代小説でした。
Posted by ブクログ 2020年07月03日
「恋歌」「眩」
とても読みごたえがあった。
そしてこれも。
江戸時代の「介抱人」咲
女性の仕事がない時代にお給金が少しよかった
(今と違うねー)
老いに関わりながら人生を深く学んでいく咲
周りの人物も様々で うんうん
「養生訓」ならぬ「往生訓」
今も役立ちそう
銀の猫が愛しい
≪ したたかな ...続きを読む老人から得る 人生訓 ≫
Posted by ブクログ 2020年03月22日
江戸時代を時代背景にした、介護を主題に、介護されるものと介護するものとの絆が描かれる。
介護のプロであるお咲は、よく観察し、何をすればその人に良いかを考え、しかし決して押し付けない。
介護でなくても、それが、なかなかできない。
「誰もが楽になれる介抱指南書」を見たいね。
Posted by ブクログ 2023年11月11日
朝井さんの本なので手に取りました。内容はさすがでしたが、介護の話はもう既にお腹いっぱいでした。とても面白そうな人たちが揃って登場していたので違うテーマだったら良かったのに。
Posted by ブクログ 2022年06月13日
江戸の老人介護人の話。
人物造形とストーリー展開はさすが上手い。
昔も今も、介護の手厚さはやっぱりお金だなあ…。だいぶ身につまされる話で、入り込みやすかったけれど、楽しいとは思えなかった。
Posted by ブクログ 2021年09月16日
ほとんどの人が通るであろう「介抱(介護)」をテーマにした短編集だった。
介抱についてだけでなく、ところどころ母親の不器用な愛についても描かれており、どことなく「人間らしさ」を感じる小説だった。
分からない言葉も多かったので、もう一度言葉を調べながら読み返してみたい。
Posted by ブクログ 2021年02月07日
隠居の老人のために働く『介抱人』…今で言うなら訪問介護士を生業としているお咲が出会う、さまざまな老いの姿と、その背後の人々の姿を描く連作短編集。
ふつうのOLの等身大の物語が、江戸時代につながったような。
野心も持たず一生懸命にがんばっていて、ままならない事も思いがけない喜びもある。
毒親の作っ...続きを読むた借金のことで悩みながら突き放せず、縁あった他人の優しさに力をもらい涙する不思議。
朝井まかてさんの作品は『眩』が初読だったので、ドラマティックな熱い女性を描く作風かと思っていたのが、この作品を勧められて読んで、がらっと変わった。
平均寿命の短かかった江戸時代、病で早逝する者が多かった一方、隠居するまで息災だった人はその先が長かったという。そして、老親の世話をするのは跡取り息子と決まっていたという。
よろず手のかかることは、大昔から女のすることとされていたと思っていたので、意外だった。
経済的な余裕が無く、介護で心身をすり減らす子世代という現代的なテーマと、他人だからこそ頼りあえる関係、死に向かう人と向かい合う心…と、色々感じるところがあった。
そして、実の母娘なのにどうにも相性の悪いお咲と佐和が、ひとたび近づいてぶつかり合った後に、距離をとりあうことで許し合える、そんなところも現代に通じるところがあったかと思う。
いやまったく、他人事とは思えません。
ちなみに、単行本で読んだけれど、検索しても文庫本しかなかったのでこちらで登録。
『銀の猫』というタイトルは…
何かもっとあったんじゃないかなぁ。
必死で生と向き合う江戸の人々や介抱という仕事をとおして、色々な生き様と出会う主人公。
絶対に避けられない老いと死がテーマになっているけど、軽やかなタッチと個性的で前向きな登場人物たちで織りなされている物語は読むペースが落ちない。
読んだ後、哀切とともに胸がほっこりする作品。