朝井まかてのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
大正から昭和初期に「日用の美」「下手ものの美」を提唱する民藝運動を立ち上げた柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司(作者は彼らを「奇跡の3人」の呼ぶ)らの交わりと宗悦一家の生活をねえやサチの目を通して描く。
それまでの美術界からは見向きもされなかった朝鮮の陶磁器や木喰仏、無名の職人によって作られた下手物に日用の美を見出した宗悦。
河井、濱田たちも宗悦の影響を受け、自ら作陶に打ち込む。
美を追求しながら邪念を持てば台無しになる、無我無欲の境地を得ることの難しさ。
既に高名を得ながらも納得できる作品群を作るのに、河井は数年を要した。
一家の大黒柱で、自ら傑出した声楽家でもあった、宗悦の妻兼子。
収集と執 -
Posted by ブクログ
舞台は江戸。共に三十路(みそじ)を迎え、私生活で行き詰まりを感じていた幼馴染の女子三人が主人公。ある日、彼女たちは突如として日々の鬱屈を爆発させ、家族や仕事に何も告げず、着の身着のままで江戸を飛び出す。目指すは伊勢神宮。いわゆる「抜け参り」。金も計画もない行き当たりばったりの旅だが、東海道を西へ進む中で、さまざまなトラブルや出会いを経験する。彼女たちは笑い、怒り、食べ、泣きながら、「女としての自分」と「これからの生き方」を見つめ直していく。辿り着いた伊勢の町で迎えた結末は。。。最強の「女子旅」エンターテインメント作品。「アラサー女子の弾丸旅行」のような疾走感満載。三人の軽妙な掛け合いが最大の魅
-
Posted by ブクログ
「民藝」を生み出した柳宗悦とその仲間、生活ぶりを、女中のサッちゃんが語る物語。当時の日本の空気が伝わってくる情景描写はまかて氏ならでは。サラダを「サラド」等、より実際の発音に近いカタカナ表記がモダンさを一層感じさせる。あるものでサッとこしらえる料理の描写も素晴らしい。
家中物で溢れようが、お金をどれだけ注ぎ込もうが、一般の民がつくり使った物の価値を広めようとする姿に、宗悦の一途さを感じる。併せて、宗悦らを応援しつつも自らの夢も貫き通す強さ、同時にセッちゃんに対する温かさも併せもった「奥様」がとても魅力的だった。
本書の記憶の新しいうちに「民藝美術館」に足を運びたい。 -
Posted by ブクログ
今回は、民藝という運動が多くの芸術家と関わっているためだろうか、経緯を登場人物の台詞で説明することが多いのが気になった。一人称ではないのだから、客観的に描かれてもよかったのではないかと思う。
それにしても、まかてさんの描く女性は相変わらず素敵だ。
男たちは物事を成し遂げてはいるが、なんとなく印象が薄い。時代の影響もあって、まだ女性の地位は低く、男性優位な社会にも関わらず。
中島兼子という声楽家の存在感が素晴らしい。彼女は、芸術家として自分を表現する欲求と、家庭の主婦のタスクの間で苦しむ。しかも、柳の活動を金銭面で支えなければならず、そのためには公演会を催して稼がなければならない。
芸術家とし -
Posted by ブクログ
これまで葛飾応為はさまざまな作品で描かれてきたけれど、この物語の応為像が一番好き。出戻りであったり、炊事や洗濯といった日々の暮らしに不器用だったりと、男社会で理想とされる“良妻賢母”の女性像には収まりきらない存在でありながらそんな価値観に縛られることなく、ただ絵筆一本を頼りに自分の人生を切り開いていく、その揺るがない生き方は凛としていて、とても格好良かった。
父である葛飾北斎と滝沢馬琴の関係性も魅力的。特に北斎が病に伏した際、馬琴があれこれと助言を与える場面は、健康オタクの側面があったとされる馬琴の人となりがよく表れていて面白かった。
自分の技ひとつで世の中を渡り自らの道を切り開いていく応為の -
Posted by ブクログ
中島歌子は、歌人というより、樋口一葉の師としての方が通りが良いくらいだが、しかし明治におけるれっきとした歌人である。私もこれを手に取った時は、古風な和歌を詠む歌子の創作の様子や、上流階級の子女が集まる「萩の舎」について描かれているのだろうと思っていた。
ところが読み始めると、水戸藩のお家事情と、(のちの天狗党の)武士林以徳に嫁いだ池田登世(歌子)の半生が主な物語で、その内容にとても驚いた。水戸藩のお家騒動の顛末は凄惨であるが、その筆は冷静で、とても読み飛ばそうなどとは思えない。
有栖川宮織仁親王の第12王女、徳川慶喜の母である貞芳院や、天狗党の武士の妻たちの描写が素晴らしく、しっかりと人格が読 -
Posted by ブクログ
2021年 第71回 芸術選奨文部科学大臣賞
2021年 第34回 柴田錬三郎賞
本日は森鷗外の誕生日。
文久2年1月19日、旧暦のままです。
誕生日当日は、文京区の森鷗外記念館が無料開館となります。今年は残念ですが、鷗外の旧居・観潮楼跡に建てられたこの文学館に行けませんでした。来月には伺う予定にしています。
今年は、その文学館が建てられた観潮楼で育った森鷗外の三男・類を描いた朝井まかてさんの『類』
この小説は、1911年(明治44年)に生まれ、1991年(平成2年)に亡くなるまでの森類の生涯を 本人の視点から描いた作品です。
時代と家と個人が重なり合うこの構成は、大河小説としてよいので -
Posted by ブクログ
470頁の厚みに若干怯みましたが、読んで良かった!
軽快なストーリーに、骨董商の世界や様々な人間模様も面白かったです。
道具商の跡を継ぐはずがやらかしてしまい、骨董商の世界に足を踏み入れることになったどら蔵。
茶道具や生活用品など道具が好きで見る目はあるけど、態度や物言いが軽くて少々心配になる。
でも、このどら蔵、何か面白いことをしてくれそうな予感と期待感がずっとありました。
目まぐるしい展開で先が気になって仕方がない!
どら蔵の“心の声”に何度もクスリ、騙し騙されな展開も楽しい。
ブチブチ言いながらも何だかんだ真面目に目の前のことに頑張って取り組む姿が可愛いくもありました。
登場人物は