朝井まかてのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
吉原が好きだ。
成り立ち、歴史、文化、とかく吉原という街そのものに興味がある。
今では(も?)ソープランド立ち並び、「堅気」の女には入りにくい街ではある。
道を歩けばまっすぐ歩いているはずなのに、大きくカーブして、何処にいるのかわからなくなる。
昔の姿を伝える見返り柳は代替わりし、角に建てられたという稲荷神社がかつてを偲ばせる。
吉原を行き来する人を見てきた大門もない。
しかし、そこにある歴史に惹きつけられる。
性産業そのものは、良いものとは思わない。
必要悪とも思わない。
今も昔も、女にとっての苦界が男にとっての楽園であるのなら、せめて、それが紛い物であったとしても華やかな誇りのある、そんな「悪所」であってほしい。
そう思うのは、現実を知らない人間の描くただの夢だろうか。
さて、本作では、まだ日本堤に吉原が来る前の話から始まる。
花仍(かよ)が桜田(千代田のお城付近)で西田屋の女将として花見に出かけ、乱闘騒ぎを起こすところから物語は始まる。
負けん気強く、直情径行。
突っ走るばかりの女将。
たくさんの女を見てきた。
まちづくりに奔走する甚右衛門とともに吉原を作ってきた。
決して順風満帆ではない。
人の死を見てきたし、汚いものも見てきた。
だが、尊敬する夫と夢を見、奔走したたまちづくりのなんと志高いことだろう。
遊女の立場ではなく、経営者の立場から見た本作は、吉原を舞台とした物語としては珍しい。
そこしか知らない、だからこそせめて、という生き方には悲しさも感じるが、今いる場所で必死になる姿に心が動かされてならない。