朝井まかてのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
なんだか先が気になって、読み進めてしまった。
きっと、一人では生きてはいけないんじゃないかというくらい、頼りない主人公。
でも不思議とどこかから手が差し伸べられて、手を引かれながら、歩んでいく感じ。
類の考え方に「どうして〜」と歯痒く思いながらも、嫌な感じはなくついつい弟を見るような目で見守るように読んだ。
どこまで史実に忠実なのかわからないけど、類の一番の幸運は、奥様の美穂さんと結婚して子宝に恵まれたことだろうなぁ、と思う。美穂さんはまさしく良妻賢母。自分も生まれの良いお嬢様のはずなのに、あの状況で家計をやりくりし(そもそもまともな収入ないのに…お金に無頓着な夫なのに…)家族に美味しいものを食べさせる努力を惜しまず、子供達を育て上げ、さらには夫が一人で贅沢をしていることを過度に咎めないなんて(一度本気で怒ってたけど)同じ主婦として尊敬しかない。と同時にこれがほんの数十年前までは、嫁に行った女性の当たり前の姿だったのかなぁ、とせつなくなり、「森類!もうちょっと美穂さんを気遣って!頑張って!」と声をかけたい気持ちになった。
そして美穂さん亡き後は、子供達がかわりに父、森類を気にかけ、晩年まで支えている。
どこか放っておけない人だったのかなぁ。
あと、面白かったのは、そこかしこに出てくる草花の名前、昔ながらの色の呼び方、着物の柄など。
全然わからないからネットで調べながら読んだんだけど、とても色彩豊かで楽しかった。 -
Posted by ブクログ
時代小説短編集。暗い話はない。
① ぞっこん
付喪神の話
②千両役者
なかなか売れない役者と贔屓の唐辛子屋の話。
これから…!って時に話終わっちゃう。
なんかちょっと物足りない。
③晴れ湯
目まぐるしく働く湯屋の一人娘の話。
店の切り盛りと事件と家族関係と、みたいな
朝ドラ的な話。綺麗な終わり方で良い。
④莫連あやめ
女たちのファッションを絡めた争いの話。
友情ファッション家族関係…いくつかの話が
並行で進むけどどれもちょっと物足りなさがある。
⑤福袋
大食い故に離縁され出戻った姉と欲深い弟の話。
たくさん食べつつグルメの姉の食べっぷり楽しい。
最後は弟に罰が降るし姉は大食を生かす職に就く。
⑥暮れ花火
絵師と笑絵(春画)の話。
今までの話とはちょっと雰囲気が違ってエロス。
男に傷つけられた女が過去を乗り越えて
誠実な男と新しい恋に進むみたいな話。
⑦後の祭
江戸の大きな祭りを取り仕切る事になった町役人。
祭りが始まるまでのドタバタと始まってからの
賑やかなどんちゃん騒ぎ(一方運営は駆け回る)、
そんな雰囲気に没入できて楽しい。
最後には納得いかない。前半がいいだけに残念。
⑧ひってん
自由気ままなその日暮らしの男の分岐点の話。
ひょんなことから商売の才が芽を出し
その日暮らしから立派な商人になる話だけど、
なぜか寂しさや切なさみたいな、漠然とした
もう戻らないあの日々を思わせる。
貧しかったけどあの頃も楽しかったよねという。