朝井まかてのレビュー一覧
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江戸から明治へ時代が変わる、150年程も前の大奥が舞台。だけど、これだけ時が経ち、技術も科学も医学も、あらゆることが進化し、女性が働くことが当たり前になった今でも、変わらないことが多いんだなあと思った。
女が集まるところで起こる、嫉妬・足の引っ張り合い(まあ、これは男世界での権力争いも同じことなのだろうけど)。男が起こす戦争に翻弄される女と子供。
解説には、この本は「女の居場所の物語」「戦争と政治に居場所を奪われた女の物語」だと書いてあったけど、そうだなあと思う。そして、そう言う意味でも、今もこの時代も、女性にとって同じだな、と感じる。
男性の中には、そんなことはないと思う人も多いと思うけど、 -
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去年、NHKの明治神宮の森という番組や
昆虫写真家の佐藤岳彦氏の 写真展
「 明治神宮の森 」を見に行って、明治神宮の森の豊かさに驚いた。そこには何千、何百種もの昆虫や粘菌、きのこが存在していて、観て観たいと思った。しかも、原生林ではなく、全て人工林でできていると知って、この森の成り立ちにすごく興味を持った。明治神宮の森の成り立ちや、歴史をもっと知りたいと思っていた時に、平成から令和へ時代が移り変わり、そういえば明治天皇や大正天皇の時の代替わりはどんなだったか知らない、当然生まれていないからだけど、いろんなことが知りたくなってたときにこの本 落陽 に出会った。 明治天皇の人となりをうかがい知 -
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若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれた三人組も今や三十路前。
お以乃、お志花、お蝶は、ある日江戸から伊勢へと旅立った。
それも、抜け詣り!
立場は違えど、家に、境遇に鬱々としたものを抱える三人が、
東海道を旅し、様々な事件に巻き込まれる、道中記。
一膳めし屋のお以乃、御家人の妻お志花、小間物屋の女主人お蝶。
かれこれ半年ぶりの再会が伊勢への抜け詣りとなったのですが、
十八、九歳頃につるんでいた時とは異なり、それぞれの立場の
違い、抱えている問題があります。それでも性格は変わらない。
道中、それが原因で反目し合ったりもするのですが、
いざ事件に巻き込まれると、過去のようにそれぞれの性格と特性を
活 -
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テレビドラマの放送が始まった。
書名は知っていたけれど、読んだことがなかったので、ドラマ第一話を見た。
騒々しくて、内容もガチャガチャしていて、正直、なんじゃこりゃ、と思った。
「昔はいけてたのに」という思いは、もちろん江戸の人にだってあったのだろうけれど、表現がそのまんま。
ネオ時代劇(ミュージカルでもなんでもありのエンタメ時代劇)かと思ったのだ。
それで、第一話で見るのをやめた。
でもー、なぜか原作を読んでみようと思い立ってしまったのだ。
お伊勢参りのガールズ・ロードムービーといった趣の小説。
読んでみると、だんだん猪鹿蝶の三人に愛着がわいてくるから不思議。
三人が自分の境遇を振り返り、 -
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大坂ほんま本大賞受賞作
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大阪の青物問屋に女中奉公に出た知里が、遊び人でトラブルメーカーの若旦那にかき回されながらも、野菜に傾倒していく話である。
我が家から歩いて5分ぐらいの所にあった天満青物市場が主要な舞台のひとつなので親しみが湧きます。
高田郁の銀二貫も大坂商人の話ですが、こちらは大坂商人の話ぷらすなにわ伝統野菜の話が加わりさらに興味深い。また、会話が大阪弁なのでテンポ良く話が進む。主人公、知里が関東もんなので所々大坂に関する説明が入るので、大阪以外の読者も楽しめると思われる。
巻末に参考文献も挙げられているが、作中に出てくる大阪代官「笹山十兵衛」は実在の人物 -
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朝井まかてさんの小説を読むのは初めて。本書は江戸初期の俳諧および草紙業界で大活躍した、井原西鶴の歴史小説である。
解説によると、井原西鶴に関する資料はあまり残っていないようだが、著者はかなり調べたらしい。本小説は、井原西鶴の盲目の娘の視点で書かれていて、西鶴に実際にそのような娘がいたというのは史実だそうだ。
西鶴は大阪に拠点を構え、派手な生活をしながら、俳句を次々と詠み、それがまず評価されていった。娘は家事、主に料理をして父やそれを取り巻く人々との交流を支える。西鶴がたまたま書いた、好色一代男が大ヒットし、西鶴は売れっ子小説家となる。
江戸時代の町人を描いた歴史小説や時代小説はいくつか読んだが