朝井まかてのレビュー一覧

  • 落陽(祥伝社文庫)

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    今まで読んだことがない種類の歴史小説だった。明治が終わり、大正の時代に生きる若者が明治という時代を考える作品。

     一番の感想は作者はこの時代に生きてきたのではないかと感じさせるほどのリアル感があったこと。銀座や新橋あたりは近代化の中心で華やかに、そして人々は洋装に身を包み、麦酒を飲み、政治を語る。一方で本作の中心にある明治神宮(神宮林)のある原宿、代々木は未だ荒野であるし、木場など下町が残るところは未だに和装の庶民が住んでいる。このコントラストが急進する近代日本を色濃く映し出し、作品自体に色合いを与えていると思う。

     そして、本題は明治神宮に祀る明治天皇とはどんな人物だったのか、ということ

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    2020年03月08日
  • 先生のお庭番

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    15歳の熊吉が雇われたのは
    長崎、出島の蘭医師シーボルトの薬草園。

    草木への深い愛
    阿蘭陀に日本の草木を送りたいというシーボルトのために
    工夫奮闘する熊吉

    やがて起こる長崎事件・・・

    日本ってやはり美しい国なのだなぁと。
    そして、この時期に今でいうカタログ販売があったのに驚き!

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    2019年12月18日
  • 残り者

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    時代が変わるのは当たり前だけど、江戸から明治が一番変化が大きかったのでは?
    自分のひいひいおばあさんたちは、もちろん会ったことはないのですが、それを経験したんだなぁとしみじみした。

    それぞれの想いが熱く書かれていて、それでいてさばさばしていて心地よかった。

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    2019年12月09日
  • 残り者

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    ネタバレ

    大奥という特殊な“家兼職場”でそれぞれの仕事に打ち込み、己の役割への誇りを強く胸に秘めて生きてきた五人の女たち。出身の違いやプライドのぶつかり合いもあるけれど、同じ「残り者」としての立場と各々の矜恃は身分の壁を越え、徐々に五人の心を近づけ結びつけてゆく。
    「人が集まれば、気の合う者も合わぬ者もいる。だが、互いの腕は認めていた。だからこそ甲斐があったのだ」の言葉に、年下から年上まで様々な年代の女性がひしめく職場でかつて働いていた頃が無性に懐かしくなり、互いを認め合う出会いの快感に胸が熱くなった。

    読後感が良いので感想は甘口。
    でも、読み進むのにかなり時間がかかってしまったことも事実。面白い!と

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    2019年09月09日
  • 残り者

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    これまでほぼ完璧に面白く読み進めたまかてさんだが、この作品は冗長だった。最初から終わりが予想できる展開で、その通り進んでいく。

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    2019年09月02日
  • すかたん

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    江戸詰め藩士だった夫がたった2年で急死
    大阪の青物問屋に女中奉公に出た知里。
    破天荒な若旦那に振り回されながらも
    次第に天下の台所の美味い物に目覚めていく

    ちゃきちゃきの江戸っ子の主人公が大阪の生活に
    悪態をつきながら馴染んでゆく様子が秀逸

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    2019年08月21日
  • ぬけまいる

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    権柄尽く。抜け詣る。楽なだけの事にどんな甲斐がある?楽しい事にやり甲斐はあるけどね。ちょこちょこ非常用漢字が出て来て読みにくい。江戸フィクション

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    2019年08月19日
  • 御松茸騒動

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    尾張藩の若き藩士・榊原小四郎は利発で学問にも優れ、出世をめざし職務に励んできた。
    しかし、才気をひけらかした態度が災いし上司に疎まれ、国もとの御松茸同心に左遷されてしまう。
    悄然として国に移る小四郎だったが、慣れない山歩き仕事に右往左往するばかり。
    果たして、小四郎の出世の夢はかなうのか。

    面白かったです。
    現代日本にも通じるお話なので、身近に感じられました。
    小四郎は生まれてこの方ずっと不況しか知らないのですが、周囲のオッサン達はかつて尾張に訪れたバブルが忘れられず、その話ばかり。
    私の周りにもこういうオッサンはまだいます笑。

    松茸の不作続きの要因を調べ収穫量を上げるというお仕事を拝命し

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    2025年02月24日
  • 藪医 ふらここ堂

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    最初は、ぐうたらな主人公の医者と引っ込み思案の娘の展開に、何度も途中で投げ出したくなった。半分を超えたあたりから、実はたいした医者である本領を発揮し始め、娘も自分の意思を伝え始める。最後は、ハッピーエンドで終わり、締めくくれた。

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    2019年01月24日
  • 藪医 ふらここ堂

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    「面倒臭ぇ」が口癖の藪医者 三哲。
    実はとんでもない名医?!
     
    突然降ってわいた「御典医」の話に
    すったもんだの大騒動

    江戸人情モノで、登場人物たちの暖かさが優しい。
    宮部みゆきテイストな作品

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    2019年01月12日
  • 御松茸騒動

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    自分を切れ者だと自負している
    19歳の尾張藩士、榊原小四郎
    上司に煙たがられ、「御松茸同心」へ左遷される

    わけもわからないまま、必死に奮闘する主人公の成長物語

    ひょうひょうとした亡父の友人たち「三べえ」の存在感(笑)


    時代小説ながら、現代とも通じるような作品

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    2018年11月01日
  • ぬけまいる

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    ネタバレ

    娘時代は馬喰町の猪鹿蝶と呼ばれた一膳飯屋のお以乃、武家の嫁のお志花、小間物屋のお蝶ももうアラサー(三十路)。家庭のゴタゴタや恋愛のドロドロを振り捨てて3人で伊勢参りに出かける。その道中の笑いあり、しんみりありの物語。
    博打に強いお以乃が人生をかけた勝負
    芯が強く頑固で一途なお志花の初恋
    商売とイケメンに目がないお蝶の取引
    3者3様のキャラクターが際立っている

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    2018年10月23日
  • 藪医 ふらここ堂

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    新鮮味が物足りない感じがした。続編がありそうな展開だけど、そのときは手が伸びないかも。
    あらすじ(背表紙より)
    江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、付いた渾名が「藪のふらここ堂」だ。ところがこの先生、見えないところで凄腕を発揮するらしい。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子たち、ふらここ堂の面々の日常と騒動を描く!

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    2018年01月14日
  • すかたん

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    大阪商人に馴染みがないから序盤は読みにくかったけどどんどん引き込まれた
    二人の距離がだんだん近づくのが楽しいようなもどかしいような
    ラストはいい〆方だった
    志乃にはしてやられましたわー

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    2017年11月10日
  • 先生のお庭番

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    御庭番(時代劇に出て来る忍者じゃないよ)視点で描かれている。シーボルトの日本に居た頃を描いた伝記だった。殺伐とした時代劇に飽きた人には良いかも。あと割と大人向け伝記って実は種類が少ないのでコレは有りかなと。

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    2017年10月24日
  • 阿蘭陀西鶴

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    なんとなく購入。
    西鶴と芭蕉は同じ時代を生きた俳人で互いに意識しあっていた…というようなドラマを見たことがあったなぁなんてぼんやり思いだしました。

    この小説は西鶴の盲の娘視点で描かれた西鶴の姿、ですがいやあ、父娘の確執あるあるだな(笑)娘の気持ちをとんと理解しない父親と父の気持ちがまるでわからない娘。近いから故にわからないことってあるよなぁ…なんて思いました。(まあ実際こういう父娘関係だったかどうかはわかりませんが…)でも閉じ込められないだけマシ、という辺りで父の気持ちをわかるというのもなんだかちょっと違うかなぁ…なんて自分は思いました。

    矢数俳諧、大衆小説と新しいものを作られた西鶴という

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    2017年08月07日
  • ちゃんちゃら

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    最近、江戸づいている。

    この本は庭師の家を舞台とし、江戸で流行った庭作りの文化に触れられる。
    その点、とても面白かったけれど、
    ちゃらにはおるつと上手くいって欲しかったなぁ…と個人的には思います。
    お百合と五郎太も、五郎太の一途な気持ちが報われて欲しかった。

    あとは、後半がすごくベタなエンタメ展開で、三流のクオリティで映画化された図が脳裏に浮かびました。

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    2016年09月10日
  • 先生のお庭番

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    修行中の庭師・熊吉は、長崎の出島への奉公を命じられ、シーボルトの元で薬草園の園丁を勤めることになる。
    初めての仕事にとまどう熊吉だったが、工夫を重ねて見事な薬草園を仕上げていく。
    シーボルトや愛妾のお滝、黒人の使用人おるそんの信頼を得、熊吉は幸福な日々を送っていたが、シーボルトの帰国が決まってからその日常は少しずつ陰りを見せ始めた・・・。

    シーボルトを題材にした小説は数多くありますが、このお話は15歳の園丁の視点から描かれています。
    使用人の目から見るシーボルトと歴史的事件というものを生き生きと描いており、とても新鮮でした。

    圧巻なのは、美しい自然の情景を写し取った芳醇な描写。

    最初は共

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    2016年09月16日
  • ちゃんちゃら

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    ネタバレ

    読み終わるまで、途中から時代劇がスペクタクル小説に変わっていた。ストーリーの後半から結末までが広がり過ぎたかな。

    もし自分ちに庭があって作庭するとしたら、豪華な日本庭園もいいけど、里山的雑木を活かした古里の庭にしたいなあとおもった。

    庭師を空仕事と例えたのが上手い。日本の造園の魅力を随所で生かし、江戸時代から、造園業、庭師が地味だけど、いかに高尚な仕事として扱われてきたか、その由緒がわかったとき、素晴らしいと思った。

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    2016年05月28日
  • 先生のお庭番

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    朝井まかてさんは、私には初めての作家さん。
    「恋歌」が読みたいと思っていたが、まずこの本から手に入った。
    作家が初めてまして状態である以前に、徳間文庫を買って読んだのも初めてかも。

    印象に残ったのは二点。
    草木の描写が美しかったこと。
    特にアジサイは。
    それから、「奥方」ことおたきさんが、蝶々夫人のように美化されていなかったこと。
    むしろ熊吉よりも、シーボルトよりも、おたきさんの方が、現実にいそうな人としてイメージできる。
    愚かさも、誇り高さも、一人の中に溶け込んだ存在として理解できた。

    逆にいただけないのは、「先生」、シーボルトの長いセリフがやや不自然な感じだったこと。
    「近代人」の言葉

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    2015年10月19日