朝井まかてのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
江戸幕府開闢後間もなく、幕府の許しを得て吉原遊郭を創設した庄司甚右衛門の妻として妓楼西田屋の女将となった花仍の目を通して語られる、吉原とそこに生きる遊女たちの物語。
江戸歌舞伎の始まり、猿若勘三郎や伊達騒動の殿様なんかも登場するし、明暦の大火にも見舞われて、なかなかダイナミックな時代の動き、変わり目を感じる話でした。
ちょっと終盤の展開が飛ばし過ぎなのが勿体ない感じもありますが、遊女若菜とその忘れ形見の鈴、その娘菜緒、菜緒の子の小吉と、血は繋がらないけど、心の葛藤を越えた絆に結ばれた家族に囲まれて、花仍の賑やかな晩年は安らいで見えました。 -
Posted by ブクログ
北斎の娘、葛飾應爲(お栄)の一生。8割が北斎の晩年の足跡とお栄の関係ということで物足りない感じが続く中、友であり懸想相手の英泉(善治郎)の死や北斎の死を挟んで自ら絵師として大きく一歩を踏み出す姿に最終的には引き込まれた。
言い方は難しいが、愛する父北斎が彼女の重石になっていたのかと感じた。北斎が長生きでなかったら、應爲ももっと多くの名作を残していたのだろうか。
本作では甥の時次郎がキーとなっている。読み手としては何ともムカつく出来損ないの甥で厄病神である一方で、最後に見せたお栄と時次郎の互いへの親族愛のようなものを見ると血の繋がりの良さと厄介さをより感じた。また、今読んでいる北斎にまつわる -
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘、葛飾応為の生涯を描いた歴史小説。
朝井まかてさんの小説って近作を読めば読むほどに、名人芸の域に達してるような気がします。葛飾応為のことは全く知らなかったのですが、鮮やかに彼女の生き様が思い浮かんでくる。
天才葛飾北斎を父に持ち、幼いころから絵に親しみ、父の元で腕を磨いてきた応為ことお栄。口うるさい母親、つかみどころのない甥、気まぐれな兄弟子、そして偉大ではあるけれど、人間味のある父の北斎。そうした周りの人々の姿を生き生きと描き、そしてお栄自身の描写もとても生き生きと、それでいて心理は丁寧に描かれる。
父や兄弟子と比べての自分の絵の腕に対する葛藤、絵ではその兄弟子にライバル心 -
Posted by ブクログ
シーボルトつながりの本は、これで何冊目だろうか?
この作家さんの描く世界は丹念に積み上げた史実を、、素敵な物語に仕上げています。
出島のシーボルトの植物園に出入りの植木屋から専属の職人をと依頼があった。
そこで決められたのが一番年下の熊吉。
先輩の職人たちは皆外国人のもとで働きたくはなかったのであった。
熊吉、実は蘭語を習いたいと心のうちで密かに野望を持っていたのだった。
熊吉はそのまじめな働きぶりと、工夫を重ねた植物園の造園方法で一目置かれる。
熊吉、バタビア人のオルソン、シーボルトの日本人妻お滝は仲良くなり共に食事もするように。
才能も機転も聞くシーボルトは、幕府の要人らの受けも良い