朝井まかてのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?
江戸を舞台とした恋愛話なので結果は読めちゃったが、破天荒な若旦那はなかなかのやり手だし、女主人は絵に描いたような厳しさの中にこれまた良くある優しさと苦しみを抱えて等々ドラマには向いていると改めて。キャストだな~~~。 -
Posted by ブクログ
西鶴と娘、おあいとの物語。
幼い頃母を失い、父と二人で生きていくことになったおあい。
最初は父を身勝手で、自己顕示欲の塊で、盲目の自分を客前に出して自慢するのも、売名のように感じていたおあい。
次第に父の愛情を感じ取れるようになっていく。
談林派の俳諧師から、草紙の作者へ、憑かれたように創作活動に打ち込み、やがて人の業を描き切ることができないと嘆くようになる、西鶴の創作の軌跡に、おあいはぴったりと寄り添う。
そんな矢先に、二人の暮らしに終焉が訪れる。
その幕引きは寂しく、切ない。
おあいの感覚を通して描かれる人々の姿、街や庭。
どれもが読んでいるこちらの感覚を呼び覚ます。
行ったことのな -
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面白かった。『眩』より好み。
父と娘という、家族から見た創作の世界という点では、かなり似ている。でも、本人も同じ世界にいるか、全く外にいるかで見え方が違ってくる。
『恋歌』もそうだけど、やはり作家が物書きの話を書くと、同じ創作でも、臨場感が違う。
西鶴から発される熱のようなものに巻き込まれていく。
お玉の言葉に、おあいが、自分で思う自分と他人からの認識のずれを初めて自覚するところが、鮮烈で心に残る。
芭蕉や近松とのやりとりも興味深かった。
意識していなかったけど、この辺は同時代なんだなあ。
井原西鶴、その名だけはよく知りながら、どういう人なのかは全く知らなかった人物。
そういう意味でも、と -
Posted by ブクログ
直木賞受賞の朝井まかてさんの小説で、朝井さんの祖母だったかが沖縄出身で、この本の舞台が長崎の出島でということで、沖縄出身長崎在住の身としてはぜひともよまなければと思い購入。
するするーっと楽しく読めました。自分に自信がなかった主人公が、シーボルト先生と奥方と使用人と過ごすうちに自分のしごとに誇りと自信を持っていく、ほのぼの話…かと思いきや、シーボルト事件を絡めながら後半は関係者の意識のズレなども描写して日本と欧米の感覚の違いなどもアクセントとして出てきました。
後ろの解説の言葉を借りれば「その特色を一言でいえば、前述のごとく"軽妙"。そこに、独自のツイスト、ひねりが加わって -
Posted by ブクログ
はじめて朝井まかてさんの小説を読みました。題名に惹かれて。 江戸時代後期 鎖国時代に唯一海外との貿易を行っていた長崎の港。 その出島で薬草園を造るお庭番熊吉の成長記とオランダから来たシーボルトさんの交流記。
前半は熊吉がしーボールの屋敷の薬草園作りとお庭番になるまでが描かれていて どんな薬草園になっていくのかたのみみでした。 後半 有名なシーボルト事件を絡めてあってシーボルトのやばん(=日本人)に対する本性がでてわかって偏見がみえて残念でした。
別の視点からの感想。
職人としていろんな植物をあつかって薬草園を作っていく熊吉の仕事ぶりの中に 日本の自然の良さまでも随所に表れ お庭番も素敵な -
Posted by ブクログ
ネタバレそうか、お伊勢参りを題材にしたら、時代物のロードノベルがかけるんや。と、まずは目から鱗。こういう格好の題材の小説に巡り合ってこない俺って、選択眼がまだまだやなぁ。
女性同士の「ゆとりっぷ」小説に江戸時代という設定は違和感があると思う。現代を舞台にした方が、ドタバタする自由度も、登場人物たちが抱えるうっ憤も、もっとこなれて扱いやすいように思うのだが。
なんだか、薄っぺらいコメディ度合いが、いくよくるよ師匠を主人公にして作った30年前の新喜劇的な味わいだと思った。かといって時代設定をイマにしても、日曜夕方にやってる低予算バラエティみたいになるだろうし…。なんの予定もなく流れてしまった週末を惜し