朝井まかてのレビュー一覧

  • 落花狼藉

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    江戸の初期、吉原を幕府公認の傾城街にしようと働きかけた者達がいた。大見世の女将の花よの一代記。幼い頃迷い子だったかよを引き取り、後に夫となった甚右衛門と共に吉原を造り、何人もの妓達をまとめて見世を切り盛りするかよ。だが生来の気の強さで周りとぶつかる事も多い。そんなかよを叱咤しつつ導いてくれるやり手婆や揚げ屋の女将、番頭など人に恵まれながら成長する。
    後の吉原の安定が、意外にもこんなに多くの苦労があってこそだったのだと知る事ができる。女郎を主人公にした物は多いけど、見世の女将を主人公にした話は珍しいのでは。それも吉原が出来たばかりの頃の話で読み応えあった。

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    2022年10月24日
  • グッドバイ

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    ネタバレ

    幕末の動乱が目の前で起きている感じ、ただし、通信手段が今のようでないなかでの時代の変化、すごい時を過ごした気分になった。

    ビジネスのために、勘を磨くこと、信を得ること、心に刻まれた。

    そして、この時代なのに女ではなく、大浦慶として生きていることがすごいと感じた。

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    2022年10月20日
  • 阿蘭陀西鶴

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    大衆小説の創始者 井原西鶴と、盲目の娘 おあいの物語。
    ゴッホがそうであったように、創始者はなかなか時代に受け入れられず周囲の人に迷惑をかけつつ己の道を邁進するものなんですね。多くは朝井さんの創作でしょうが、父娘の関係が変わっていく様子は胸を打ちました。
    一方で研ぎ澄ますことで道を極める芭蕉のような存在も貴重だと思いますが、間口を狭めることで一部の人たちだけのものになったことが、いつくもの日本の伝統文化が細々としか継承されない結果を招いたのかな。

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    2022年10月01日
  • 落花狼藉

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    吉原が舞台なので、遊女たちの色恋沙汰が淡々と続く小説かとの思惑は、見事に外れた(良い方に)。
    主人公とも言うべき西田屋の女将花仍も夫の甚右衛門も狂言回しとも呼ぶべき役割で、主役は傾城町吉原そのものではないだろうか。
    著者は、江戸随一の遊郭となった吉原をその黎明期から緻密なタッチで描き出し、吉原の変遷や遊女たちの実態を、読者の目の前に開かせてくれた。

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    2022年09月23日
  • 落花狼藉

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    202208/とても面白かった!さすが朝井まかて先生!これも名作!素人考えなのは承知の上で、もっともっと読みたいので、年月とばさずに日常や再建のとことか細かく書かれた上下巻にして欲しかった…。

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    2022年09月14日
  • 草々不一

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    変な言い方だけど、山本周五郎と池波正太郎を混ぜて、藤沢周平を振りかけて、
    なお、なんともいえない、いい味を出している文。
    解説の人選もいい、作者が選んだひとなのだそうだから当然。
    好きなのは「紛者」「春天」

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    2022年09月07日
  • 落花狼藉

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    売色御免/吉原町普請/木遣り唄/星の下/
    湯女/香華/宿願/不夜城

    「吉原」が誕生した経緯。その後の幕府との駆け引きを吉原が生き残る方向へ向けるための思案。何となく栄華を誇っていたと思っていたけれど、それなりの努力があってこそだったのですね。春を売らせる男たちにも矜持があった。そういう人もいたかもしれない……

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    2022年08月28日
  • 落花狼藉

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    大変失礼な言い方だけど、最初あんまり期待しないで読み始めたのだけれど、期待?に反して、面白かった。志を持っていれば、仕事に貴賤はないのだと思った。

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    2022年08月22日
  • 雲上雲下

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    日本昔話のパロディ版かと思いきや、現代にまで繋がるストーリー展開で驚いた。
    短編の中でも小太郎と山姥の話が切なく、ぐっときた。

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    2022年08月22日
  • 眩(新潮文庫)

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    四月から続いた大きな仕事が一区切りした。
    ようやく楽しみのために本が読めるようになった。
    というわけで、お盆休みのおともの一冊に本書を選ぶ。

    葛飾北斎の娘で、絵師となった栄の物語。
    偉大な父であり師を持ったお栄。
    現代なら、プレッシャーに押しつぶされそうな環境だ。

    ところが、彼女はただ、絵の上達に励む。
    いわゆる朝ドラ的な前向きさとは違う。
    自分が自分になるために、どんなに苦しくても、そうするのだ。
    そのためには、女性としての生き方の規範などに拘泥しない。
    その振り切り方には、羨望をこめて、かっこいいという言葉しか出てこない。

    彼女がそのような人生を歩めるのは、父北斎自身、晩年に至るまで

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    2022年08月18日
  • 悪玉伝

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    これは恐れ入った。
    吉宗の時代、大疑獄事件になった、辰巳屋の相続のもつれ。
    主人公の吉兵衛は、辰巳屋に生まれたが別家に養子に出された次男。辰巳屋の主人だった長男が亡くなり、養子がまだ若く不甲斐ないために、辰巳屋の跡を継いだ。
    これが不当として奉行所に訴えられ、一旦は治ったものの、今度は江戸の目安箱に訴えが及び、江戸での訴訟となる。

    吉兵衛の人となりが今ひとつ好きになれず、前半はとてもダラダラ読んでしまった。
    訴訟となり、牢に吉兵衛が入ってからは、俄然面白くなり、一気に読み終えた。
    彼が訴えられたために、確かに辰巳屋を潰したと言えるから、悪玉なのだろう。しかしながら、本当にダメだったのは彼なの

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    2022年08月18日
  • 藪医 ふらここ堂

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    朝井まかてさんの手慣れた江戸物語。小児医三哲、その娘おゆん、その弟子次郎助など脇役も個性豊かに書き分けられて飽きない。あー面白かったと読み終えられる一冊。こんな先の見えない今に一服の涼を得られる。

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    2022年07月21日
  • 悪玉伝

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    大坂商人の木津屋吉兵衛は優雅な生活を送っていたが、実家の辰巳屋久佐衛門の急逝で物語が展開する.大番頭の与兵衛に牛耳られていた辰巳屋の跡目争いで本命の乙乃助が与兵衛と組んで良からぬ企みを企ていることを察知した吉兵衛が動き始める.久佐衛門の満中陰は無事に終えたが、乙之助が訴訟を起こし最終的に吉兵衛は江戸送りとなる.牢名主らとうまく立ち回る吉兵衛は、自白はせず事件の拡大を横目で見ながら、最終的に黒幕の唐金屋与茂作との交渉で、遠島の沙汰を減じてもらうことになる.大坂商人の辛抱強い気質と多くの人を巻き込む人柄が最終的な勝利につながる物語だが、江戸時代の風景が滲み出てくるような記述には、著者の力量を感じた

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    2022年07月21日
  • 先生のお庭番

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    面白かった。きっとそういう結末なんだろうなぁと思いつつ十分楽しめた内容だった。登場人物がどれも個性的で良かった。

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    2022年05月31日
  • 草々不一

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    時代小説の短編集。太った女芸者のヒモぐらしをする「紛物」、不貞な妻と思っていたら良妻だった「蓬莱」、隠居が手習いする「草々不一」などが、斬新な設定のお話に感じられてとても良かった。長編が読みたいね。

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    2022年05月11日
  • 雲上雲下

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    初めのうち、草どんが子狐にひたすら昔話を語るお話かと思ったんですが…読み終えてみたら、いやはや、雄大というか壮大というか、とても大きくて深いお話でした。確かに今の世の中、おばあちゃんのそのまたおばあちゃんから口伝えで伝わったお話を知ってる人の方が少ないでしょうし、元のお話が持っていた残酷さもきれいに削られて「めでたしめでたし」なお話になっているとも聞きます。こどもの育ちのためには多少の痛みやいやな思い、残酷さや少々の毒気も知っておくべきとは思うのですけどねぇ。神様はいないのではなく、人が信じて初めて存在するのだと改めて思いました。

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    2022年05月07日
  • 最悪の将軍

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    生類憐れみの令で人々の心に養いたかったもの。
    戦国の世から、泰平の世にするのに必要だったもの。

    文を以て、真に泰平の世を開き申す。

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    2022年04月26日
  • 雲上雲下

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    良い本を読んだ。この本の言おうとしていることに私も共感する。
    お伽噺が最初は語られていくが、後半になり語り部の草どんの話へ。日本の古来からある八百万の神などの神々を存在たらしめるものが人々が語り継ぐお伽噺の中にある。それを現代の人間は忘れ、疎かにして神々の存在を儚いものに。
    そう言う意味からも「にほん昔話」復活も併せて望みたい。

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    2022年02月17日
  • 先生のお庭番

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    シーボルトの薬草園の庭師として雇われた熊吉とシーボルトの心の交流を描く物語。向学心旺盛な熊吉の成長、シーボルトの妻、滝の生活があの事件に依って大きく変わってしまう。

    シーボルト事件は歴史の勉強の時に出てきて知ってはいたが、この作品でシーボルトなる人物の一部を知ることが出来た。兎に角、面白い作品であった。この作者の作り出すフィクションの部分がさも事実であるが如く感じさせるのは作者の力量の表れだと思う。

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    2022年02月10日
  • すかたん

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    高田郁の「みをつくし料理帖」や「あきない世伝金と銀」の様な味わいを感じる小説でした。
    商いに対する思い、周りの人に対する思い、何かに取り憑くように事に勤しむ思い、楽しんで読ましていただきました。少し出来すぎた結末に軽さを感じるも、御寮人志乃の最初からの思いも最後に明らかになり、納得。次は、「恋歌」のページを括りたいと思います。

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    2022年02月03日