朝井まかてのレビュー一覧

  • 阿蘭陀西鶴

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    面白かった。西鶴の娘、おあいの視点から西鶴を描いている。どこまでが史実なのかわからないが、おあいは盲目だが、亡母に仕込まれて料理も裁縫も一通りのことはできるようになっている。だから同情されたり、必要以上に気をつかった挙句に、盲目だから何もできないと決めつけられるのが嫌いというあたり、現在の障碍者問題にもつながる部分がある。西鶴のほうは俳諧から戯作者、芝居の作者と挑戦していく。西鶴の一代記というだけでなく、おあいの父親に対する気持ちの変化が一緒に書かれることで、西鶴の人間味が増しているようだ。

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    2018年01月22日
  • すかたん

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    ネタバレ

    評価は4.

    内容(BOOKデーターベース)
    江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?

    江戸を舞台とした恋愛話なので結果は読めちゃったが、破天荒な若旦那はなかなかのやり手だし、女主人は絵に描いたような厳しさの中にこれまた良くある優しさと苦しみを抱えて等々ドラマには向いていると改めて。キャストだな~~~。

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    2018年11月14日
  • 藪医 ふらここ堂

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    登場人物のキャラがそれぞれ立っててとてもいい!
    朝井まかては『恋歌』から読み始めたけど、こういう笑いありの人情小説も面白かった!
    ふらここ堂を取り巻く面々の日常生活がこの小説を面白くしてくれている。
    江戸時代の生活の漢字をすごく身近に感じることができた。

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    2017年12月28日
  • 御松茸騒動

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    朝井まかて氏の時代小説は楽しい。ユーモアがあるし、庶民に生きる力をくれる。▼幼いころから才気にあふれた18歳の尾張江戸藩士の榊原小四郎は、同僚上司の事なかれ主義に反感を抱く。その結果、尾張国許の御松茸同心を命じられ、ひょうきんな3人の叔父「さんべえ」と尾張に赴く。心に不満を抱きながらも、松茸の不作の原因を探り、ついには御松茸の御林をよみがえらせる。筋も通っているし、人情もあふれている。

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    2017年11月10日
  • 先生のお庭番

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    前半は静けさがあり美しく、後半はハラハラし心痛み、読み応えがありました。本当は先生はどんな人だったんだろう…。
    京屋で熊吉をさんざんいじめていた助太郎がその後どうなったのか知りたかったりもした。

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    2017年10月20日
  • 御松茸騒動

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    松茸の生態と主従関係との共通点など、深い。
    尾張が舞台のお話は珍しくて、方言も楽しく読んだ。
    三べえの存在感が良い。

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    2017年10月17日
  • 先生のお庭番

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    ネタバレ

    「やぱんの職人は途方もなか腕と知恵をもっておる」
    日本の職人魂を改めて見せつけられた物語。

    長崎の出島で生まれ育ち、主であるしぼると(シーボルト)先生に慈しまれて仕えた「先生のお庭番」コマキ。薬草園を出島の屋敷に造り育てていく。
    以前長崎を旅した時に出島も見たが、あまりの小ささに驚いたことを思い出した。
    そのごく一部に、世界と繋がる薬草園があったとは。

    シーボルトが愛したと言われる紫陽花は有名だけど、それは日本の職人の真摯な想いとたゆまぬ努力、そしてプライドが造り上げたものだった。
    また長崎の出島を訪れたい。

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    2017年08月19日
  • 阿蘭陀西鶴

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    西鶴と娘、おあいとの物語。

    幼い頃母を失い、父と二人で生きていくことになったおあい。
    最初は父を身勝手で、自己顕示欲の塊で、盲目の自分を客前に出して自慢するのも、売名のように感じていたおあい。
    次第に父の愛情を感じ取れるようになっていく。

    談林派の俳諧師から、草紙の作者へ、憑かれたように創作活動に打ち込み、やがて人の業を描き切ることができないと嘆くようになる、西鶴の創作の軌跡に、おあいはぴったりと寄り添う。
    そんな矢先に、二人の暮らしに終焉が訪れる。
    その幕引きは寂しく、切ない。

    おあいの感覚を通して描かれる人々の姿、街や庭。
    どれもが読んでいるこちらの感覚を呼び覚ます。
    行ったことのな

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    2017年07月21日
  • 先生のお庭番

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    切なくて、美しい話だった。
    日本の良いところ、悪いところ、美しさがきれいに描かれていると思う。

    嵐に対して怒りを抱かない日本は、今もそうなのかも。
    怒りが全くないわけではないけれど、自然を受け入れ、共に生きること。日本人は昔から、そうしてきたんだなと思う。

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    2017年07月17日
  • 阿蘭陀西鶴

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    文庫で再読しました。前回をふんわりとしか覚えてなかったので、熱量を持って読めました。とても面白かったです。盲目の娘・おあいの語りで描かれる井原西鶴の生涯が生き生きと伝わってきました。2人を取り巻く登場人物たちも生き生きとしていて、読んでいて楽しかったです。初めは俳諧、次に草紙と、西鶴の紡ぐ言葉が気になりました。読んだこと無いけど読んでみようかな…と多分前回も書いた気がします。おあいがだんだん西鶴の思いを知っていくのも良かったです。お玉のラスト辺りの台詞も良かったな。こんな生き方もあっていいのですよね。

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    2017年07月14日
  • 阿蘭陀西鶴

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    面白かった。『眩』より好み。
    父と娘という、家族から見た創作の世界という点では、かなり似ている。でも、本人も同じ世界にいるか、全く外にいるかで見え方が違ってくる。
    『恋歌』もそうだけど、やはり作家が物書きの話を書くと、同じ創作でも、臨場感が違う。
    西鶴から発される熱のようなものに巻き込まれていく。

    お玉の言葉に、おあいが、自分で思う自分と他人からの認識のずれを初めて自覚するところが、鮮烈で心に残る。

    芭蕉や近松とのやりとりも興味深かった。
    意識していなかったけど、この辺は同時代なんだなあ。
    井原西鶴、その名だけはよく知りながら、どういう人なのかは全く知らなかった人物。
    そういう意味でも、と

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    2017年06月14日
  • 阿蘭陀西鶴

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    前半はのらりくらりと面白みなく中盤から面白くなってきた。西鶴の作品を何か読んでみたいと思っていたが、この本を読むとその書かれた背景が描かれていてどれを読んでよいものかますます迷う。

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    2017年05月04日
  • 阿蘭陀西鶴

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    それにしてもエライ父親を持ってしまったものだ。
    辛抱の中に時々差す陽の光。
    目には見えなくても伝わる体温や匂い。
    西鶴の娘 おあいは不幸だったと誰が断言できようか。

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    2017年01月29日
  • 阿蘭陀西鶴

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    井原西鶴なんて名前と「好色一代男」しか知らないわけで、、ましては今日こうやって小説が読めるのも彼のおかげだなんて知るよしもない。
    おあいを通してその時代背景や世相を知るのだけれど、見聞きしたわけではないのにグッと身近に感じられる。

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    2017年01月26日
  • 先生のお庭番

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    一人の少年が、「先生のお庭番」としての
    矜持をもち、仕事を通じて成長していく姿。

    ひとつのことを極めようと
    そして、敬愛する先生のために
    よりよい仕事をしようとする姿にも
    心撃たれるが
    日本という国の、信頼と誇りをもった仕事が
    遠い昔から驚きに値する品質で培われてきたことに
    嬉しさと、背筋がのびる想いを抱いた。

    先生と奥様の夫婦愛。
    そこには、さまざまな事情もあったけれど
    根底に流れる互いを想う気持ちにも
    深く心撃たれた。

    紫陽花の青色がいつまでもまぶたを閉じれば
    広がるような、さわやかで美しい作品だった。

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    2016年09月14日
  • ぬけまいる

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    ネタバレ

    幼馴染のおてんばだった以乃志花蝶の3人が十五年後のある日突然にそれぞれに自身の問題を隠し抱えながらお伊勢さんの抜け詣りに出発するその道中の物語。お以乃がその道中で出会い慕わしく思うようになる長五郎の正体が最後に博徒で売り出し中の清水次郎長であると知り、溢れ出る恋慕の気持ちを抑えて江戸へ戻る決意が切ない。でも名前がおちょうじゃないから次郎長の妻にはならないと初めからわかってしまっていたのだけれどww

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    2016年08月10日
  • ぬけまいる

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    さくさくと読める。
    ライトノベルのちょっと大人系かな?

    しばらくまともに読書生活してなかったから、リハビリにはもってこい。
    もうしばらく作者の本を読んでみよう。

    伊勢参り。三人組。どたばた。
    恋と人情と・・・なんでも詰め込み!

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    2016年06月13日
  • 先生のお庭番

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    直木賞受賞の朝井まかてさんの小説で、朝井さんの祖母だったかが沖縄出身で、この本の舞台が長崎の出島でということで、沖縄出身長崎在住の身としてはぜひともよまなければと思い購入。
    するするーっと楽しく読めました。自分に自信がなかった主人公が、シーボルト先生と奥方と使用人と過ごすうちに自分のしごとに誇りと自信を持っていく、ほのぼの話…かと思いきや、シーボルト事件を絡めながら後半は関係者の意識のズレなども描写して日本と欧米の感覚の違いなどもアクセントとして出てきました。
    後ろの解説の言葉を借りれば「その特色を一言でいえば、前述のごとく"軽妙"。そこに、独自のツイスト、ひねりが加わって

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    2016年04月05日
  • 先生のお庭番

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    はじめて朝井まかてさんの小説を読みました。題名に惹かれて。 江戸時代後期 鎖国時代に唯一海外との貿易を行っていた長崎の港。 その出島で薬草園を造るお庭番熊吉の成長記とオランダから来たシーボルトさんの交流記。 
    前半は熊吉がしーボールの屋敷の薬草園作りとお庭番になるまでが描かれていて どんな薬草園になっていくのかたのみみでした。 後半 有名なシーボルト事件を絡めてあってシーボルトのやばん(=日本人)に対する本性がでてわかって偏見がみえて残念でした。 

    別の視点からの感想。
    職人としていろんな植物をあつかって薬草園を作っていく熊吉の仕事ぶりの中に 日本の自然の良さまでも随所に表れ お庭番も素敵な

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    2016年03月14日
  • ぬけまいる

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    ネタバレ

    そうか、お伊勢参りを題材にしたら、時代物のロードノベルがかけるんや。と、まずは目から鱗。こういう格好の題材の小説に巡り合ってこない俺って、選択眼がまだまだやなぁ。

    女性同士の「ゆとりっぷ」小説に江戸時代という設定は違和感があると思う。現代を舞台にした方が、ドタバタする自由度も、登場人物たちが抱えるうっ憤も、もっとこなれて扱いやすいように思うのだが。

    なんだか、薄っぺらいコメディ度合いが、いくよくるよ師匠を主人公にして作った30年前の新喜劇的な味わいだと思った。かといって時代設定をイマにしても、日曜夕方にやってる低予算バラエティみたいになるだろうし…。なんの予定もなく流れてしまった週末を惜し

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    2016年03月06日