朝井まかてのレビュー一覧

  • グロリアソサエテ

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    柳宗悦の家で女中として働くサチの見た、柳家の暮らし、宗悦と彼の友人である河井寛次郎、濱田庄司との交流、民藝運動の歩みが描かれる。日常生活の中の道具に美を見出し、その美しさを世に伝えようとした彼らの活動。そのために気に入った道具を好きに買うのだが、そのためには勿論資金が必要。稼ぐためには働かないと公言する宗悦を、妻である兼子が歌って稼いで支えている。兼子さんはパワフルで潔く、濃やかな気遣いのできるとても魅力的な女性である。
    兼子さん含め、作る料理がとても美味しそう。そしてとても贅沢である。旬の食材、当時一般的だったとは思えない肉や乳製品。洋食のメニューも豊富で、ご相伴にあずかりたいと何度も思った。
    サチと一緒に働く女中のばあやが、微妙にサチをいじめたりするのだが、サチがさっさと扱いをマスターしてしまい、上手くやっていくのがおかしかった。

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    2026年05月11日
  • 豆は煮えたか

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    一時は近世の実在人物を描いた歴史小説が多かったまかてさん、2023年の『どら蔵』に続く(間に『グロリアソサエテ』が入ってますが)、原点回帰的な人情物の時代小説~連作短編~です。
    主人公の水茶屋・ささげやの女将のお玉は予知能力者。とは言え、ささやかな能力で、手に触ることによってその人の数年後の姿が思い浮かぶと言うレベル。持ち込まれる悩みも左程の事は無く、予知能力はあくまで背景です。物語は亭主を事故で亡くし苦戦するお玉と、それを取り巻く人々の助け合いを描く人情物の時代小説です。違和感を感じさせない話の持って行き方や、季節感の織り込み方など流石に慣れたものです。
    ただ、ちょっと人名に苦戦。最初に登場した時に名前が明かされず、次回で明らかになる例が多く、途中で少々混乱してしまいました。

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    2026年05月07日
  • 御松茸騒動

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    御松茸騒動の、どのくらいが史実でどのくらいがフィクションなのかな…と思いながら読んだ。
    それにしても、何百本と勝手気ままに注文してくる上役のなんと酷いことか。今の時代にも通じるものが多い気がする。

    松茸、美味しそう。さいて炙って、ちょっと醤油垂らして、贅沢に食べたい!

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    2026年05月05日
  • どら蔵

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    放蕩息子の寅蔵が大阪から江戸に出て古物商として成り上がる。
    主人公にあまり魅力を感じられない。
    寅蔵の才覚は薬売りを利用した通販制度の創造だけで、他は周囲の善意による他力な成功にしか見えなかった。
    吉川英治文学賞受賞という事で読んだが、そこまでの小説とは読めなかった。

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    2026年04月15日
  • 秘密の花園

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    大河ドラマ「べらぼう」を毎週楽しみに視聴していた。読書や浮世絵、狂歌など、あの時代に、庶民が楽しめる娯楽があんなにたくさんあったなんて、本当にすごいと思う。日本人の文化度の高さに、同じ日本人としてとても誇らしい気持ちを持ちながら見ていた。
    その「べらぼう」にも登場していた、曲亭馬琴の人生が描かれている作品。
    「べらぼう」で蔦重が亡くなった後の江戸の出版業界のことなども描かれていて、興味深かった。

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    2026年04月03日
  • 残り者

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    主人の言いつけにも背いて、江戸城大奥に居座るさまが、最初イライラして、『見つかったらそれこそ主人が大迷惑やん!この不忠義者!』と思ったけど、読み終わると、なんか凄くよかった笑

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    2026年03月29日
  • 秘密の花園

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    また読み応えのある
    家族思いな馬琴と蔦重時代という作家バブル期のイケイケ感。儚いお嫁さん達と百の図太さと息子娘と嫁婿たち。ほっこりしてしまうようなお話だった。路もなかなか好きなキャラだったなー。

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    2026年03月26日
  • どら蔵

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    真贋の世界は、私のような者には、全く分からない。古道具や価値ある物、工芸品、芸術品。誰かが気に入れば高値になる世界の様子を垣間見せてくれた。最初は、読み辛かったが。

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    2026年03月11日
  • 名こそ惜しめよ 歴史小説アンソロジー

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    北条政子を軸に日の本のひとつの時代が歴史小説として五人の作家によって描かれる

    源平のとき、御所と鎌倉の確執、
    武士という生き方、女として生きる道……

    そして時は流れ去る

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    2026年02月16日
  • 眩(新潮文庫)

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    朝井まかて『眩』。
    朝井まかて作品、初読み。

    葛飾北斎の娘・お栄こと、葛飾応為。
    北斎の娘として、父を支えながら、その才能に葛藤しながら、絵師として、自らの画風を見出していく…
    善治郎との叶わぬ恋、甥・時太郎の起こした不始末への尻拭い。

    なかなか知ることもなかった、葛飾北斎の娘・応為。葛飾北斎自体、浮世絵師であることと『富獄三十六景』程度くらいしか知らないが…

    江戸っ子の小気味よさが感じられる。
    最後に自分の画風にたどりつけて、よかった。
    支え続けるだけの人生だけではなく…

    しかし、時太郎だけは…
    いつまで経っても…
    ろくな最後は迎えられないんだろうが…

    お栄には長澤まさみがぴったりだったと。
    ずーっと長澤まさみだった。


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    2026年02月01日
  • どら蔵

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    なるほど骨董品は真偽ではなく、良し悪しが大切。とはいえ骨董品は、欲しがる人がどれだけいるかによって値段が決まる世界。物を見る目は養うことが可能なのでしょうか?

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    2026年01月31日
  • 先生のお庭番

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    タイトルと帯に惹かれて。
    帯には「根づかせたい、日本の花を 運びたい、あなたのために」と書いてある。
    私は植物が大好きなので、植物関係で時代ものの小説なんてたまらんのだ。

    開国前の長崎。
    タイトルの先生というのはシーボルト。
    そう言えば昔長崎に行った時にシーボルトの何かがあったような…行かなかったけれど。
    なのでシーボルトって名前は知ってるけど何した人?状態で読み始めた。
    とはいえ主人公はシーボルトではなくそのお庭番。
    それぞれのキャラクターも良くてストーリーも気持ちよく進んで面白かった。
    ただちょっと最後はかけ足気味というか、これで終わりかという物足りなさがあったかなぁ。
    もうちょっと、最後のあたりの展開をがっつりと読みたかった…。
    まあそんなわがまま心は出ちゃったけども、面白かった!

    朝井まかては3作目かなあ?
    結構好きな作家さんかも。

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    2026年01月24日
  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    大河べらぼうが始まった1月末ごろに読んだ時には、なかなか進まず断念していた本作。
    フル視聴後にもう一度手に取るとスルスル読めました。

    登場人物の多くが知っている人になり、役者の顔も浮かぶので読みやすくなりました。

    今の朝ドラばけばけにも通じるところがありますが、武家というのはしきたりも家督のことも、難しいものだと思いました。子供が無事に成長することも難しい時代にあって、後継がいなくなれば身内の子供を養子にしたり株を買ったり。。

    出版社が変わりながらも28年もかけて、視力を失いながら口述も活用して長編小説を完成させたとのこと、里見八犬伝に俄然興味が沸く。いつか読んでみたい作品です。

    ちょっと調べただけでは、馬琴が奉公先でうけた暴行によりつけられたアザが、八犬士のアザにつながったことが史実かどうか判別できませんでしたが、そこに胸を打たれました。

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    2026年01月18日
  • 草々不一

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    どれも味わいが違って、面白い。
    時代小説らしさと現代的な感覚がいいバランスで、読みやすい。
    短編集ならではの満足感。

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    2026年01月06日
  • ボタニカ

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    実在の人物とは知らずに読みました。
    朝ドラの方のお話しだったのですね。
    人としては欠ける所もかなりあったようですが、ここまでの偉業を成し遂げたのであればもはや植物に愛され植物のために生きてきた人物。そうなれたのも周囲のお陰でもあるのでしょう。特にスエさんは想像できないほどの苦労人だったかと思います。ナオさんも。
    ドラマのほうもいつかみてみたいです。

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    2026年01月04日
  • 白光

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    江戸から東京へ移り変わるとき。
    貧乏藩士の娘「りん」は絵で身をたてるために
    ひたすら邁進する

    ロシアへ行き、やがてニコライ堂のイコン作家となるが
    時代はやがて日露戦争へ・・

    激動の人生を送ったひとりの女性を描いた重厚な作品

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    2025年12月23日
  • 最悪の将軍

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    朝井まかてさんは初めて読む作家さんだ。きっかけはなんだったろうか。。忘れてしまった。それだけ積んどく期間がながかった。
    徳川五代将軍綱吉と御台所の物語。四代将軍家綱が薨去するところから物語が始まる。綱吉が主人公はとても目新しい。時代小説としては、儒学の思想が色濃い。文治政治推進として堀田正俊の抜擢による綱吉将軍時代の最初期の政治から始まる。その後、親政期を経て側用人牧野、柳沢の時代へ29年の治世が綱吉目線とそれを精神的に支える妻の目線を交錯させるように描いている。
    封建制という今と違う社会であるので将軍の考えていることを下層へどう伝えていくか。宮廷政治化する江戸城内の雰囲気も良く分かったが、綱吉個人の考えと老中、奉行さらには庶民の思いの乖離を綱吉は嘆くのだが、伝え方にも問題はなかったのか自身への振り返りの少なさが小説としての表現に歯がゆさがあった。
    この小説は、江戸城内だけが舞台だ。とにかく城内から動かない。最後の最後、御台所が増上寺境内にて柳沢吉保会話を交わすところが城外でのシーンで印象深い。ただ、全体的に思考小説というべきか。将軍綱吉の覚悟のみが際立つ内容だった。
    最新の史実研究が反映されているので犬公方、生類憐みの令、貨幣対策など今とは違う評価の元、内容が構成され主人公の思考が紡がれているので江戸時代前中期を学び直すという点では驚きも多かった。

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    2025年12月06日
  • 秘密の花園

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    NHKべらぼうで丁度滝沢が婿入りする回と重なった。「曲亭馬琴」は耕書堂の手代の頃に付けた名前だ。馬琴の武家としての一生と、戯作者としてのあれこれと、そして家族の儘ならないすったもんだが語られた。どれかが欠けても馬琴にはならないのだろう。
    山東京伝・恋川春町など、読みながらテレビの面々が浮かんでくる。

    滝沢家では亡き父、兄、自分と花癖(かへき)があり、庭も丹精してきた。
    書きに書き、読みに読んで盲目となった馬琴には亡き息子と共に手を入れた庭が見えている。

    この題名にはしっくりこないが、朝井まかてのたっぷり書く渦に飲み込まれた。

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    2025年11月24日
  • どら蔵

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    大阪の道具商の放蕩息子が奉公先でやらかして勘当され、行き着いた先は江戸。
    手練れ達に揉まれながら成長していく。
    ...のだがも少し盛り上がりがほしいところ。

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    2025年11月06日
  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    曲亭馬琴の一代記。

    「八犬伝」はNHK人形劇で小学生の時にリアルタイムで見ていたので、おおよそのストーリーは知っていますし、
    曲亭馬琴は山田風太郎の「八犬傳」を朝日新聞連載時にリアルタイムで読んでいたのである程度知ってるつもりでした。
    本作は八犬伝がメインではなく、あくまで滝沢興邦(馬琴)の生涯を丁寧に描いていると思います。
    これも新聞小説だったというのは何かの一致のようで不思議な感じです。
    また、大河ドラマの後日譚的な要素もあって面白かったです。

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    2025年10月18日