あらすじ
泣ける。笑える。心がほっこり温まる。
身分としきたりに縛られた暮らしにも、喜怒哀楽、切なくも可笑しい人生の諸相があった。江戸の武家の心を綴る、傑作時代小説短編集。
朝井節、ますますの名調子。
1冊に長編8作分の人生が。
「紛者(まがいもの)」助太刀を頼まれた、牢人者の信次郎。頼まれたら断れないのが武士だが。
「青雲」立身する者とできぬ者。分かれ道を説く上司に悩まされ。
「蓬莱」大身の旗本家へ婿入りしたはいいが、妻から3つの約束をさせられて。
「一汁五菜」刀ではなく包丁で仕える江戸城の料理人が、裏稼ぎに精を出す。
「妻の一分」大石内蔵助の妻、りくにとっての忠臣蔵を、そばで見守った者がいた。
「落猿」藩の外交官である江戸留守居役が、公儀との駆け引きの最中に。
「春天」剣術指南所の娘と二刀流の修行人。剣で心を通わせた二人の行く末は。
「草々不一」漢字を読めない隠居侍が、亡き妻の手紙を読むため手習塾に通い始める。
感情タグBEST3
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身分としきたりに縛られた暮らしの中にも、様々な人生がある。
縛りがあろうとも、理不尽なことがあろうとも、その枠組みの中で日々を暮らしていく姿を読むと、自分が悩んでいる事柄などたいしたことじゃないなと思った。
とても贅沢で、じんわりと胸に響く短編集。
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江戸時代の武士の8つの物語を綴った短編集。
浪人となった男の仇討ち、商家に奉公していたものの兄の死により後継として呼び戻された下級武士、良家への婿入りと不思議な条件をつける嫁、将軍の料理番、大内内蔵助に拾われた犬から見た忠臣蔵、時に聞役という留守居役、女流剣士、字の読めぬ隠居の手習など多様でキャラ立った主人公を中心に繰り広げられる物語が秀逸。
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朝井まかてさんの短編集、
決して楽しい話ばかりではないのに、心が休まる。
表題の「草々不一」、隠居してから妻が遺した書を読むために子供に交じって文字を習う姿、我が身に置き換えてみる。
Posted by ブクログ
福袋に続いて短編でした。内容の濃い短編でしたよね。こんなにたくさんあるのはアイデアノートがいっぱいになって本には出来ないけど世に出そうと考えたのですか?うがった見方してみた。でも完結しているから、そういう訳じゃないか。蓬莱が1番気に入った。まさに仙人の様な波津の存在に献身的な生き方、一目惚れして一途に好きだったのだね、子供達の成長をみればどれだけ仲の良い夫婦なのかわかります。旦那も疑いから始まって途中から気付いたんだね、あの魚を持って台所に入った時から時は動いたのかな。
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贅沢な短編集。
朝井まかてさんのエッセンスがたっぷり!
概ね武家の、窮屈で面倒くさいあれこれが面白い機微となって読み応えがある。
恋、料理、政治、ミステリ、忠臣蔵!
いろいろ含有された、面白いお話ばかり。
1日で読んだのに、あまりに盛りだくさんな内容のため、最後まで読み終えたら、最初のお話が、遠い旅の彼方のよう。
まだまだ追いかけがいのある作家さんだと思った。
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久しぶりの時代小説&朝井まかて
やっぱり朝井まかては良いなぁ。
8編からなる短編集です。
一話約60ページ…
無駄な表現なく、読みやすく、笑いありのホロっと涙
表題作の草々不一には泣かされました。
長編もいいけど短編は上手さが際立ってます(^ ^)
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紛者/青雲/蓬莱/一汁五菜/
妻の一分/落猿/春天/草々不一
信次郎の心、真吾の想い、波津の愛、伊織の料理、りくの心意気、野口の返答、芙希の望み、忠左衛門の不一
誰にも、語りつくしていない思いがある。それを思いやる人がいる。大事にしたいことだ
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身分やしきたりに縛られる武士。
それでも彼らには彼らなりの生活があり苦労がある。
そんなホロリとしながらくすっと笑える姿を描いた短編集。
漢字の読めない隠居侍が亡き妻の手紙を読むために
手習い所へ通う表題作がいちばん好き。
妻の最後の1文が秀逸
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変な言い方だけど、山本周五郎と池波正太郎を混ぜて、藤沢周平を振りかけて、
なお、なんともいえない、いい味を出している文。
解説の人選もいい、作者が選んだひとなのだそうだから当然。
好きなのは「紛者」「春天」
Posted by ブクログ
時代小説の短編集。太った女芸者のヒモぐらしをする「紛物」、不貞な妻と思っていたら良妻だった「蓬莱」、隠居が手習いする「草々不一」などが、斬新な設定のお話に感じられてとても良かった。長編が読みたいね。
Posted by ブクログ
短編は一気に読めない性格ゆえ、ゆっくり堪能いたしました。
どの作品も、温かい。江戸らしい。
素敵な作品ばかりでした。
タイトルと同じ、最後の『草々不一』は一番好き。
こういう、賢い女性にあこがれるし、子どもたちに混じって一生懸命努力する親分も素晴らしいと思いました。
やっぱり江戸っていいな。
Posted by ブクログ
赤穂浪士からペリー来航まで、江戸時代って言っても様々ですが、何なら維新の後の不平士族の反乱も含めて、武士の社会を味わえます。
短編集ですが、いずれの話も「続きが知りたい」終わり方でもやもやしてたら、解説で佐藤江梨子さんが二つだけ続編を書いてくれてました。
「蓬莱」「草々不一」の二編の妻が実にとっても純愛でステキ。
Posted by ブクログ
時代小説短編集。武士達の様々な日常を描く。
芸者のヒモだった浪人がある若い武士と出会った事で亡き兄の無念を思う。
商家に丁稚奉公していた武家の三男坊が突然生家の跡継ぎとなる。小普請組の仕事とは。
赤穂藩の国家老大石内蔵助の飼い犬となった犬が語る大石家の内実。
大奥の料理人が密かに狙うものとは。
様々な立場の武士達の物語。
よく時代小説にでてくる武士達の仕事がどんなものかよくわかった。
市井物とも剣豪物とも違う武士のお仕事話。