朝井まかてのレビュー一覧
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ネタバレ青姫
著者:朝井まかて
発行:2024年9月30日
徳間書店
初出:「読楽」2020年9月号~2021年1月号、2021年5月号~12月号
時代小説の市井ものとしてはナンバー1の人気作家、朝井まかての新作。徳川の治世が始まって30年、寛永年間のある山里が舞台。おそらく日本海に面したエリア。新潟あたりであろうか?当初は市井小説かと思えたが、その特別な郷は一人の少女風の女性が頭領を務め、武家の出のものたちが側近に仕える。主人公は農民だが、皇族、武家なども絡む。単純な市井小説とは違う。このジャンルはなんと表現すれば?
甲斐国の名主の四男、杜宇(とう)が主人公。次男と三男が若死にしているので、嫡 -
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江戸末期から明治の長崎と大阪が舞台。
当時珍しかった洋食屋を長崎で開き、その後、大阪に進出してホテルを開業する丈吉と妻ゆきの話。
当時の外国人と日本人との関係性や、苦難を乗り越えながら発展する大阪が興味深い。
長編小説だが、丈吉の妻のゆきの視点で語られ、時には共感しながら、楽しく読み進められた。ゆきは長崎弁が愛らしく、力には自信があり、さっぱりした性格を持つ。彼女には料理の技術はないため、料理人として夫を手伝える義妹のヨシを羨むことがあり、疎外感を感じることもあった。しかし、晩年は彼女の役割を受け入れて、精一杯こなしているようで安堵する。 -
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お庭番と聞くと、隠密とか忍びとか物騒なほうを
思い出すが、この本の舞台はあの時代に唯一開かれた出島の地でシーボルト先生が作りたかった薬草園。
まだまだ庭とも呼べぬほどの敷地に
主人公である駆け出しの庭職人の熊吉が
試行錯誤しながら薬草や草花のお世話をし
やがて壮大な薬草園を作り上げ、守り
そしてシーボルト先生の望みを叶えるべく
強くなるまでの話。
薬草や、草花がたくさん出てくるので
想像の中さえも色とりどりで楽しい。
ときには雨に濡れた土の匂いさえ感じるようだった。
シーボルト事件がある以上、結末は見えているのに
熊吉や、奥方と同じようにシーボルト先生を信じたくなるような物語だった。 -
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実はラグーザお玉の話と間違えて手を出した。
明治時代・女性画家・渡欧…
経歴もちょっとかすってるっぽいですが
こちらはロシアに留学して
イコン制作で多くの作品を残した人でした。
山下りんさん、なかなかの気丈夫さんで
留学先の修道院でも
言葉もわからないのに納得するまで激論。
西洋絵画を学べると思って行ったはずが
模写させられるのはロシア正教のイコンばかり。
(教科書に載ってた、あの平面的なモザイク画?)
そりゃ腹も立ちますわ。
宗教画に美は不要、という修道女たちの考えもわかる。
逆に信仰心のない人間でも
心を込めて描かれた宗教画を見て
グッとくることもあるのが難しいところ。
帰国してから -
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ネタバレ滝沢馬琴の一代記。
忠義を尽くした父親への権力者・藩からの不義理、主君に虐げられる日々への憤りを年少時代に経験し、自身で生きていく道や家名復興を目指す姿に江戸時代らしさを感じる。
強くあろうと生きてきた中で、老齢になってから、病弱な実子に告げる悔恨や弱さを吐露する場面が生々しい。
八犬伝を描き終えた後の、話の中では南総に理想の国を作りたかったんだという言葉が、馬琴の紆余曲折の人生と作家感を締めくくる言葉にふさわしい。
稗史小説の執筆法と楽しみ方を
「史実の種を見出し、文章を耕して種を蒔き、大いなる虚を育てる。」
(稗史を通じて人々に遥けき世界を見せる。)
と表しているが、著者(朝井まかてさん