朝井まかてのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
去年、NHKの明治神宮の森という番組や
昆虫写真家の佐藤岳彦氏の 写真展
「 明治神宮の森 」を見に行って、明治神宮の森の豊かさに驚いた。そこには何千、何百種もの昆虫や粘菌、きのこが存在していて、観て観たいと思った。しかも、原生林ではなく、全て人工林でできていると知って、この森の成り立ちにすごく興味を持った。明治神宮の森の成り立ちや、歴史をもっと知りたいと思っていた時に、平成から令和へ時代が移り変わり、そういえば明治天皇や大正天皇の時の代替わりはどんなだったか知らない、当然生まれていないからだけど、いろんなことが知りたくなってたときにこの本 落陽 に出会った。 明治天皇の人となりをうかがい知ることがなかったが、読んでみてほんの少しでもどういう天皇だったか、触れてみると、だから、日本の皇室が今ここにまで発展し慕われているんだなという思いになった。明治神宮の森がなぜあんなにも豊かな森なのか、見えない力が存在する感じがするのは、明治時代とゆかりがあるからだ。
明治維新の頃の激動や、大正、昭和へと激動の時代を経て今日の新しい時代を迎えた時、天皇という国の象徴がどれだけ偉大で崇高であること、いい国だと思った。 さすが、朝井まかてさんだなと思った。 -
Posted by ブクログ
若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれた三人組も今や三十路前。
お以乃、お志花、お蝶は、ある日江戸から伊勢へと旅立った。
それも、抜け詣り!
立場は違えど、家に、境遇に鬱々としたものを抱える三人が、
東海道を旅し、様々な事件に巻き込まれる、道中記。
一膳めし屋のお以乃、御家人の妻お志花、小間物屋の女主人お蝶。
かれこれ半年ぶりの再会が伊勢への抜け詣りとなったのですが、
十八、九歳頃につるんでいた時とは異なり、それぞれの立場の
違い、抱えている問題があります。それでも性格は変わらない。
道中、それが原因で反目し合ったりもするのですが、
いざ事件に巻き込まれると、過去のようにそれぞれの性格と特性を
活かして一致団結する姿は、なかなかのもの。
老夫婦を助ける人情物、恋に身を焦がす恋愛物、賭博場での
立ち回り有りのアクション物と、バラエティーな内容です。
それでいて、江戸、とりわけ東海道の風俗、伊勢詣りの様子等、
きちんと描写されているところは、さすが。
他の登場人物も良かった。特に、柄杓作りの正ちゃん(^^♪
洒脱なご隠居一行も・・・彼等のように将来、三人組がまた、
仲良くお伊勢詣りに出掛けられたら良いなぁと思いました。
しゃんしゃんと♪ -
Posted by ブクログ
テレビドラマの放送が始まった。
書名は知っていたけれど、読んだことがなかったので、ドラマ第一話を見た。
騒々しくて、内容もガチャガチャしていて、正直、なんじゃこりゃ、と思った。
「昔はいけてたのに」という思いは、もちろん江戸の人にだってあったのだろうけれど、表現がそのまんま。
ネオ時代劇(ミュージカルでもなんでもありのエンタメ時代劇)かと思ったのだ。
それで、第一話で見るのをやめた。
でもー、なぜか原作を読んでみようと思い立ってしまったのだ。
お伊勢参りのガールズ・ロードムービーといった趣の小説。
読んでみると、だんだん猪鹿蝶の三人に愛着がわいてくるから不思議。
三人が自分の境遇を振り返り、自分が行くべき道をそれぞれ納得して進んでいくように変化していく。
端的に言えば、二十八の三人(現代の年齢感覚だとアラフォーくらいにあたるだろう)が、本当の大人の女になっていくお話、と言えるだろうか。
ここ辺りが丁寧描いてあって、納得して受け入れられるからだろう。
特に、男勝りのお以乃の、次郎長との恋と別れはいい。
時を重ねることによって見えてくる人間の多面性みたいなものに着目しているのも面白い。
自分にも、友にも、「昔から変わらないなあ」という面があれば、「前はそんなじゃなかったのに」という面を見出したりする。
ちょっとしたことだけど、それが人物像のリアリティにつながっているのかな、と思う。 -
Posted by ブクログ
大坂ほんま本大賞受賞作
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大阪の青物問屋に女中奉公に出た知里が、遊び人でトラブルメーカーの若旦那にかき回されながらも、野菜に傾倒していく話である。
我が家から歩いて5分ぐらいの所にあった天満青物市場が主要な舞台のひとつなので親しみが湧きます。
高田郁の銀二貫も大坂商人の話ですが、こちらは大坂商人の話ぷらすなにわ伝統野菜の話が加わりさらに興味深い。また、会話が大阪弁なのでテンポ良く話が進む。主人公、知里が関東もんなので所々大坂に関する説明が入るので、大阪以外の読者も楽しめると思われる。
巻末に参考文献も挙げられているが、作中に出てくる大阪代官「笹山十兵衛」は実在の人物で作品の中で描かれている経歴の持ち主のようである。知里が奉公する河内屋も享和元年(1808)付けの八百屋問屋37人の中に屋号があったりしてなにげに歴史物っぽい演出もある。
なんとなく続編を匂わせる終わり方ではあるが、著者の本の作り方からいくと多分一話完結でしょうか。 -
Posted by ブクログ
朝井まかてさんの小説を読むのは初めて。本書は江戸初期の俳諧および草紙業界で大活躍した、井原西鶴の歴史小説である。
解説によると、井原西鶴に関する資料はあまり残っていないようだが、著者はかなり調べたらしい。本小説は、井原西鶴の盲目の娘の視点で書かれていて、西鶴に実際にそのような娘がいたというのは史実だそうだ。
西鶴は大阪に拠点を構え、派手な生活をしながら、俳句を次々と詠み、それがまず評価されていった。娘は家事、主に料理をして父やそれを取り巻く人々との交流を支える。西鶴がたまたま書いた、好色一代男が大ヒットし、西鶴は売れっ子小説家となる。
江戸時代の町人を描いた歴史小説や時代小説はいくつか読んだが、大阪が舞台となった本書はなかなか興味深かった。盲目の女性の視点で書いているので、音や匂いや気配を中心に物語が展開されるが、想像力を掻き立てられて興味深い。お手伝いさんのお玉とその夫も人間臭くて面白かった。若くして妻を亡くし、息子たちは手放して娘だけを手元に置き、自由奔放に見える西鶴だが、ほのかな優しさが見え、疎ましく思っていた娘も心を開き始める。ほのぼのと温かい小説だった。
宇江佐真理さんあたりの小説を好きな人には、とても楽しめると思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ評価は4.
内容(BOOKデーターベース)
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た知里。戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていく。ただ問題は、人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那。呆れていた知里だったが、野菜への純粋な想いを知り、いつしか強く惹かれるように。おもろい恋の行く末は?
江戸を舞台とした恋愛話なので結果は読めちゃったが、破天荒な若旦那はなかなかのやり手だし、女主人は絵に描いたような厳しさの中にこれまた良くある優しさと苦しみを抱えて等々ドラマには向いていると改めて。キャストだな~~~。