朝井まかてのレビュー一覧

  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    滝沢馬琴の一代記。
    忠義を尽くした父親への権力者・藩からの不義理、主君に虐げられる日々への憤りを年少時代に経験し、自身で生きていく道や家名復興を目指す姿に江戸時代らしさを感じる。
    強くあろうと生きてきた中で、老齢になってから、病弱な実子に告げる悔恨や弱さを吐露する場面が生々しい。
    八犬伝を描き終えた後の、話の中では南総に理想の国を作りたかったんだという言葉が、馬琴の紆余曲折の人生と作家感を締めくくる言葉にふさわしい。

    稗史小説の執筆法と楽しみ方を
    「史実の種を見出し、文章を耕して種を蒔き、大いなる虚を育てる。」
    (稗史を通じて人々に遥けき世界を見せる。)
    と表しているが、著者(朝井まかてさん

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    2024年06月15日
  • 白光

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    イコン画というものをこの本を読んで初めて知った。

    たまたまだけど、今見てる朝ドラの主人公と重なる部分もありました。(本書の感想では無いですが)

    読むのに時間がかかった1冊。

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    2024年06月10日
  • 銀の猫

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    嫁ぎ先を離縁され、「介抱人」として稼ぐお咲き。百人百様のしたたかな年寄りたちに日々、人生の多くを教えられる。一方、妾奉公を繰り返し身勝手に生きてきた自分の母親を許すことが出来ない。そんなとき「誰もが楽になれる介抱指南書」作りに協力を求められる。

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    2024年06月05日
  • 悪玉伝

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    大阪炭問屋の主・木津屋吉兵衛は風雅を愛する伊達男。家業を顧みず放蕩の限りを尽くしていたところ、兄の訃報が舞い込む。店を我が物にしようと企む大番頭の策略で相続争いに巻き込まれた。

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    2024年06月05日
  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    うーん、長く読み応えのある滝沢馬琴の一代記。戯作者として名を成しながらも武士の家名に拘り続ける妄執には呆れ果てながら、戯作者としても命を削るような態度には書かずにいられない業を感じた。
    ただ「南総里見八犬伝」は面白いが、馬琴にはどうも心惹かれなかった。残念。

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    2024年05月26日
  • 恋歌

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    ネタバレ

    恋歌

    著者:朝井まかて
    発行:2015年10月15日
    講談社文庫
    初出:2013年8月発行単行本(講談社)
    *第150回(2013年下期)直木賞受賞作

    歴史検証をするノンフィクションの大書(「ラジオと戦争」)とか読んでいると、楽しめる小説が無性に恋しくなる。どれを読んでも面白い朝井まかての文庫を少し前に買ってあったので、貪るように読んだ。朝井まかて作品といえば、女性を主人公に、市井の生活感あふれる日常を描いたものが多く、平凡な人間なりの頑張りで、苦労をしながらも最後にはうまくいく、それも大成功ではなく、そこそこいい人生に落ち着く、といった趣の小説を期待する。ところが、この小説は珍しく結構き

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    2024年05月12日
  • 輪舞曲(新潮文庫)

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    ネタバレ

    大正時代のお話で、当時のことや言葉の知識があまりないので最初はとっつきにくいと感じた。読んでいくうちに少しずつ馴染んでくる。
    実在していた方の小説をどうやって書いているのかがすごく気になった。

    演じるということに全てを込めている所がかっこいいと思った。

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    2024年05月08日
  • 眩(新潮文庫)

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    葛飾北斎の娘である応為の物語。たばこやお酒を嗜み江戸っ子のきっぷのいい姿が気持ちいい。
    絵に対する姿勢もいい。
    同年代の友達のような感覚で読む。

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    2024年04月12日
  • ボタニカ

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    494ページ
    1800円
    4月3日〜4月6日

    『らんまん』の牧野万太郎をイメージしながら読んだ。こちらが原作なので、史実に忠実なのだろうと思うと、ちょっと富太郎に幻滅するところもあった。富太郎の奔放さや金遣いの荒さに呆れると共に、スエさんを置いてロシアに行こうと思っていたのだなんて!人を妬んだりする心も描かれていて、どんなに立派な人でも、人間くさいところもあるものだと少し安心もした。

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    2024年04月06日
  • 雲上雲下

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    想像していた内容とはちょっと違ったけど面白かった。
    2章から話の雰囲気が変わったかなあ。
    何個か昔話がでてきて知ってるのもあったけど知らないのもあってふむふむと面白かった。
    自分としては最後らへんはちょっと物足りないと感じたかも。

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    2024年04月05日
  • 類

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    森鴎外の家系を知るには面白い。ただ、主人公の類は最期まで自分の才能を客観的に捉えることのできない不器用な生き方をしているので読んでて疲れる。
    まかてさんの表現もやや冗長であるため、読みづらさもある。

    兄弟であった森茉莉さんや森杏奴さんの作品を読んでみたい!との興味は抱く。

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    2024年03月30日
  • ちゃんちゃら

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    ちゃんちゃら

    著者:朝井まかて
    発行:2012年12月14日
    講談社文庫
    単行本:2010年9月(講談社、書き下ろし)

    一昨日読んだ「花競べ」に続く、朝井まかてのデビュー2作目長編。江戸期・文化時代の植木屋「植辰」の話。デビュー作は苗物屋、今回は植木屋であり、庭師。それにしても著者は植物に明るい。序章でシチュエーションの紹介、1章~5章で各プロットを展開しながら、全体で大きな話を描く。終章もあり。

    序章
    最もよいお得意である施主は、小川町の元与力でご隠居、是沢与右衛門。ちゃらは元浮浪児で、辰蔵が子供のように引き取って弟子にしている。娘の百合とはきょうだいのような仲だが、後にお百合はちゃら

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    2024年03月20日
  • 秘密の花園

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    まかてさんのお話を聞くチャンスがたまたまあり、その時に「馬琴は自身を放蕩者と書いているが、実はそんなこともなかったのでは?」と仰っていたが、この一冊を読み終えるとそんな気がしてくる。
    読み終えた後は、自分の中で単なる歴史上の人物でしかなかった馬琴が、一人の人間として捉えられるようになっていた。
    今作も知らない言葉や漢字がたくさん出てきて、読み進めるのに時間がかかった。
    失われゆく日本語を敢えて使うという、まかてさんの心意気が伝わってきて、頑張って読みました。

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    2024年03月16日
  • 秘密の花園

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    『…しばし感じ入って憂きを忘れられる。しゃあない、明日も生きてみたろかと思える』昔も今も物語にワクワクし、元気をもらう読者の気持ちは共通だ。蔦屋重三郎の心意気が立派。

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    2024年03月11日
  • 類

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    明治の終わり、森鷗外の末子として生まれた類。愛情豊かな父と美しい母、ふたりの姉と、何不自由なく華やかに暮らした少年期。父の死という喪失を抱えながら画家を志し、パリへ遊学した青年期。戦後の困窮から心機一転、書店を開業。やがて文筆家の道へ。文豪の子という宿命を背負い、何者かであろうと懸命に生きた彼の、切なくも愛すべき生涯を描いた大作。著者による講演「鷗外夫人の恋」も載録。

    森茉莉の大ファンとしては読まずにいられなかった。朝井まかてさんの作品は初めて読むけれど、すごい下調べしたんだろうなあと思う細やかな描写です。やや冗長な印象もあるけれどちょっとした植物や風景の描写があるから重厚な作品になるんだろ

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    2024年03月03日
  • 落陽(祥伝社文庫)

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    明治神宮の鎮座祭からちょうど100年。
    あの立派な明治神宮の森が、元が原野でほとんどが全国からの献木によるものとは知らなかったです

    江戸から明治を帝として生きるとは。
    明治天皇について多く語られるわけではないのに、国民への明治天皇の思い、明治天皇への人々の思い、が伝わってきます。

    時代が変わるということ。
    令和は2年目にして新型コロナという大きな試練に立ち向かっていますが、いつか振り返った時に令和が良い時代でありますように。

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    2024年02月26日
  • 類

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    充分に読み応えありました。長編多いけど飽きない恐るべし朝井まかてさん!ウイキペディアを開いて全部が実話で事細かに正確なのは驚くって事。晩年の千葉県移住もそうだし!森茉莉ではなく類なんだね、偉人伝でもない初めて知る人なので吸い込まれる程の夢中にならない ただ鴎外のパッパぶりやズバズバ言う茂げ、エッセイの森茉莉さん中でもアンナの行き方が好感触ですね。初めて就職した社長に言われたあなたのような人が生きるのが無理だと 自信がないけどここまで役に立たない人間だと思わなかったと自身を語る場面で好きになり好感が持てた。

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    2024年01月16日
  • 福袋

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    朝井まかてさんが好きで読みました。時代モノの世界が好きな人にはおすすめです。個人的には晴れ湯と莫連あやめが作者らしくて面白かったです。莫連流が自分の頭の中でしか想像できなくて残念です。短編集だと知らずに読んでしまったので、物足りない感があるので⭐︎3です。

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    2023年12月16日
  • 最悪の将軍

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    歴史に悪名を残す将軍綱吉を彼の目線から描いた物語。
    本書を読んで思うことは、たとえ崇高な思想をもって文治政治を目指したとしても、その意図を正しく伝えようとせず言葉少なに、かつ結論や指示だけを出したのでは上手く浸透するはずがなく、やはり彼は将軍としての資質に欠くということ。
    更に桂昌院のような権力があるのに無邪気に欲望のまま振る舞う人をそのままにしたこと、彼と並んで悪名高い柳沢吉保を自分に忠実という理由で本質を見抜けなかったこと(伝聞が正しいとすれば)も罪が重い。
    朝井さんの意図とは違うかもしれませんが、本書を読んで最後まで現実が見えていない最悪の将軍というレッテルに更に確信を持ってしまった。

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    2023年12月08日
  • すかたん

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    うんうん、楽しい。

    時代小説ってのは痛快小説が多いのか(時代小説ビギナーです)、わかりやすくって読後スッとする。

    大阪の商いの様子がよくわかって、季節や行事事を大切に過ごしていたことを羨ましく思う。あと、なんとなく大阪ってケチ臭い(値切ってなんぼが浅ましい)イメージがあるんだけど、払拭されるような小気味の良さある。

    恋ばなありで今村翔吾さん言うように朝井まかてさんの女の時代小説いいわ。好き。

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    2023年12月04日