朝井まかてのレビュー一覧
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選んだ読みたい本が、思わぬところでシンクロしていたという興奮をくれた「白光」。ロシア正教のイコン画家・山下りんの生涯を描きます。
自分の心が求めるものに人生を捧げる覚悟を持ち、そのためならばまず行動という人間の山下りん。彼女の心にたぎる熱意が走りすぎて、多くの軋轢を生み出してしまう。そのことに気づくのは、失ってしまってから。
熱意があればこそ、りんを支えてくれる存在や手助けしてくれる存在もあるのですが、大きすぎる故に持て余されてしまうことも事実。安易ではあるけども、時代が違えば、彼女と周囲の人間の関係性も違ったものになっていたはず。
互いに尊敬し、互いの長所短所を慮り、終生の友人となれたは -
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西鶴の娘おあいが主役。
盲目のおあいだが、家のことは一通りこなせる。
近所への買い物もできる。
同時に、談林派の俳諧師でのちに戯作者になる父西鶴の越し方も描かれる。
元禄のころ。
好色一代男などのヒット作を生み出した西鶴と、その周辺のあれこれが勉強になる。
西鶴の妻、つまりおあいの母は早くに亡くなる。おあいの弟たちは他家へ養子に出されるが、おあいは西鶴の手元に残された。
父の気持ちがわからないまま、父と娘の日常生活があり、おあいは父の身の回りの面倒を見る。付き合いの広い父の客のために料理をする。
なかなか大変な生活。
読みどころは、目の見えないおあいの感覚で作られる家庭料理の匂いと味の表 -
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戯作者曲亭馬琴の一代記。
馬琴と先駆者山東京伝までは執筆料のみで生活する戯作者がいなかったとは知らなかった。
武家である滝沢家の三男として生まれた馬琴は、一度は家督を継ぎ仕官するが長続きせず、放浪生活を送ったのち、京伝、蔦屋重三郎と出会い戯作の生業を開始する。
次兄や実子に先立たれるなど家族運に恵まれなかった馬琴は、家族を守り滝沢家の家名を守るために全力を尽くし、家相が悪いと言われれば引越し、孫に御家人株が買えるとなれば家財をも処分する。
父や兄が出仕先から冷遇されたことや、士分や古典へのこだわりは八犬伝などの創作の原点となっているようにみえる。
癇気の女房、病弱な長男を抱え、版元な -
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バーネットではありません。なんか、ぽくないタイトルですが「南総里見八犬伝」で有名な曲亭馬琴の一生を描いた歴史小説です。
最近のまかてさんは、歴史上の人物を虚飾することなく史実に沿って描こうとしているようです。いわばリアリズム。この作品もそうで、武家の二男として生まれた馬琴は悪人では無いものの吝嗇で教条的、作品に対しては偏執的で版元や摺師を辟易させる。奥さんの百も強烈で、癇性で周りに毒のある言葉を吐き続ける一方で、幼児には我が子でなくても気を遣う。病弱な息子の宗伯は父に対しては従順だが、母や妻女には母譲りの癇性を発揮する。そんな崩壊寸前の家庭の中、馬琴は膨大な量の小説を描き続ける一方で、何度も滑 -
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ネタバレ馬琴についての小説を読むのは、確かこれが初めてではない。だが、これほどドキュメンタリーに近いものは読んだ事がなかった。
滝沢興邦という名をもつ、武士の次男であった馬琴は、幼い頃から、武士の立場ゆえの、苦しみが絶えない人生を送ってきた。書に親しみ、俳号をもち、読み本作家として押しも押されぬ立場となっても、武士の誇りを捨て切れなかった馬琴。滝沢家の武士の矜持を現代の自分が思い計ることはできないが、馬琴にしてみれば当然、子も孫も、男子は武士として育てねばならなかったし、子女は武士に相応しいところへ嫁さねばならなかった。そのために、筆耕で稼いだ金が費やされた。
その生き方は、師である東山京伝と対比さ -
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五代将軍綱吉と言えば、生類憐みの令で、評判が良くないのは広く知られているところ。
その時代と、綱吉の真意は?
新たな角度から描いた作品です。
五代ともなれば世は穏やかで繁栄しているというイメージがありましたが。
当初はそういう空気でもなく、過渡期だったのかもしれない。
将軍になるとは思わずに育った綱吉は勉学好きで、理想主義者。
戦国時代の荒々しさが残る世の中を憂い、命の大切さを説こうとしていた。
動物愛護の精神まで先取りした先駆者だったのではないかという。
そんな彼を理解していたのが正室の信子。公家の出で教養はあるが、大らかで形式ばってはいない女性。
生類憐みの令は、跡継ぎに恵まれない綱吉