朝井まかてのレビュー一覧

  • 朝星夜星

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    日本初の洋食店「自由亭」を開業した草野丈吉と妻、ゆきの物語を開店した当時から大阪でホテルを経営するまでを描く大河小説。タイトルの意味は「夜明け前から日暮れまで精を尽くして働くこと」で文字通り働き通しの丈吉を文句も言わず尽くす(途中で妾が3人も登場する!)ゆきの姿に当時の世相が見える。その中でもさり気に攻撃したりするゆきがニクくて可笑しい。著名な人物も多く登場し、五代友厚や陸奥宗光、岩崎弥太郎などは多く登場する。最初期では海援隊(後の亀山社中)のメンバーも出てきてその時代らしい、熱く若々しいエネルギーが物語から湧き上がってくる。

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    2024年09月21日
  • グッドバイ

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    幕末、長崎の油商・大浦屋の女あるじ、のちの貿易商・大浦慶の胸躍る生涯の物語である。
    個人的に、ラストシーンが膝を打つほど決まっている作品は傑作だと思っている。本作はまさに膝を打つほど。胸アツでございました。
    幕末のころ、いわば「女子はだまっとれ」という時代に、海の外の者たちと商売を始める──お慶とともに「どうやって!?」と胸をつかれ、「なんとかしたい」と願い、失敗し、商機を手に入れてホッとしたり。そんな思いを存分に楽しめる作品なのだ。
    中盤から幕末でおなじみの面々の名前がにぎやかしていくのも楽しい。後半では、きっと朝井さんもお慶たちと別れるのが淋しくなっているんだなあとまで感じる愛おしい文章。

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    2024年09月14日
  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    同作者の作品は恐らく初めて。どうして本作を読もうと思ったのか思い出せないが、まあとにかく読みやすい。滝沢馬琴というビッグネームを主人公に、地の文多めで江戸の香りを延々垂れ流してくれる。筆によって成功することがわかっている人物なので安心して読めるのもうれしい。
    流れに細切れ感があるのは冒頭の通り老人の回想だからこそのぶつ切りなのかと思えば、奥付で新聞連載だったと知って納得がいったようなそうでもないような。連載当時の読者は後から読み返せなくて困らなかったのだろうか?

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    2024年09月12日
  • 銀の猫

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     現代に当てはめても心に刺さる部分のなんと多いこと。でもなんだか愉快な場面も多く、介護問題を抱えている人にとって、ほんの少しだけでも気持ちが軽くなるように思う。
     めんどくさい人に思えたご隠居のおぶんさんがその後凄く頼りになる存在になったのが良い。
     最後のほうで庄助の母の通夜の後、お咲と庄助とおぶん、家族でもない、友人というわけでもない3人でお茶を飲んで喋っている場面になんともいえず和んだ。

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    2024年09月11日
  • 秘密の花園

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    NHKの人形劇『新八犬伝』観てたんだけど覚えてない。ただ、八犬士が持つ珠の文字「仁義礼智忠信孝悌」はあの番組で覚えた。そっか、曲亭馬琴さんが原作者なんだ。しかしなんとも精力的な執筆活動ではありませんか。筆が早いったって矢継ぎ早の創作。おまけに超几帳面で、徹底した校正は出版社泣かせ。妻の百はかなりの癇癪持ちとあるけど、馬琴の性格に対するストレスは相当なものだったんじゃないの。滝沢家再興へのこだわりは尋常ではないし、歳時における食などの支度も指示があまりに細かい。とはいえ、江戸読本を育んだあの気力は凄まじい。
    PS これってタイトルと中身がどうなんだろう?

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    2024年09月07日
  • 白光

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    大河ドラマ、というよりは連続テレビ小説。
    なんと激動の世の中を生きた画師であることよ。
    生きるとはままならないなあ。
    しゃあんめえ。
    祈ることの尊さと描くことへの業がないまぜになって明治から大正、昭和という時代の荒波に揉まれている。こういう時代が有ったのだと、一口に語ることは簡単だけれど、社会の有り様というのはこうまでも変化してしまうものであるのだと驚愕する。

    いま私が見ている景色、社会はほんの少し先にはまったく違ったものになっているかもしれない。

    それでも生きていく。
    醜かろうが、過去の己の無知に恥の念を覚えようが、圧倒的劣勢だろうが、誰かに嫌われようが。

    しゃあんめえ、と唱えて、それ

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    2024年08月18日
  • 朝星夜星

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    ネタバレ

    日本で最初の
    西洋料理店を立ち上げた草野丈吉の妻の物語。

    自由亭という関西での外国人との社交場があったとは知りませんでした。
    視点が妻のゆきからなので、物語として出世歴史ものというより、朝ドラチックな感じでちょっとユーモラスなところもあり、著者の得意な男前の女主人公の語り口がいいです。
    自由亭のその後については後継者がいなかったようで残念ですね。

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    2024年08月10日
  • 恋歌

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    幕末から明治にかけての過酷で混乱をきたした時代。
    その時代を運命に翻弄されながらも懸命に生き抜いた、樋口一葉の師・歌人中島歌子の半生を綴った作品。

    物語は歌子の弟子が、彼女の手記を読み返すという構成。
    人気歌塾の主宰者として一世を風靡した彼女がどの様にして生き、何を思い胸に秘めてきたのかが記されていた。

    無知なもので、中島歌子さんの事知らなかった〜。
    「恋歌」はSNSでもよく見かけて、なんとなく気になってたので読んでみたのだけど、まさかこんな辛い内容だったとは。。

    この時代には珍しい商家の娘・登世(歌子)と水戸藩の武士・林以徳の恋物語。
    恋物語でもあり、幕末の内乱の多かった時代を描

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    2024年08月06日
  • 朝星夜星

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    西洋料理自体が珍しい幕末に自宅の一間から店を始め、家族総出の"かけ"が始まる。丈吉の"進んでいく力"はバネのような勢いがあって、朝井まかての本領発揮の感。ゆきの女将としての度量の深さが、清々しさを与えてこの物語が深みを増す。

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    2024年08月04日
  • 阿蘭陀西鶴

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    現代よりもずっと短い寿命の時代でありながらより濃く生きた人たちの人生に感銘を受けます。おあいの人生に涙。

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    2024年07月29日
  • 残り者

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    初まかて作品。
    江戸城無血開城。言葉は知っているけど漠然としていたものが、大奥に焦点を当てて鮮明になりました。

    大奥ものが好きで、さらに江戸城明け渡しの日の出来事ということで楽しみにして読み始めました。
    自分も一緒に大奥に残っているように、登場人物たちと一緒にドキドキしながら読み進めました。
    いつ官軍が来るかと思いながら、自分の身の上を打ち明ける夜の語らいの場面が1番心に残りました。

    残念だったのは、自分の中の和服に関する知識が乏しく、これってどんな色?とか、どんな服?と逐一調べながらでないとわからなかった事です。改めて和服や色に関して調べて、きちんと知識を持って読むとより楽しめたな、と思

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    2024年07月24日
  • 恋歌

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    朝井まかてさんの歴史小説ははずさない!
    しっかり読ませてくれます。
    「類」では森鴎外の末っ子、「眩」では葛飾北斎の娘、この「恋歌」では中島歌子、とあまり他の小説では描かれない人を主人公にして描くのがすごいなぁ、目の付け所が違うなと思います。
    幕末というと坂本龍馬や新撰組が有名だけど、水戸藩の話というのは聞いたことがなく、この小説で初めて知りました。
    水戸藩内での内乱の末、敗れた天狗党の妻子たちに行った仕打ちは読んでいて辛いものでした。

    君にこそ恋しきふしは習つれ さらば忘るることまをしへよ

    恋することを教えたのはあなたなのだから、どうか、お願いです、忘れ方も教えてください。

    懸命に生きて

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    2024年07月21日
  • すかたん

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    知里、小万、志乃、おかね、女性陣が魅力的だ。
    芯があって、仕事をしている姿がかっこいい。
    最初の頃の知里に対する志乃の説教は私にも刺さりました…
    ちゃんと仕事します…

    武家と商人と農家、それぞれの立場や暮らしがあって、江戸時代らへんの日本史を学び直したくなりました。

    難波葱や勝間南瓜、そして田辺村の丸大根
    食べたことのないなにわの伝統野菜たち
    大阪旅行の際は、551の豚まんとりくろーおじさんのチーズケーキだけでなく野菜も買って帰ろうと思います^^

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    2024年07月09日
  • 残り者

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    ネタバレ

    江戸城明け渡しの日、皆が退去する中、お城に残った5人の女中。解説にもあるが大奥というと女の園=色恋のイメージがあるがここでは生活の場・職場として描かれている。現代に例えれば倒産した勤め先から去り難く残っている社員4人と中間管理職1人といった感じか。
    それぞれの登場人物の自身の職務に対する矜持が心地よい。それと、ふき様カッコいい(笑)。エピローグでふきがお城に残っていた理由が明かされるが、5人が5人とも生きて幸せに暮らしているのがわかってホッとした。

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    2024年07月07日
  • 恋歌

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    和歌の話なのかと思っていたら、幕末の水戸藩のハードな話でびっくりした。歴史も中島歌子も全然知らずに読んだから、衝撃の連続で辛かったけど、良い小説でした。

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    2024年07月02日
  • 秘密の花園

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    江戸時代の戯作者、曲亭馬琴の波乱万丈な生涯を描く。
    第一章 ある立春  第二章 神の旅  第三章 戯作者
    第四章 八本の矢  第五章 筆一本  第六章 天衣無縫
    第七章 百年の後
    主要参考文献有り。

    9輯98巻106冊の読本『里見八犬伝』を28年かけて
    完結させた、曲亭馬琴の生涯は、茨の道の如く。
    家督を継ぐが、仕えた若君の癇症に耐えかね出奔。
    紆余曲折を経て、山東京伝との出会いがその後の運命に。
    蔦屋重三郎の耕書堂の手代になり、出版業界の内情を学ぶ。
    そして戯作者となり、潤筆料を得るまでになっていった。
    だが武士の誇りと拘りは山東京伝や葛飾北斎、様々な板元など
    対人関係に仇をなす。また、常

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    2024年06月26日
  • 阿蘭陀西鶴

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    5と迷って迷って4にした。そのくらいすごく良かった!!
    井原西鶴の盲の娘、おあいの視点から物語は展開していくんだけど、盲のおあいに料理や縫製を叩き込んだ優しい亡き母、可哀想と言われるのを何よりも嫌っていて、いい格好しいの父親が嫌でたまらないおあい、幼い二人の弟、女衆のお玉、出てくる登場人物がすごくありありと頭の中で映像化されて、のめり込んだ。
    最後は泣きそうになったし、現実がこんな風にあたたかいことを切に願った。

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    2024年06月09日
  • 白光

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    日本初のイコン画家、それも女性画家の物語。
    ただひたすらに絵を描くことを愛し、求めて求めて求めて、突き進んで、ロシア留学までして、帰国してからも、という物語。物事を突き進むすさまじさに息をのむ。
    正直、「これは主人公・りんが悪いのでは?」と思うシーンも多々ある。それくらいでなければ、己を突き進めないのだとも思わされる。そしてりんはロシアである疑問を抱くのだが、その謎が後半になって紐解かれていくにつれ、絵画と時代と宗教と、それらの意味深さに胸が熱くなるのだ。
    骨太の物語を求めておられるかたへ、胸を張ってオススメできる1冊である。

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    2024年05月31日
  • グッドバイ

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    激動の時代をたくましく生きた女商人大浦慶さんの物語。方言や聞き慣れない言葉もあったけど、生きる勇気を貰えるような物語だった。

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    2024年05月15日
  • 先生のお庭番

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    シーボルトの薬草園の園丁=お庭番となった熊吉を主人公とした、史実にフィクションを織り交ぜた時代小説。
    熊吉の草木や彼の仕事に対する真摯な接し方に、心が和み「読んでいる身が浄化され」る。
    シーボルトに敬愛の念を抱き、必死に彼のために熊吉は仕事をこなすが、台風により薬草園が甚大な被害を受ける。
    熊吉が黙々と片付けをしていると、シーボルトが忌々しげに吐き出す。
    「なにゆえ、やぱんの者は怒らぬのだ。怒りこそ闘いの力になるのであろうに、なにゆえ唯々諾々と受け入れる。・・・我々は常に自然を闘うことで知恵ば磨き、技を発達させてきた」と。
    熊吉は目が歪み、天と地が揺れた様な気がした。
    「先生にとって、自然は共

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    2024年05月12日