朝井まかてのレビュー一覧
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江戸時代の戯作者、曲亭馬琴の波乱万丈な生涯を描く。
第一章 ある立春 第二章 神の旅 第三章 戯作者
第四章 八本の矢 第五章 筆一本 第六章 天衣無縫
第七章 百年の後
主要参考文献有り。
9輯98巻106冊の読本『里見八犬伝』を28年かけて
完結させた、曲亭馬琴の生涯は、茨の道の如く。
家督を継ぐが、仕えた若君の癇症に耐えかね出奔。
紆余曲折を経て、山東京伝との出会いがその後の運命に。
蔦屋重三郎の耕書堂の手代になり、出版業界の内情を学ぶ。
そして戯作者となり、潤筆料を得るまでになっていった。
だが武士の誇りと拘りは山東京伝や葛飾北斎、様々な板元など
対人関係に仇をなす。また、常 -
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シーボルトの薬草園の園丁=お庭番となった熊吉を主人公とした、史実にフィクションを織り交ぜた時代小説。
熊吉の草木や彼の仕事に対する真摯な接し方に、心が和み「読んでいる身が浄化され」る。
シーボルトに敬愛の念を抱き、必死に彼のために熊吉は仕事をこなすが、台風により薬草園が甚大な被害を受ける。
熊吉が黙々と片付けをしていると、シーボルトが忌々しげに吐き出す。
「なにゆえ、やぱんの者は怒らぬのだ。怒りこそ闘いの力になるのであろうに、なにゆえ唯々諾々と受け入れる。・・・我々は常に自然を闘うことで知恵ば磨き、技を発達させてきた」と。
熊吉は目が歪み、天と地が揺れた様な気がした。
「先生にとって、自然は共 -
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選んだ読みたい本が、思わぬところでシンクロしていたという興奮をくれた「白光」。ロシア正教のイコン画家・山下りんの生涯を描きます。
自分の心が求めるものに人生を捧げる覚悟を持ち、そのためならばまず行動という人間の山下りん。彼女の心にたぎる熱意が走りすぎて、多くの軋轢を生み出してしまう。そのことに気づくのは、失ってしまってから。
熱意があればこそ、りんを支えてくれる存在や手助けしてくれる存在もあるのですが、大きすぎる故に持て余されてしまうことも事実。安易ではあるけども、時代が違えば、彼女と周囲の人間の関係性も違ったものになっていたはず。
互いに尊敬し、互いの長所短所を慮り、終生の友人となれたは -
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西鶴の娘おあいが主役。
盲目のおあいだが、家のことは一通りこなせる。
近所への買い物もできる。
同時に、談林派の俳諧師でのちに戯作者になる父西鶴の越し方も描かれる。
元禄のころ。
好色一代男などのヒット作を生み出した西鶴と、その周辺のあれこれが勉強になる。
西鶴の妻、つまりおあいの母は早くに亡くなる。おあいの弟たちは他家へ養子に出されるが、おあいは西鶴の手元に残された。
父の気持ちがわからないまま、父と娘の日常生活があり、おあいは父の身の回りの面倒を見る。付き合いの広い父の客のために料理をする。
なかなか大変な生活。
読みどころは、目の見えないおあいの感覚で作られる家庭料理の匂いと味の表 -
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戯作者曲亭馬琴の一代記。
馬琴と先駆者山東京伝までは執筆料のみで生活する戯作者がいなかったとは知らなかった。
武家である滝沢家の三男として生まれた馬琴は、一度は家督を継ぎ仕官するが長続きせず、放浪生活を送ったのち、京伝、蔦屋重三郎と出会い戯作の生業を開始する。
次兄や実子に先立たれるなど家族運に恵まれなかった馬琴は、家族を守り滝沢家の家名を守るために全力を尽くし、家相が悪いと言われれば引越し、孫に御家人株が買えるとなれば家財をも処分する。
父や兄が出仕先から冷遇されたことや、士分や古典へのこだわりは八犬伝などの創作の原点となっているようにみえる。
癇気の女房、病弱な長男を抱え、版元な -
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バーネットではありません。なんか、ぽくないタイトルですが「南総里見八犬伝」で有名な曲亭馬琴の一生を描いた歴史小説です。
最近のまかてさんは、歴史上の人物を虚飾することなく史実に沿って描こうとしているようです。いわばリアリズム。この作品もそうで、武家の二男として生まれた馬琴は悪人では無いものの吝嗇で教条的、作品に対しては偏執的で版元や摺師を辟易させる。奥さんの百も強烈で、癇性で周りに毒のある言葉を吐き続ける一方で、幼児には我が子でなくても気を遣う。病弱な息子の宗伯は父に対しては従順だが、母や妻女には母譲りの癇性を発揮する。そんな崩壊寸前の家庭の中、馬琴は膨大な量の小説を描き続ける一方で、何度も滑