朝井まかてのレビュー一覧

  • 銀の猫

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    江戸の介護の様子が描かれているけど、恥ずかしながら、私は江戸時代の江戸の人たちが長寿であるとか、倅が親の世話をするとか知らなかった。それが一番の驚きであったけれど、時代が変わっても、老後の介護を他人に任せることへの家族の抵抗や後ろめたさ、介護人を雇えない家族の苦労などは変わらないのだなと思うとちょっと苦しくもなった。
    作者の思いや主人公の思いなど共感することも多く、改めて良いものを描かれる朝井まかてさんだなと思う。
    「類」もお薦めです!

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    2025年01月24日
  • 落陽(祥伝社文庫)

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    やっぱり読んでよかった。読み進めていくうちにどんどんその時代に近づいていくような感覚が出てきて、登場人物たちがいまの時代を知ったらどんな感情を持つのだろうかと、、、たぶん想像を超えているのだろうな。
    激動の時代を支えてくれたのは神なんだろうなと思った。

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    2025年01月17日
  • 類

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    私だったら『頼むから働いて!』って言っちゃうな。

    当時の森家の生活が詳細に描かれてるのは圧巻。
    すごいリサーチをしたんだな…と感服。

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    2025年01月04日
  • 朝星夜星

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    歴史上の人物が現在を生きているかのような描き方で楽しめました
    ただ、長い。読み切るのに非常に時間かかってしまいました

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    2024年12月30日
  • 類

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    とにかくすごい。

    圧倒的な生々しさ。
    きっと、この小説を書くにあたって、ものすごく調査されたんだと思う。

    現代を生きる典型的な庶民の私としては、名家に生まれた末子とその家族の苦悩は理解を超えていて、時々、そうじゃないだろぉぉぉぅ・・・っっっ!と言いたくなる。

    大して共感できず、時にはイライラしながらも、この人たちがいったいどうして生きていくのか気になってしまって、ついつい付き合ううちに、最終ページまで来てしまった。

    他人の一生に、こんなにヤキモキとさせられるなんて、なんと恐ろしい作品・・・っ!笑

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    2024年12月25日
  • 朝星夜星

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    2024年7月に朝井まかて先生の『朝星夜星』を1ヶ月かけて読み終えました。この小説は、早朝から夜遅くまで働くという料理人の重労働を描きつつ、自分の好きなことに一生懸命になる姿を描いています。最初は少し心配でしたが、読み進めるうちに面白くなり、一気に読み終えました。ユーモアと感動が織り交ぜられており、笑ったり涙が出そうになったりしました。料理のレシピや晩年の認知症についての描写もあり、現代の問題にも触れています。
    舞台は幕末から明治維新。その偉人の活躍の話ではなく、ごく庶民の眼からみた話です。主人公の草野丈吉とその妻ユキのホテル創業の苦労が描かれ、丈吉は自分の命をかけて働く偉大な人で、日本の洋食

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    2024年12月23日
  • 残り者

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    ネタバレ

    江戸城明け渡し前夜、大奥に残った4人の女達。
    それぞれが、どのような生い立ちで、どんな思いで残ったのかが語られてゆく。
    そして維新後の彼女たちは・・・。

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    2024年12月05日
  • 御松茸騒動

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    松茸を幕政や交際に重用している尾張藩だが、近年不作に悩んでおり、辻褄合わせの不正が横行する中に自称秀才の江戸詰藩士が御松茸同心という奇妙な役職で国本に派遣され松茸産業の再生に挑むという話。
    言ってみれば江戸時代のお仕事小説で、内容はかなり面白いのですが、良い意味でよくもこんな馬鹿ばかしいテーマを思いついたもんだというのが最大の感想です。

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    2024年10月20日
  • 決戦!忠臣蔵

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    お気に入りの「決戦」シリーズだ。
    奇しくも続けて忠臣蔵関連の作品を読んだ。

    忠臣蔵はどちらかと言うとこのシリーズの中では、題材が限られている部類かと思った。でも一連の短編を読み終えると
    味わい深く切り口の多様さを感じた。
    どの書き手も思わず唸ってしまう味わいである。

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    2024年10月12日
  • 眩(新潮文庫)

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    彼女と私を考えた。
    少し似ていて、決定的に違っていて、彼女は私の師匠にはなるかもしれない、同年代なら親友にはなれないけど、ライバルにはなれるかもしれない。
    志すものは違えど、無二のライバルに。
    それは自分を高く見積もりすぎかしら、「あんたなんか眼中にありゃしねぇよ」と嗤われるかしら。
    そんなことを考えた。

    彼女の生き様は私には決して真似できないものではあって、美しくも不格好で誇り高い絵師の生き様だった。
    時折あまりに女の思考回路に虫酸が走ったこともあったけど、最後の数章のお栄は生き生きとしてこれぞ葛飾応為なのだと思った。
    波乱であったとしてもいい人生を生きたのだろうと思うこの物語の最後がとて

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    2024年10月09日
  • 類

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    ネタバレ

    森鴎外の末子、類を主人公とする小説。
    評判の良い小説と聞き、内容を全く知らずに読んだが面白かった。
    昔の風俗などよく調べ、上質の文章で綴られていると感心しながら読んでいたが、途中でモデル本人たちの著作が多いに下敷きになっているはずと気づいた。
    よって、評価はできないが、引き込まれて読んだことは確かだ。

    戦後は、お金がないないと貧しい生活に終始した類だが、晩年は別荘地の家を建て替え、後添いをもらって暮らす。一体庶民には真似のできない暮らしぶりだ。どうやって成り立っていたのか、謎のまま終わった。
    どんなに貧しくても生まれながらのお坊ちゃんは内面が貴族のままなのであった。

    もともと鴎外はあまり好

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    2024年10月07日
  • 朝星夜星

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    日本初の洋食店「自由亭」を開業した草野丈吉と妻、ゆきの物語を開店した当時から大阪でホテルを経営するまでを描く大河小説。タイトルの意味は「夜明け前から日暮れまで精を尽くして働くこと」で文字通り働き通しの丈吉を文句も言わず尽くす(途中で妾が3人も登場する!)ゆきの姿に当時の世相が見える。その中でもさり気に攻撃したりするゆきがニクくて可笑しい。著名な人物も多く登場し、五代友厚や陸奥宗光、岩崎弥太郎などは多く登場する。最初期では海援隊(後の亀山社中)のメンバーも出てきてその時代らしい、熱く若々しいエネルギーが物語から湧き上がってくる。

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    2024年09月21日
  • グッドバイ

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    幕末、長崎の油商・大浦屋の女あるじ、のちの貿易商・大浦慶の胸躍る生涯の物語である。
    個人的に、ラストシーンが膝を打つほど決まっている作品は傑作だと思っている。本作はまさに膝を打つほど。胸アツでございました。
    幕末のころ、いわば「女子はだまっとれ」という時代に、海の外の者たちと商売を始める──お慶とともに「どうやって!?」と胸をつかれ、「なんとかしたい」と願い、失敗し、商機を手に入れてホッとしたり。そんな思いを存分に楽しめる作品なのだ。
    中盤から幕末でおなじみの面々の名前がにぎやかしていくのも楽しい。後半では、きっと朝井さんもお慶たちと別れるのが淋しくなっているんだなあとまで感じる愛おしい文章。

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    2024年09月14日
  • 秘密の花園

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    ネタバレ

    同作者の作品は恐らく初めて。どうして本作を読もうと思ったのか思い出せないが、まあとにかく読みやすい。滝沢馬琴というビッグネームを主人公に、地の文多めで江戸の香りを延々垂れ流してくれる。筆によって成功することがわかっている人物なので安心して読めるのもうれしい。
    流れに細切れ感があるのは冒頭の通り老人の回想だからこそのぶつ切りなのかと思えば、奥付で新聞連載だったと知って納得がいったようなそうでもないような。連載当時の読者は後から読み返せなくて困らなかったのだろうか?

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    2024年09月12日
  • 銀の猫

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     現代に当てはめても心に刺さる部分のなんと多いこと。でもなんだか愉快な場面も多く、介護問題を抱えている人にとって、ほんの少しだけでも気持ちが軽くなるように思う。
     めんどくさい人に思えたご隠居のおぶんさんがその後凄く頼りになる存在になったのが良い。
     最後のほうで庄助の母の通夜の後、お咲と庄助とおぶん、家族でもない、友人というわけでもない3人でお茶を飲んで喋っている場面になんともいえず和んだ。

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    2024年09月11日
  • 秘密の花園

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    NHKの人形劇『新八犬伝』観てたんだけど覚えてない。ただ、八犬士が持つ珠の文字「仁義礼智忠信孝悌」はあの番組で覚えた。そっか、曲亭馬琴さんが原作者なんだ。しかしなんとも精力的な執筆活動ではありませんか。筆が早いったって矢継ぎ早の創作。おまけに超几帳面で、徹底した校正は出版社泣かせ。妻の百はかなりの癇癪持ちとあるけど、馬琴の性格に対するストレスは相当なものだったんじゃないの。滝沢家再興へのこだわりは尋常ではないし、歳時における食などの支度も指示があまりに細かい。とはいえ、江戸読本を育んだあの気力は凄まじい。
    PS これってタイトルと中身がどうなんだろう?

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    2024年09月07日
  • 白光

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    大河ドラマ、というよりは連続テレビ小説。
    なんと激動の世の中を生きた画師であることよ。
    生きるとはままならないなあ。
    しゃあんめえ。
    祈ることの尊さと描くことへの業がないまぜになって明治から大正、昭和という時代の荒波に揉まれている。こういう時代が有ったのだと、一口に語ることは簡単だけれど、社会の有り様というのはこうまでも変化してしまうものであるのだと驚愕する。

    いま私が見ている景色、社会はほんの少し先にはまったく違ったものになっているかもしれない。

    それでも生きていく。
    醜かろうが、過去の己の無知に恥の念を覚えようが、圧倒的劣勢だろうが、誰かに嫌われようが。

    しゃあんめえ、と唱えて、それ

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    2024年08月18日
  • 朝星夜星

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    ネタバレ

    日本で最初の
    西洋料理店を立ち上げた草野丈吉の妻の物語。

    自由亭という関西での外国人との社交場があったとは知りませんでした。
    視点が妻のゆきからなので、物語として出世歴史ものというより、朝ドラチックな感じでちょっとユーモラスなところもあり、著者の得意な男前の女主人公の語り口がいいです。
    自由亭のその後については後継者がいなかったようで残念ですね。

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    2024年08月10日
  • 恋歌

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    幕末から明治にかけての過酷で混乱をきたした時代。
    その時代を運命に翻弄されながらも懸命に生き抜いた、樋口一葉の師・歌人中島歌子の半生を綴った作品。

    物語は歌子の弟子が、彼女の手記を読み返すという構成。
    人気歌塾の主宰者として一世を風靡した彼女がどの様にして生き、何を思い胸に秘めてきたのかが記されていた。

    無知なもので、中島歌子さんの事知らなかった〜。
    「恋歌」はSNSでもよく見かけて、なんとなく気になってたので読んでみたのだけど、まさかこんな辛い内容だったとは。。

    この時代には珍しい商家の娘・登世(歌子)と水戸藩の武士・林以徳の恋物語。
    恋物語でもあり、幕末の内乱の多かった時代を描

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    2024年08月06日
  • 朝星夜星

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    西洋料理自体が珍しい幕末に自宅の一間から店を始め、家族総出の"かけ"が始まる。丈吉の"進んでいく力"はバネのような勢いがあって、朝井まかての本領発揮の感。ゆきの女将としての度量の深さが、清々しさを与えてこの物語が深みを増す。

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    2024年08月04日