朝井まかてのレビュー一覧
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葛飾北斎の娘、葛飾応為の生涯を描いた歴史小説。
朝井まかてさんの小説って近作を読めば読むほどに、名人芸の域に達してるような気がします。葛飾応為のことは全く知らなかったのですが、鮮やかに彼女の生き様が思い浮かんでくる。
天才葛飾北斎を父に持ち、幼いころから絵に親しみ、父の元で腕を磨いてきた応為ことお栄。口うるさい母親、つかみどころのない甥、気まぐれな兄弟子、そして偉大ではあるけれど、人間味のある父の北斎。そうした周りの人々の姿を生き生きと描き、そしてお栄自身の描写もとても生き生きと、それでいて心理は丁寧に描かれる。
父や兄弟子と比べての自分の絵の腕に対する葛藤、絵ではその兄弟子にライバル心 -
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江戸を舞台の、人情溢れる庶民の生活を描く、8つの短編。
ぞっこん・・・お互いがぞっこんになった“筆”と文字職人の歩み。
お上の動向に左右されながらも強かに生きる、人々の姿。
千両役者・・・大部屋役者の花六と、贔屓で通う辛子屋の太之助。
迎えるのは大どんでん返し。そして、一か八かの大博奕へ。
晴れ湯・・・湯屋の娘・お晴。好きな稼業を手伝う中、知るのは、
客の皆に愛される湯屋の事。父母の関係と自分への想い。
莫連あやめ・・・出来の良い兄嫁に心乱される古着屋のあやめだが、
親友を貶めた高慢な娘たちとの諍いが。それを救ったのは・・・。
福袋・・・大食漢で離縁された乾物屋・濱屋のお壱 -
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ネタバレ学校で習った歴史上の人物で、その後大きく評価が変わったのが田沼意次とこの徳川綱吉だと思う。
人間より犬の方を大事にする法律を作った暗愚な将軍、と習いましたが、それは当時の江戸の庶民レベルの評価だったようです。
戦国時代はすでに過去のものとなり、太平の時代を迎えているはずなのに、武士の意識だけが変わらずにいる。
そんな世の中を変えようと、武よりも文(法律)で世の中を統べようとする綱吉。
しかし、世間はそんな綱吉の思いを一向に理解することはなかった。
学校で習ったのは暗愚な将軍。
その後、将軍になった当初は善政を布いたが、その後民衆を顧みることなく「生類憐みの令」を発して庶民を苦しめた、とした