あらすじ
あたしは絵師だ。筆さえ握れば、どこでだって生きていける――。北斎の娘・お栄は、偉大な父の背中を追い、絵の道を志す。好きでもない夫との別れ、病に倒れた父の看病、厄介な甥の尻拭い、そして兄弟子・善次郎へのままならぬ恋情。日々に翻弄され、己の才に歯がゆさを覚えながらも、彼女は自分だけの光と影を見出していく。「江戸のレンブラント」こと葛飾応為、絵に命を燃やした熱き生涯。(解説・葉室麟)
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かなり面白かったです。
長野県小布施の岩松院の本堂の天井にある、葛飾北斎が89歳の時の絵「八方睨み鳳凰図」はお栄が描いた部分もあったことが興味深い。近年、お栄が「吉原格子先之図」などの作品を通じて「江戸のレンブラント」と呼ばれるような実力が既に「八方睨み鳳凰図」を描いた頃からあったということが、分かりました。
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北斎が主役の舞台を見るために読みました。別の方の作品も読みましたがこちらの方が現代的な言い回しが多く読みやすかったです。北斎の作品の背景も理解できますし、とてもおすすめです。
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「そうだ、京都へ行こう」のノリで
「そうだ、北斎美術館に行こう」と謎の閃きに突き動かされ、
あれよあれよと北斎に魅せられて結局、
こちらもコンプリート。
面白くて引き込まれて…娘の人生も味わい深い。
映画『おーい、応為』を鑑賞したけれど、
小説とは打って変わって凡庸な、というか
まぁ人1人の人生ってこんなもんだよな…
と思い出させるような、
人生において忘れられないような大きな出来事が起こった時でさえも現実の生活が続いていく(しかない)日々の儚さの方が強くが描かれていて。
小説ではもっと激動で、リズミカルで
まさに北斎の『The Great Waves 』のような
色彩豊かな応為の人生が描かれている。
私は映画より小説の中の応為に魅せられた…
もっと、善次郎との関係を、知ってみたかった。
Posted by ブクログ
江戸町人物のアート小説という捉えで存分に楽しみました。特に「夜桜美人図」や「富士越龍図」の章では、まるでその制作の様子を見ていたかのような描写が素晴らしい。それら美術作品の画像を見ながら読むと、一層朝田さんの言葉による表現の巧みさが味わえました。さて、次は本作を原作として映像化した、宮﨑あおいさん主演のドラマで楽しむことにします。
Posted by ブクログ
余韻の残る良い話でした。場面転換が激しくて途中着いて行くのに苦労したところはありましたが、その分主人公の生き方の迫力は増したと思います。親しい人たちが去って行くところは寂しかった。絵画は何も分からないのですが吉原格子先之図は素晴らしいと思います。
Posted by ブクログ
朝井まかてさんらしい今回も、化粧っ気のない女性のストーリーでした。エピソードが絵の名前ごとに別れていて、絵をネットで検索して見ながら読むと面白かったです。天然の絵の具で絵を描くことは一苦労である事がわかり、自分の中で昔の絵の価値がグッと上がりました。
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘、応為の視点で彼女自身と北斎の絵にかける想いを綴った作品。
いずれかの代表作が完成するまでの過程を描きながらも作品そのものへの描写ではなく、あくまでそれが完成するまでの過程を父娘の生き方を交えて辿っている。
各作品の肝となる部分が、もしかしたらこんな背景から生まれたものかもと想像しながら読むと、小説と浮世絵の2つを同時に味わえるような非常に贅沢な一冊でした。
ここまで深みのある作品となったのは、朝井さんの絵に対する視点の賜物だと思います。
Posted by ブクログ
始まりからぐいっと引き込まれ、晴れ晴れと終わる。小気味よい一冊だった。
決して明るく楽しい日々が描かれているわけではない。思うようにいかないことの方が多く、理不尽に苦しめられ、親しく心を通わせた人たちとも死に別れ、富にも名誉にも縁がないまま、年老いていく。こう書けば鬱々とした暗い物語になりそうなものなのに、そう感じないのは、北斎もお栄も、自分の人生を自分の生きたいように生き切っているからなのだろうか。
Posted by ブクログ
お栄さん、格好良かった。善さんとの関係は切ないけどなんか分かる気がする。
時太郎が憎い。
本物を見てみたいな
「もう六十かもしれないが、先々のあたしから見たら、今日のあたしがいっち若いじゃないか」
Posted by ブクログ
とにかく面白かった。北斎の娘がかっこよすぎる。男前すぎる。
最後の数ページ、なんだかぐっと来てしまった。
なんか、背中を押してもらえた感じ。
なんか、素晴らしい読後感。
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘、葛飾應為ことお栄さんの話。
当時では女性絵師は珍しい。女性は家事というジェンダーロールが疑いなく信じられていた頃。
お栄は、描かずにいられない絵師の業が身体に備わっている。絵の才もある。父親の北斎と同じ。
しかし女性であるお栄の感覚は、母親や夫からは欠陥としか見做されない。
やりきれない夫婦生活が破綻したところから小説が始まる。
父であり師であり親方の北斎の工房で、お栄は絵筆を振るう。この辺りはワクワクするお仕事小説になる。
北斎を慕う渓斎英泉との交流も読みどころ。
渓斎英泉がとても良い。色っぽい男だなあと思った。
女性だから、元夫よりも、絵への情熱も才気もあるのに、独り立ちの仕事をさせてもらえない状況は、何とも息苦しい。
表紙絵もお栄さんの作品で、現代の目で見ても、上手いと思える。これを浮世絵の時代に描いたお栄さんは、北斎の娘というだけではない、絵の才と技術、探究心のあるすごい絵師。しかし、家事も苦手で子も産まない、当時の女性の常識としては欠陥だらけ。夫に勝る才能があることも、当時の感覚としては生意気で欠点扱いになる。
早く亡くなった姉の子を北斎一家で面倒を見るが、この甥がまあとんでもないクズ。後半はこの甥に北斎とお栄さんは苦しめられ続ける。
窮屈な価値観の中で、絵師としてしっかり自分を確立していこうとするお栄さんの人生。
とても読み応えのある小説だった。
Posted by ブクログ
自分自身もそうなのですが、浮世絵だったり、北斎に興味を持ち始めた人が読むのに、おすすめしたい作品です。娘の眼を通して、葛飾北斎を取り巻く暮らしぶりがよくわかります。富嶽三十六景を出版したきっかけや、ゴッホが作品を模写した渓斎英泉が登場することも興味深かったです。
Posted by ブクログ
お栄がかっこいい。
この時代に女性がこういう風に活躍するのはむしろ稀だったんだろうなと思うから、誰もやっていないことを先駆けてやる女性はやっぱりかっこいい。
ドラマで演じた宮崎あおいさんもかっこよかったです。
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘、お栄。絵を描くことが好きだが「北斎の娘」という肩書きが重い…しかし、あまりに偉大な父の影響を受けながら自分も絵師となり、父に負けない、いい絵を描こう…だが…父にはかなわない………と、もがくお栄。
兄弟子への恋情、納得のいく作品が描けないことへの苛立ち、借金の尻拭い…
地べたにはいつくばり、形のないものを形にしていく地道な生業に、身も心も捧げる…。
眩しく、愛おしい話です。
Posted by ブクログ
楽しかったー。
葛飾応為こと、お栄の半生。百日紅は嫁ぐ前の話だったが、こちらは離縁したあとのお話。
数少ない(よく知らないけど)史実から、ここまで人物像を描けるなんて。
お栄は、しっかりと自分の絵の仕事に向き合う。口うるさい母親、介護、とんでもない甥っ子、恋心。心が乱れそうになっても、仕事と向き合う。現代の女性となんら変わりはない。かっこいいなあ。
そしてお栄を通して伝わる、画狂老人の偉大さよ。
北斎美術館にお栄の痕跡をさがしいにいこうかな。
まかてファンになりそうです。
Posted by ブクログ
歴史小説としてはやや短いけど、葛飾親子の生涯が1章ごと1作品ごと、人生の節目をコンパクトに描いていて疾走感がありました。北斎大好きだし長命だったのでもっと読んでたいなぁとは思ったけど。。日本人本来の職人気質と少しのドロ臭さがカッコよくて、日本が誇る偉人だと再認識しました。北斎に滝沢馬琴が喝を入れるシーンと宮崎あおいが好きです
Posted by ブクログ
北斎の娘・お栄。父同様に絵の道を進む、彼女の熱い生涯を描く。
第一章 悪玉踊り 第二章 カナアリア 第三章 揚羽
第四章 花魁と禿図 第五章 手踊図 第六章 柚子
第七章 鷽 第八章 冨嶽三十六景
第九章 夜桜美人図 第十章 三曲合奏図
第十一章 冨士越龍図 第十二章 吉原格子先之図
参考文献有り。葉室麟による解説と対しての謝辞。
絵を描くこと、色彩に魅せられ、絵師の道を歩む北斎の娘・お栄。
家族との確執、報われぬ恋、老いた父・北斎の世話等、
ままならぬ生活の中での、彼女の生き様を描いています。
それにしても北斎の存在の重さ。独り立ちした者にも、お栄にも、
北斎の側にいた喜びと共に“本物の絵師”への憬れからは
逃れられない。絵師を辞めた善次郎。苦悩する五助。時太郎も?
人生ばくち打ちなのは“北斎の孫”が付き纏うからなのか?
悪事に手を染めるのも、自分を見て欲しいという愛への渇望か?
だからこそ、大地震の時の「姉ちゃんっ」の叫びは、本心と
思いたいです。
先に画集と評伝に接していたため、史料と作品の少なさは
知っていましたが、それらを創作に取り込み描いたお栄の姿。
なんて生き生きと動いていることか!
ラスト・・・どこでも行ける。どこで生きてもあたしは絵師。
60歳になっても絵師と言い切る潔さは、素晴らしい!
章も、応為の絵の題名や関連のある名称で、画集で観た絵を
思い出させてくれました。
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘、お栄(葛飾応為)が光を求めて生きていく物語。面白かった。
「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。なぜだかわかるか。こうして恥をしのぶからだ。己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。やっちまったもんをつべこべ悔いる暇があったら、次の仕事にとっとと掛かりやがれ」
オランダ商館の依頼で取り組んだ西洋画の出来に満足できていない弟子達に、親父どのがかけた言葉。一番印象に残っている。
もともと北斎についてそんなに知識があるわけではなく、「変わった人」というくらいのイメージしかなかったが、読み進めるうちに絵や仕事に対する凄まじい情熱を感じて熱くなった。
登場する絵にもストーリーを感じられてとても良い。
「大きな波が天に届かんばかりにうねり、今、まさに砕け散らんとしている。その波頭は飛沫を上げ、お栄は己の顔に潮を浴びたような気さえする。
荒波に揉まれているのは、江戸に向かって懸命に繰る三杯の荷舟だ。それぞれの舟には何人もの男たちが身を伏せ、波の勢いにただひたすら身をまかせているようにも見える。
ふだんは穏やかで、江戸と気軽に行き来できる神奈川沖なのだ。魚や薪炭を運んで、それを暮らしの生計にしている。
けれどいざとなれば海はかくもそびえ立って、襲いかかってくる。波に舟ごと呑まれて死ぬか、それとも乗り切れるかの瀬戸際がここには描かれていた。だが人々は、これらの舟は決して沈まぬと信じるだろう。
絵の中心に、富士の山が描かれているからである。
ふだん、江戸のそこかしこで見上げ、霊山として拝みもしてきたその山があることで、人は希みを見出すのだ。己ではどうしようもない境涯であっても、富士の山はいつも揺るぎなく美しい。
死んじまうその刹那まで、生き抜こうじゃねぇか。
親父どのの呟きが響いたような気がした。深刻な声じゃない。いつものように肩の力が抜けた、洒落のめすような物言いだ。
紙の左上には「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」と画題が刻まれ、北斎改為一筆と落款が記されていた。」
お栄から見た神奈川沖浪裏の描写だ。己丑の大火(文政の大火)で大きな被害を受けながらも、富嶽三十六景の大勝負で再起を図る西村屋や北斎たちそのもののを見ているような気にもなってくる。これは希望の絵だ。
さて、当のお栄。
父北斎に似て絵以外の事には頓着しない性格。親父どのとの日常のやり取りは、常識を欠くが見ていて面白い。特に西瓜をもらった時の下りが印象的だった。
絵については親父どのの信頼も厚いが、父と同様にどれだけ描いても満足せず、自分の絵を求めてもがいていたように思う。その中でお栄が見出したのが光だ。西洋画っぽい色彩を取り入れつつも、日本画っぽい構図という独特の世界観を感じる。オランダ商館の仕事がとてもいい伏線になっている。夜桜美人図や吉原格子先之図を見ると、光の陰影とそこから伝わる温もりを感じる。とても素敵な絵だと思う。
そしてお栄自身も絵に人生の光を見出して、齢60にして旅に出るのだ。
太田記念美術館(原宿)
**葛飾応為 吉原格子先之図
**葛飾北斎 富嶽三十六景 神奈川沖浪裏
北斎館(小布施)
**葛飾北斎 富士越龍図
メナード美術館(愛知県小牧市)
**葛飾応為 夜桜美人図
Posted by ブクログ
葛飾北斎という偉大な父であり師匠を持つお栄。
波瀾万丈な人生の中で、筆を置くことはなく、ひたすらに描き続けた。絵そして己に向き合い、力強く歩む姿が目に浮かぶようでした。
蔦屋とか西村屋の名前が出てくるのも熱い(べらぼう)歴史に関する小説も色々と読んでいきたいな。
Posted by ブクログ
小布施の北斎美術館、高山鴻山記念館、岩松院、すみだ北斎美術館にも行った。結構知ってるつもりだったのに、お栄の人生を辿ると、もう一度足を運びたくなった。
お栄の様に絵の具を自分で作るところから始めて描いていたら、そりゃぁ家事なんかしてる時間は無いに決まってる。それだけ没頭しなければ、あの肉筆画は描けない。この親子の物語は借金苦や、江戸の人情があって、更に葛飾北斎、応為を魅力的な存在にしている。
この色は何から作ったのだろうかと思い巡らせながら、もう一度天井画など観てみたい。
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彼女と私を考えた。
少し似ていて、決定的に違っていて、彼女は私の師匠にはなるかもしれない、同年代なら親友にはなれないけど、ライバルにはなれるかもしれない。
志すものは違えど、無二のライバルに。
それは自分を高く見積もりすぎかしら、「あんたなんか眼中にありゃしねぇよ」と嗤われるかしら。
そんなことを考えた。
彼女の生き様は私には決して真似できないものではあって、美しくも不格好で誇り高い絵師の生き様だった。
時折あまりに女の思考回路に虫酸が走ったこともあったけど、最後の数章のお栄は生き生きとしてこれぞ葛飾応為なのだと思った。
波乱であったとしてもいい人生を生きたのだろうと思うこの物語の最後がとても美しくてとても清々しいと思う。
いい作品を読めた。
作中の葛飾北斎の言葉を自分自身のために残しておこうと思う。
「たとえ三流の玄人でも、一流の素人に勝る。なぜだかわかるか。こうして恥をしのぶからだ。己が満足できねぇもんでも、歯ぁ喰いしばって世間の目に晒す。」
私も忘れてはいけない言葉だと思う。
まだ三流であったとしても、玄人でありたい。
これからも高みを目指す、玄人であり続けたい。
Posted by ブクログ
四月から続いた大きな仕事が一区切りした。
ようやく楽しみのために本が読めるようになった。
というわけで、お盆休みのおともの一冊に本書を選ぶ。
葛飾北斎の娘で、絵師となった栄の物語。
偉大な父であり師を持ったお栄。
現代なら、プレッシャーに押しつぶされそうな環境だ。
ところが、彼女はただ、絵の上達に励む。
いわゆる朝ドラ的な前向きさとは違う。
自分が自分になるために、どんなに苦しくても、そうするのだ。
そのためには、女性としての生き方の規範などに拘泥しない。
その振り切り方には、羨望をこめて、かっこいいという言葉しか出てこない。
彼女がそのような人生を歩めるのは、父北斎自身、晩年に至るまで、もっとうまくなりたいともがき続けたからだろう。
親子の葛藤は、意外なほどない。
そのあたりが、若干不思議。
親方の名前で世に出る作品を、工房の弟子たちで作っていくような関係がベースにあるからか?
むしろ、家族の葛藤は、甥の時次郎をめぐって展開される。
何年か前のお正月、NHKのドラマになった本だと思う。
主演は宮崎あおいさん。
映像として美しいドラマだったと思う。
でも、善次郎役は誰だっけ?
ちっとも記憶に残っていないが、こんなに物語にとって重要な役回りを担っていたとは…。
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘、葛飾応為の生涯を描いた歴史小説。
朝井まかてさんの小説って近作を読めば読むほどに、名人芸の域に達してるような気がします。葛飾応為のことは全く知らなかったのですが、鮮やかに彼女の生き様が思い浮かんでくる。
天才葛飾北斎を父に持ち、幼いころから絵に親しみ、父の元で腕を磨いてきた応為ことお栄。口うるさい母親、つかみどころのない甥、気まぐれな兄弟子、そして偉大ではあるけれど、人間味のある父の北斎。そうした周りの人々の姿を生き生きと描き、そしてお栄自身の描写もとても生き生きと、それでいて心理は丁寧に描かれる。
父や兄弟子と比べての自分の絵の腕に対する葛藤、絵ではその兄弟子にライバル心を燃やしつつも、一方で想いを寄せる複雑な女心。結婚や女性としての生き方を口が酸っぱくなるほど説教する母に対する反発心。トラブルばかり起こす甥に対する苛立ち。
ちゃきちゃきで歯切れのよい江戸弁の中で描かれる、お栄の心理描写。それはまさに応為の絵の陰影のように小説に光と影の陰影を作ります。
そして様々なトラブルに遭いながらも、芸術に真摯に生きようとする人々の姿も素晴らしい。病気で体が不自由になった北斎に、滝沢馬琴が叱咤激励を言いに来る場面や、お栄の兄弟子の善次郎やその姉妹である芸者の妹たちの姿。
そして父の看病、母の死、甥の借金騒ぎ、火災にあったり想いを寄せた人との別れを経験し、徐々に自分の絵を極めていくお栄。
彼女の気づき、そして自分の生き方を見つける場面の爽やかさは特に素晴らしかった!
読み終えてから画像検索で応為の作品をいくつか見ました。彼女の作品の陰影の裏にあるドラマを勝手ながら想像し、勝手に胸を熱くしました。
第22回中山義秀文学賞
Posted by ブクログ
朝井先生の本は面白いです。後半は、葛飾應為の絵を調べながら読み進めましたが、本物を見たくなりますね。小布施や太田浮世絵美術館を訪れてみたいです。後日、スイカの皮の絵など、ストーリーに纏わる絵に出会えるのはとても楽しいことでした。
Posted by ブクログ
江戸時代の暮らしぶり、浮世絵を生業とする人々の生活が伝わってくる作品。後から葛飾北斎や葛飾応為の作品と合わせてみると、なお染み入る。「吉原格子先之図」と「夜桜美人図」は、その繊細な美しさに溜息が漏れてしまった。
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葛飾応為、お栄を浅井まかて流に描いた一作。山本昌代の応為坦坦録が北斎とお栄に焦点を当てているのに対して、お栄を中心に虚実の物語を組み合わせて、新たな物語を紡ぎだしている。巣ごもりのこの時期に退屈させないi一冊だった。
Posted by ブクログ
葛飾北斎の娘である応為の物語。たばこやお酒を嗜み江戸っ子のきっぷのいい姿が気持ちいい。
絵に対する姿勢もいい。
同年代の友達のような感覚で読む。
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北斎の娘、葛飾應爲(お栄)の一生。8割が北斎の晩年の足跡とお栄の関係ということで物足りない感じが続く中、友であり懸想相手の英泉(善治郎)の死や北斎の死を挟んで自ら絵師として大きく一歩を踏み出す姿に最終的には引き込まれた。
言い方は難しいが、愛する父北斎が彼女の重石になっていたのかと感じた。北斎が長生きでなかったら、應爲ももっと多くの名作を残していたのだろうか。
本作では甥の時次郎がキーとなっている。読み手としては何ともムカつく出来損ないの甥で厄病神である一方で、最後に見せたお栄と時次郎の互いへの親族愛のようなものを見ると血の繋がりの良さと厄介さをより感じた。また、今読んでいる北斎にまつわる作品で「北斎は本当に貧乏だったのか」という謎が出てくるが、本作の設定、つまり甥の借金の肩代わりをし、そのために引っ越しを繰り返していたというのは小説ならではであるが面白いと思った。
Posted by ブクログ
北斎の娘、葛飾応為 お栄は小さい頃から絵が大好き。女好きの兄弟子善次郎、甥の時次郎に困らされたり、お栄らしさが少しづつわかった!北斎の偉大さや周りとの関わり方が面白い!
解説を数年前に亡くなった葉室麟が傑作ですと書いていた。