朝井まかてのレビュー一覧
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極貧の家に生まれた丈吉は阿蘭陀船で調理を学び、幕末の長崎で本邦初の洋食屋を始める。
長崎で若き五代友厚、岩崎弥太郎、陸奥宗光らの知遇を得、五代の勧めで大阪でホテルを開業し、大阪経済界の大立者となっていく。
民間の立場で国家に貢献したいという熱意は時代の空気か。
不平等条約を背景に、政治家、実業家たちの気概も熱い。
妻ゆきの視点で書かれる本書は、同時に草野家の家族の物語でもある。
まだ「人生五十年」の時代なのか、大きな仕事をした人々はみな50前後でこの世を去り、草野家縁者の命も短い。
言葉のやり取りなど、作者の大阪人らしさが本書のところどころに顔を出す。 -
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水戸藩の武士以徳に嫁いだ、江戸の商家の娘登世の物語。
恋歌を読むことによって、日本史の勉強をしていたのに忘れてしまった事柄を記憶に残せるように思う。例えば、桜田門外の変については、経緯や天狗党が関わっていたことは全く覚えていなかった。単語だけ覚えて、その由来まで学ばなかったからかもしれない。
水戸藩の様子についても全く知らず、天狗党と諸生党の対立と天狗党の乱の発生の様子についても興味深く読む事ができた。
以徳の妹てつの言動によって、武家と商家の違いと水戸藩の質実剛健さを知ることができた。
大日本史の編纂によって他藩より税金が重かった事が天狗党の乱の一因となっている。高邁な目的 -
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吉原が好きだ。
成り立ち、歴史、文化、とかく吉原という街そのものに興味がある。
今では(も?)ソープランド立ち並び、「堅気」の女には入りにくい街ではある。
道を歩けばまっすぐ歩いているはずなのに、大きくカーブして、何処にいるのかわからなくなる。
昔の姿を伝える見返り柳は代替わりし、角に建てられたという稲荷神社がかつてを偲ばせる。
吉原を行き来する人を見てきた大門もない。
しかし、そこにある歴史に惹きつけられる。
性産業そのものは、良いものとは思わない。
必要悪とも思わない。
今も昔も、女にとっての苦界が男にとっての楽園であるのなら、せめて、それが紛い物であったとしても華やかな誇りのある、そん -
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吉原というと真っ先に花魁が道中を練り歩く様子が目に浮かびます。しかし、実際はどのような仕組みになっているのか、そこにいる人々はどのように過ごしているのか分からずにいましたが、この小説を読みその成り立ちも含め理解できました。
江戸時代の初め、城下と隔られた日本橋のはずれの町に位置する場所、吉原で遊廓を営んでいる西田屋の女将、かよ。彼女は幼少期に迷子か捨子かもわからず育った素性の持ち主ですが、主人の甚右衛門に拾われ育ち、女房になって間も無い。ずっと年上の甚右衛門は、売色稼業の吉原を発展させるために様々な見世を一ヶ所にまとめた場所を造り、他の町では売色が出来ないように公儀から許しを貰う。ここから始ま