【感想・ネタバレ】残り者のレビュー

あらすじ

時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった「残り者」がいた。彼女らはなにを目論んでいるのか。それぞれ胸のうちを明かした五人が起こした思いがけない行動とは――激動の時代を生きぬいた女たちの物語。

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匿名

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天璋院が江戸城大奥を去る日、その天璋院付きの呉服の間のりつがふと針の始末をしたかどうかが気になって部屋に戻ると、
天璋院の猫サト姫を探しに御膳所のお蛸が姿を見せた。
そのうち、御三の間のちかも加わりサト姫を探し出し、猫を入れる籠を探しに更に奥へ行くと、
中臈のふきと、静寛院の宮付きの呉服の間のもみぢもまた居残っていた。

五人は一晩を共に過ごし、こっそりと長く続いた江戸幕府の終焉を見届ける・・・。

天璋院の夫だった徳川家定のかすていらづくりの逸話、
天璋院と静寛院の宮づきの呉服の間の者同士の“お針”対決など、面白く読めました。

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2025年06月17日

Posted by ブクログ

朝井まかての大奥もの、というか、幕末ものでしょうか。
仕事に生きてきた女性たちの、江戸城最後の日を描きます。

江戸城の無血開城が決まった後。
天璋院篤姫が出立前に一同を集め、粛々と城を出ていくように諭します。
荷物はすべて後から送ってくれるはずだからと。
天璋院が去った後、奥勤めの女中たちは皆右往左往して、出来る限り荷物を持って我先に出ていくのでした。

呉服之間に勤めるお針子だったりつは、もう一度部屋を確かめたくなり、戻ります。
お蛸という女中が天璋院の猫を追いかけているのに出くわし、一緒に捜し歩きます。
すると、ちかという女中もまだ残っていました。
さらには御中臈のふきと、和宮のほうの呉服之間に仕えていたもみぢがいました。

御中臈のふきは、りつなど顔を見たこともないほど雲の上の女性。憧れの存在です。
もみぢは、会ったことこそないけれど、呉服之間には腕利きがいると聞き及んでいました。
5人の女性が残った理由。
まだすぐには去ろうとしない理由は。

大奥というと、美しい女性が豪華な衣装で上様に侍るイメージですが。そういう女性は数限られていて、実際はその世話をする組織で働いている女性が多い。
キャリアウーマンの集まりでもあったのでした。
その職場が失われるとき。

無念さやこだわり、別れを惜しむ気持ち。
突っ張っていたのが、しだいに打ち解けて語り合い、2日目を迎え‥
荒々しく乗り込んできた武士たちを物陰から見る。

後の世にまた再会するエピローグが、とても素敵です。
お気に入りの作品になりました。

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2024年01月20日

Posted by ブクログ

コンプリートってこと 最後になってしまったけど、残り者を読んで朝井まかての文庫本を読み終える。表示で決めるのは良くないので こんなに江戸のど真ん中の話だとは、明治維新かなとか勝手に思いました、大奥に中奥に本丸に、構造も難しい 難しいけど順繰りとごふくのまとか出て来るから、楽しいし40歳になるリツがフキの本当の理由を解き明かすラストに惚れた。百も承知二百もガッテン。不思議な5人だったら でも心意気が結び付けてずーっと長く友になるってこと フキのテヤンデェーが1番好きかも

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2024年01月16日

Posted by ブクログ

大奥と呼ばれる職場で江戸城を明け渡す場に居合わせた5人の出自の異なる女性たちの物語。それぞれが如何なる思いで城に残ろうとしたのか、そして、残る者がいるであろうと予測した天璋院の思惑とは。私の知る大奥とは、女性の園で殿様にかしずくだけの所であると思っていたのだか、5人のそれぞれのキャラクターを通して大奥のシステムを垣間見る事ができた。なかなか面白い本であった。さて、この5人は無事に脱出ができたのであろうか。結末やいかに・・・それは見てのお楽しみ。


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2022年11月23日

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歴史の「その時」を描くとともに、しっかりしたお仕事小説でもあった。
多くの人に読んでほしい良作。

幕末、開城前夜の江戸城大奥。
大奥はハーレムではなく、女性が自らの才知と器量を発揮し、矜持を抱いて働く、数少ない場だった。
政治と戦争の影響によって、働く場が消失する。
その場に臨んだ5人の大奥女中が、去り難く、信じたくない思いで、職場であり家であった大奥に留まる。
彼女たちの思いに共感した。
いよいよ開城の日、占領する側の男たちの態度ときたら! 憤りを禁じ得なかった。
女性の働く場を土足で荒らした男たちに、言い得ぬ怒りを感じるのは、現代の諸々を想起させるからと思った。

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2022年05月30日

Posted by ブクログ

幕末、江戸城明け渡しの前夜

大奥に残った5人の女性たち「残り者」
彼女たちは何故残ったのか。

大奥勤めという特殊な境遇なれど
仕事に誇りを抱く女たち。
江戸城を追われるくやしさ

女たちの矜持が美しい

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2020年06月03日

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ネタバレ

江戸城明け渡しが命じられた大奥最後の日。それぞれの事情から大奥から離れられずにいる5人の女の物語。
呉服之間のお針子をはじめ、大奥に来た事情もやっていた仕事もバラバラな5人。江戸末期の女性の様々な生き方が垣間見れておもしろかった。
時代の変わり目に直面して翻弄される不安な気持ちもありありと伝わってくる。

大奥で飼われているお猫様のお世話とか、天璋院(篤姫)と静寛院(和宮)の二人から明らかになる江戸と京の風俗の違いとか、縫い手の縫い方によって着物の着心地が違うとか、その時代を肌で感じられるエピソードがいちいち面白い!

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2019年07月22日

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時代もの
そして女のけんか
ときたら、朝井まかてだろう。

そして
期待を裏切らない面白さは、たくさんの取材のおかげ

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2019年07月04日

Posted by ブクログ

あまりに平凡な感想になってしまうけれど、まず思い浮かぶのはやはり大奥版 黒書院の六兵衛かな。
徳川家の家臣としての最後の矜持という芯は似ているけれど、行動や知識が非常制限されていたであろう当時の女性の限界と、その中でも力強く生きる姿がとても朝井作品らしいです。
また、最後に維新後の様子が少しだけ入っていたのも、まるで外伝を読んでいるようで良かったです。

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2025年09月20日

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江戸城明け渡しにまつわる話で、読みやすく、こんなことがあったかもしれないなと思わせる話。大奥や、天璋院苦手意識があったが、その時代について興味がわいた。

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2025年08月28日

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ネタバレ

江戸城明け渡し前夜、大奥に残った4人の女達。
それぞれが、どのような生い立ちで、どんな思いで残ったのかが語られてゆく。
そして維新後の彼女たちは・・・。

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

初まかて作品。
江戸城無血開城。言葉は知っているけど漠然としていたものが、大奥に焦点を当てて鮮明になりました。

大奥ものが好きで、さらに江戸城明け渡しの日の出来事ということで楽しみにして読み始めました。
自分も一緒に大奥に残っているように、登場人物たちと一緒にドキドキしながら読み進めました。
いつ官軍が来るかと思いながら、自分の身の上を打ち明ける夜の語らいの場面が1番心に残りました。

残念だったのは、自分の中の和服に関する知識が乏しく、これってどんな色?とか、どんな服?と逐一調べながらでないとわからなかった事です。改めて和服や色に関して調べて、きちんと知識を持って読むとより楽しめたな、と思いました。

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2024年07月24日

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ネタバレ

江戸城明け渡しの日、皆が退去する中、お城に残った5人の女中。解説にもあるが大奥というと女の園=色恋のイメージがあるがここでは生活の場・職場として描かれている。現代に例えれば倒産した勤め先から去り難く残っている社員4人と中間管理職1人といった感じか。
それぞれの登場人物の自身の職務に対する矜持が心地よい。それと、ふき様カッコいい(笑)。エピローグでふきがお城に残っていた理由が明かされるが、5人が5人とも生きて幸せに暮らしているのがわかってホッとした。

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2024年07月07日

Posted by ブクログ

おお!! 5人の残り者各々が主人公の短編が、ストーリーとしては繋がっていて、非常に読み進めやすかった。大奥ってどうも興味をそそられる!! クセ強のキャラ揃い、なかでもふき殿最高(^^)最後の最後もいい終わり方だった!!

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2023年02月24日

Posted by ブクログ

大奥最後の日に残った5人の奥女中の会話で彩られる本作。

一人称である「りつ」の目線で物語が描かれるが、1つの会話から枝が広がり話題がコロコロと転がっていく。テンポは良くないのだが、この感じが「りつ」の控えめでありながらも思慮深く武家ならではの芯の強い性格を色濃く反映しており、また話の流れを崩さずに史実を読者に伝えていく形式が非常に上手い。

大奥でしか生きてこなかった人が急に外の世界に出される。加えて逆賊の一味という刻印を背負っていく。歴史を学ぶ際に彼女らの立場に立って考えたことはなかったが、非常に残酷で恐怖の状況である。それでも前に進まなければならない、皆同じ立場なのだから、と対局的に場を観察し、行動できる「りつ」は本作の主人公たる理由があると感じた。

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2021年01月09日

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幕末の江戸城明け渡しのなか、大奥に留まる5人の「残り者」がいた。
明け渡しの際でそれぞれの立場、過去を絡ませながら大奥で勤めてきた誇りや大事にしてきたものを再確認する。大奥のドロドロしたイメージではなく、よもや現代に設定を置き換えてもすらすら読めるほど5人の勤め人としての矜恃を軽やかに描ぐ。

最後の終わり方もほっこりとして、とても気持ちの良い終わりかた

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2020年05月22日

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江戸城開城の時、大奥に残った女性が5人いた。
夫々の思いがあり、城を出ることが出来なかった。
その5人の江戸城での勤めや開城の時何が起こったかをそこに居たかのように、また女性という立場から捉えていて、
興味深く面白かった。最後にその後話もあり、こうやって江戸は終わっていったのだなあと感慨深い。

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2020年03月28日

Posted by ブクログ

オモシロかった。朝井まかてさんに間違いないなって感じで満足でした。
女5人の立場や背景に引き込まれて楽しかった。

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2019年11月08日

Posted by ブクログ

江戸から明治へ時代が変わる、150年程も前の大奥が舞台。だけど、これだけ時が経ち、技術も科学も医学も、あらゆることが進化し、女性が働くことが当たり前になった今でも、変わらないことが多いんだなあと思った。
女が集まるところで起こる、嫉妬・足の引っ張り合い(まあ、これは男世界での権力争いも同じことなのだろうけど)。男が起こす戦争に翻弄される女と子供。
解説には、この本は「女の居場所の物語」「戦争と政治に居場所を奪われた女の物語」だと書いてあったけど、そうだなあと思う。そして、そう言う意味でも、今もこの時代も、女性にとって同じだな、と感じる。
男性の中には、そんなことはないと思う人も多いと思うけど、今の時代であっても、女性が1人で自分の足で立って生きていくのは、やはり男性よりは大変なことだし、政治でも経済でも、女性が男性と同じように、中心で動かす力を持つのは、まだまだ先だな、と思うし。
でも、だからこそ、将軍の寵愛を求めて、男性に寄りかかって生きていく為に、女だらけの世界で争っていた印象で語られやすい大奥の女性達が、自分の働きで自分の生活を立て、自分の足で立っていることに、生き甲斐や誇りを持っていたんだと、改めて気づかされた、この本は面白かったな、と思う。
そして、いつの時代も、皆、色々な理由から、経済的にも気持ち(言動)的にも、自由に生きられない人が多くて、周りに忖度せず、自由に生きている人は、輝いて見えて憧れるんだな、と思った。大奥でも、ふきが人気があったように。

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2019年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

〈大奥は、女が自らの足で立てる唯一の場であったのだ〉
矜持。それともプライド。それぞれの信じた道を。その居場所にて、自分の手で掴み取ったのだ。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

朝井マカテさんはいつも、以外な視点から歴史を表現してくださり、楽しいです。物語の前半はとても軽快で、まるで、現代のOLの会話のようでしたが、後半に進む打ちに、当時の女性たちの葛藤が見え、様々な事を深く考えさせられました。人間とは、何と愛すべき生き物か。何百年も前の女性たちも、現代と同じように、目の前の事に一喜一憂し、毎日を必死に生きていたのですね。

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2023年09月11日

Posted by ブクログ

時は幕末、江戸城明け渡しの日に退去せず残った5人の女たち。
大奥は女が自分の稼ぎで生きていける場所でもあり、外界から隔絶された箱庭でもある。
長く大奥で働いた女たちが外に出ていく恐怖と焦燥。
大奥を出た彼女たちはどう生きるのか。
ラストシーンが良かった。

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2022年04月29日

Posted by ブクログ

江戸城無血開城の際に、大奥では何があったのか、たったの2日間の、無名の女中らが織りなす^_^物語り、一気に面白く読み切りました。

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2021年09月04日

Posted by ブクログ

江戸城明け渡しの前夜、それぞれの思惑で場内に残る女性たちが5人。
浅田次郎著『黒書院の六兵衛』を連想してしまうが、内容は全く別物。
著者は、大奥の風習や作法など、さらにそこで働く女性たちを職業人と捉え、その仕事ぶりを、読者に紹介してくれる。
それだけでも興味深いが、その5人がどのような行動をとるのかと、最後まで読ませてくれる。
エピローグは、ホッとする気持ちのいい読後感となる。

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2020年06月06日

Posted by ブクログ

時代が変わるのは当たり前だけど、江戸から明治が一番変化が大きかったのでは?
自分のひいひいおばあさんたちは、もちろん会ったことはないのですが、それを経験したんだなぁとしみじみした。

それぞれの想いが熱く書かれていて、それでいてさばさばしていて心地よかった。

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2019年12月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大奥という特殊な“家兼職場”でそれぞれの仕事に打ち込み、己の役割への誇りを強く胸に秘めて生きてきた五人の女たち。出身の違いやプライドのぶつかり合いもあるけれど、同じ「残り者」としての立場と各々の矜恃は身分の壁を越え、徐々に五人の心を近づけ結びつけてゆく。
「人が集まれば、気の合う者も合わぬ者もいる。だが、互いの腕は認めていた。だからこそ甲斐があったのだ」の言葉に、年下から年上まで様々な年代の女性がひしめく職場でかつて働いていた頃が無性に懐かしくなり、互いを認め合う出会いの快感に胸が熱くなった。

読後感が良いので感想は甘口。
でも、読み進むのにかなり時間がかかってしまったことも事実。面白い!とグイグイ読ませる勢いはあまりなく、かと言って、つまらないわけでもなく…。何となく先にページが進まなくなって、「ぬけまいる」は途中で積ん読に戻してしまった過去もあり…。ゆっくりゆっくり味わいながら読むのが、自分とまかてさん本とのつきあい方だと思うことにしよう。

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2019年09月09日

Posted by ブクログ

これまでほぼ完璧に面白く読み進めたまかてさんだが、この作品は冗長だった。最初から終わりが予想できる展開で、その通り進んでいく。

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2019年09月02日

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