あらすじ
時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みるなか、大奥にとどまった「残り者」がいた。彼女らはなにを目論んでいるのか。それぞれ胸のうちを明かした五人が起こした思いがけない行動とは――激動の時代を生きぬいた女たちの物語。
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Posted by ブクログ
江戸城明け渡しが命じられた大奥最後の日。それぞれの事情から大奥から離れられずにいる5人の女の物語。
呉服之間のお針子をはじめ、大奥に来た事情もやっていた仕事もバラバラな5人。江戸末期の女性の様々な生き方が垣間見れておもしろかった。
時代の変わり目に直面して翻弄される不安な気持ちもありありと伝わってくる。
大奥で飼われているお猫様のお世話とか、天璋院(篤姫)と静寛院(和宮)の二人から明らかになる江戸と京の風俗の違いとか、縫い手の縫い方によって着物の着心地が違うとか、その時代を肌で感じられるエピソードがいちいち面白い!
Posted by ブクログ
江戸城明け渡し前夜、大奥に残った4人の女達。
それぞれが、どのような生い立ちで、どんな思いで残ったのかが語られてゆく。
そして維新後の彼女たちは・・・。
Posted by ブクログ
江戸城明け渡しの日、皆が退去する中、お城に残った5人の女中。解説にもあるが大奥というと女の園=色恋のイメージがあるがここでは生活の場・職場として描かれている。現代に例えれば倒産した勤め先から去り難く残っている社員4人と中間管理職1人といった感じか。
それぞれの登場人物の自身の職務に対する矜持が心地よい。それと、ふき様カッコいい(笑)。エピローグでふきがお城に残っていた理由が明かされるが、5人が5人とも生きて幸せに暮らしているのがわかってホッとした。
Posted by ブクログ
〈大奥は、女が自らの足で立てる唯一の場であったのだ〉
矜持。それともプライド。それぞれの信じた道を。その居場所にて、自分の手で掴み取ったのだ。
Posted by ブクログ
大奥という特殊な“家兼職場”でそれぞれの仕事に打ち込み、己の役割への誇りを強く胸に秘めて生きてきた五人の女たち。出身の違いやプライドのぶつかり合いもあるけれど、同じ「残り者」としての立場と各々の矜恃は身分の壁を越え、徐々に五人の心を近づけ結びつけてゆく。
「人が集まれば、気の合う者も合わぬ者もいる。だが、互いの腕は認めていた。だからこそ甲斐があったのだ」の言葉に、年下から年上まで様々な年代の女性がひしめく職場でかつて働いていた頃が無性に懐かしくなり、互いを認め合う出会いの快感に胸が熱くなった。
読後感が良いので感想は甘口。
でも、読み進むのにかなり時間がかかってしまったことも事実。面白い!とグイグイ読ませる勢いはあまりなく、かと言って、つまらないわけでもなく…。何となく先にページが進まなくなって、「ぬけまいる」は途中で積ん読に戻してしまった過去もあり…。ゆっくりゆっくり味わいながら読むのが、自分とまかてさん本とのつきあい方だと思うことにしよう。