朝井まかてのレビュー一覧
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時代が移り行く時に、夫婦と義妹との小さな料理屋から始まった物語が、いくつもの危機を乗り越え時代を象徴するホテルへと成り上がっていく。
ひょんなことから夫婦になった「ゆき」と「丈吉」。
頑固者の丈吉に口出しをせず、でもしっかりと手綱を握り誰よりも理解し、支え続けるゆき。
じっと耐えるだけではなく、時にはガス抜きをして
朗らかに生きていく姿は、昨今の「男女平等」とは程遠いけれど、幸せに見えた。
時代が時代なだけに、幾つもの別れや悲しみがあるにも関わらず、出来事を点と点で結ぶ浅井まかてさんの作風は、その間に流れる気持ちを想像させてくれて豊かな気持ちになった。
美味しそうな料理も数多く登場してお腹が -
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朝井まかてお得意の人情噺、いや夫婦善哉話。幕末の長崎から始まり、維新後の大阪の街の様子が描かれる。登場人物には五代友厚、陸奥宗光、後藤象二郎、岩崎弥太郎など所謂維新の功労者とやらばかり。坂本龍馬や西郷隆盛、大久保利通、薩長土肥の「偉人」たちの名前は出てくるがほとんどストーリーには絡まない。考えようによってはホテルやレストランを日本でほとんど初めて経営した料理人草野丈吉の伝記でもあるが、前に読んだ『ボタニカ』ほど強烈なキャラクターではない。戊辰戦争や西南の役も名詞として登場するだけ。反薩長土肥のワタクシとしては二本松の元藩士に共感してしまった。明治の開国後、不平等条約の改正に全力で取り組む政治家
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Xの投稿で知り、民藝に前々から興味があったのと装丁に惹かれて読んだ。
当時の生活の様子や民藝運動に関わる人物達がいきいきと描かれている。柳宗悦だけでなく、妻・兼子にも焦点を当てられているのが良かった。兼子については何も知らなかったが一番興味を惹かれた。自由な宗悦と暮らすのもなかなか大変そうだし、歌手として柳家の家計を支えて、幼い子を残して海外留学するという葛藤があり、逞しい。朝ドラになりそう。
この物語はとにかくご飯が凄く美味しそうで、そのご飯が民藝の器に盛られた様子を想像してお腹空いてしまった。
読み終えて日本民藝館にまた行ってみようと思った。
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工業の近代化に伴う大量生産によって、手仕事やその文化自体に陰が差し始めた大正後期〜昭和初期と、AIを使えば大量生成が可能となった現代はとても似て見える。民藝運動と柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司ら三人をいま描く意味はそのあたりにあると思います。
出力された創作物全般に対して個人的なことを言えば、私はずっと薄っすら忌避感を持っている。止めろと激烈に怒鳴りつけるほどではない、見ていると何となく居心地が悪くなるそんなレベルのを。労働性(繰り返しの中で得られる技術)や伝統性(先人たちの積み上げによる庇護)、他力性(風土や伝統といった不可視の力による支え)といった民藝品が持つ特性を生成物は殆ど有していないか -
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吉川英治文学賞
エンタメ系小説最高峰の吉川英治文学賞を受賞したということで読む。
度重なる放蕩により、大坂の骨董商から追い出されたどら蔵(どらぞう)こと寅蔵が江戸でさまざまな人に出会い、骨董修行をする話。
なのだが、骨董の世界は、騙し騙されるのが日常のようで、何が正解かはわからない。
一両というと大変な大金なのだが、今でいうオークションで簡単に何十両もつり上がってしまう。
そこには贋作や修復品も混ざっており、真面目に商売を大きくしていくという王道のなにわの商売物ではない。
チャラい上方者の主人公もなんだか好きになれなかった(だからこそ、どら蔵なんだけど)。
ここ最近読んだ小説(宮本輝の -
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柳宗悦の家で女中として働くサチの見た、柳家の暮らし、宗悦と彼の友人である河井寛次郎、濱田庄司との交流、民藝運動の歩みが描かれる。日常生活の中の道具に美を見出し、その美しさを世に伝えようとした彼らの活動。そのために気に入った道具を好きに買うのだが、そのためには勿論資金が必要。稼ぐためには働かないと公言する宗悦を、妻である兼子が歌って稼いで支えている。兼子さんはパワフルで潔く、濃やかな気遣いのできるとても魅力的な女性である。
兼子さん含め、作る料理がとても美味しそう。そしてとても贅沢である。旬の食材、当時一般的だったとは思えない肉や乳製品。洋食のメニューも豊富で、ご相伴にあずかりたいと何度も思った -
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一時は近世の実在人物を描いた歴史小説が多かったまかてさん、2023年の『どら蔵』に続く(間に『グロリアソサエテ』が入ってますが)、原点回帰的な人情物の時代小説~連作短編~です。
主人公の水茶屋・ささげやの女将のお玉は予知能力者。とは言え、ささやかな能力で、手に触ることによってその人の数年後の姿が思い浮かぶと言うレベル。持ち込まれる悩みも左程の事は無く、予知能力はあくまで背景です。物語は亭主を事故で亡くし苦戦するお玉と、それを取り巻く人々の助け合いを描く人情物の時代小説です。違和感を感じさせない話の持って行き方や、季節感の織り込み方など流石に慣れたものです。
ただ、ちょっと人名に苦戦。最初に登場 -
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朝井まかて『眩』。
朝井まかて作品、初読み。
葛飾北斎の娘・お栄こと、葛飾応為。
北斎の娘として、父を支えながら、その才能に葛藤しながら、絵師として、自らの画風を見出していく…
善治郎との叶わぬ恋、甥・時太郎の起こした不始末への尻拭い。
なかなか知ることもなかった、葛飾北斎の娘・応為。葛飾北斎自体、浮世絵師であることと『富獄三十六景』程度くらいしか知らないが…
江戸っ子の小気味よさが感じられる。
最後に自分の画風にたどりつけて、よかった。
支え続けるだけの人生だけではなく…
しかし、時太郎だけは…
いつまで経っても…
ろくな最後は迎えられないんだろうが…
お栄には長澤まさみがぴったり