朝井まかてのレビュー一覧
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藤沢周平作品の次は、朝井まかて先生の作品にトライ。朝井さんなんて、今村翔吾先生の教養本触らなかったら一生知らなかったかも。時代小説って現代では使われていない独特の言い回しが沢山でてくる。勿論どれも知らない(なんなら初めて耳にする恥)なのでいちいち検索してはほーとかへーとかなってる。抜け参りとは、家族に黙ってふいっとお伊勢参りしちゃうこと。江戸時代に流行ってんですってよ。
主人公は幼なじみアラサー三人娘。10代で子供生んじゃう時代だから完全なるオバサン扱い(笑)その三人の抜け参りのハラハラドキドキの珍道中、恋あり、博打ありの痛快小説だ。
私時代小説いける口だわ、全然ハードル高くない!むしろ、AI -
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偉大な父鴎外没後、森一家の半生を末っ子「類」の目線で描いた作品です。主人公の類は、日がな一日を思うままに過ごせればそれで良しの、いわゆるおぼっちゃま。苦しみは遠ざけ、すべき苦労は周りに任せ、ピンチになれば「鴎外」と書かれた印籠を掲げてその場を凌ぐ。生活が困窮すれど変わることのないこのスタイル。本人に一切の悪気無し。そんな穀潰しのダメ男を支え続ける妻と姉、そして子供たち。あぁ、なんという人生。なんと腹立たしい所業の数々。だが、正直羨ましい。
検査入院した妻美穂との会話。病室で放つ美穂の言葉一つ一つが類の本質を的確に捉えて心を抉る。聞かされる方は逃げ場なくコーナーに追い詰められる。ノックアウト寸 -
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植物学の父、牧野富太郎の話。
朝ドラらんまん面白かったし、と思って読んだらドラマとの違いにガッツリ殴られる。途中で一旦閉じ「私の知ってる綾ちゃん(猶さん)はいない、ドラマと現実は違う」と落ち着けてからまた読み始める。
いやまぁそりゃ、現実(小説)はこうよな。酒と家が大好きで跡を継いで酒造りをしたいと気高く美しい綾ちゃんも万太郎と家族を思い気高く自分の選択で生きて行くスエちゃんも、ドラマの中よなぁと当然のことを思う。
さて、実際の万太郎いや富太郎はどんな人物だったのか。予想以上の破天荒な人たらし、いやもう周りの人の立場になったら殴りたいとか思う時もあるんやけど、一途に草花を想う姿に絆されてしまう -
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長崎の「あきない正伝」だ!
油商家の女将で、幕末の動乱期
外国に茶葉を売り込み富を築くも
詐欺事件に巻き込まれて財も信用も失い
それでも最後はまたひと花咲かせた
剛気な大浦慶の一代記。
朝ドラいけそうやん。
慶も魅力的だけど
彼女の意気に賛同してくれる
船員テキストルや商人ヲルトや
ガラバアといった異国の人々がまた
なんとも魅力的です。
あと、父親の代からの番頭さんが
目の上のたんこぶ的な存在なのだけど
後半、彼が店のことを大切に想い
慶のことも考えていたことがわかって(T_T)
昔読んだ漫画『ニュクスの角灯』にも
大浦慶が出てたな〜。
ああ、また長崎に行きたくなった。 -
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ネタバレ「草を褥に」に続けて牧野富太郎を読む。こちらはきちんと「小説」であり、読みやすい。
冒頭の、植物の声に耳を傾け話しかける富太郎少年が良い。この様子は小説全体を通じて折々に顔を出すのだが、純粋さの発露のようなこんな部分があったからこそ、他が傲岸で破天荒であっても彼を愛する人が絶えなかったのかもしれないと思わされる。
とはいえ、いろいろめちゃくちゃである。まず謙遜という言葉がなさすぎる。知っていることしか教えないと言って学校は辞めるし大学にすら入らない。既存の権威に屈しないと言えば格好いいが、ではなんでも自力でできるかと言えばその才覚はなく徒に金を遣って家を潰しその後も分以上の支払いをし続けて借金 -
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読書備忘録764号。
★★★。
幕末から維新、明治にかけて、鎖国状態から一気に世界との外交に晒された日本。不平等条約のオンパレード。その外交を食で支えた男がいた。草野丈吉。
日本初の洋食屋「自由亭」を長崎で開き、大阪に拠点を移し、レストラン、ホテルを開業し大きくしていった男。
それを支えた偉人達。陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎。
特にうちの企業グループの礎を作った弥太郎さま。
土佐藩出身。国に期待し、裏切られ、だったら企業で世の中を動かしてやろう。どんだけ凄いの!あなた様は!息遣いが聞こえてくるような弥太郎さんを感じられたのは凄く嬉しかった。
なので、どんだけワクワク感満点で、 -
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ネタバレ朝井まかて作品 2冊目 植物学者 牧野富太郎を題材にした作品
朝ドラ「らんまん」にも題材にされた 「植物学の父」牧野富太郎
高知県の酒蔵の息子は 小さいときから植物が好きで、頭も切れる風変わりな子どもだった。小学校を中退して植物採集に明け暮れる「岸屋の坊」
15歳の時 時間と知識のある富太郎に地元の小学校の臨時講師としての声がかかる。
そして従妹 猶(なお)との祝言。
妻に酒屋と祖母を任せて 植物学の研究の為上京する富太郎。
そして菓子屋の娘 スエと出会い 高知と東京の2重生活を送る。
ドラマの中でも相当 破天荒で 周りの意見や状況は二の次、植物一筋で 身近にいたら巻き込まれそうな危険人物