朝井まかてのレビュー一覧

  • 福袋

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    音読したら面白いだろうなあと思うような小気味のよい会話で物語が進んでいく。いずれの短編も終わりは爽やか。 

    疲れてお茶さんで一息入れたり、季節のもので簡単なおかずを作ったり、疲れた時はお惣菜を買ったり…… と、随所に今に通ずるごくごく普通の暮らしぶりが垣間見えるのがとても興味深い。時代は流れても、人間のすること、欲することはさほど変わらないんだなあと思わされる。登場人物誰もが身近な存在に感じられた。

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    2025年07月05日
  • ボタニカ

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    日本の植物相(フロラ)を明らかにするためならば、
    すべてを投げ打ってでも、家族を後回しにしてでも、
    我が道を突き進んできた主人公富太郎。

    そんな彼を最後まで支え続けた
    妻壽衛さんをはじめとする
    数えきれないくらいの支援者たち。

    彼らが居なければここまでの業績を
    歴史に刻むことはなかったであろうことは、
    巻末に紹介されている参考文献を綿密に下調べして
    富太郎の足跡を詳細に書き著した
    著者朝井さんの筆力によって
    十分に伝わってきました。

    そこで、心に残ったのはこのフレーズ。
    富太郎の言葉
    「人生は、誰と出逢うかだ。」
    それをあなたが言いますか…という印象(^^;
    ただただ参りました。

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    2025年07月01日
  • 実さえ花さえ

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    種苗屋「なずな屋」を営む腕のいい花師、新次と
    おりんの若夫婦を中心に、江戸の市井の人々の暮らしを生き生きと描いた物語。
    育種に定評があり、その腕を見込まれて新次には
    仕事が次々と舞い込んで来る。そんな「なずな屋」に降りかかる災難。以前、修行していた「霧島屋」から嫌がらせを受けるのだが、周囲の助けもあり切り抜けていく。幼なじみの留吉、お袖夫婦、日本橋の上総屋のご隠居の六兵衛、養子の雀、新次とおりん夫婦を取り巻く人たちも魅力的だ。

    武士も町人も花を愛で、草木を慈しみ、楽しむ。
    そんな植物を愛でる気持ちは、今も昔も変わらない。桜草を寒天を使った植え方、冷ました物の上に植えると長持ちするそうだ(知ら

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    2025年06月18日
  • 恋歌

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    ネタバレ

    明治36年、小説家三宅花圃が「師の君」中島歌子の手記を発見したのをきっかけに、40年前に歌子(本名・登世)の身に起きた物語が展開されている。

    手記は一人称で書かれており、前半は豪商の娘として水戸に嫁いだ経緯と水戸での生活が描かれている。自分が望んだ結婚でありながら、夫は尊王攘夷の志士として家にいないときのほうが多い。「天狗黨之亂」の後は完全に生き別れ、そして死別。なので、恋愛から始まった小説なのだが、物語自体は恋愛感がやや薄い。多くは登世が激動した時代に生き抜いた姿である。

    水戸を舞台にしたこの小説は、普段よく聞いた幕末の話と一線を画し、示しているのは敗者の物語。水戸藩の主張した尊王攘夷が

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    2025年06月09日
  • ちゃんちゃら

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    庭師の仕事の奥深さを味わいつつ、後半はミステリーとアクションの要素が加わるとともに、江戸時代末期の対外的な史実も入り込んできて、朝井さんの筆がもう止まらない!っていう感じが伝わります。読んでいるこちらもグイグイ引っ張られていきました。

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    2025年05月20日
  • 実さえ花さえ

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    ネタバレ

    江戸の風情がよくわかり、起こる出来事も江戸情緒溢れ、面白かった。
    題名が一度変わり、元に戻ったということだが、この題名は素晴らしい。
    ただ1点だけは許せない出来事が…なんであっても許せない…

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    2025年05月12日
  • 落花狼藉

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    初の朝井まかてさんをaudibleで。
    吉原と言っても性描写や色恋沙汰はなく、遊女にはスポットが当てられてない。
    同業者と争いつつも、幕府から命じられる移転や夜間営業の禁止の無理難題、密かに客をとる歌舞妓の踊子や湯女への対応などを共に乗り越えて吉原を繁栄させていくお話。
    個人的には経営のことよりも、同業の女将や番頭の清五郎、血のつながらない家族たちとの人間味あるやり取りがよかった。
    鬼花仍と呼ばれて誰からも嫁にもらうことを拒まれた伝説をもつのがおもしろい。
    ストーリー自体は、死別、大火事、経営に影響あがあった事だけをかいつまんで、時代が大きく飛ぶので印象に残りにくかった。
    章が変わると孫がいて

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    2025年04月11日
  • ぬけまいる

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    同僚に薦められて読んだ、普段は手に取らないジャンルの本。江戸の時代にあったかもしれないリアルさを内側から体験しているような気持ちで楽しめる。幼なじみの年増の女性が旅での出会いに浮かれつつ、置いてきた日常生活を省みる姿が自分事にも感じ、学生時代の友達に「そろそろ集まらない?」の声をかけたくなった。

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    2025年03月22日
  • ぬけまいる

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    3人の幼馴染。江戸からお伊勢さんまでの抜け参り。
    いい友達がいるって幸せだなぁと羨ましくなった。旅先でもお伊勢参りの人だと色々宿に安く泊まれたり、稼ぎ口があったりそれもまた羨ましかったり。
    でも、旅に半年以上、帰りも合わせたら1年近くかかるのか?
    時間がゆっくり流れているなと感じた。

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    2025年03月09日
  • ぬけまいる

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    朝井まかて作品を読むのは確かこれで3作目なんだけど、どれも雰囲気が違う。
    解説に書いてあるように、直木賞作品の「恋歌」とは作風の違いで少し戸惑う。
    最初言葉遣いが現代風で軽い感じがしてうーん、と思っていたけど慣れたら大丈夫だったかな。

    幼馴染のアラサー女3人のドタバタ伊勢参り道中記。
    色んな事が起きてストーリーが進み、旅路が進み、なかなか楽しく読んでしまった。
    やられたらやり返す猪鹿蝶にスッキリ。

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    2025年03月06日
  • 青姫

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    襲撃唐突すぎて…。米の高騰で騒がしいが、実体のない株価はいつの間にか、バブル越え。円も150円台。こんなに大変な稲作の対価としては、それでも安すぎでは。兵糧米=食糧自給率高めないと青姫の郷でなくても大変な未来に。

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    2025年03月03日
  • 輪舞曲(新潮文庫)

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    好き勝手に読み始めた代償または対価

    明治時代
    亡くなった女優 伊澤蘭奢
    彼女の愛人や恋人、息子の四人が顔を合わせる場面から始まり
    各章で各々が蘭奢との接点を振り返る。

    ちょうど三谷幸喜さんの映画(謎の女とその恋人たちが振り返る話)が公開してた頃、亡くなった女優の謎(自殺か他殺か)、一人の女性をめぐり関わった人によって印象が様々に変わるような話を勝手に期待して手に取る。
    他の作品名の中に「眩」があり、ドラマ版を見ようとしてたので何かの縁だと購入した。

    関係性によって見え方が変わりはしたのだけど、途中本人目線のパートもあったので
    途中からは気にせずにいた。

    サスペンス要素は無いとわかり読む

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    2025年02月07日
  • ボタニカ

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    植物を通してでしか見ていなかった人物なので、え!そういう性格だったのねという驚嘆と困惑とでいっぱいでした笑
    でも、日本の植物ってそういう風に特定されて見る世界が広がっていったんだなっていう学びにもなりました。

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    2025年02月06日
  • 輪舞曲(新潮文庫)

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    明治の世
    女優という夢を追い続けた伊澤蘭奢
    わずか40歳でこの世を去った希代の新劇女優と
    焦がれる男たちの物語

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    2025年01月28日
  • 輪舞曲(新潮文庫)

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    明治時代の女優、伊澤蘭奢の死と、その周辺の男たち。
    松井須磨子が、カチューシャの歌とかゴンドラの歌とか歌ってたって知らなかった。

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    2025年01月05日
  • グッドバイ

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    知らなかった、幕末の偉人の物語でした。読みやすかったけど、もう少し主人公の人となりが深いとよかったかも…。

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    2024年12月30日
  • 白光

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    画家山下りんの波瀾万丈の人生。
    ブレずに生きるとは、なんと窮屈なものなのか。頑ななほど縛りはキツくなり、他人から見れば常識に外れる。「絵師になる」という思いを遂げるため、なりふり構わぬ行動のその先で彼女が得たものはなんだったのか。
    死の間際、多くの人が自分に正直に生きれば良かったと思うらしい。彼女は81年の生涯を閉じる時、人生をどう振り返っただろうか。

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    2024年12月27日
  • 恋歌

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    途中まではなかなか読み進まず、挫折しそうになりながら時間をかけて読んだが、中盤の天狗党の乱あたりからは夢中になり一気に最後まで読んだ。
    幕末から明治への激動の時代に翻弄されながら懸命に生きた、1人の女性の物語。

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    2024年12月27日
  • 阿蘭陀西鶴

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    ネタバレ

    〈人は同じ物事を目の前にしても、まるで違う景色を見る。わしはどないな悲恋でもそのまま書くことはない。どこかに人の滑稽さを見てしまうからや〉

    父娘関係は普遍的問題。声や仕草だけでなく言葉まで腑に落ちなければ。

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    2024年12月22日
  • 残り者

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    ネタバレ

    〈大奥は、女が自らの足で立てる唯一の場であったのだ〉
    矜持。それともプライド。それぞれの信じた道を。その居場所にて、自分の手で掴み取ったのだ。

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    2024年12月15日