朝井まかてのレビュー一覧
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日本の植物相(フロラ)を明らかにするためならば、
すべてを投げ打ってでも、家族を後回しにしてでも、
我が道を突き進んできた主人公富太郎。
そんな彼を最後まで支え続けた
妻壽衛さんをはじめとする
数えきれないくらいの支援者たち。
彼らが居なければここまでの業績を
歴史に刻むことはなかったであろうことは、
巻末に紹介されている参考文献を綿密に下調べして
富太郎の足跡を詳細に書き著した
著者朝井さんの筆力によって
十分に伝わってきました。
そこで、心に残ったのはこのフレーズ。
富太郎の言葉
「人生は、誰と出逢うかだ。」
それをあなたが言いますか…という印象(^^;
ただただ参りました。 -
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種苗屋「なずな屋」を営む腕のいい花師、新次と
おりんの若夫婦を中心に、江戸の市井の人々の暮らしを生き生きと描いた物語。
育種に定評があり、その腕を見込まれて新次には
仕事が次々と舞い込んで来る。そんな「なずな屋」に降りかかる災難。以前、修行していた「霧島屋」から嫌がらせを受けるのだが、周囲の助けもあり切り抜けていく。幼なじみの留吉、お袖夫婦、日本橋の上総屋のご隠居の六兵衛、養子の雀、新次とおりん夫婦を取り巻く人たちも魅力的だ。
武士も町人も花を愛で、草木を慈しみ、楽しむ。
そんな植物を愛でる気持ちは、今も昔も変わらない。桜草を寒天を使った植え方、冷ました物の上に植えると長持ちするそうだ(知ら -
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ネタバレ明治36年、小説家三宅花圃が「師の君」中島歌子の手記を発見したのをきっかけに、40年前に歌子(本名・登世)の身に起きた物語が展開されている。
手記は一人称で書かれており、前半は豪商の娘として水戸に嫁いだ経緯と水戸での生活が描かれている。自分が望んだ結婚でありながら、夫は尊王攘夷の志士として家にいないときのほうが多い。「天狗黨之亂」の後は完全に生き別れ、そして死別。なので、恋愛から始まった小説なのだが、物語自体は恋愛感がやや薄い。多くは登世が激動した時代に生き抜いた姿である。
水戸を舞台にしたこの小説は、普段よく聞いた幕末の話と一線を画し、示しているのは敗者の物語。水戸藩の主張した尊王攘夷が -
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初の朝井まかてさんをaudibleで。
吉原と言っても性描写や色恋沙汰はなく、遊女にはスポットが当てられてない。
同業者と争いつつも、幕府から命じられる移転や夜間営業の禁止の無理難題、密かに客をとる歌舞妓の踊子や湯女への対応などを共に乗り越えて吉原を繁栄させていくお話。
個人的には経営のことよりも、同業の女将や番頭の清五郎、血のつながらない家族たちとの人間味あるやり取りがよかった。
鬼花仍と呼ばれて誰からも嫁にもらうことを拒まれた伝説をもつのがおもしろい。
ストーリー自体は、死別、大火事、経営に影響あがあった事だけをかいつまんで、時代が大きく飛ぶので印象に残りにくかった。
章が変わると孫がいて -
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好き勝手に読み始めた代償または対価
明治時代
亡くなった女優 伊澤蘭奢
彼女の愛人や恋人、息子の四人が顔を合わせる場面から始まり
各章で各々が蘭奢との接点を振り返る。
ちょうど三谷幸喜さんの映画(謎の女とその恋人たちが振り返る話)が公開してた頃、亡くなった女優の謎(自殺か他殺か)、一人の女性をめぐり関わった人によって印象が様々に変わるような話を勝手に期待して手に取る。
他の作品名の中に「眩」があり、ドラマ版を見ようとしてたので何かの縁だと購入した。
関係性によって見え方が変わりはしたのだけど、途中本人目線のパートもあったので
途中からは気にせずにいた。
サスペンス要素は無いとわかり読む