朝井まかてのレビュー一覧

  • 落花狼藉

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    売色御免/吉原町普請/木遣り唄/星の下/
    湯女/香華/宿願/不夜城

    「吉原」が誕生した経緯。その後の幕府との駆け引きを吉原が生き残る方向へ向けるための思案。何となく栄華を誇っていたと思っていたけれど、それなりの努力があってこそだったのですね。春を売らせる男たちにも矜持があった。そういう人もいたかもしれない……

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    2022年08月28日
  • 落花狼藉

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    大変失礼な言い方だけど、最初あんまり期待しないで読み始めたのだけれど、期待?に反して、面白かった。志を持っていれば、仕事に貴賤はないのだと思った。

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    2022年08月22日
  • 雲上雲下

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    日本昔話のパロディ版かと思いきや、現代にまで繋がるストーリー展開で驚いた。
    短編の中でも小太郎と山姥の話が切なく、ぐっときた。

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    2022年08月22日
  • 眩(新潮文庫)

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    四月から続いた大きな仕事が一区切りした。
    ようやく楽しみのために本が読めるようになった。
    というわけで、お盆休みのおともの一冊に本書を選ぶ。

    葛飾北斎の娘で、絵師となった栄の物語。
    偉大な父であり師を持ったお栄。
    現代なら、プレッシャーに押しつぶされそうな環境だ。

    ところが、彼女はただ、絵の上達に励む。
    いわゆる朝ドラ的な前向きさとは違う。
    自分が自分になるために、どんなに苦しくても、そうするのだ。
    そのためには、女性としての生き方の規範などに拘泥しない。
    その振り切り方には、羨望をこめて、かっこいいという言葉しか出てこない。

    彼女がそのような人生を歩めるのは、父北斎自身、晩年に至るまで、もっとうまくなりたいともがき続けたからだろう。
    親子の葛藤は、意外なほどない。
    そのあたりが、若干不思議。
    親方の名前で世に出る作品を、工房の弟子たちで作っていくような関係がベースにあるからか?
    むしろ、家族の葛藤は、甥の時次郎をめぐって展開される。

    何年か前のお正月、NHKのドラマになった本だと思う。
    主演は宮崎あおいさん。
    映像として美しいドラマだったと思う。
    でも、善次郎役は誰だっけ?
    ちっとも記憶に残っていないが、こんなに物語にとって重要な役回りを担っていたとは…。

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    2022年08月18日
  • 悪玉伝

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    これは恐れ入った。
    吉宗の時代、大疑獄事件になった、辰巳屋の相続のもつれ。
    主人公の吉兵衛は、辰巳屋に生まれたが別家に養子に出された次男。辰巳屋の主人だった長男が亡くなり、養子がまだ若く不甲斐ないために、辰巳屋の跡を継いだ。
    これが不当として奉行所に訴えられ、一旦は治ったものの、今度は江戸の目安箱に訴えが及び、江戸での訴訟となる。

    吉兵衛の人となりが今ひとつ好きになれず、前半はとてもダラダラ読んでしまった。
    訴訟となり、牢に吉兵衛が入ってからは、俄然面白くなり、一気に読み終えた。
    彼が訴えられたために、確かに辰巳屋を潰したと言えるから、悪玉なのだろう。しかしながら、本当にダメだったのは彼なのか?そんな疑問がじわじわ。
    制度の悪、慣習の悪、辰巳屋がいないほうが都合がいい者の悪、与えられた役割から逃げた悪、ちょっといろいろあって書ききれない。

    養子が抱いた外聞の悪い恥を、訴訟の場でずっと黙っていた吉兵衛が、何とも粋だと思った。
    この疑獄のおかげで多数の刑死者も出たわけだが、本当に悪かったのは吉兵衛なのかどうか。
    作品中の敵役はたぶん唐金屋になるが、この唐金屋もなかなか曲者。
    最後はそうきたか!とまた清々しくしてやられたので、読んで満足した。

    正直なところ、辰巳屋の養子だった乙之介が、きちんと仁義をわきまえていれば、刑死者が出ることもなくおさまっただろうに、と思った。
    吉兵衛は事件に連なって死んだ人にも思いを馳せたが、乙之介はどうだったのだろう。
    何も感じずにただ被害者意識でいるなら、本当の悪は愚かな頭脳と覚悟の甘いこいつだわ、と感じた。
    馬鹿は罪。

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    2022年08月18日
  • 藪医 ふらここ堂

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    朝井まかてさんの手慣れた江戸物語。小児医三哲、その娘おゆん、その弟子次郎助など脇役も個性豊かに書き分けられて飽きない。あー面白かったと読み終えられる一冊。こんな先の見えない今に一服の涼を得られる。

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    2022年07月21日
  • 悪玉伝

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    大坂商人の木津屋吉兵衛は優雅な生活を送っていたが、実家の辰巳屋久佐衛門の急逝で物語が展開する.大番頭の与兵衛に牛耳られていた辰巳屋の跡目争いで本命の乙乃助が与兵衛と組んで良からぬ企みを企ていることを察知した吉兵衛が動き始める.久佐衛門の満中陰は無事に終えたが、乙之助が訴訟を起こし最終的に吉兵衛は江戸送りとなる.牢名主らとうまく立ち回る吉兵衛は、自白はせず事件の拡大を横目で見ながら、最終的に黒幕の唐金屋与茂作との交渉で、遠島の沙汰を減じてもらうことになる.大坂商人の辛抱強い気質と多くの人を巻き込む人柄が最終的な勝利につながる物語だが、江戸時代の風景が滲み出てくるような記述には、著者の力量を感じた.

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    2022年07月21日
  • 先生のお庭番

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    面白かった。きっとそういう結末なんだろうなぁと思いつつ十分楽しめた内容だった。登場人物がどれも個性的で良かった。

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    2022年05月31日
  • 草々不一

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    時代小説の短編集。太った女芸者のヒモぐらしをする「紛物」、不貞な妻と思っていたら良妻だった「蓬莱」、隠居が手習いする「草々不一」などが、斬新な設定のお話に感じられてとても良かった。長編が読みたいね。

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    2022年05月11日
  • 雲上雲下

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    初めのうち、草どんが子狐にひたすら昔話を語るお話かと思ったんですが…読み終えてみたら、いやはや、雄大というか壮大というか、とても大きくて深いお話でした。確かに今の世の中、おばあちゃんのそのまたおばあちゃんから口伝えで伝わったお話を知ってる人の方が少ないでしょうし、元のお話が持っていた残酷さもきれいに削られて「めでたしめでたし」なお話になっているとも聞きます。こどもの育ちのためには多少の痛みやいやな思い、残酷さや少々の毒気も知っておくべきとは思うのですけどねぇ。神様はいないのではなく、人が信じて初めて存在するのだと改めて思いました。

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    2022年05月07日
  • 最悪の将軍

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    生類憐れみの令で人々の心に養いたかったもの。
    戦国の世から、泰平の世にするのに必要だったもの。

    文を以て、真に泰平の世を開き申す。

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    2022年04月26日
  • 雲上雲下

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    良い本を読んだ。この本の言おうとしていることに私も共感する。
    お伽噺が最初は語られていくが、後半になり語り部の草どんの話へ。日本の古来からある八百万の神などの神々を存在たらしめるものが人々が語り継ぐお伽噺の中にある。それを現代の人間は忘れ、疎かにして神々の存在を儚いものに。
    そう言う意味からも「にほん昔話」復活も併せて望みたい。

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    2022年02月17日
  • 先生のお庭番

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    シーボルトの薬草園の庭師として雇われた熊吉とシーボルトの心の交流を描く物語。向学心旺盛な熊吉の成長、シーボルトの妻、滝の生活があの事件に依って大きく変わってしまう。

    シーボルト事件は歴史の勉強の時に出てきて知ってはいたが、この作品でシーボルトなる人物の一部を知ることが出来た。兎に角、面白い作品であった。この作者の作り出すフィクションの部分がさも事実であるが如く感じさせるのは作者の力量の表れだと思う。

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    2022年02月10日
  • すかたん

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    高田郁の「みをつくし料理帖」や「あきない世伝金と銀」の様な味わいを感じる小説でした。
    商いに対する思い、周りの人に対する思い、何かに取り憑くように事に勤しむ思い、楽しんで読ましていただきました。少し出来すぎた結末に軽さを感じるも、御寮人志乃の最初からの思いも最後に明らかになり、納得。次は、「恋歌」のページを括りたいと思います。

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    2022年02月03日
  • 阿蘭陀西鶴

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     井原西鶴とは、文学年表だけの人でした。彼の一人娘が盲目であったことなど知る由もなかった。娘から見た、偉大な父を描くのは著者の得意とするところか。娘に対する父の思い入れは、不器用になるのだが、二人の心の通い合いがとても良く描かれて感動を誘う。今になっては、読み直そうとすることはかなわないが、とても興味のある作家であることを教えてくれました。

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    2021年12月31日
  • 最悪の将軍

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    読みはじめは文章が固くなかなか進まなかった。慣れると歴史再発見で綱吉の見方が変わってきて面白い小説だった。理想を追い続けた政治をした人だったんだなぁ。

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    2021年12月30日
  • 草々不一

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    短編は一気に読めない性格ゆえ、ゆっくり堪能いたしました。

    どの作品も、温かい。江戸らしい。
    素敵な作品ばかりでした。

    タイトルと同じ、最後の『草々不一』は一番好き。
    こういう、賢い女性にあこがれるし、子どもたちに混じって一生懸命努力する親分も素晴らしいと思いました。
    やっぱり江戸っていいな。

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    2021年12月18日
  • 福袋

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    江戸を舞台の、人情溢れる庶民の生活を描く、8つの短編。
    ぞっこん・・・お互いがぞっこんになった“筆”と文字職人の歩み。
       お上の動向に左右されながらも強かに生きる、人々の姿。
    千両役者・・・大部屋役者の花六と、贔屓で通う辛子屋の太之助。
       迎えるのは大どんでん返し。そして、一か八かの大博奕へ。
    晴れ湯・・・湯屋の娘・お晴。好きな稼業を手伝う中、知るのは、
       客の皆に愛される湯屋の事。父母の関係と自分への想い。
    莫連あやめ・・・出来の良い兄嫁に心乱される古着屋のあやめだが、
     親友を貶めた高慢な娘たちとの諍いが。それを救ったのは・・・。
    福袋・・・大食漢で離縁された乾物屋・濱屋のお壱与。
       弟の佐平は姉を大食い大会に出場させて、賞金をせしめる。
       それは己の目論見のため。が、福袋。福が去ったら、空袋。
    暮れ花火・・・羽裏の絵師・おようは、辰巳芸者の美代次から笑絵を
       注文されるが・・・フラッシュバックの如きの過去の出来事。
    後の祭・・・神田明神の「お祭掛」になってしまった家主・徳兵衛。
      番狂わせはあれど奮闘する。町の衆も。神様も?
      そう、祭りってのは楽しむもんだ、あたしらの天下祭だ!
    ひってん・・・生業の無い卯吉と寅次が、人助けで貰った櫛を売る。
         商いの思案に目覚める卯吉。時が過ぎ、商人として
         歩む彼の心に浮かぶのは、ひってん長屋の想い出。
    江戸には様々な生業がある。
    それらに携わる人々の喜怒哀楽と生活を描く、人情溢れる短編集。
    江戸の庶民の生活には生業があります。
    順風満帆もあるし、努力を重ねるものもある。
    だが、何かをきっかけにして、多大な変化が訪れることもある。
    大御所・家斉、老中・水野の質素倹約、北町奉行・遠山の登場。
    時代の風潮の変化もさることながら、人の関わりや縁も同様。
    その変化の中での、喜怒哀楽溢れる人々の生き方が描かれています。
    場所は江戸。江戸っ子の胸をすく鯔背な言葉は心地よく響き、
    変化に対峙する心根には、粋を感じることも。
    そして江戸の情緒溢れる詳細な、暮らしの情景描写の見事さ。
    神田祭の熱量の凄さは行間から迸るほどの熱さでした。

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    2021年12月17日
  • 草々不一

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    赤穂浪士からペリー来航まで、江戸時代って言っても様々ですが、何なら維新の後の不平士族の反乱も含めて、武士の社会を味わえます。

    短編集ですが、いずれの話も「続きが知りたい」終わり方でもやもやしてたら、解説で佐藤江梨子さんが二つだけ続編を書いてくれてました。

    「蓬莱」「草々不一」の二編の妻が実にとっても純愛でステキ。

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    2021年12月05日
  • 先生のお庭番

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    自然は制覇するものだと考えるシボルト先生と、自然は共に生きるものだと考えてきた熊吉。いや、熊吉はそんなこと当たり前過ぎて考えたこともなかっただろう。

    周囲の人々が悲惨な事態となり、シボルト先生の配慮は充分だったのか正直疑問が残った。

    アジサイに、そんなに種類が多くあったとは知りませんでした。一斉に咲いていたら、見ごたえあるだろうなぁ。
    あれ?これって、自然を制覇しようとしてる?

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    2021年10月13日