朝井まかてのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
全1巻。
三十路前の女三人が急に伊勢参りに旅立つ話。
直木賞作家・朝井まかて版、東海道中膝栗毛。
いや面白い。
江戸→伊勢までの道すがら、
数々の事件に巻き込まれていく、
痛快(元)ずっこけ三人組。
主人公達の設定が秀逸。
女の曲がり角、
青春の終わりを自覚しだす三十路前の女三人。
それなりに背負った人生の哀しみと
センチメンタリズムが、
物語を単純な痛快コメディじゃなくしている。
妙にリアルに胸に沁みる。
惜しむらくはクライマックスのアッサリ感。
他作品でもそうだったけど、
最期に全部の謎が集約して盛り上がるんじゃなくて
駆け足で消化してる感がちょっとある。
結果、女達のそれぞれの哀し -
Posted by ブクログ
長崎出島でシーボルトの薬草園の園丁として働く少年を主人公にした歴史小説。
最近、こういう植木職を主人公にした歴史・時代物を続けて読んだ気がすると思ったら、『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と『ちゃんちゃら』でいずれも朝井さんの作品でした。
時代小説と言えば、以前は侍、あるいは商人ものが中心だったような気がしますが、こうした職人物が増えてきて、例えば料理人関係もブームみたいに出てますし、それはそれでなかなか楽しいものです。
やや軽めな印象は受けますが、主人公の少年のひたむきさが心地良く。また、主人公を取り巻くシーボルトの妻のお滝、従僕のオルソンなどの人物像も良く出来てます。ただシーボルト本人はどこ -
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時代小説には(普通の小説もかもしれないけれど)三人組の主人公という設定が多く、大抵の場合、知性派、武闘派、癒し系の組み合わせです。
この話も主人公が女性達というのは珍しいですが、武闘派のお以乃、知性派のお志花、癒し系のお蝶という役割。やはり安定感があるのでしょうね。
ただ、お蝶のキャラが、完全に癒し系という訳では無く、むしろ愚痴系というか、わがまま系というか。。。グズグズしていてどうも好きになれず一旦投げ出しかけました。
ただ、行く先々の宿場町のトラブルを3人で解決し始め、人情話になっていく頃から面白くなってきました。最後に次郎長が出てきたのはどうかと思いますが。
軽い時代物の活劇です。 -
Posted by ブクログ
朝井まかてさんの時代小説は、私にとって2作目になります。
関西人ならなんとなく耳にしたことがあるこのタイトル。
私も、子供の頃、よく父母から、言われました。
呆れた行為だが、それでもなんだか憎めないような時に
使われたような気がします。
あらすじはといいますと・・・ほとんど内容紹介の通りです。
江戸詰め藩士だった夫が急死し、大坂の青物問屋に女中奉公に出た主人公知里。江戸と大坂の言葉や土地文化の違いに、戸惑いながらも、次第に天下の台所の旨いもんに目覚めていきます。
人好きはするが、遊び人でトラブルメーカーの若旦那の存在に、知里も呆れたり迷惑に思ったりしますが、いつしか、強くひかれるように・・ -
Posted by ブクログ
全一巻。
今年の直木賞を受賞した人。
庭師の話。
ただ、専門的な話はあるものの、
先日惜しくも、本当に惜しくも亡くなられた
山本兼一的職業小説ではなく、
どちらかというと庭師が舞台の市井ものって感じ。
軽快なテンポと個性的な登場人物たちが魅力的で
世界を好きになるタイプの物語。
最後まで一気に読まされたけど、
少し話を盛り込みすぎた印象。
一つ二つ要素を抜いたらスッキリ分かりやすくなるのに。
主人公の庭師としての葛藤とか、
「何か知らんけど、何となくすごい才能が隠されてそう」
って曖昧な感じとか、
クライマックスに収束しなかったのが残念。
結果、庭師の物語なのか、人情ものなのか、
少しど