橋本治のレビュー一覧
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「あとがき」には、「この本は、すでにちくま文庫から出ている『これで古典がよくわかる』という私の本の続篇というか、別ヴァージョンのようなものです」と書かれています。
『これで古典がよくわかる』のほうは、古典文学を読むさいに留意しておくべき基本知識を、著者らしい軽妙な語り口で解説している本で、おもしろく読んだのですが、本書はそこまで親切ではありません。「まえがき」には、「私は、ただ「読んでみましょう」と言っているだけです」と述べられています。さらに次のような文章もみられます。「読んでみたら、意外とおもしろいかもしれません。なにかの形で、役に立つかもしれませんし、心を癒してくれるものと出会うかもし -
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橋本治流の「反知性主義」についての考察です。ただし「あとがき」に「反知性主義を対象とする一本道のようではありながら、結局そうではありません。そうであるのかもしれませんが、書き手である私は素直な一本線を用意していません」と書かれているように、著者独自の視点からさまざまな議論が縦横無尽に繰り出されており、『「わからない」という方法』(集英社新書)以来比較的リーダビリティの高い書き方にシフトしていたように見える近年の著者の作品のなかでは、その意とするところをつかみにくいものに含まれるように感じました。
本書がむずかしいと感じてしまう理由のひとつに、本書における「反知性主義」ということばが一般的な意 -
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Posted by ブクログ
橋本治と内田樹の対談を収録しています。
もっぱら橋本を深く敬愛する内田が、橋本のすごさを引き出そうとしていますが、話をまとめようとする内田を振り切って、橋本が思いもかけない方向へと議論を拡散させていくために、けっきょくまとまりのつかないかたちで話がどんどん進んでいってしまうという印象があります。それをおもしろいと思うか、それとも散漫だと思うかで、評価が分かれそうです。
橋本治を批評するひとがいないことを問題視する内田の主張は、おなじことを強く感じていた読者としては、あの内田ですら橋本治をつかまえることができずにいる本書の対談を読んで、いささか絶望的な気分にもなってしまいます。それでも、橋本 -
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話が深く、能力のない私には理解できない文章だったかもしれない。読者が理解する能力がないかもしれないことをもう少し考えて書いてもらいたかったかな。
上司が思いつきでものをいうときは呆れるといいというが、あくまでそれは部下が絶対的に正しいという前提だろうな。全て思いつきではないし、検討外れなことをいうのが上司というわけではないだろう。上司に期待して、上司ならおれの考えわかるだろうという態度で物事を進めるとこういうことが起こるのだろうな。上司は上司の役割があり、担当からすればおそらくお客さまなんだろうから、上司が判断しやすいように説明する必要はあるんだろうな。んー、よくわからなくなってきた。とりあえ -
Posted by ブクログ
橋本治の文章を読むには、アタマにも体力がいる。
ちゃんと説明するには相応の長さ、回りくどさが必要なのだ。
その中に、見過ごせない言葉が入ってるのが橋本さんだ。
啓蒙というのはバカがいないと成り立たない、とか
モーツアルトに対するサリエリの嫉妬の内実、とか
今は正義のヒーローも金持ちで巨大組織にいるので、
悪の組織を率いる役人も「幼な馴染み」にならないと出番が得られない、とか、
論語は善は説いても、悪は考えないことになってるので
悪が規定されない状況では、善の拡大解釈が起こる、とか。
カッコ書きで視点を動かし、それくらい考えなさいとポンと連れていく。
単細胞は暴力的になるが、頭のいい人は意地悪に