橋本治のレビュー一覧

  • 古典を読んでみましょう

    Posted by ブクログ

    「あとがき」には、「この本は、すでにちくま文庫から出ている『これで古典がよくわかる』という私の本の続篇というか、別ヴァージョンのようなものです」と書かれています。

    『これで古典がよくわかる』のほうは、古典文学を読むさいに留意しておくべき基本知識を、著者らしい軽妙な語り口で解説している本で、おもしろく読んだのですが、本書はそこまで親切ではありません。「まえがき」には、「私は、ただ「読んでみましょう」と言っているだけです」と述べられています。さらに次のような文章もみられます。「読んでみたら、意外とおもしろいかもしれません。なにかの形で、役に立つかもしれませんし、心を癒してくれるものと出会うかもし

    0
    2019年11月07日
  • いつまでも若いと思うなよ

    Posted by ブクログ

    橋本治流の「老いのリアル」についての報告と考察です。

    著者は以前『橋本治の思考論理学―考えるワシ』(マドラ出版)で「ハゲ」についての思索を展開しており、そこでは著者の「中年」論をうかがうことができましたが、本書はそれにつづく「老人」論というべき内容です。
    著者がバブル期に多額の借金を抱え込むことになり、その後仕事に追われつづけてきたということは、あちこちで書かれていますが、本書でもその経緯が振り替えられるとともに、その後難病に罹患し、老いに向きあわなければならなくなったこと、そのなかではじめて気づいたことなどが綴られています。

    0
    2019年10月31日
  • 知性のテン覆 日本人がバカになってしまう構造

    Posted by ブクログ

    橋本治流の「反知性主義」についての考察です。ただし「あとがき」に「反知性主義を対象とする一本道のようではありながら、結局そうではありません。そうであるのかもしれませんが、書き手である私は素直な一本線を用意していません」と書かれているように、著者独自の視点からさまざまな議論が縦横無尽に繰り出されており、『「わからない」という方法』(集英社新書)以来比較的リーダビリティの高い書き方にシフトしていたように見える近年の著者の作品のなかでは、その意とするところをつかみにくいものに含まれるように感じました。

    本書がむずかしいと感じてしまう理由のひとつに、本書における「反知性主義」ということばが一般的な意

    0
    2019年10月31日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    季節の生江を表す二十四節気七十二候のうち春から夏の十二の候を題にして、十二人の作家の掌編集。
    七十二候のとらえかたが様々で、面白い。

    0
    2019年10月02日
  • 父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない

    Posted by ブクログ

    父権というけれど、必ずしも父親もしくは組織の統率者的ポジションにある人だけでなく、誠心誠意言葉を尽くして理解を求めることの難しさを考えさせられた気がした。人の集団って、空気や気分、なんとなくで動いてしまいがち。だから、そこの長みたいなエライ人は説明しなくていいし、そもそもできない。でも、今の社会を見ると、その説明できないことによってさまざまな軋轢を生じている。モリカケ問題とか、日大アメフト事件とかボクシング協会会長の件とかね。俺自身、説明って苦手だからなぁ。他人事としてではなく、自分事としてあれこれ考えた。

    0
    2019年09月27日
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと

    Posted by ブクログ

    橋本さんの本は久しぶりです。小冊子へのコラムをまとめたものなので、読みやすい反面、ちょっとウケを意識したような筆致のところもあるように感じられて・・・少々残念でした。とはいえ、橋本さん一流の着眼や発想はやはり勉強になります。

    0
    2019年08月31日
  • 橋本治と内田樹

    Posted by ブクログ

    橋本治と内田樹の対談を収録しています。

    もっぱら橋本を深く敬愛する内田が、橋本のすごさを引き出そうとしていますが、話をまとめようとする内田を振り切って、橋本が思いもかけない方向へと議論を拡散させていくために、けっきょくまとまりのつかないかたちで話がどんどん進んでいってしまうという印象があります。それをおもしろいと思うか、それとも散漫だと思うかで、評価が分かれそうです。

    橋本治を批評するひとがいないことを問題視する内田の主張は、おなじことを強く感じていた読者としては、あの内田ですら橋本治をつかまえることができずにいる本書の対談を読んで、いささか絶望的な気分にもなってしまいます。それでも、橋本

    0
    2019年08月13日
  • 「わからない」という方法

    Posted by ブクログ

    哲学めいた内容。前半は手編みのセーターの編み方の本をだしたことを引き合いに出している。後半は少し難しくなっている。

    0
    2019年08月12日
  • 父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない

    Posted by ブクログ

    世の中のどうしてこうなるんだ?というもやもやをわかりやすい言葉で解説してくれる方でした。この本もそう。亡くなられて、この先誰が私の疑問に答えてくれるのだろうと途方に暮れています。安らかにお休みください。

    0
    2019年07月18日
  • 橋本治のかけこみ人生相談

    Posted by ブクログ

    橋本治氏が人生相談に答えている。

    人生相談の本というのは,相談内容の中に突拍子もない相談が含まれているのが面白くて私の好きなジャンルでもあるのだけれど,この本も例外ではない。

    共感を呼ぶ相談もあるし,相談者が何を悩んでいるのかよくわからない相談もあるが,橋本はこれらひとつひとつに正面から向き合って回答をしている。彼の回答には人間に対する温かさと優しさがある。そのことが,この本の救いになっている。

    時を経て再び読み返したい本である。

    0
    2019年06月08日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    村田沙耶香さんがやっぱ面白かった。どうやったらこんな不思議で面白いこと思いつくんだろう。
    私は野生に返るといって家を出た姉と、女3人で暮らし人工授精で子どもを持とうとしている妹の話。ぽうという声。
    村田さんの作品が読めたので大満足です。

    0
    2019年05月29日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    二十四節気、七十二候テーマの12作。
    日々の変化や季節の移ろいを表す、その言葉の意味の楽しさにはっとする瞬間。
    流されるままの同じ日々だと見誤っているわたしへの気づきになればいいな。

    0
    2019年05月21日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    12人の作家さんが旧暦の七十二候をテーマに執筆した小説集。春夏編。
    気になる作家さんが書いているので読んでみたかったのです。それに12人! 豪華執筆陣。装丁も綺麗ね。季節を表す言葉、日々の生活で変化を感じたこと、素敵で、自分の生活も日々に流されるだけでなく、自然の声に目を向けたくなりました。それぞれ短いですが、作家さんの色が出ていて楽しめました…際立っていたのは村田沙耶香さん、好み的には前半の方。

    0
    2019年05月17日
  • 上司は思いつきでものを言う

    Posted by ブクログ

    話が深く、能力のない私には理解できない文章だったかもしれない。読者が理解する能力がないかもしれないことをもう少し考えて書いてもらいたかったかな。
    上司が思いつきでものをいうときは呆れるといいというが、あくまでそれは部下が絶対的に正しいという前提だろうな。全て思いつきではないし、検討外れなことをいうのが上司というわけではないだろう。上司に期待して、上司ならおれの考えわかるだろうという態度で物事を進めるとこういうことが起こるのだろうな。上司は上司の役割があり、担当からすればおそらくお客さまなんだろうから、上司が判断しやすいように説明する必要はあるんだろうな。んー、よくわからなくなってきた。とりあえ

    0
    2019年04月21日
  • 橋本治のかけこみ人生相談

    Posted by ブクログ

    20190325 回答がすっきりしていて楽しい。相談相手の悩みを細かいところまで読み込んだ上での回答だからだと思う。残念ながらもう相談することはできないが自分の悩みにはきっとこんな風に回答してくれるだろうと思うのも楽しい。

    0
    2019年03月25日
  • これで古典がよくわかる

    Posted by ブクログ

    今年の1月に亡くなった橋本治を偲んで。
    平安時代の文章から、鎌倉時代の文章へと、日本語がどのように変遷していったのか、その経緯がたいへんによくわかる。すなわち、それが「古典がよくわかる」ことの「肝」だったのだ。

    0
    2019年03月12日
  • 虹のヲルゴオル

    Posted by ブクログ

    何が言いたいのか理解できない言い回しが多く、何度も読み返して苦戦。知識や教養、洞察力はたしかにすごい。けど、なんか回りくどい。あと"オバサン"や"ブス"などの言葉がやたら出てくるのもなあ…。でも女優に対する興味があったし、面白く感じる部分もあったのでなんとか読み進められた。他の著書も少しずつ読んで橋本節を乗り越えたい。

    0
    2019年02月16日
  • これで古典がよくわかる

    Posted by ブクログ

    古典における、平安偏重傾向は、明治の王政復古のせい。事大主義、と。

    平安貴族には、文化のみある。政治はほぼない。関心事は恋と人事異動とお祭り。現代の政治家は、女と金と選挙、とか。月並みな比較をしてみた。
    言語の成り立ちと発展から、それぞれの有名古典の成り立ちを見ていくという試み

    0
    2019年03月17日
  • 雨の温州蜜柑姫

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    これにて終了。だってレナちゃんも大学なんかとっくに出てて30なんだから、青春小説の、青春がどこに行ったんだか。温州ミカン姫子と、醒ヶ井さんが主役で、大河青春ドラマも幕を閉じるのでした。だって、買おうにも、講談社文庫とかあるのかな?ところで、表紙を高野文子が書いてるんだよね。まあ、これも、過去の人か?

    0
    2019年01月30日
  • いとも優雅な意地悪の教本

    Posted by ブクログ

    橋本治の文章を読むには、アタマにも体力がいる。
    ちゃんと説明するには相応の長さ、回りくどさが必要なのだ。
    その中に、見過ごせない言葉が入ってるのが橋本さんだ。
    啓蒙というのはバカがいないと成り立たない、とか
    モーツアルトに対するサリエリの嫉妬の内実、とか
    今は正義のヒーローも金持ちで巨大組織にいるので、
    悪の組織を率いる役人も「幼な馴染み」にならないと出番が得られない、とか、
    論語は善は説いても、悪は考えないことになってるので
    悪が規定されない状況では、善の拡大解釈が起こる、とか。
    カッコ書きで視点を動かし、それくらい考えなさいとポンと連れていく。
    単細胞は暴力的になるが、頭のいい人は意地悪に

    0
    2019年01月12日