橋本治のレビュー一覧

  • 乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない(橋本治流ビジネス書)

    Posted by ブクログ

    自分の持つ「欲望」は幻想かもしれない。
    不要な物を必要と感じさせ、欲望を喚起させることが果たして本当に求められているのか?
    消費活動によってしか自己を表現できないような生き方はしたくない。

    0
    2021年12月28日
  • 草薙の剣(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    夫は「ああ、そうだな」、妻は「がんばりなさい」しか言わず、子供は何をがんばればいいかわからないままゲームばかりしている。そんな描写が、すごく真実をとらえているなと。

    多くの人物が戦前から順に登場するが、名前が憶えられないようなクセのある書き方をしている。

    人物相関図を書こうかと思ったが、面倒なのであきらめた。
    それでも最後まで読めた。そう人物相関図は不要。親子関係だけでOK。

    時代を生きる人々の生活と苦悩が淡々と書かれている。
    近代社会のドキュメンタリー。

    ただ、近年の猟奇的な殺人事件などが書かれているが、昭和の時代にもあったので、そこが書かれていないのが物足りない。

    0
    2021年12月25日
  • 橋本治のかけこみ人生相談

    Posted by ブクログ

    ウェブマガジン「幻冬舎plus」で著者に寄せられた人生相談に対する回答をまとめた本です。

    著者はかつて『青空人生相談所』(ちくま文庫)という本を刊行しており、そこで同様の企画をおこなっていたのですが、本書はその約三十年後におこなわれた企画で、年をかさねて以前より多少はやさしくなった著者の回答を読むことができます。といっても、「ストレートに言ってしまうと、あなたのご主人は「他人のことなんかよく分からないスポーツバカ」です」といったように、遠慮のないことばが記されています。ただそのばあいでも、相談者の文面を読めば、相談者自身がたしかにそのように考えているであろうことが浮かびあがってくるので、まずはそのことを明確にしておく必要があるというのが、著者の回答の基本的なスタンスのように感じられます。

    さまざまな悩みに対して単刀直入な回答をあたえるというよりも、悩み相談の文面を手がかりに相談者のかかえている問題の中核をたぐり寄せていくような議論の運びかたは、この著者ならではのものだと思わされます。

    0
    2021年11月18日
  • いま私たちが考えるべきこと(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「自分の頭でじぶんなりに考えるということ」をめぐって、著者特有の堂々めぐりをつづける議論を展開している本です。

    著者は、「“自分のことを考える”がそのまま“自分のことを考える”になる人」と、「“自分のことを考える”が不思議にも“他人のことを考える”になってしまう人」という二つの類型を立てたうえで、前者が「近代」、後者が「前近代」に相当すると主張します。そのうえで、現代において「不幸な女の子を救ってあげたい」と考える男の恋愛の問題性や、西洋にならって近代化をめざすも組織の論理が根強く存在する日本社会の性格についての考察など、さまざまなテーマに著者の筆はおよんでいきます。

    さらに著者は、上の二つの類型の人間が、相互に理解しあうことができないでいることを指摘し、またこの相互の無理解が一人の人間のなかでも起こりうると主張します。これは「ジキルとハイド的困難」と呼ばれており、一方の類型にとって他方の類型が「ゆるし」の機能を果たしうるということが論じられています。そこに著者は、「自分の頭でじぶんなりに考えるということ」が必要となる現代のわれわれが進むべき方向性を見ようとしています。

    なお本書の「解説」を担当しているのは、仏教学者の末木文美士です。末木の『日本仏教史―思想史としてのアプローチ』(新潮文庫)は橋本が「解説」を執筆しており、相互に解説を執筆するという関係になっているのですが、日本の土着の思想と現代の日本のありかたをひとしく眺めわたしながら思索を展開しているという点で、両者の関心に通じあうものがあるのかもしれません。

    0
    2021年11月02日
  • 幸いは降る星のごとく

    Posted by ブクログ

    1990年代の「女芸人ブーム」を担うことになった、四人の女性たちをえがいた小説です。

    著者のエッセイ作品を連想させる、過剰なまでに饒舌な文体で、お笑いコンビ「モンスーンパレス」を結成する金坪真名子(かなつぼ・まなこ)と安井貴子(やすい・たかこ)という二人の女性の青春時代を中心に、ともざわとみこ、阿蘭陀(おらんだ)おかねの二人を加えて、芸能界でそれなりの地歩を得た女芸人たちの三十代が活写されています。

    本作が小説でありながらエッセイに近いような印象をあたえるのは、登場人物たちの身に起こった出来事がストーリーとして語られるというよりも、彼女たちが時代と状況のなかでどのような位置を占めることによって女芸人となりえたのかということについて、著者の立ち入った分析が展開されているからです。彼女たちは、男女雇用機会均等法が成立してからの五、六年という時間を女子中学生として過ごした世代とされており、「男女雇用機会均等法以前には、女でブスであると「生きにくい」という思いを感じなければならなかったが、その後の突然変異形の女子中学生は、「ブス」と言われても平気でこれを拒絶するし、その逆に「そうだよ」と言って平気で受け入れてしまう」と説明されています。

    もちろん本作の主人公である真名子と貴子は架空の人物ですが、「オアシズ」の光浦靖子と大久保佳代子、あるいは、いとうあさこといった女芸人たちと世代的には一致しています。彼女たちは「ブス」を自虐的にネタにしますが、彼女たちが語るエピソードには、上の世代の山田邦子に感じられるような悲劇性はありません。そうした点でも、現実の世相についての著者独特の見かたが本作に反映されているように感じてしまいます。

    0
    2021年11月02日
  • 夜

    Posted by ブクログ

    短編小説五編を収録しています。

    「文庫版のあとがき」によると、本書は『生きる歓び』『つばめの来る日』『蝶のゆくえ』につづく作品で、本書を含むこれらの短編集では「バブルがはじけた後の騒々しい焼け跡のような時代の中から「寂しさ」を拾い出そう」というねらいで書かれたものです。とくに本書では、「自分で見ることが出来ない男の背中」をえがくことがめざされており、このことは「男の根本にある不透明さ、曖昧さ」と言い換えられています。

    前作『蝶のゆくえ』と同様、ストーリーのなかで登場人物たちの心情がたどるプロセスについて著者がくどいほどに説明を加えるというスタイルが採用されています。著者は、「百人分くらいの寂しさを集めないと、今の世の中って分かんないしな」と語っており、それぞれの登場人物の「寂しさ」を生む条件が明確に位置づけられていて、著者の分析的な知性がいかんなく発揮されている作品という印象です。

    ただ、『蝶のゆくえ』を読んだときにも感じたのですが、著者が登場人物たちの設定と心理的プロセスを完全にコントロールして、彼らの配置によって「寂しさ」の諸相が生み出されるという構成は、小説としては破綻しかかっているのではないかという感想もいだいてしまいました。

    0
    2021年11月01日
  • 掌篇歳時記 春夏

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    二十四節気をさらに三等分した七十二候をもとに、年末から夏にかけて、それぞれ人気作家がつづる短編集。
    季節がテーマで、純文学系の作家が中心ということで、その表現を楽しむ小説であることは間違いない。
    でも、その反面、連想で思考があちこちに飛んでしまうので、集中できないのも確か。
    寂聴氏の作品を初めて読んだが、住職っぽくなく驚いた。もうすぐ100才。

    0
    2021年10月23日
  • 桃尻娘

    Posted by ブクログ

    40年ほど前の作品のため、芸能人の名前や、言葉の選択に時代を感じたが、人の根幹は変わらないなぁと。
    主人公の心の動きに重点をおいた文章の記載方法で、言葉が洪水のように溢れ出していった。

    0
    2021年07月12日
  • 窯変 源氏物語1

    Posted by ブクログ

    橋本治氏は70年代の「桃尻娘」、80年代の「桃尻語訳枕草子」で話題になった。特に後者の作品が出たときには、ちょっとした日本古典ブームも起きたと思う。
    そして90年代には「窯変源氏物語」が出た。
    この作品が出た頃、新刊の1巻を購入して読もうとしたのだが、数ページを読んで挫折した記憶がある。
    今回はそのリベンジ。歳をとると(?)、昔挫折してしまった本に改めて挑戦したくなってしまう。
    実は学生時代は古典が嫌いで、源氏物語も枕草子も徒然草もほとんど読まなかった。源氏物語といえば「あさきゆめみし」という大和和紀さんの漫画が有名だが、それも読まなかった。なので全くの初見でよむ橋本治版「源氏物語」。
    他を読んでいないから、橋本版の特徴として知っているのは、光源氏の一人称として語られていること。確かに出だしから光源氏のモノローグがすごくて、これって本当に古典?という感じが強い。ちょっとそれに圧され気味。本当にこの勢いで最後まで読み続けられるのか?怖気付きそうな予感も感じつつ、今年1年かけて最後まで読んでいきたい。

    0
    2021年03月28日
  • 性のタブーのない日本

    Posted by ブクログ

    この人の本は今までにも何冊か読んできているが、扱うテーマが結構幅広い。強いて言えば共通しているのは「人間とはどういうものか」といった所か。本書では日本人の性に対する価値観を歴史から紐解いている。オープンになったと思われる現代よりも昔(弥生時代~江戸時代)の方がよほどオープンで、その根底には「そういうもんだ」という考えがあったようだ。

    西洋の話も聖書で紹介している。日本で言えば古事記のようなものか。元の内容(?)学校で習うよりも遥かに、性的だけでなく人間の本能をありのままにえぐるような表現が多い。

    社会性、といった方がいいか、それを人間が獲得していく中で、性への考え方、道徳観、表現の仕方は変わっていったようだ。

    0
    2021年03月18日
  • リア家の人々(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「橋」「巡礼」に続けて読みました。橋本治さんのエッセイ(評論)は、読んだことあるけれど、小説は初めて。評論も独自視点で思考の渦に巻き込まれるけど、小説も独自な設定で(ゴミ屋敷の主人、犯罪者、元戦犯の官僚と娘)昭和を描いていた。誰かに何かを話したくなるけど、それが簡単にまとまらない、橋本ワールド。

    0
    2021年02月13日
  • 福沢諭吉の『学問のすゝめ』

    Posted by ブクログ

    相手が古典レベルの書物故か、全体的に内容は難しく、終盤はなげっぱ(諭吉オマージュ?)な感じがしたが、学問のすゝめの要所について、それぞれの時代背景と合わせて解説や思想が書かれていた。学問のすゝめ関連の本を読むのは初めてだったので、やはり一発で理解は出来なかった…他の書籍と合わせて読むには良い本だったと思う。

    0
    2021年02月08日
  • いつまでも若いと思うなよ

    Posted by ブクログ

    老いについて、著者の経験を交えながらいろいろ考えた本。どこか他人事というか、楽観的な部分も大いにあったように思う。
    若い→まだ若い→もうそんなに若くない→若くない→老人、という五段階変化は納得。物忘れが多くなるのは、脳がいっぱいになってきて、覚える気もなくなってくるからというのもなんとなく納得。そして、皆んな、自分の老いに対してはアマチュアだということも。きっと、いろいろ思い悩みながら、徐々に受け入れ、老いに慣れていくしかないのだと。人生ってそんなもの。でも年を取るのは皆んな同じで、老いを経験した諸先輩方はたくさんいると思えば、老いるのはそんなに恐いこともありませんね。とりあえず、いまは健康でいることに感謝して、日々一生懸命生きたいと思います。

    0
    2021年01月01日
  • リア家の人々(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    どこの家庭もそうとは言えないと思うけど
    女を子供に持つ父親の葛藤を
    見事に表していると思う
    少なくとも私の父親も同じように考えたであろな、
    というところが多々あった

    0
    2020年11月06日
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    世間のニュースに鋭い切り口で疑問を投げかけています。
    タイトルの通りバカを恥じないようになってしまっては成長できないことになるのでしょう。
    平成という時代を区切りに亡くなられたあたりは、本人が仰った通り、自ら体現したことになってしまいましたね。
    まだまだ生きて書いてほしかったです。

    0
    2020年10月31日
  • 美男へのレッスン(下)

    Posted by ブクログ

    下巻でも、アラン・ドロンや石原裕次郎、マイケル・ジャクソンなど、あちらこちらに議論を転じていきながら、「美男」とはなにかという問題が論じられています。

    本巻の最後は、蜷川幸雄の舞台に出演している19歳の俳優との会話から、著者が少年と男の関係をめぐる考察を展開していますが、その下敷きになっているのが、男の「二段階変化」論です。著者は、自己認識をつくり変えなければならないと主張し、「成熟」がうしなわれてしまった現代人に対する批判をおこなっています。そのうえで、「強くなりたい」と思う人間は「弱さを自覚する」ことができている人間であり、それに対して「自分は主体性を持っている」と錯覚して「弱さを自覚する」できていない人間の未成熟なありようが、「ブオトコ」の条件をなしていると論じられています。

    上巻からそれほど議論の進展はなく、同様のテーマをさまざまな具体例をあげながら論じなおしているという印象を受けました。著者の曲がりくねった行論はけっして嫌いではないのですが、それでも議論の着地点が見えているにもかかわらず、あっちへこっちへと話を引っ張りまわされていくのに若干退屈してしまいました。

    0
    2020年10月23日
  • 蝶のゆくえ

    Posted by ブクログ

    題名が小説ではありません。フランダースの犬が苦々しい強い印象の内容でしたのでそれ以外は淡々とした内容に思いましたが、ふとしたところがそういう思いもあったなと感じさせてくれるものでした。もしかして深いのかもしれない。

    0
    2020年09月30日
  • もう少し浄瑠璃を読もう

    Posted by ブクログ

    前作「浄瑠璃を読もう」を読んだのは、2012年9月。その後、6年半、大阪で単身生活の間、国立文楽劇場に通い、前作に掲載された演目の殆どに触れることが出来た。
    観ていないのは「ひらかな盛衰記」のみ。「本朝二十四孝」は八重垣姫の諏訪湖渡りの「十種香の段」のみだけ鑑賞できた。
    文楽理解と演目鑑賞の助けになった本。

    続編の刊行を知り、読む。
    前作と比べ、マイナーな演目についての論考。僕が観劇したのは「曾根崎心中」「双蝶々曲輪日記」「摂州合邦辻」。
    説教節からの進化、近松門左衛門、竹田出雲達の作者チーム、近松半二、並木宗輔の作家性を明らかにしたいという意図があったのかと思う。

    (引用)
    団七と徳兵衛は「固めの儀式」として、お互いの着物の片方の袖をちぎって交換するのです。(略)二人は「礒之丞様のために働こうな」と誓い合います。ヤンキーのやることは昔からよく分かりません。

    (引用)
    「恋をすると人間はバカになる」というのが江戸時代人の素晴らしい発見で、(略)与五郎はは、それほどのものではなくて、ただの「脆弱な困った若旦那」です。どうしてかというと「つっころばし」になると、それ自体が「おもしろいキャラクター」に完結してしまい、「人間としてのドラマ」が演じきれなくなるからでしょう。

    身も蓋もないけど、判り易い論考。こういう橋本さんの文章は大好物。
    しかし、前作より判りにくい演目が多いと思う。近松半二の「伊賀越道中双六」は元になった仇討ちがかなり奇妙だった説明の所為で、仇討ちの原因である和田行家の詩のシーンが説明されていないし、肝心の仇討ちのシーンもない。橋本さんは「決闘鍵屋の辻」なんて言葉をみると、今でもドキドキしてします、と書かれているのに。

    正直、前作と比べるとシンドイ読書でありました。

    0
    2020年08月14日
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと

    Posted by ブクログ

    2014年から50回にわたってPR誌『ちくま』(筑摩書房)に連載された著者の記事を、テーマ別に編成して収録している本です。そのときどきの世の中をにぎわしている出来事について、著者がみずからの感想をつづっています。

    『「わからない」という方法』(2001年、集英社新書)以降の著者の本には、啓蒙的な性格が強く出ているように感じています。世界は無限に複雑な襞をもっており、その細部へとどんどん入り込んでいくことで真理に近づいていくというのが、元来の著者の議論のスタイルでした。その後、著者はそうしたみずからの思索のスタイルを、「「わからない」という方法」として、ハウツーものならざるハウツーものとでも呼べるようなしかたで提示するようになる画期をかたちづくっているのが、『「わからない」という方法』だったというのがわたくしの理解です。

    しかし本書では、著者の議論が「わかってしまっている」立場に著しく接近しているような印象を受けます。たしかに著者らしい視点の鋭さが随所に示されてはいるものの、すこし斜に構えた世間の見方という、ありがちな議論に堕してしまっているのではないかと思えるところも見受けられました。正直に言って、著者のエッセイのなかでは精彩を欠く印象がいなめないように思います。

    0
    2020年07月02日
  • 橋本治のかけこみ人生相談

    Posted by ブクログ

    相談者全員に対してではないのだけど、ときにびっくりするくらい相手を斬る。斬るといっても、それは相手が相談してきた内容について、「あなたはそれを悩んでいるというけれど、私から見て悩んでいるようには見えない」という次元できびしく切り込んでいるという意味で、相手の人格を否定するとか、傷つけるという意味ではない。そこは整然と、ぶれず誤解を与えない直球で持って行っている。

     それが実は難しいと思うんだよなあ。

     大学院で勉強し、資格を取り、一応は相談の仕事をしたことのある身としてはさ。問題は別のところにありそうだ、と思っても、直球ではなかなか切り込めないよ。そんなことしたら、引っ込んじゃうもの。

     これは面談ではなく、文章上でのやりとりだから、まだできるのかもしれないけど。

     橋本治って、やっぱりおばちゃんなんだろうなぁ。ポンポンストレートにきついことを言って、イヤミがない。イヤミなおばちゃんはいるだろうけど。橋本治はイヤミではないと思う。

     言葉と論理を上手につかっているのだろうな。

     面白かった。

    0
    2020年06月02日