橋本治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
まず、タイトルが面白いです。タイトルだけでなく内容も読み応えがあります。上司という存在を日本が辿ってきた歴史から振り返る壮大な内容になっています。
「上司は思いつきでものを言う」、誰もが経験のあるはずです。上司の理解し難い発言に失望し、憤りを感じ、無力を味わう経験は一度や二度ではないでしょう。そのような上司の思いつき発言には、上司個人の問題ではなく、会社全体さらには日本全体の抱える問題に原因があるというのが本書の主張です。
本書では、現場を知る部下と現場を知らない上司の対立として論じられています。このままではいけないと現場の問題点を部下が吸い上げ、上司に報告します。しかし上司は、会社 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
飛鳥奈良時代は六人の女帝が頻出した時代でした。
だからといって、それをただ年表的になぞるだけでは「その意味」は見えてきません。
「その天皇はどの天皇の血筋か」とか「徐々に複雑に消された皇統」とか、「嫁姑の問題」とかを読み解くと、極めて現代的な人間世界が見えてきます。
当たり前に女性の権力者を生むことのできた「天皇家だけの特別」とは何なのか。
この本は、女帝をめぐる歴史ミステリーなのです。
[ 目次 ]
第1章 「女帝」とはなんなのか?(「女帝」とはなんなのか?;「中継ぎの女帝」の背後にあるもの)
第2章 「皇」の一字(もう一人の天智天皇の娘;「皇」の一字)
第3章 聖武天皇の娘 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
今の日本に漠然としてある「気の重さ」を晴らす作家の確かな企み。
大人も子供も「行き場のない」という大問題。
惰性となってしまった「進歩」をもう一度考え直す。
[ 目次 ]
第1章 「子供の問題」で「大人の問題」を考えてみる(どこから話を始めるか? どうして子供が自殺をするのか?)
第2章 「教育」の周辺にあったもの(「いじめっ子」はどこに消える? 一九八五年に起こったこと 思いやりのなさが人を混乱させる)
第3章 いきなりの結論(産業革命前に戻せばいい 歴史に「もしも」は禁物だけど 産業革命がもたらしたもの)
第4章 「家」を考える(「家」というシステム 機械は人を疎外し、豊か -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
「わからない」ことが「恥」だった二十世紀は過ぎ去った!
小説から編み物の本、古典の現代語訳から劇作・演出まで、ありとあらゆるジャンルで活躍する著者が、「なぜあなたはそんなにもいろんなことに手をだすのか?」という問いに対し、ついに答えた、「だってわからないから」。
―かくして思考のダイナモは超高速で回転を始める。
「自分は、どう、わからないか」「わかる、とは、どういうことなのか」…。
そしてここに、「わからない」をあえて方法にする、目のくらむような知的冒険クルーズの本が成立したのである。
[ 目次 ]
第1章 「わからない」は根性である(「わからない」という恥 「わからない」を「 -
Posted by ブクログ
男にとって「女」とは、自分の恋愛対象になる存在、という指摘はもっともなんでしょう。
それ以外の女性はまあ、どうでもいい存在なんだそうで。
女性の権利などもまあ、どうでもいい存在の話ならまあ、好きにして、といういい加減な流れで来たんじゃないか、という。
大卒女子が企業に採用されないのが問題視された時代があった。
それが徐々に変わったのは社会が豊かになったから。
(え、それだけ?)
専業主婦というものは労働を軽減され、ある意味では労働を奪われた存在だと。(そりゃ場合によってだいぶ違うと思うが。一人が大勢に奉仕している家庭も有りだし)
教育ママが出てきたのはエネルギーのはけ口。ああ、そうですね。一人 -
Posted by ブクログ
バブル後の閉塞感。そこに追い討ちをかけるサブプライムローンから始まった最近の不況。大きなお金が流れる市場は、普段の生活には関係なくても、じわりじわりと生活を覆う。経済とは一体なんなのか?橋本治は経済を思考する。
どこまでも経済成長を続ける。それはバブルの終焉でもう終わった。にもかかわらず人々は、「景気が良くならないかな〜」と昔と同じような話を蒸し返す。この本が説くのは、昭和の高度成長気的な考えで今を乗り切ろうとしても無駄だ、ということだ。経済成長が見込めない今、日本人はどうすればいいのだろう?ということになるのだけれど、結論は「我慢する」ということに落ち着く。つまり、バブルの反省もないまま -
Posted by ブクログ
結局この本が言いたいのは、宗教なんてもう要らない、自分の頭できちんと考えれば宗教なんてなしでやっていけるはずだ、ってことですね。
しかし橋本治おそるべし・・・オウム事件真っ只中で「麻原しょーこーはどこに隠れているか」に対して、富士山麓の地下で巨大化して卵を産んでいる。卵の大きさは90cmぐらいで一つ一つがみんな”あの顔”で、毛が生えてて・・・ってどんな想像やねん(−−;気持ち悪すぎる(w。それ以上にキモチワルイ想像が「あさはらしょーこーってね、人に近づくとき、あの顔を寄せてクンクン匂いをかぐんだよ」って(−−;めちゃくちゃやー。気持ち悪すぎるー
ちゅーそんな感じの本です。実家へ -
Posted by ブクログ
高校時代だったか、父親の本棚より拝借して感銘すら覚えた名著。「若い男は本質的に貧乏である」で始まる書き出し。そして「貧乏でなくなったらそいつは若い男じゃない」というふうに裏を返し、一つの意見を上下左右表裏無数の側面から語りつくして読者の理解を誘いつつ、最後は自分の我を通してるだけなのになんとなく納得させられる、橋本治の歴史観、話術ともに冴え渡り、まさに魅せられてしまった名著。もう過去の話が話題になっているが、それでも「本当のこと」は今でも変わらない。社会主義が破れ、資本主義が勝ったなどという単純な歴史ではなく、ともに倒れたんだから「次」を探さないと、という視点にたって書かれている。まだ歴史は「