橋本治のレビュー一覧
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ネタバレ「美しい」がわかる、ということを筆者は「美しい」を個人が発見することと定義する。つまりいろいろな「美しさ」を知識として知っているのではなく、物事を見たり触れたりしたときに「美しい」と個別にはっ発見する能力について考察している。
著者の幼体験からは青空ではなく台風のときの激しく動き続ける雲であったり、一日遊んだ後の夕焼けだったりする。
さらには「徒然草」が「枕草子」よりも圧倒的につまらないのは吉田兼好が「美しい」を自分で発見できないつまらない中年男だったから、と身も蓋もない分析を行う。このくだりが非常に面白い。
最後に杜甫の「春望」から冒頭の「国破れて山河在り」を引いて結んでいる。「世界は -
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ネタバレ大河に触発されて『双調平家物語』を読むつもりだったのだけれど手軽さに惹かれてまずこちらから。
読みかけの清張古代史と時代がかぶるので丁度よかった。
飛鳥・奈良時代は数多くの女帝が即位した時代である。
なぜこのような状況が生まれたのか。
そしてなぜこの状況はこの時代(孝謙天皇)以後女帝は絶えたのかと、現代日本の構図と照らし合わせて紹介するもの。
持統天皇=中小企業の社長夫人 とか
孝謙天皇=キャリア官僚目指して英才教育受けた東大エリートってくくりは非常にわかりやすい。
読んでいた『偽りの大化改新』を思い出した。
結局の所、平安時代の院政の基礎となるものは奈良時代に確立されていて、それが男達に -
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ネタバレ著名な作家などがそれぞれの3・11をふりかえり、これからどうすればよいかそれぞれの視点から提言を述べる作品。
この本で一番驚いたのは、病を患っていたため、この震災で不安や無力感を感じなかったといった著者がいたことだ。このことから、他人や未来への不安や自分の無力感はある程度自分に余裕がないと生じない感覚なのだと感じた。
しかし、震災直後に起こった買いだめの現象から、今回日本人が感じた不安のベクトルは自分に向いていなかっただろうかと感じた。
また、どん底はつづかないと励ましている著者がいるが、何もなくても、毎日が先の見えないどん底だと感じている人々である現代人に伝わる言葉なのだろうかと感じた。 -
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大河ドラマ「平清盛」とは関係なく、平家物語に関心を持ち、解説本等をいろいろと読んでいるうちに、この作品に出会いました。
全16巻で、初めは原典の現代語訳をもとに橋本治が発展させた作品かなと思いましたが、第1巻をパラパラとめくってみると、冒頭にこそ「祇園精舎の鐘の声には」とあるものの、その後はどうも平家や源氏とはあまり関係ないことが続いていて、「?」と思ってしまいます。
しかも、18ページからは古代中国の秦の時代の話が始まります。
そして、ようやく日本に話が戻るのが285ページ。しかし、それは「飛鳥の巻」と題された章で、蘇我蝦夷や中臣鎌足の名前がでてきたりします。
背表紙の解説によれば「 -
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もともと雑誌化状況にあった新書界の、311後の加速たるや…。本書は発行2011年6月。
しかし絶対に全てが緩んでくるはずの半年過ぎにこそ、読んで兜の緒を締めようと、満を持しての(?)トライです。
筆者9人がそれぞれに挙げた声であれば、その言葉をこそ復興の精神として留めたい!と胸に響いた一節もあれば、この人がこんなに底の浅いことでなんとする?と首をかしげる部分もありましたが。。。そんな感想をもてるのも、今だから、なのだということです。
「復興の精神」というガッツなタイトルの中で、ひとつ橋本治氏による“病人の視点”は目からウロコでありました。 -
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ネタバレ妻子ある男が、ある日突然別の女のところに行って帰ってこなくなる。ほぼ同型のストーリーが、関係者ごとに主人公を変えて、輪を描くように綴られていく短編小説。どこかで現実にありそうな話で、どの人生の断片も壮絶で生々しかった。
すべての物語の背後では、世の中がバブルの熱で浮かされたようになり、しかる後崩壊を迎えて冷ややかに沈んでいく時代が静かな旋律のように流れていて、読後に全体を思い返せば、その旋律は、諸悪の根源となった男の満たされぬ空虚感とも、その男に振り回された登場人物たちの人生とも微妙に重なるように感じられた。
「男の身勝手いいかげんにしろ」という胸のムカつきを随分長いこと引きずれるほどの小 -
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非常に読みやすくて、文体が柔らかく丁寧で、
かゆいところに手が届くような内容の本でした。
「ちゃんと話すための敬語の本」というタイトルですが、
本文中に書かれているとおり、
「正しい敬語の使い方を教える本」ではなくて、
「みなさんでそれぞれ、正しい敬語の使い方を考えてください」という本です。
そうやって、敬語の使い方を考えるための、
言葉というものや尊敬の気持ちや、敬語がうまれた背景としての
身分というものについての説明をしてくれています。
つまりは、「敬語を実践するための準備を整えてくれる本」なのでした。
面白い本だなぁと読んでいたら、最後の方に、読者の対象を10代の初めにした、
なんて