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この本はサラリーマン社会の閉塞を嘆じるものではありません。「上司は思いつきでものを言う」ということが、なぜ起こってきたのかを、儒教の伝来まで遡り、とてもスリリングに解剖していく本です。日本の男たちが、なぜ戦国時代と幕末維新の時代ものが好きなのか。こんな「なぜ」も見えてきます。そして、では日本はどうするのか――「現場」の声を聞く能力の復活に向けて、上司のみなさんにも、懇切丁寧な今後の道中案内の書であります。【目次】はじめに/第一章 上司は思いつきでものを言う/第二章 会社というもの/第三章 「下から上へ」がない組織/第四章 「上司でなにが悪い」とお思いのあなたへ/あとがき
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Posted by ブクログ
サラリーマンが言う愚痴の代表格である「上司が思いつきでものを言い、自分たちは振り回されている」というところに着目して書かれた本。面白いです。
面白すぎて第一章など数秒で読んでしまったのではないかと思うほどでした(そんなわけはないのですが)。
何がこんなに面白いのだろう? と考えてみて思い至ったのは、語り口でしょうか。(良い意味で言っているのですが)まるで落語を聞いているかのように、”文章”という感覚なくするすると読み進めることが出来る本なのです。
内容はいろいろなところへ二転三転しながら、日本のサラリーマンを取り巻く状況や今に至る歴史など、様々な角度から「サラリーマンというもの」を見ています。
当の本人なら気づけないようなことでも、作家という第三者視点から見ているから良く気付けるというものなのでしょうか。
個人的に特に面白いなと思ったのは、埴輪の会社を例に語るくだりです。埴輪の会社というととても突飛なことのように感じるのですが、内容を見てみるとありがちというのか、まさにサラリーマンの直面している苦悩(のうちのひとつ)を切り抜いてみた感じで、実際の状況を例にとるよりも分かりやすかったです。
この本のタイトルを見て、「じゃあその上司をどうしたらいいのか?」という本だと勘違いしてしまう人がいるといけないので言っておきたいのですが、上司は変えられません(笑) でも、この本を読めばその背景がより分かりやすくなって、自分の置かれている立場が明確になってくると思います。場合によってはやるべきことも見えてくるかもしれません。
久しぶりに夢中になって読んだ新書でした。
Posted by ブクログ
内容はお題の通り上司が思いつきでものをいう理由について、日本の体制やはてまて聖徳太子の時代にまでサカノボリ、(いくぶんくどい展開や表現があるが)懇切丁寧に説明したもの。どうやら、部下が建設的な提案をした場合でも現場を離れている上司は
(1)現場がよく見えないため、昔現場にいた頃に則して時代遅れの指摘をしたり
(2)部下の提案を認める=今が悪いことを認める=今という時代を作った上司たる自分達の非を認める ことになるため認めたがらず部下の提案を否定したり
するものだそうです。確かに、上司のいうことは全て認めつつ、上司の意に沿った形を無理やりつくって提案したこととかあった記憶が。。なかなか現実をツブサに書いた本だと思います。会社は大きくなると、ピラミッド構成のため現場が見えない上司が多くなるのが必然で、こうした思いつき上司が増えるとか。。役職を一切無くした会社が好成績をあげているのもわかるような気がしました。
Posted by ブクログ
橋本治(1948~2019年)氏は、東大文学部国文科卒、イラストレーターを経て、小説家・評論家・随筆家となる。小林秀雄賞、柴田錬三郎賞、毎日出版文化賞、野間文芸賞等を受賞。
私は新書を含むノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった新書で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。(本書は2004年出版)
本書は何と言っても「上司は思いつきでものを言う」というタイトルが目を引くが、私は常々「上司は、部下の話(提案)に対して何かコメントしないと、存在意義を否定されると考えるので、何でもいいから思いついたことを言う」と考えており(自戒の念も含めて)、著者の論理展開を興味を持って読み進めたが、シンプルにまとめると以下のようなものである。
◆問題がある会社・組織において、部下が建設的な提案を行うと、上司(達)はそれまで自分(達)がやって来たことに問題があったと言われたと感じるため、素直に受け入れることができない。そして、上司(達)は(それほどバカではないので)、問題があることは薄々認識しつつも、その責任を問われるような建設的な解決案には賛成せず、(問題の所在・責任を明確にする必要のない)ムチャクチャなアイデアを口にする。
◆上司とは、「現場」から乖離した立場なので、そもそも、現場の部下から上がってきた建設的な提案に対して、有効なコメントなどはできなくなっているものなのだが、自分は偉いと思っている上司は、優位性を保つために、部下を困らせるようなテキトーなことを言い、また、部下思いで未だに部下と一緒に仕事をしたいと思っている上司は、(悪気はなくとも)ピントのズレたアドバイスをして部下を困らせることになる。
◆上司から思いつきでものを言われたときの対応策は、論争などをすることではなく、ただ「あきれて」何を言い返されても聞き流すことである。「本当にあきれられて、それで己の愚に気づかない人間はいない」と思うべし。
後段では、そのほか、日本の会社・組織の問題点を、歴史を遡っていろいろと分析している(著者は当初、「サラリーマン(社会)の欠点」というタイトルで書くことつもりだったという)が、本書において肝腎なことは「上司は思いつきでものを言う」ということなのだそうである。
よく言われるように、著者の文章は独特で、くねくねして、あっちへ行ったりこっちへ行ったりして、少々読み難いのだが、「上司は思いつきでものを言う」というテーマは、こうした思考回路の著者だからこそ面白く書けたとも言えるのかも知れない。(理路整然と書かれても、「ちょっとなぁ」と言ったところか。。。)
前半だけでも一読して面白い一冊と思う。
(2022年7月了)
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