橋本治のレビュー一覧
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もともと雑誌化状況にあった新書界の、311後の加速たるや…。本書は発行2011年6月。
しかし絶対に全てが緩んでくるはずの半年過ぎにこそ、読んで兜の緒を締めようと、満を持しての(?)トライです。
筆者9人がそれぞれに挙げた声であれば、その言葉をこそ復興の精神として留めたい!と胸に響いた一節もあれば、この人がこんなに底の浅いことでなんとする?と首をかしげる部分もありましたが。。。そんな感想をもてるのも、今だから、なのだということです。
「復興の精神」というガッツなタイトルの中で、ひとつ橋本治氏による“病人の視点”は目からウロコでありました。 -
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ネタバレ妻子ある男が、ある日突然別の女のところに行って帰ってこなくなる。ほぼ同型のストーリーが、関係者ごとに主人公を変えて、輪を描くように綴られていく短編小説。どこかで現実にありそうな話で、どの人生の断片も壮絶で生々しかった。
すべての物語の背後では、世の中がバブルの熱で浮かされたようになり、しかる後崩壊を迎えて冷ややかに沈んでいく時代が静かな旋律のように流れていて、読後に全体を思い返せば、その旋律は、諸悪の根源となった男の満たされぬ空虚感とも、その男に振り回された登場人物たちの人生とも微妙に重なるように感じられた。
「男の身勝手いいかげんにしろ」という胸のムカつきを随分長いこと引きずれるほどの小 -
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非常に読みやすくて、文体が柔らかく丁寧で、
かゆいところに手が届くような内容の本でした。
「ちゃんと話すための敬語の本」というタイトルですが、
本文中に書かれているとおり、
「正しい敬語の使い方を教える本」ではなくて、
「みなさんでそれぞれ、正しい敬語の使い方を考えてください」という本です。
そうやって、敬語の使い方を考えるための、
言葉というものや尊敬の気持ちや、敬語がうまれた背景としての
身分というものについての説明をしてくれています。
つまりは、「敬語を実践するための準備を整えてくれる本」なのでした。
面白い本だなぁと読んでいたら、最後の方に、読者の対象を10代の初めにした、
なんて -
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日本最古の書物として公式に認められているのがこの古事記です。
これは全部で3部に分かれており、上巻には<神の物語>が、中巻には<神と人の物語>が、そして下巻には<人の物語>が書かれています。天地開闢に始まるこの書物には推古天皇までの歴史的物語が記録されています。
この本は上巻のみで、黄泉の国や八俣の大蛇、因幡の白兎などはどれも小さい頃に絵本などで読んだことのある話でした。確かに考えてみればそれらは古えの日本の神様の話だったけれど、難しいと思って読もうとしなかった古事記がそんなに身近にあったものだったなんて。
新しい発見としては、八俣の大蛇と因幡の白兎の話などの主人公(オオクニヌシノミ -
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ネタバレ[ 内容 ]
もはや読書と出版の復権はありえないのか。
「思想性ゼロの国」日本でいま起きている日本人の魂のドラマを描き、「本を読む」人間をここに取り戻すための方法を深く考察した、硬骨の力作。
[ 目次 ]
第1章 この不況はどのような不況なのか?(解決は困難だが、解明はそう困難ではない大不況;この大不況はどのように収束されるのか?)
第2章 人類の折り返し点(黒船にやって来られた国の考え方;経済は永遠に発展しうるのか?;歴史はもう停止しているかもしれない;日本と世界の不思議な関係)
終章 「本を読む」ということ(役に立たない「本書のまとめ」;「本を読む」ということ)
[ POP ]
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行き詰った「現在」を考えるためには、過去の出来事を見直す必要がある。また、何かを読むという行為は、どうしたって「ではこれからどうすればいいよいか」という思考を揚棄することになる。したがって、本を読まなければならないのである。僕自身も、もうどうしようもなくどうしようもなくて、読まずにはいられないのだ。人が恋に落ちるように。あるいはニトリ君が女装をするように。高月君が男装をするように・・・・・。読むことは、とりもなおさず、そこに書かれていない何かを読むということである。俗にいう行間をよむことが必要とされている。何を考えるべきかを考えなければとてもじゃないが解決できないほどの問題が山積してるからで
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「生きる歓び」橋本治
”ほのかな感動”短編集。竹色。
普通の人たちの、日常生活を切り取ってきた、何とはない物語が収められています。自分と自分を取り巻く環境に、なんだかちょっと立ち止まって考えてしまった人々の物語。
いろんな人がいて、いろんな考えをもって、いろんな人生を生きている。そんなことが読んでいるとしみじみと染み渡ってくる作品でした。
パッと見たかんじ、宗教系の雰囲気を感じてしまうようなタイトルですが、決してそんなことはないのでご安心を。
際立ってドラマティックなストーリーがあるというわけでは決してないのに、フィクションとしてゆったりと読ませられる作品。
巧い・・・っ!の一 -
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[ 内容 ]
人はなぜ、「美しい」ということがわかるのだろうか?
自然を見て、人の立ち居振舞いを見て、それをなぜ「美しい」と感じるのだろうか?
脳科学、発達心理学、美術史学など各種の学問的アプローチはさまざまに試みられるであろう。
だが、もっと単純に、人として生きる生活レベルから「審美学」に斬り込むことはできないだろうか?
源氏物語はじめ多くの日本の古典文学に、また日本美術に造詣の深い、活字の鉄人による「美」をめぐる人生論。
[ 目次 ]
第1章 「美しい」が分かる人、分からない人(「美しい」が分からない人;「美しい=合理的」という発見 ほか)
第2章 なにが「美しい」か(なぜ私の話は分かり -
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[ 内容 ]
たいていの人に「苦手な彼女」がいるという。
いったいそれはどういうことなのだろうか?
七〇年代の高度成長期にウーマンリブ運動が起き、時を同じくして消費者運動が登場した。
八五年には男女雇用機会均等法が成立し、その年、内需拡大のために個人消費が推進された。
その後の好景気とバブルの崩壊、平成不況…。
この四十年の間に、日本の男女関係がたどってきた変遷を、ときに女帝の時代にまで溯って深く考察する。
[ 目次 ]
第1章 そうして「女」は厄介になった(「女性差別」というもののややこしさについて 「女の問題」はたやすく四分五裂する どうして女は変われたのか)
第2章 性的ではない「女性 -
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敬語の機能について、十代の読者を想定して書かれた本。敬語には人と人の間にある「距離」を意識させる機能があり、どのような場面でどのようにに敬語を使えば適切なのかということについて考えさせる本。敬語の使い方に関するハウツー本ではない。
敬語とは敬意を表すためのことばである、という単純な考え方ではなく、敬語とは話し相手との距離を意識するために使う日本語の豊かな表現の1つであるという考え方を紹介している。ポライトネスの考え方に通じると思った。日本に「えらい人」と「えらくない人」の階級差が出てきた結果、「えらい人」たちの間で特別で複雑な表現が使われ始めたということや、関西方言の「自分」=相手という二