【感想・ネタバレ】日本の行く道のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2012年04月20日

2005年出版。
しかし内容は震災と原発事故、悪化する一方の経済に喘ぐ
今の日本にますますふさわしい。

タイトルからは「何らかの解答」が示されているように思えるけれど、
これは「ほとんど解決不能な問題を前にしたときの考え方」
について書かれた本。

そんな問題に直面した時には「これからどうしよう?...続きを読む」ではなく
「過去にどういった選択をした結果、この状況に至ったのだろう?」
と考えるといい。

コナン・ドイルの「緋色の研究」でシャーロック・ホームズは
「物事を訴求的に推理する(reason backward)」ことの大切さを
説いているが、まさにこれが遡及的な思考。

例えば地球温暖化について著者は
「じゃあ冷房の温度設定を28℃にしよう」ではなく
どうしてこうなったかを遡って考える。
すると「炭酸ガスの排出が劇的に増加した19世紀の産業革命」に
辿り着く。それは「自分が必要とする以上のものを生産し、
必要か不必要かに関係なく誰かに売りつけて利潤を増やす」という
道を選択した、ということである。
その結果、原材料と市場の確保のために植民地を必要とし、
いくつもの直接的な戦争と、その後の貿易戦争、
そして様々な廃棄物と炭酸ガスを生み出した。

著者は「じゃあ、産業革命以前に戻ったらどうなる?」
せめて「日本が調子よかった1960年前半くらいに戻ったらどうか」
という大胆な仮説を立てる。
それはあまりにも壮大で笑ってしまうくらいなのだが、
よく考えると妙に納得してしまうものだったりする。

「せめて日本が調子よかった1960年前半くらいに戻ったらどうか」
「新幹線は辛うじてあるが、高層ビルはまだなく、クルマもまばら」

そんなのも悪くないな。と感じさせるのはさすが。

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Posted by ブクログ 2019年07月02日

いつもなら橋本氏の著書を読むと新しい視野が開けてきて、「言われてみれば確かにそうだ!」と手を打つのだが、今回は納得感に乏しかった。
総論として言わんとするところは、「もう進歩を目指すのは止めようよ。地球も社会も壊れちゃって幸せになれないよ。」というもので、産業革命以前、それが難しければ1960年以前...続きを読むの生活に戻ろうという提案。その象徴として高層ビルを禁止し、大量生産して外国へ貿易戦争を仕掛けるのもやめようと説く。1960年から人口が3000万人も増えているのだから、1960年の生活に戻すには3000万人の日本人を国外追放するか抹殺しなければ収支が成立しないのだが、著者が言いたいのはそういう各論の議論ではなく、「進歩=良い事という固定観念を疑い、みんなで貧乏になろうぜ」と言う思想なのだろう。それはそれでミニマリストにも通じる一つの見識ではあるものの、それで「何かおかしい」が解決するとして、人々は幸せになれるのだろうか。そうかも知れないし、違うような気もする。

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Posted by ブクログ 2014年10月26日

[ 内容 ]
今の日本に漠然としてある「気の重さ」を晴らす作家の確かな企み。
大人も子供も「行き場のない」という大問題。
惰性となってしまった「進歩」をもう一度考え直す。

[ 目次 ]
第1章 「子供の問題」で「大人の問題」を考えてみる(どこから話を始めるか? どうして子供が自殺をするのか?)
...続きを読む2章 「教育」の周辺にあったもの(「いじめっ子」はどこに消える? 一九八五年に起こったこと 思いやりのなさが人を混乱させる)
第3章 いきなりの結論(産業革命前に戻せばいい 歴史に「もしも」は禁物だけど 産業革命がもたらしたもの)
第4章 「家」を考える(「家」というシステム 機械は人を疎外し、豊かさもまた人を疎外する)

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

今の日本の抱える問題をきちんと捉えて、その処方箋として1960年代に戻ってしまえばいいじゃん、と提案している。ぶっ飛んでいると言えばそうだけど、フムフム面白い、と納得しながら読める。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

2008年読み初めの一冊。橋本流の疾走感に思わず笑ってしまった。いまを考えるのにちょうどいい。再び読み直したい。

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Posted by ブクログ 2014年04月11日

いじめ問題や格差問題、環境問題や経済問題など、さまざまな題材の周りをめぐりつつ、「日本の行く道」について著者が論じた本です。

「いじめ」問題が「学校化社会」の閉塞感によって深刻化しているという指摘は、とくに目新しいものではありません。ただ著者の議論のおもしろいところは、こうした問題を格差社会の問題...続きを読むに結びつけているところです。

著者は、現在の日本が「格差があるから格差社会だ」という同語反復の中に閉じこもっていると指摘しています。「このままでは生きていけない」という崖っぷちに立たされている人びとへの想像力を、「格差」という言葉が隠蔽してしまっているというのが、著者の着眼点です。そして、「さっさと自立しなさい」と言われた「子ども」が、「子ども」のままで「促成栽培の大人」になってしまったことが、こうした問題の背後にあると著者は主張します。こうして「促成栽培の大人」になってしまった「子ども」は、「自己責任」という言葉を口にして、「その自立した自分と他人との関係はどうなるのか」という面倒くさい問題を引き受けないままでいると論じられます。

後半は、日本が近代化という道を選択し、そこで成功を収めたにも関わらず、その後の日本の自立について何も考えてこなかったことが、ここへきて問題として現われてきていることが論じられます。

最近の著者の議論は、以前よりも格段に読みやすくなった一方で、やや図式的な議論に陥りがちな気がします。

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Posted by ブクログ 2010年06月12日

こんなタイトルの本、誰が買うんだろうか?
自分は、橋本治の新刊だからということで購入したけど、橋本治を知らない・興味ない層を除けば、後は「本気で」将来の日本を憂いている中年のおじさまくらいしか購入しないだろう。

それはさておき、「日本の行く道」。
個別に見ていけば、確かに具体的に「日本」というもの...続きを読むを検討しているように見えなくもないが、総論として考えると、「日本の行く道」というよりも、「橋本治」の思考法を、「日本」という題材を通じて、披露しているだけのような気がしてならない。
それがどういう思考法なのかって説明するのはなかなか難しいけど。
まあこれが氏の文章の醍醐味なんだけど、非常に癖のあるくどい文章なので、何冊か読まないと慣れない。

前半の「いじめ」から発展させた考察はとても面白かった。今現在の「いじめ」と、1960年代あたりまでの「いじめ」との決定的な違いをうまく説明できるのは日本では橋本治くらいではないか。
産業革命あたりの話からは雲行きが怪しく、話がぶっ飛び過ぎているような気がして、読んでて多少苦しかった。
しかし、人文系の作家ならではとも言えるけど、氏が”ホントにこのままいけいけドンドンの進歩でいいのかよ?少しは頭使おうよ”と疑義を呈した意味は大きいとは思う。まあだからと言ってどうすりゃいいんだろう・・って感じですが。
(2008年01月06日)

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

 日本の行く道を考えることは、日本が来た道を検証すること。その基点が1985年だという。金持ちであることを意識した日本人は状況が変わって消費に邁進する。学校でも職場でも「行き場」がなくなった人達は自殺し、思いやりを失った社会は、「自己責任」の名のもとに、格差ではなく隔差を生み出しているという。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

詳しくはあとで書きます。


ですます調の論説文って好きじゃないけど、言ってること自体は鋭い。

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

環境問題、教育問題、経済問題などを絡めて現代が直面している限界を浮き彫りにした本。相変わらず橋本治はよく物事を見て考えている・・・

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