橋本治のレビュー一覧

  • 美男へのレッスン(上)
    現代社会において「美男」が置かれている位置について考察をおこなっている本です。

    著者はまず、オードリー・ヘップバーン主演の映画『パリで一緒に』を題材に、中年のシナリオライター役で登場するウィリアム・ホールデンと二枚目俳優のトニー・カーティスを対比しながら、若い美男に対抗意識を燃やす中年男と、そうし...続きを読む
  • 大江戸歌舞伎はこんなもの
    江戸の歌舞伎には、自分の人生を悩む孤独な男というのが、一人も出て来ません。なんで出て来ないのかと言えば、そんなもんに出て来られてもお話にならないからです。
    悩む代わりに、すべては行動によって解決するという、単純なる身体主義だけがあります。ゴチャゴチャした構造の江戸の歌舞伎が、実はその一方でとてもいさ...続きを読む
  • 上司は思いつきでものを言う
    ずっと かかえていた
    もやもやしたものが
    あっ そうか!
    と コトンと胸に落ちる ことがある

    橋本治さんの
    著作を読んでいると
    その幸運に満たされる
    ことが よくある

    本書も その一冊です
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと
    今回の著作は秀逸、歴史物ではなく、「失敗の本質の検証」に対する想いが伝わる。
    310万人が亡くなった太平洋戦争
    大きな戦略が明確でないと最終的な勝利は覚束ない
    戦場の指揮官ばかりではなく、陸海軍の枢要な部署にある連中の戦略構想が大事

    太平洋戦争においては不思議なくらい日本の軍人さんは決断ができなか...続きを読む
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ
    口述という体裁もあってか今回もあっちこっちに話が飛ぶのに、最後に必ず元に戻ってきて、きちんと筋が通っているところが相変わらず凄い。またこの人の言葉の使い方、特に喩えが超絶に上手い。昭和=「復興経済」との表現もすごく腑に落ちる。
    英EU離脱は成長、拡大を追求した経済飽和の象徴であり、もうこれ以上の拡大...続きを読む
  • リア家の人々(新潮文庫)
    ・半年もたたぬ間に、総理大臣はもう二度代わっている。新しくなろうとしても、国の中枢はそうそう変われない。「これなら大丈夫だろう」と思われる人物を連れて来ても、国の中枢にふさわしいと思われる人物なら、なんらかの形で汚れている。「新しくなる」ということは、そう簡単なことではないのだ。

    ・人にはそれぞれ...続きを読む
  • 国家を考えてみよう
    国家と国民について、分かりやすく解説している好著だ.第4章で、国家主義の本質を述べているが、憲法と密接に関連する由.現政権は憲法の重要さを理解しておらず、一般の法律のようなものだと誤解している.国民をないがしろにしているようで、十分に注目しておく必要があることを痛感している.最後に出てきた文言は良い...続きを読む
  • 「わからない」という方法
    橋本治(1948~2019年)氏は、東大在学中に、「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」という東大駒場祭のポスターで注目され、その後イラストレーターを経て、文筆業に転じ、様々なメディアでも活躍した小説家、評論家、随筆家。
    本書は、「わかる」ために、セーターの編み物...続きを読む
  • 「わからない」という方法
    橋本治の本を読んだのは3冊目である。
    1冊目は『知性の転覆』、2冊目は『上司は思いつきでものを言う』で、この2冊で橋本治のファンになった。
    橋本治は面白い。
    面白さの一つは「等身大」である。
    橋本治は等身大でものを言う。背伸びをしていないから合点がいく。それは本書では「身体性」である。
    二つ目は「地...続きを読む
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと
    ・多分、人はどこかで自分が生きている時代と一体化している。だから、昭和の終わり頃、実に多くの著名人が死んでいったことを思い出す。

    ・「戦争法案だから反対だ」というスローガンは分りやすい。でもその分りやすさは、「日本の安全保障をどうするのか?」という問題をたやすく吹っ飛ばしてしまう。反対するべきは、...続きを読む
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ
    聞き書きの本。
    50代と30代のライターを相手に、話ながら進めていく。
    橋本治さんが育った時代の、目に見える世界の変わりよう、
    生活や人が変わっていくのを肌で実感し、
    そこから大事なことを抽出すると
    ちゃんと世界を見るものさしができあがる。
    橋本さんの中で、イギリスのEU離脱のお題は、
    遠くローマ帝...続きを読む
  • 古事記
    解説がたくさん載っているので古典文学初心者にとっては、歴史の勉強にもなり読み易い。
    「古事記」上、中、下の3巻の上の巻の分のみ。

    日本はイザナミが最初に淡路島を産んで次々と国土ができていった。神々は人間は作らない。

    あとがきに「神様は人間ではない。しかしいつの間にか、神様は人間になっていく」と。...続きを読む
  • 結婚
     どうすれば結婚できるのか!!??

     わかるマン。
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ...いや、マジで。

     最終章、倫子が婚活サイトや、合コンや、お見合いパーティー、とにかく暴走するたびに壁にぶち当たってやる気をなくし、でもなにかやらないと、というひた...続きを読む
  • 無花果少年と桃尻娘
    シリーズ第五弾。

    おたがいの心の乖離から別れてしまうことになった磯村薫と木川田源一の二人が再開し、榊原玲奈は田中優の友人である利倉完二の実家に「女中」として働きにいくことを決意し、さらに磯村は田中と共同生活をはじめ、自分を「子ども」として可愛がって育ててきた母親からの独立を果たすための精神的な成長...続きを読む
  • 恋愛論 完全版
    1986年当時の彼女に進められて読んだ覚えがある。
    この年になって、ふと当時自分が何を思い何を考えていたんだろうって思ったときに、この本のことが頭に浮かんだ。
  • 無花果少年と瓜売小僧
    シリーズ第四弾。今回は、「無花果少年」こと磯村薫と、「瓜売小僧」こと木川田源一のカップルがたどった運命が語られます。

    これまでとはちがって、登場人物の語りによって物語が進められていくのではなく、作者がみずからの考えを過剰なほどに織り込みながら二人の関係の危機をえがくという手法が採られています。「大...続きを読む
  • その後の仁義なき桃尻娘
    シリーズ第二弾。

    今回は、大学受験に失敗して予備校に通うことになった榊原玲奈の登場機会はずいぶん減って、源一の愛した「先輩」こと滝上圭介と醒井凉子のひと夏の恋とその帰結が多くの登場人物の視点から語られていきます。源一の心情に寄り添う著者の語りに、『恋愛論』(講談社文庫など)のもとになった講演の最中...続きを読む
  • 結婚
    あぁ、分かる分かる。と思いながら読んでいくも、最終的に愛されるために若さと直感信じて突っ走れと言われたようで、卵子老化著しい私はもーどーしよーもねーな。としか思えず。

    子供産むためには結婚してないと辛いんだよね。教員やってるから分かる。シングルマザーを支えるサポートがまだまだ万全じゃない。お母さん...続きを読む
  • マンガ哲学辞典
    なかなか難しいんだけども、おばさんの件はズキンとくるわな。おばさんはセクシー系が苦手で、理想と現実の可愛い折衷案を体現していく、みたいなところ。

    正直批判覚悟で言うのなら、昔はおばさんの概念ってもっと狭かったと思うんよね。

    今はさ、「○○系」とか言って自分の裁量に見合う主義を選んでうまーくオブラ...続きを読む
  • 掌篇歳時記 春夏
    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにね...続きを読む