橋本治のレビュー一覧
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新興の一族の周りには、目に見えぬ標が結い渡されている。己が分際を忘れ、その境から一歩でも踏み出しさえすれば、ひそやかな嘲りがたちまちに襲いかかる。栄華の大海に乗り入れた一族には、この攻撃に対処する術がなかった。新興の一族を呑み込もうとして盛りあがる大波をかわし、進むべき航路を指し示す者はなかった。この哀れな一族を導きうるお立場にあられたのは、御世の頂の更にその上の高みにましまされる、法皇ただお一方ばかりだった。法皇がどのようなお力をお持ちであられるのかを、哀れな浄海入道は、わきまえずにいた。であればこそ入道は、摂関家に抗することも恐れず、法皇に対し奉っても抗そうとした。その父の哀れな振舞が、ごうがんなる人の世を残された嫡宗の子重盛に、心労を積もらせ、回復の余地のない疲弊へ誘っていった。
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東国の武者は、我が身を利するため、我が身を活かすために戦うが、都の武者は、「戦え」と命ずる声に従って戦う。東国の武者が、「我が身の益」を思って戦うのなら、都の武者は、「我が身の益」を思って戦わない。「戦え」と命ずる上からの声は、武者として生きる都の男達の利害とは一致しないのである。彼等を動かす官は、武者の利害を前提として出来上がっていない。朝廷とは、朝政に列する者達の利害によって出来上がっているからである。保元の乱で戦った義朝は報われず、戦わなかった清盛は、報われた。その理由はただ一つ、義朝が朝廷の序列から遠く、清盛が近かったからである。
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Posted by ブクログ
表題の「原っぱ」は飲み屋の酔っぱらいみたいな、ある意味橋本治らしい、とりとめのない講演録で、共感するものはあまりない。それより「近未来」は鋭い洞察に思わず唸ってしまった。
明治の開国で始まった近代化は、昭和で欧米諸国に追いついて近代を達成して、バブル崩壊とともに終わる。続く平成は「時代」そのものがなくなったと言う。個の社会への移行、中心を持たないネット社会へのリアルの組み込みなどにより、それまでの世の中のあり方が全く変わってしまった。昭和の終わりに大学に入った身としては、当時の空気感がありありと浮かんできて、確かにそんな時代だったな、と。
ネット社会の影響は別に日本に限った話ではないんだろうけど、元号がある日本ではその変化を人々が感じやすいと言う要素はあるだろう。何故平成が「近未来」なのかは明かされずに終わってしまった。そりゃないぜ、橋本さん。
安らかにお眠りください。