橋本治のレビュー一覧
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清純な中学生になる筈だった私が、この本で一気に今のキャラクターに目覚めました。父親がこっそり隠して読んでいたこの本を目ざとく見つけてあっという間にハマりました。タイトルは凄いですけど、中身は普通の青春小説です!物凄くカッコいいゲイの源ちゃんと、高校に入学する直前の春休みに女子高生の不良のオネーサン3人組に童貞喪失された眼鏡の美少年に囲まれて青春を謳歌するお酒も飲める、煙草も吸っちゃうイケイケギャルの主人公、レナちゃんの物語です・・・ってどこが普通なんだ!!
その他にも一癖も二癖もある愛すべきシュールな登場人物が沢山出てきます。これに出逢わなかったら今の私の人格はありえなかっただろう・・・と思う位に影響を受けました。
それにしても、こんな本、中学生の娘に読ませるおとーさんもどうかと思うよ。(って私が奪い取って行ったんでした・・・)
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作品紹介・あらすじ
橋本治の多彩な仕事について、各界の第一人者と語り合う。六つの対話から、稀有な作家の全貌が浮かび上がる対談集。
「短篇小説」高橋源一郎/『ひらがな日本美術史』浅田彰/『小林秀雄の恵み』茂木健一郎/『窯変源氏物語』三田村雅子/『双調平家物語』田中貴子/「広告批評」天野祐吉/『リア家の人々』宮沢章夫(文庫版特典)
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橋本治と複数の著名人との対談集。文庫化の際に宮沢章夫との対談が増補されている。
実は橋本治の著書を読んだことがない。なのになぜ本書を手に取ったかというと、高橋源一郎との対談が載っていたから。高橋源一郎のファンであり、高橋自身もことあるごとに橋本治を評価していたので、どんな人物なのだろうと思い手に取った次第。
読み終わった後の感想は「面白かった」だった。多分橋本治という人物に興味が持てたからだと思う。具体的にどういうところに惹かれたのかは表現しにくいのだけれど、ちょっとアバウトでありながら、膨大な知識の持ち主であり、「面倒くさい」と言いながら緻密な作品を仕上げているあたりに、不思議と惹かれたのだと思う。今度は橋本治の著作を探して読んでみたいと思う。
高橋源一郎との対談も面白かったが、天野祐吉との対談がとりわけ印象に残った。 -
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上巻に続けて読む。
藤村の「破戒」は、中学生の頃に読んだ。破戒の意味も判っていなかった。橋本さんは、主人公は新平民として差別に対し、いたって鈍感な人物と説く。新平民として活動する猪子蓮太郎の思慕。「言えない」を主題としたとする。僕は、全然読めていなかったんだな。
国木田独歩は辻原昇さんが書評の本で取り上げていたので読み返した。さらっとマイペースに自然主義を達成した人。「武蔵野」読み返そうかな。
本署の論考は、再び藤村に戻る。嵐山光三郎さんが藤村を批判した文を読んだことがある。現在の世評でも酷評されていると思う。姪と関係し、責任取らずに逃げる。そしてそれを暴露する。肝心な部分をぼやかしながら。橋本さんは罪を償う為ではなく、「もう幸福だから白状してもつらくない」と思ったからとする。橋本さんの分析は細部を切り分け、納得させられるものだけど、藤村を読もうという気にはならないなあ。
漱石について。ぼっちゃんは近代教育を受けただけの前近代人とする。清=調子はずれでマヌケで、しかし善なる豊穣を持ち合わせて慈しんでくれた前近代への愛情を小説は語っている。関川夏央原作、谷口ジロー作画の「坊ちゃんの時代」を思い出した。
北村透谷についてページを割いているのが不思議。透谷の墓は何度か見た。自由民権運動に身を置いたことや素封家の奥さんとの結婚も頭に入っていた。成程、早熟の天才だったんだな。生活に疲れた晩年は八つ当たりのような論争を起こしている。
最後の紅露時代が一番馴染みが無い。尾崎紅葉と幸田露伴。正岡子規は二人の文章は井原西鶴の文体をまねたものと云う。何を言いたいのか言わないままで、雰囲気らしきものを伝えながらダラダラ続いていく文章。
江戸の遊郭は疑似恋愛を提供する場所。恋愛が生まれてしまうと破綻する。相手を好ましく思う二人は好きという感情を表明しない。自分の軍門に下れと、より相手に惚れさせるゲームをする。露伴の寝耳鉄砲はそういう小説とのこと。
終盤に「五重塔」についての分析もある。小説の筋は知っていたが、橋本さんは主人公ののっそり十兵衛の心象が殆ど語られていないと指摘する。郎円上人に信用されていなかったと誤解したときの心根は、まるで義太夫のようだ。
露伴の長女の幸田文さんの小説や随筆は読んでいるので、なんとも不思議な印象。
極めて散文的なレビューとなった。あとがきの「近代をやりなおす」ということはどういうことだろうと考えてしまった。 -
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第一部 言文一致体の誕生
導入は古典。
兼好法師の徒然草は和漢混淆文の完成とする。しかし、「センテンスが短く、論理展開がが判りやすい」文章は、時代から距離を置かざるを得なくなった法師の無駄なことを言うまいとする孤高によるもので、時代に影響は無い。
和漢混淆文で書かれた大僧正の慈円の愚管抄。判りづらい慈円の日本語論を橋本さんが分析解明していく。つまり、愚管抄は後の時代の歴史小説とする。しかし、橋本さんは慈円とは無関係に歴史小説なるものが存在してしまって、そのあり方から逆算すると愚管抄は歴史小説に近い、ということになるだけであると、あえてくぎを刺すことを忘れない。
明治時代の言文一致についての論考。二葉亭四迷、田山花袋についてかなり子細に分析されていく。四迷の浮雲は読んだし、関川夏央さんの文章も読んでいるが、浮雲に欠けていたものが判ったように思う。平凡を読んでみようかと思う。四迷が長生きしたら、新しい小説を書いたんだろうか。
花袋についても布団以外の作品も多数引用し分析していく。橋本さんの論考は面白いけど、こちらはやめとこうかな。ひたすら思い続けた女性と20年ぶりに再会し、相手も同じ思だったことを知る。そして泣きながら去っていく。橋本さんは、つまり中年になった女に関心が無いとする。いや~、酷いなあ。
文語体からの脱却に、自然主義の理論があり、しかしながら言文一致体を探求した作家達は自然主義を目指した訳ではないという。「言えない」が作家の主題であったとして下巻に続く。 -
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▼2巻は「物語 大化の改新(乙巳の変 )」。
あるいは、「物語 蘇我四代」、、、でした。
▼橋本治さんの平家物語。腰が抜けるほど型破り。第1巻はほぼ全部、秦~唐の時代の中国王朝の、盛者必衰の物語だった。続く2巻はほぼ、「飛鳥の章」。
▼日本古代史、天皇家の歴史をなぞりなぞる。興味深い。蘇我稲目~馬子~蝦夷~入鹿の成り行きを見せる。もともと謎めいてるので興味深い。中臣鎌足、中大兄皇子を主人公とする本格小説?に移行する。そして、蘇我入鹿暗殺という一大サスペンス、クライムストーリー、カタルシス。
相変わらず、ちょっとくどいけれど実に分かりやすく面白い。
▼女性天皇誕生の背景。継体天皇のところで、血統入れ替わってる疑惑。橋本さんならではの熱量で(暑苦しいとも言える)明瞭な輪郭を描いて浮かび上がる。物凄い力業。一方で、「へええええ」ということもいっぱいあります。
「大化の改新以降(だったかな)、藤原不比等が台頭して権力を握るまで、歴代の天皇は、直前の天皇の子供を必ず殺している」
な、なるほど・・・・権力って大変だなあ。長子相続が根付いてないからと言うのもあるのでしょう。(そゆこと避けるために長子相続になったのか)
▼まだ平家の人は出てきません(笑)。と言うか、始祖である桓武天皇すら出てきてない。まだ飛鳥時代。このあと、奈良時代があって、ようやく平安。その末期が平家物語。
こうなるともう、何巻まで読んだら「平家」が出てくるのか、それが楽しみ。
▼岩波ジュニア新書の「飛鳥・奈良時代」を以前読んだ記憶がまだ、おぼろげにあり、おかげで楽しめたかなあとも思いました。
あれはわかりやすい素晴らしい本でした。 -
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▼亡くなられましたけれど、橋本治さんは「すごい作家だ」という認知をしています。しかしそれにしても、これは・・・・・すごかったです。
▼「橋本治さんが、平家物語を書いたんだー 読んでもいいなあ」
と思ったら、文庫で全16巻なんです。それがまずすごい。それから「双調」という言葉がワカラナイ。調べたら、
名詞
①
雅楽の音階である「十二律(じふにりつ)」の第六音。
②
雅楽の「六調子(ろくてうし)」の一つ。①を主音とする調子。
だそうです。
だけど、それが分かってもさっぱり分らない(笑)。
まあそれでも読んでみよう、とあまり調べずに読み始めたら・・・・
第1巻は、まるごとほぼ。
中国の秦とか唐とかの、王位帝位をめぐるどろどろの歴史物語なんです。
「えっ」
平家物語ぢゃないの??
▼平家物語のあまりにも有名な序文、
「祇園精舎の鐘の・・・・・」
がありますが、アレ、読み進めていくと、
「中国の安禄山とかの例を見るように・・・・」
みたいに、古代中国の歴史に触れてるんですね。
平家物語の成立が鎌倉時代だとすると、中国史で言うと、恐らく「宋~元」の時代。その当時の日本のインテリ(ほぼ、僧や貴族でしょうが)が読んでいる中国の史書に書かれている内容ですね。
橋本治さん的には、「ここから始めなきゃだめっ!」という思いがあったんでしょうね。
ただ、もう、第1巻は平家の「へ」の字も出てこない(笑)。
ほぼほぼ、唐の玄宗皇帝~楊貴妃~安禄山の長い長いものがたりが占めています。で、それはそれでこちらは不勉強なので、「へえ~」も含めて読み物として面白い。
▼橋本治さんは、けっこう大胆に、人物の心情に踏み込んで、断定的に小説として仮定して、物語っていきます。正直言ってその文体はけっこうくどい(笑)。でも分かりやすい。とにかく心情で押して行ってくれるので、歴史書を読んでいるような乾燥した感じはまったくありません。エゴ、欲、孤独寂しさ、そういったものの渦巻くスーパードロドロメロドラマです。おもしろい。
▼ようやく、安禄山あたりの物語が終わったかと思ったら・・・・今度はどうやら「飛鳥編」。これが第2巻になだれこんでいきます。つまり、キーワードは「栄枯盛衰」。飛鳥編は、要は「橋本治が語る、飛鳥時代史。古代皇室と蘇我家の栄枯盛衰の物語」。うーん、おもしろそう・・・・
だが、何巻になったら、平清盛とか出てくるんだろうか・・・・!
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美しいの正体に近付けた気がする
「過去の自分が知っていながら、現在欠落している幸福」という表現が一番腑に落ちた
それの良さを理解し、自分にそれがないことに気づいているから、外の世界へ関心を向けることができる
人間を落ち着かせるのは人間関係
人間が擬人法を使えるように、人間は人間以外とも人間関係を作ることができる
その前提をもとに、
美しいと感じるものの一つに夕日が一番始めに思い出されるがその理由を考えた
人は夕日と今日の終わりを結びつけていて、きれいな夕日や充実していた今日にもう一生会えなくなる寂しさや、太陽や時間という大きすぎるどうしようもないものへの憧れ、なのかなと思った
孤独と敗北と美しさがいつも近い場所にいるということはこれまでを振り返るとたしかにそうだったなと思う
徒然草の話は古典への関心がなかった自分が驚くぐらい惹き込まれて驚いた
こんなこと枕草子で既に言われてるとオリジナルになれない劣等感を抱きつつも、それでも書きたいという衝動と、誰も見ないしと開き直りで、結果的にオリジナルになれているストーリーに親近感が湧いた
12月20日過ぎの見る甲斐のない下弦の月を、年の瀬で慌ただしくしている人の世界を空から眺め下ろしていると、自分に見立てる感性が興味深い
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後白河院はお聴しにならない。御世の帝を擁し給い、お主上の朝廷をもまた御掌の内になし遊ばされる院にとって、武者とはただ「人に仕える下司」なのである。乱世に下司は力を得るーであればこその「乱世」である。ならば、その世のありように従って、下司はいくらでも官を上せればよい。成り上がった下司を、人は嗤う。陰で嗤い、表で持ち上げ、それが腐り落ちる時を、黙って待つ。平氏はそれで、腐って落ちた。ならば、東の源氏だとてー
「武者が武者に仕える、武者が武者の上に立つ」などというあり方を院には表立ってお認めになることばかりは、お出来にならない。それは、武者というものの朝廷からの離脱であり、王朝の時を支える基盤の崩壊なのだ。