橋本治のレビュー一覧

  • 人はなぜ「美しい」がわかるのか

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    美しいの正体に近付けた気がする
    「過去の自分が知っていながら、現在欠落している幸福」という表現が一番腑に落ちた
    それの良さを理解し、自分にそれがないことに気づいているから、外の世界へ関心を向けることができる

    人間を落ち着かせるのは人間関係
    人間が擬人法を使えるように、人間は人間以外とも人間関係を作ることができる
    その前提をもとに、
    美しいと感じるものの一つに夕日が一番始めに思い出されるがその理由を考えた

    人は夕日と今日の終わりを結びつけていて、きれいな夕日や充実していた今日にもう一生会えなくなる寂しさや、太陽や時間という大きすぎるどうしようもないものへの憧れ、なのかなと思った

    孤独と敗北

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    2025年06月28日
  • 双調平家物語16 落日の巻(承前) 灌頂の巻

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    後白河院はお聴しにならない。御世の帝を擁し給い、お主上の朝廷をもまた御掌の内になし遊ばされる院にとって、武者とはただ「人に仕える下司」なのである。乱世に下司は力を得るーであればこその「乱世」である。ならば、その世のありように従って、下司はいくらでも官を上せればよい。成り上がった下司を、人は嗤う。陰で嗤い、表で持ち上げ、それが腐り落ちる時を、黙って待つ。平氏はそれで、腐って落ちた。ならば、東の源氏だとてー
    「武者が武者に仕える、武者が武者の上に立つ」などというあり方を院には表立ってお認めになることばかりは、お出来にならない。それは、武者というものの朝廷からの離脱であり、王朝の時を支える基盤の崩壊

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    2025年06月12日
  • 双調平家物語15 源氏の巻(承前) 落日の巻

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    頼朝は「一族」を必要としない男である。誰がそれを知るだろう。頼朝自身もまだそれを知らない。「一族」が力を得れば、それが頼朝を不快にさせる。頼朝が力を増し、征夷大将軍として鎌倉に揺るぎない力を示すようになる道筋は、彼が「一族の男達」の力を削ぎ、切り捨てて行く道なのである。

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    2025年06月12日
  • 双調平家物語14 治承の巻2(承前) 源氏の巻

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    文覚の右の眼は、大聖不動明王の御眼。左の眼は、孔雀明王の御眼なり。人の果報を知り、日本国の行末を見通すことは、掌を指すがごとし!信ぜられよ!佐殿の相は、心境穏やかに保ち給われば、人を順え、天下を統べる大将軍ともなり給える大果報の相!さては、恨みによらず、天下の規矩ー高き所の水が低き所へ流れ、器の方円に従って形を変えるがごとく、時至って後に平家を倒されるお心であられましょうな。頼朝は、彼を見据える荒聖の、眼中に現れた、突然の「激しさ」が恐ろしかった。ない心中を探られて、「ある!」と言う聖の胸の内が訝しかった。

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    2025年06月12日
  • 双調平家物語13 治承の巻2

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    新興の一族の周りには、目に見えぬ標が結い渡されている。己が分際を忘れ、その境から一歩でも踏み出しさえすれば、ひそやかな嘲りがたちまちに襲いかかる。栄華の大海に乗り入れた一族には、この攻撃に対処する術がなかった。新興の一族を呑み込もうとして盛りあがる大波をかわし、進むべき航路を指し示す者はなかった。この哀れな一族を導きうるお立場にあられたのは、御世の頂の更にその上の高みにましまされる、法皇ただお一方ばかりだった。法皇がどのようなお力をお持ちであられるのかを、哀れな浄海入道は、わきまえずにいた。であればこそ入道は、摂関家に抗することも恐れず、法皇に対し奉っても抗そうとした。その父の哀れな振舞が、ご

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    2025年06月12日
  • 双調平家物語12 治承の巻1

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    重盛は、「清盛の傀儡」から脱しようとしている。「それならば、望みをかなえてやろう」と、右大臣兼実は思った。武者の一族と争って、摂関家の兼実に勝ち目はない。人事の世界で「摂関家」という家筋は、最大の武器となるものだからである。幾つもの家柄が入り組んだ序列の争いを最大の目的とする王朝人事の世界は、魔性の森にも等しい。「物知らずの相国入道ならばいざ知らず、謹厳な重盛はそこで野垂れ死ぬ」ー御世の有職と崇められる時の右大臣は、そのように平氏の嫡男をもてなした。王朝貴族の胸に巣食う「排他の心」で…

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    2025年06月12日
  • 双調平家物語10 平治の巻2 平家の巻

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    東国の武者は、我が身を利するため、我が身を活かすために戦うが、都の武者は、「戦え」と命ずる声に従って戦う。東国の武者が、「我が身の益」を思って戦うのなら、都の武者は、「我が身の益」を思って戦わない。「戦え」と命ずる上からの声は、武者として生きる都の男達の利害とは一致しないのである。彼等を動かす官は、武者の利害を前提として出来上がっていない。朝廷とは、朝政に列する者達の利害によって出来上がっているからである。保元の乱で戦った義朝は報われず、戦わなかった清盛は、報われた。その理由はただ一つ、義朝が朝廷の序列から遠く、清盛が近かったからである。

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    2025年06月12日
  • 雨の温州蜜柑姫

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    本棚整理中につき再読 137
    意識的なところなんかカケラもなくて、トンチンカンな失敗ばかりしていて、女の中の女というようなドロドロした部分を平気で露呈していて、しかも、日本の民主主義的な中産階級とは無縁の〝金持ちの娘〝である醒井凉子を表現するのに〝うっとりするような美しいトンチンカン〟、これほど適切な言葉があるだろうか。
    第1部から読み進めるうちに、だんだん好きになってしまった。実際、存在したら仲良くはなれないと思うけど…。

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    2025年06月13日
  • 双調平家物語9 平治の巻1(承前)

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    帝王としてあるべからざる「ご私欲」をお持ちになり、筋目の定かならぬ者達を数多く近臣としてお抱えになった。摂関家の私物と化した朝廷はそのままを放置され、人を寵するお心のお気ままが政事となった。最も偉大なる帝王とご自負なし遊ばされた白河院。

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    2025年05月21日
  • 双調平家物語8 保元の巻(承前) 平治の巻1

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    人らしくもあらぬ者が、傲然と人らしい顔をする。「臣下」と呼ぶにも価せぬ者が、臣下の択るべき道を説く。太政官の下僚の家を生まれたばかりの者が、賢しらげに御前を取り仕切る。信西の献策で保元の乱が始まる。

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    2025年05月21日
  • 双調平家物語7 保元の巻

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    藤原頼長は皇后得子の存在が世のありようを歪める核であると目に映った。頼長にとっての歪みとは、摂関家の力が軽んじられる、そのことにあった。

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    2025年05月21日
  • 双調平家物語6 院の巻(承前)

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    ネタバレ

    後三条帝の御即位によって、栄華の一族、摂関家の衰退は顕れた。それを救わんがため、栄華の一族は白河の帝にすり寄り媚びた。己が一族の権益を守らんがため、崇め奉り、帝王の道を昏ませた。女を奉り、女を介して、ただ贅美のことばかりをお教え奉った。己が権勢を守らんため、新たなる権勢を得ようとせんがため、天下をしろしめされるお方に、お気ままのみを奨めた。すべては、そこで歪んだのである。

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    2025年05月21日
  • その後の仁義なき桃尻娘

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    本棚整理中につき再読 131
    青春だなぁ…。
    森田公一とトップギャラン、「青春時代」を思い出してしまった(古いっ!)
    木川田クンに思いっきり共感。

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    2025年05月13日
  • 桃尻娘

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    本棚整理中につき再読 130
    カバー装画が高野文子。
    80年代に高校生だった人達が大人になると「おじさん構文」でメールを送るのか、と文章を読んで思った。

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    2025年05月06日
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ

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    今年読みたい本と選んだ三冊の本。
    再度アメリカでトランプ大統領となった現在。本書は読んで欲しいと思う。

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    2025年04月13日
  • ちゃんと話すための敬語の本

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    すごく読みやすい本でした。敬語の歴史や成り立ちから今一度敬語の使い方を勉強できました。
    自分のことに置き換えると、目上の人には敬語を使っているけど、目上でも親しければ親しいほど、尊敬しているほど丁寧語になっている気がします。それが心の距離なんだと感じました。
    敬語を勉強するためには、知らない人たくさん話すこと。というのはそのとおりだと思いました。

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    2025年04月11日
  • 結婚

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    この方の本は初めて読みました。言い回しが少し面白いところもあり、読みやすかったです。主人公は28歳の女性で、結婚を題材にしているのに、男性著者なのによくわかるなーと思いました。

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    2025年04月03日
  • 古典を読んでみましょう

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    「発音も表記も物の考え方も全然違うし、どう考えても自分の将来では使わない。なのになぜ古典を勉強するの?」そう思っている人へ向けて、一つ一つ丁寧に、古典とは何たるものなのかを解説してくれています。
    漢字や仮名が入り乱れる不思議な言語、日本語。柔らかくも堅くもなる、その文字形式や文学のスタイルは、「むずかしく書かれたものを分かりやすく説明し直す」日本人の感性そのものの表れでもある。自分たちの言語が、文学が、そうであることを思い起こさせてくれる作品です。

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    2025年02月25日
  • 「原っぱ」という社会がほしい

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    表題の「原っぱ」は飲み屋の酔っぱらいみたいな、ある意味橋本治らしい、とりとめのない講演録で、共感するものはあまりない。それより「近未来」は鋭い洞察に思わず唸ってしまった。
    明治の開国で始まった近代化は、昭和で欧米諸国に追いついて近代を達成して、バブル崩壊とともに終わる。続く平成は「時代」そのものがなくなったと言う。個の社会への移行、中心を持たないネット社会へのリアルの組み込みなどにより、それまでの世の中のあり方が全く変わってしまった。昭和の終わりに大学に入った身としては、当時の空気感がありありと浮かんできて、確かにそんな時代だったな、と。
    ネット社会の影響は別に日本に限った話ではないんだろうけ

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    2025年02月05日
  • 古典を読んでみましょう

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    樋口一葉のたけくらべ、清少納言の枕草子、慈円の愚管抄、曲亭馬琴の南総里見八犬伝などなどの一部を味わいさせてくれる。でもなかなか古典は難しいと何度でも言われる。まあその通りだけどね。

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    2024年12月20日