橋本治のレビュー一覧

  • 乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない(橋本治流ビジネス書)

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    バブルがはじけた後、どうしたらいいかわからない日本人はそのまんまだった。そんな時に、”勝ち組”と呼ばれる人は、既存秩序の外にフロンティアという未開の市場を拓き成果をあげた。

    初めはそんな”勝ち組”に反発したその他大勢も、勝ちが確定するとその下にぶら下がることで生き残りを図った。結局、何も変わらない。

    日本は利権を分け合う完成された安定したシステムであり、その利権が減り、システムが破綻しかけていても、内側からそれを改革する力は生まれない。完成されているから。

    それはつまりそれを構成する構成員が完全にシステムに同化しているから。みんな、「他人になんとかしてもらいたい」としか思っていないから。

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    2012年09月01日
  • 双調平家物語13 治承の巻2

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    途中で源氏物語とか読んでいたらしばらく双調を放置状態になってしまいましたが、ようやく続きを読み始めました。重盛死にました(涙)しかしこれだけ複雑な源平ドラマを一年間大河で取り上げようと思ったNHKさんはたいしたもんです。最後の方、正に今(2012年11月)大河でやってるところでした。以仁王の令旨が出てどんどん盛り上がって行くのがたまらないです。佐殿はまだ活躍していませんが…続きが楽しみです。

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    2012年11月19日
  • 双調平家物語12 治承の巻1

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    人名のややこしさMAX!でもとってもおもしろいです。清盛と重盛の間が徐々にズレて行く様がじっくりと描写してあります。しかし成親は黒いですね!平治の乱絡みの貴族って、処世術しか取り柄のない人が多いような…だからこそ貴族の力が弱体化してきたのでしょうか。後白河法皇が不気味な存在感を発揮しています。最近源氏物語関連の本ばかり読んでいたので、武張った男の世界が新鮮でした。

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    2012年07月03日
  • 「三島由紀夫」とはなにものだったのか(新潮文庫)

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    おもしろい論考です。難しいことを平明な文章で語らせたら橋本さんは本当に巧い。三島は全作品読んだわけではないのですが、幸い本書で取り上げられているいくつかの作品は既読で、何とかついて行けました。こうなると「豊饒の海」シリーズ読みたいですよね〜。三島の文体が装飾過剰なのは「それはそんなもの」とアッサリ考えていて深く追求したことはなかったのですが、「真実を隠すために言葉を尽くさずにはいられなかった」とは。ここまで微分された考察を提示されると唸ってしまいます。余談ですが、カバーデザインもユーモアというかシャレがきいてて素敵です。「春の雪」は妻夫木くん主演で映画になってましたが、ほかの三作品は映画にして

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    2012年06月23日
  • 窯変 源氏物語1

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    全巻大人買いしちゃいました。まずは一冊目。とてもおもしろかったです。この本を初めて知ったのは遥か昔「小学六年生」という雑誌の付録小冊子で、荒俣宏さんが選ぶ百冊みたいな企画でした(チョイスがものすごく大人向けだった。「日々の泡」や「楢山節考」など。辛口チョイスで実に渋いです)。

    手に取るまでには実に二十年(…)くらいかかりましたが、本当いいですね〜。原文は語り手不明ですが、この橋本源氏では光君の一人称という明快さです。何だか光君がとても著者に愛されてると思いました。橋本さん光君に萌えすぎというか。「雨夜の品定め」のシーンでは光君の少しシニカルなものの見方が女性的で興味深いです。

    あと小君との

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    2012年05月19日
  • 小林秀雄の恵み(新潮文庫)

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    いつものように、橋本治の思考過程を追いながら、小林秀雄は何を考え、当時の人はそんな小林の文章を何故ありがたがったのかが分かります。

    けど、この本の中で、私が、一番好きなのは橋本治が小林秀雄の『本居宣長』を読んで「そうか、学問とはいいものだったんだ」って思ったってところです。
    愚かな孫は小林秀雄の『本居宣長』を読んで、「そうか、ちゃんと学問をすればじいちゃんが言うみたいに、自信をもってなんでもやることが出来るのか学問というのは、そういう自信を与えてくれるのか』と思ったのである。だから「もう一度ちゃんと学問をしてみようかな」と思った。

    (橋本治は小林秀雄の孫ではありません。念のため)

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    2012年05月01日
  • 橋本治と内田樹

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    ネタバレ

    大好きな橋本治と、最近興味を持った内田樹の対談集ということで読んでみました。

    橋本治が自信を持ってあちこち話題が飛ぶのを、内田樹が常識でつなぎとめようという感じの対談でした。

    たとえば、橋本治は桃尻娘を書くときに、

      俺が知っている十二年分、彼女が知らないんだな。そういう引き算をしちゃったんです。

    と、主人公のキャラクターのパーソナリティの作り方を明かすと、内田樹が、

      先生は誰でもそういうことができると思ってるんでしょ。引き算が。あえてしないんじゃないんです。「できない」んですよ。引き算なんて。

    と応じてみせる。うん。全般そんな感じのやり取りが続く本です。

    ★★★

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    2012年05月01日
  • 橋本治と内田樹

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    タイトルそのまんま、お二人の対談集。
    5年くらい前の対談ですが、内田先生が言っていることが震災後も全然ブレてないのがすごい。
    二人が掛け合うごとに話がどんどん広がっていって、面白い。橋本さんの著作は読んだことがないのですが、すっかり橋本先生のファンになりました。

    橋本さんの「教養というのは、くだらないことを分かるためのパーツ」という話がおもしろかった。ことにこのお二人の対談は、哲学から古文から映画から義太夫・能楽に宇多田ヒカルまで知ってないと、すみずみまでは楽しめないものなぁと実感。あぁ、世の中のことが全部知りたい。

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    2012年04月30日
  • 双調平家物語10 平治の巻2 平家の巻

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    戦シーンに迫力ありました。信頼の愚かしさというか小人物ぶりが何とも悲しいです。しょせん寵されてしか生き得ない人だったのでしょうか。個人的には重盛と成親の淡い恋の行方(?)が気になりまくりです。義朝は悲しいですね…無念の最期だったことと思います。

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    2012年04月27日
  • 夜

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    違う男の話が一人の男の話に思えるのはなぜか、違う女の話が一人の女に重なることはあるのか。と思う私の中にも夜の曖昧さの中は心地良いかもしれないと思う気持ちがある。

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    2012年04月26日
  • 双調平家物語8 保元の巻(承前) 平治の巻1

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    ついに左府様がお亡くなりに。ちょっとツメが甘くていいキャラだったので残念です。最後までファザコンでした。

    信西が徐々に頭角をあらわして来ました。悪いです。たたきあげで成り上がって来た人ならではのしたたかさとアクの強さを感じます。清盛は何だか影が薄いです。ハラハラドキドキします。早く続きを読みたいです。

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    2012年04月25日
  • 双調平家物語7 保元の巻

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    頼長スペシャルって感じでした。いろいろ度肝抜かれました。恋のおまじないしたりする左府様が何ともかわいらしい(?)です。ちょっとぐったりするくらい濃かったです。つくづくキャラ立ちのすさまじい世界だと思いました。何も言えねー!って感じです。

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    2012年04月25日
  • 双調平家物語6 院の巻(承前)

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    おもしろかったです。一気に読めました。平家物語というか、本当に完全創作ですね。エネルギッシュな世界でした。読み返したいです。

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    2012年04月25日
  • 日本の行く道

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    2005年出版。
    しかし内容は震災と原発事故、悪化する一方の経済に喘ぐ
    今の日本にますますふさわしい。

    タイトルからは「何らかの解答」が示されているように思えるけれど、
    これは「ほとんど解決不能な問題を前にしたときの考え方」
    について書かれた本。

    そんな問題に直面した時には「これからどうしよう?」ではなく
    「過去にどういった選択をした結果、この状況に至ったのだろう?」
    と考えるといい。

    コナン・ドイルの「緋色の研究」でシャーロック・ホームズは
    「物事を訴求的に推理する(reason backward)」ことの大切さを
    説いているが、まさにこれが遡及的な思考。

    例えば地球温暖化について著

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    2012年04月20日
  • 上司は思いつきでものを言う

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    当たり前の疑問を発見し、当たり前に答えている
    おもしろい
    固定概念にとらわれた思考を解放してくれるあ

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    2012年03月10日
  • 橋本治と内田樹

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    ネタバレ

    本にマーカー引きすぎてえらいことになっている。
    それくらい「そうだよな!」とか「そうだったのか!」が詰まっている。

    身体知は大事。
    水泳ばかりやってたら水泳に有利な身体になるように、
    文句ばっかり言ってたら文句を言うのに有利な身体になる。
    この前読んだ「ミラーニューロン」も、
    人間が形から変化することを証明しているのではないかな。

    特に唯物論的なことを言いたいのではない。
    心というものはあると思う。
    愛とか勇気とかと同じくらいには。

    愛とか勇気とか国家とか常識とか、
    それらすべては共同幻想だから、
    なんとなく皆が「在る」と思っているものは「在る」ことになっている。
    その

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    2012年02月22日
  • 二十世紀(下)

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    素晴らしく面白い。各年に関して、象徴的なトピックを、とりあげそれを解説する形式の本。下巻だけ読んだ。

    ある程度予備知識や、背景知識があると、ここの歴史的事件にかんする図式化の明瞭さが素晴らしく思えてお得。

    腑に落ちない二十世紀史を幾分かでも理解した形で読み込むのにうってつけ。現代史をひととおりやった高校生と、わかった気になりたい大人にオススメ。

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    2012年01月14日
  • 双調平家物語9 平治の巻1(承前)

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    どの巻でも思いますが、この本すごい。平家物語といいますが、完全創作です。大化の改新からはじまって、平治の乱まで9巻かかってます。清和源氏の潔さと人間くささに惹かれます。

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    2012年01月03日
  • 「わからない」という方法

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    どこかに正解が存在していて「わかる」ことが当たり前だった20世紀とは異なり、「わからない」が前提となった21世紀にどのように立ち向かうかについて著者独特の語り口で述べられている。一度読んだだけでは、何となくわかったような気になっていたが腹に落ちていなかったので再読。「わからない」という前提に立って自分なりの方法を模索するしかない。知らないことを恐れない。知らないのなら、それを改めて知ればいい。という辺りにこの時代における著者からのヒントがあると思う。

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    2011年12月15日
  • 乱世を生きる 市場原理は嘘かもしれない(橋本治流ビジネス書)

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    集英社新書から出版しているアンチ・ノウハウ論、サラリーマン論に引き続き、今度は経済について考察しています。とは言っても、著者の事ですからいわゆる「経済学」の土俵にのって経済を論じるわけではありません。なので、いわゆる「経済学」を期待した読者からは、概念定義がちょっと違うだとか議論や過程が乱暴すぎるとかいった不満が噴出しそうです。まあ、経済学とは一種のモデルに基づいた仮説の社会科学ですから、議論のためには統一した概念とか言葉が必要なのでしょう。しかし、こういった土俵の外からの声に応えるのも、いわゆる「経済学」の役目でしょうし、そういった役割期待に沿えなかったのが現在の「経済学」不信の一因になって

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    2011年11月15日