橋本治のレビュー一覧

  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと

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    ○○ロスという言葉がありますが、
    以前は、何が○○ロスだよと、引き気味の視点で見ていました。
    ただ、ふと、ああ、もうこの世界に橋本治っていないんだな、、、と思うと、寂しくなりました。

    この本は、橋本治氏のweb連載の時評ですが、もう二度と、新たに更新されないんだなと思うと、
    残念でなりません。

    橋本治氏の著作は、毒にも薬にもならないものがたくさんありますが、
    語り口が、とにかく愛を感じさせるんですよね。
    どうして、ここまで、人間のこと、社会のことを、説明できるんだろうと、、、、。
    その説明が、なんというか、カラダ全体で考えているんだろうな、何か、大きなものを、
    背負って説明しているんだろうなと(本人は、無責任に言っている、なんて、言ってましたが、
    そう思えないんですよね)。こういう温かさを感じさせる作家も、人間も、絶滅していますよね。
    本当に、稀有な人でした。

    どうでもいいことを、考える大切さって、この人から教わった気がします。
    そのどうでもいいことが、案外、後で、凄く役立つことも。

    『これも男の生きる道』は、一番好きな本で、
    「わからない、知らない、できないを自分の中で認めないと、
    永久に一人前になれないよ」は、自分の座右の銘になっています。

    本当に素晴らしい作家でした。
    素晴らしい作品をありがとうございました。
    15年以上前に、橋本治氏の著作に出会って良かったと、心から思います。

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    2019年12月02日
  • 国家を考えてみよう

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    橋本治氏の本は、不思議なもので、参考文献をほぼ明記していない。
    これは、自身が語る内容に、よほど自信があるか、
    周囲がそれでも良いと認めているか、どちらかだ。

    私は、後者だと思う。
    固定ファンがいるのもそうだが、誰も氏に対して、
    批判できないほど、橋本氏は、「他者の人」である。

    この本で引用されてる文献も、
    福沢諭吉の『学問ノススメ』だけである。
    これだけの文献で、国家を語れる人は、そう多くない。
    たぶん、現存する日本の知識人では、両手に数えられるぐらいだろう。
    また、氏は、徹底的に権威というものに興味を示さなかった人で、
    もし示した人ならば、大学教授になり、テレビのコメンテーターになり、
    日本文化庁長官になっていただろう。

    ただ、橋本氏は、もう故人である。
    本当に、惜しい人物を失った。

    氏の問題意識は、非常にシンプルで、
    この著作で貫かれている論理は、
    「国家は、国民のものだよ」、ただそれだけである。

    国家=国民である。当たり前と言えば、当たり前だが、
    私たちは、その実感があまりない。
    それは、なぜだろうか?

    橋本氏は、国家=国民この等式を、理解できないと、
    大変なことになるよ(なっているよ)と言っている。
    この等式を、わかってもらうためだけに、この本を書いている。
    普通は、国家=国民という図式を、( )に入れて、政治を語る。
    そこには、国家=国民を前提としている。

    しかし、氏は知っている、政治を語る上での前提条件、
    国家=国民ということを、たぶん、誰もわかっていないじゃんと。

    その前提で、政治を語ったら、わからないだろう!ただでさえ政治は難しいのに!
    と思ったのかは、定かではないが、ある問題の前提を、
    しっかり理解する上で、氏のアプローチは、非常に王道である。
    この点で、この著作は、明らかに啓蒙書である。
    だから、日本で一番読まれた啓蒙書『学問ノススメ』を引用したんだろう。
    学問ノススメは、明治、戦後すぐによく読まれた。
    それは、日本人が新しい政治を必要としている時だからだろう。
    また、新しい生き方のヒントに。

    氏は、まず国家の成り立ちを、その字が意味する所から説明し、
    また、国家が国民のものでなかった時代を日本の古代史から現代史まで、
    語り、そして、国民国家の発祥の地である、
    欧州の状況を、その成立前後から説明し、
    最後に、天皇と国家の関係を、これまた、
    日本の神話時期から、戦前、戦中の天皇と国家の関係、
    そして現在の改憲のことまで。
    独特な例えで説明している。

    なぜ、これほど広範に語れるかというと、
    氏が天才であることもそうだが、
    氏のこれまでの創作物が、枕草子や源氏物語、平家物語などの、
    古典中の古典の現代語訳(というか、橋本語)での実績、また、
    それに付随するような日本文化、文学、美術、はたまた文体史から、
    純文学まで、幅広い著作を残しているからだろう。
    これほど、多岐の分野に渡る作品群を残している人は、
    果たしているんだろうかというぐらい、質もさることながら、
    空前絶後の量を残している。

    氏は、徹底的に理解する人で、わからないことを、わかろうとする人だった。
    こういう姿勢を貫ける人は、あまりいない。

    氏の著作は、わかり易く書かれているが、決して、
    簡単にわかる内容ではない。
    一種の橋本式・理解モデルを提示しているに
    過ぎない。あとは、君たちが考えてねと言っている。

    少なくない人が、「考えること」を、できないでいる。
    難しい、わからない、習ったことがない、知らないよである。
    そうこうしているうちに日本は、政治はもちろんだが、経済も、
    教育も、何もかも、停滞している、というか衰退している。
    日本もおかしくなっているが、日本人もオカシクなっている。
    まさに、国家=国民である。

    絶望している人は、たくさんいるが、その絶望の原因と理由を、
    個人に求めてもどうしようもない、
    また、政治や経済、社会に求めても意味がない。ただ、文句を言って、
    絶望を口にしても、何も変わらない。

    こういった状況を何とかしたい!せめて自分だけでも、、、という人が多いが、
    考える上での、知識もない、方法論もない、また自信もないわけで、
    昨今は、ますます世俗的(経済的なメリット、デメリットだけで物事を考える)になっている。
    「すぐ稼げる」、「すぐわかる」、「大丈夫!、これだけやれば」、
    「ありがとうと言えば、幸せになれるよ」など、

    今の日本は、中世か、はたまた、戦中のような盲目さが、国民全体、
    そして、国家全体を覆っているみたいである。

    情報は、毎日、洪水のように溢れているが、本当に自分にとって、
    家族にって、友人にとって、地域にとって、社会にとって、
    日本にとって役立つ情報は少ない、というか、ほぼない。これを理解するためにも、
    「国家は国民のものだよ」という政治を考える上で当たり前とされているの前提と、
    この著作で語られる氏のアプローチは非常に参考になる。

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    2019年12月02日
  • これで古典がよくわかる

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    世界価値観調査によると、日本人の世俗性は世界トップクラスです。
    世俗性というのは、言い換えると、ミーハー(新しいモノ好き、古いものはダサいと思う)で、
    また、物事に対して、損か得かの判断をとても重視するということです。

    この特性からいうと、古典を学ぼう、学びなおそうという人は、
    確実に少数派になります。
    それでもなぜ学ぶのか?

    ①試験・受験に必要だから
    ②面白いから
    ③強制的に学ばされているから

    毎年、何万点も書籍は出版されていますが、
    その中で10年後、価値あると言われる本は1%もありません。
    20年後、30年後になると、0.01%以下になります。
    古典と呼ばれるものになると100年の経年数は余裕でありますから、
    出版された出版物の中からすると、何千分の一の確率で生き残っているということになります。

    つまり奇跡に近いものです。
    では、1000年前になると、どうか?

    本が生き残る条件は何か?

    それは、不特定多数の人が、その本に価値を認めたことになります。
    自分が面白いと思っても、他人が面白くないと思ったら、
    残らない可能性が高い。

    また学術的価値が高いとか、芸術性とか、いろんな判断基準で、価値を測りますが、
    古典というのは、「偉い」というのは間違いありません。
    ただ、この「偉い」は、権威的にならざるを得ない宿命にあるのか、
    わかりませんが、日本人は、特に権威を嫌います。
    古典を忌避する理由の一つが、この権威性かもしれません。

    また、「わからない」ということが、非常に怖く思ってしまう人が多い。
    オトナになると、ますます、わからない、知らない、できないを、
    認めたくならないように、なります。

    著者の論の進め方は、非常に丁寧です。
    古典を怖がらないでくださいと言っています。
    古典=わからないもの、難しいものであることを認めた上で、
    現在の私たちが、わかるもの(箇所)もたくさんあるとして、
    多くの例を挙げてます。多くが、古典で出だしの部分です。

    著者は、枕草子から、源氏物語、平家物語の逐語訳の名手です。
    氏ほど、日本の古典から現代的な意味での知恵を引き出した人はいません。
    それは、古代人も、現代人も、共通するものは、たくさんあるし、
    また、新鮮味があるとしています。

    日本人は、どこまでもいっても世俗的ですが、
    新しいモノを、すぐに取り入れることに長けています。
    ただ、今はその新しいモノが欠乏しています。
    もう取り入れるモノがない、飽和状態になっています。
    その時に、過去から学ぶことは、誰でも思いつくことですが、
    できる人は、ほとんどいません。
    しかし、やろうとしている人は、豊かな人生を手に入れたものと、
    同義と言えるかもしれません。

    著者は、既に故人となりました。
    非常に残念ですが、膨大な量の書籍を私たちに残してくれました。
    おそらく一生かかっても、著者の見識には到達できません、
    現在の混迷な時代を生き抜く上で、著者の作品は、自分たちに、
    多大なるヒントを与えてくれるのは、間違いないと思います。

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    2019年12月02日
  • これで古典がよくわかる

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    高校生の頃出合っていたかったなぁ。
    なんで古典が読みにくいかが分かる。
    橋本治さんは、噛み砕くように説明してくれるし、例えも面白い。いつかどこかで出会う、過去の私みたいな誰かに勧めたい本。

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    2019年11月16日
  • いとも優雅な意地悪の教本

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    地域によって売れる本、並べられている本が違うので、旅先の本屋に立ち寄ることが多い。

    そんな矢先、本屋で見かけたのがこの本だ。

    自分の中で、「優雅」と「意地悪」は、随分とかけ離れたもの同士で、それらは両立しないものだと思っていたので、どんな本かと思い、購入。

    「意地悪」と「暴力」の違いという、対立構造から始まり、メリル・ストリープ、樋口一葉、夏目漱石と例を出し、意地悪の側面から紐解いていく。

    意地悪とは何かに関しては、はじめに語られているように、「完全犯罪」と同じで、自分の行為がいかにして相手に気付かれないか考えて実行に移すこと、としていて明快だ。

    『「意地悪」を考えるとなると、自分を意地悪される側の立場に置いて偏って考えがちです。だから、意地悪の中には「教えてやる」と言う要素が根底に横たわっているのだということを忘れがち(P45-46)』というのは、眼から鱗。

    この「教えてやる」という考えから始まり、完全犯罪に仕上げていき、実行する。
    突発的に「バカ」などというような、この本でいうところの「言葉の暴力」と比べれば、じっくりと熟成させていて、これこそがタイトルにある、時間をかけて作り上げる優雅さなのだ。

    全体の話の流れとしては、すぐに結論にたどり着くことなく、まどろっこしく、脱線しながら進んでいく。そんな流れが自分にとって「いい」と思えた。

    結論を言うのはものすごく簡単。だけどそればかりだと、受け取る人間は考えなくなって、言われた通りにやるといった、思考停止に陥るように思える。
    ヒントのようなものを出して、「後は考えて」と放置する。そうすることで、聞き手の技量が試される。

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    2019年09月26日
  • 福沢諭吉の『学問のすゝめ』

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    現代語訳と迷いましたが、こちらを選んで良かったのは、時代的背景も知れたと言うことです。
    著者のメッセージにも心動かされました。

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    2019年09月18日
  • 父権制の崩壊 あるいは指導者はもう来ない

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    何もないくせに何故か偉そうで、やたら迷惑なオヤジ。彼らは一体何処から発生し、社会で何をしてきたのか?何処へいくのか?男のサポートという役割から飛び出した女の論理とは?
    映画の話なんかも交えながら軽妙に語られる、男社会の成り立ちと崩壊と。めちゃくちゃ面白かったです。
    腹立つことばかりの日本の社会や政治に対して、こういう語り方ができる人が亡くなってしまったことが悲しい。
    橋本さんなら、今の日本の韓国に対する外交、吉本の一連の騒動をどう書いたのかな?と思った。

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    2019年08月19日
  • いつまでも若いと思うなよ

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    始めにいきなり「老いとはまず他人事である」との命題が提示されるが、結局これが老いとは何か?に答える究極の結論なんだと気付いた。
    自分は昔から老けているので、実年齢が上がるとそれに応じて見た目の年齢と近づいて行くから歳を取るのは嬉しかったりする。それでも『老人』という響きにはやっぱり抵抗がある。それはどこまでも他人事なのだ。
    しかしこういう老いと死に関するテーマを著者の死後に読むのは複雑だ。読みながらつい余計な事を考えてしまう。

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    2019年07月24日
  • 国家を考えてみよう

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    これは『平成の学問のスゝメ』ですな。政治の事はよくわかんない、と言って勉強もしないでバカのままでいると、変な人に騙されていつの間にかナチスのようなことになってしまうよ、という啓蒙書。若い人にはぜひ読んで欲しいね。
    こういうことは義務教育でちゃんと教えて欲しかったな。断片的な知識だけ詰め込まれても、こういう形で整理統合してくれないと何のためにその知識が必要なのか理解できない。わざと理解できないようにしているのかも知れないけれど。

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    2019年07月07日
  • 蝶のゆくえ

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    老若の女性を主人公にした6作の短編小説集。収録最初の短編「ふらんだーすの犬」があまりに衝撃的で言葉を失う。

    巷で繰り返される母親による子への虐待事件。報道を見るたびに思うのは、自分が生み育てた子をどんなきっかけで、なぜ虐待できるのかということ。それが本作品で少し理解できた。虐待までのプロセスが論理的で筋が通っている。加害者を許すことはできないけれど。

    このリード作品のインパクトが強すぎて、残りの5作品も、何かとんでもなく不穏なことが起きることを期待して読んでしまう。が、描かれるのは日常の中のちょっとした非日常に戸惑いながら、再び日常を続ける女性たちだ。この展開こそが純文学作家の橋本治作品らしい。

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    2019年06月11日
  • 窯変 源氏物語1

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    友人から「源氏供養の、ここの場面間違ってない?!」と問われ、初心者ながら源氏好きを公言し、尚且つ橋本治先生は大好きなのになんと!源氏供養を読んでなかったと今更気が付く私・・・
    日々、友人にお勧めされた本やミーハー本に追われて最近源氏関連本読んでいなかったなあと反省しました。
    源氏供養を読むならその前に窯変再読せねば!と小さな一念発起、久々に全14巻窯変源氏に手を出すことを決意しました(大げさ・笑)。

    久々に読んだ橋本源氏、やっぱり異質ですごいわ。
    未だにこれを超える訳本は出てないと思っています。そもそも訳本という枠を超えている。

    普通の源氏物語は、誰が訳していても光源氏が主役でありながら彼をめぐるまわりの女達にスポットをあてた物語に仕上がっていて、原文も、紫式部という女房の客観目線が主軸です。
    そんな中本書は、一貫して光源氏の主観で物語が進みます。
    何もかももってる光り輝く主人公ではなく、奪われたものに焦点を当て、それに対する不満や闇を抱え苦悩する、冷徹だけどまだ幼い光君が登場した時のインパクトは、何度も再読したはずなのにやっぱり衝撃的でした。
    紫式部が描かなかった男目線の平安貴族の世界を再現し、ねちねち、くどくど、でも、これこそが当時の人間のありようだ!と私は信じています。。

    1巻は桐壷~夕顔まで。
    ゆっくり読んでいこうと思います。。

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    2019年06月06日
  • いとも優雅な意地悪の教本

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    掴みからして面白いんですけど!
    まとめたいけど、まとめられない!
    莫大な知識量を惜しげもなく。

    人は言葉が足りなくなるとキレて暴力に走る。言葉の数が少ない決めつけだからこそ強く響く。「バカ」は二音。言葉の数のセンテンスが長くなると人は一瞬自分が何を言われているのか分からなくなってカッとなる事が避けれる。言葉の数が多くなると暴力性は薄れる。
    「死ね!」命令→「死ねばいいのに」願望→「なんで生きてるんだろ?」主語を曖昧に。それで物足りなければ「アァ!死ねばいいのに」と感嘆をつける。
    《思しき事言わぬは腹ふくるるわざー兼好法師》言語化しないと体の中は欲求不満でパンパンになるので「不穏当な願望」であっても言語化した方がいい。

    社会の本流に合致したものを暴力的になり社会の本流からずれたところにいるものは意地悪になる。
    頭が良くなければ意地悪になれない。

    単純な行為はすぐに伝播し暴力の連鎖を生む。意地悪は暴力と違って複雑。「誰がやったか」はもちろんすぐ分かってはいけないし、「何のことかよく分からない」というのが意地悪。

    教師の仕事は生徒が自分の頭で考えられる様にすることで知識を与えるのはその一歩でしかないが、それだけしていると生徒は与えられるのは当然と思って自分の頭で考えることをしなくなり、甘ったれた「ほしがり屋さん」になる。だがストレートに出さない(笑)講義の漣が起きるから!その気にしておいて突き落とすのが意地悪。

    不思議なもので人間は教えられなくても「馬鹿」とか「死ね」等の悪口を言う。きっと人間の脳みそのどこかには「人の悪口を言いたくなる回路」があるのだろう。でもこの「教えられなくても言う悪口」というのは単純なもの。これをとりあえず認めて「口から出やすい単純な悪口」を「複雑で頭を使う必要がある悪口を簡単に気づかれないような悪口」に変える訓練をする必要がある。

    権力者が目下の者の悪口を言っているということがばれたら品性の問題に関わってくる。だからバレないように悪口を言う。意地悪の基本姿勢は完全犯罪です!端から見れば明らかに意地悪であっても当人的には清廉潔白で私が意地悪なことをしたという証拠は何もないと胸を張っていられるのが家意地悪の意地悪たる所以。意地悪というのは、いたって優雅な行為なのです。

    意地悪な目がないと、性格描写や心理描写はできない。
    意地悪執事→慇懃無礼
    知性とモラルが分離している人が多い。
    男の嫉妬最たるもの→映画「アマデウス」のサリエリ
    (才能ある男と同じステージに上がろうとしても上がれず
    もがき続けて一方的な嫉妬をする)

    名前を言ってはいけない人。平安時代高貴な人の名前は忌み名と言って言ってはならなかった。名前には魔力がある。悪魔退散の時も悪魔に名乗らせて払う。名乗ると力がなくなるから。古今東西同じなんだなぁと感慨深い。

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    2019年05月12日
  • これで古典がよくわかる

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    橋本治節ッはこうでなくちゃヾ(≧∀≦*)ノ〃

    壮大な知識人をまた一人見送らなくてはならない悔しさというか、無念さ…

    溢れ出んばかりの想いと知識及び独特な見解がこの一冊に詰まっている。
    とっても贅沢な作品。
    橋本先生を感じることができる作品。
    だから紙の本は止められない(笑)

    古典好きにはたまらない一冊(*≧ω≦)

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    2019年04月22日
  • ちゃんと話すための敬語の本

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    ネタバレ

    "ちゃんと話すための敬語 = いいかげんにテキトーに使う敬語"

    敬語というものは、人と人との間に距離があることを前提とした言語である。

    それ故に、人と距離を縮めたたいと感じたとき矛盾が生じる。

    目上の人と仲が良くなりたいために敬語を崩して会話すると、相手からは敬語が聞けない無礼者という認識を持たれてしまう。

    元々、敬語というものは、日本で身分制度があったときの名残であり、言わば古い時代の言葉である。

    身分制度や階級制度がなくなった比較的フラットな現代において、「自分よりえらいか、えらくないか」という序列を元にした敬語というのはコミュニケーションの足枷になりかねない。

    言葉というものは、時代によって変化する。
    それと共に、敬語も時代によって変化していく必要がある。

    日本人は時代に応じて、敬語という言葉と親密なコミュニケーションの落としどころを考えていく必要がある。

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    2019年04月13日
  • いとも優雅な意地悪の教本

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    残念でならない。つい先日、橋本治氏が亡くなられた。
    その報に接し、長らく書棚に積まれていた本書を読んでみた。ここまで事の本質が見えると人生楽しいだろうな。それとも裏側が見えすぎて逆に楽しめなかったりするのかな?
    いつものようにアチコチに話が飛んで、一言で『意地悪』がスッキリ解説されているわけではないが、最後まで通して読めばその周辺概念まで深く理解できるように巧妙に構成されている。なんと言う知性。
    また一人至宝を失った。ご冥福を祈りたい。

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    2019年02月17日
  • 国家を考えてみよう

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    橋本治氏が亡くなられたので、密かに追悼の意味を込めて、出来るだけ時間を見つけて氏の作品を読んでみようと考えている。
    新書でこの限られたスペースのなかで深みのある、歴史の視点をもらった。
    そして何よりずっと思っていた『もう、このシステムでは社会はまわらない。そろそろ民主主義に変わる新しい政治システムが必要なのでは』『民主主義というシステムを再興するには人類がもう一度、奈落の底に落ちるところから始めなければならないのか』への答えがあったこと。
    もちろん、これは氏の意見にとどまるものたのだが、
    私にとっては「たしかに」と思えたことだった。
    〜〜
    民主主義の弱点とは民主主義が「民主主義というものがよくわからない人達」に対して、強制的で罰則付きであるような「民主主義教育」をしないということにあります。
    〜〜
    という文章のあとにわかりやすい言葉で、共産主義では思想教育を徹底するのに、何故民主主義ではそういった教育をしないのかや、
    “共産主義は民主主義国家を発展さ”せようとした先のものである。といったことなど
    橋本氏の解釈は歴史や政治を捉える枠組みを大きく揺るがしてくれた。
    薄いけど読み応えあります。

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    2019年02月13日
  • 橋本治のかけこみ人生相談

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    なぜ、この人は、こんなにも人間のことがわかってしまうのか?と、
    ふと、思います。作家の想像力というか、橋本治氏の凄みというか。
    現存いる人間で、恐らく最も、知性を持っている一人でしょう。
    人に生き方をレクチャーできる数少ない人間です。

    あらためて読むと、橋本治氏の人生相談への回答は、
    相談者が書かれた文章を正しく理解しようとするアプローチから始まります。
    というか、それだけです。

    あなたの相談文には、こう書いてあるけど、
    少し論理がおかしいから、こうですよねとか、
    なんで、この状況と、あの状況を一緒に考えてしまっているのか、
    ほんとは、別々に考えることですよねとか、、、、
    相談者からすれば、そうなんです、
    本当は、それを悩んでいるんですと、、、思ってしまう。

    全ての答え(解決策ではありませんよ)は、文章の中にある(自分の中)です!

    悩みなんて、そもそも根本的に解決できないものであることは、誰でも知っているのに、
    それでも、悩んでしまう、なぜか?
    橋本治は、「知らないよ」という。
    実は、はっきり、言ってくれた方がいい。
    はっきりと、お前の悩みなんて、俺が解決できないし、
    自分も、解決できないからと、言ってくれた方がいい。
    できることは、「理解すること」だけです。

    ただただ、橋本治氏は、悩みの正体を明らかにしていく、、、
    そうすると、悩みの輪郭がはっきりしてくる。
    どうやら、悩みというモノは、本人が思っているより、
    よくよく観察して、きっちり理解してあげないと、
    「扱いにくい」モノというとことがわかってきます。

    なぜ人は悩むか、それに対しては決して回答しない。
    だって、悩みなんて、そもそも、そのものが、あってないようなものだからです。
    まるで、悩む→反応する→さらに悩む→さらに反応する
    の根本的なスパイラルの元である、悩みに対して、
    橋本治氏は、輪郭をはっきりつける行為をおこなっているだけで、
    あとは、やはり、橋本スタイルで、「あとは、自分で考えてね」と軽く突き放す。

    ちなみに、橋本治の『青空人生相談』も、この本と同じスタイルですが、
    かれこれ20年以上の前とは思えないほどの出来栄えです。
    つまり、今読んでも、十分に面白い。
    人生相談本としては、異色の出来というか、
    このスタイルを超える、人生相談本は、これ以降も、出ないかなと思います。

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    2019年01月18日
  • だめだし日本語論

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    タイトルにあるほど『だめだし』はされていないが、やはり橋本氏と橋爪氏の日本語に対するスタンスの違いが際立つ対談になっている。どちらが正しいというものでもないだろうが、自分としては橋本氏の『複雑なものは複雑なまま理解すべき』というスタンスの方に共感する。

    この対談で何か結論めいたものを期待する向きにとっては期待外れに終わるが、日本語の成り立ちにまつわる雑多な知識、トリビアを学ぶ目的には持ってこいである。大いに楽しめた。特に日本語は音が基本の話し言葉と、漢文をベースにした書き言葉が2重螺旋のように絡み合いながら発展してきたとの解説には目から鱗が落ちた。

    それにしても橋本氏は頭の回転が速いだけではなく、歴史や文化、風俗に関する造詣にも深くて(良い意味で)あきれた。

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    2018年05月09日
  • 知性のテン覆 日本人がバカになってしまう構造

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    橋本治さんの本は、一つ一つの文章が、なるほどね〜 そうだよね〜 という気持ちのよい納得感を持っていて、この本もあーあ!という暗めの現状を論じている本なのですが、読んでいてとても「快い」感があり、同時に自分ももう少しがんばろうと励まされました。

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    2018年04月28日
  • いとも優雅な意地悪の教本

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    いとも優雅な意地悪の教本。橋本治先生の著書。意地悪は肉体的暴力や攻撃とは違う。意地悪は悪口や陰口、罵詈雑言とも違う。意地悪は本来は知的で優雅な行為。橋本治先生から優雅な意地悪の仕方を学べる良書。

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    2018年01月28日