橋本治のレビュー一覧

  • これで古典がよくわかる
    どうして古典文学をむずかしいと感じてしまうのか、その理由を解き明かすことで、古典にアプローチする方法を語った本です。

    漢字かな交じりの日本語が、鎌倉時代、とくに兼好の『徒然草』あたりになってはじめて生まれたと、著者はいいます。それまでの日本語は、男性のための漢文と、女性のためのひらがなに、はっきり...続きを読む
  • 「三島由紀夫」とはなにものだったのか(新潮文庫)
    誰かの言葉を借りない、筆者独自の三島論はとても説得力がある。
    切腹事件に振り回されて(幻惑されて)いないことも、当然なのですが爽快。
  • 失楽園の向こう側(小学館文庫)
    「貧乏は正しい!」シリーズ(全5巻、小学館文庫)の続編とも言えるような内容の本です。

    バブル後の不況を「失われた十年」と呼ぶことがあります。しかしこの言葉には、本来あるべきものが「失われた」のであり、どこかに「奪って行った」犯人がいるかのようなニュアンスがあります。著者は、そうした考え方そのものを...続きを読む
  • 恋愛論 完全版
    男性と女性を超えた存在、橋本治さんの恋愛論。自身の体験から、恋とは何かを語っています。恋愛はやっぱり個人的なものだと思うので、共感できたりできなかったりですが、ひとりの人の考え方が赤裸々に見えて、こういう考えもあるのかと興味深く読めます。男性でも女性でも書けなくて、橋本治にしか書けないであろう、恋愛...続きを読む
  • 人はなぜ「美しい」がわかるのか
    同年代、というか、僕より年下の小説家さんで、津村記久子さんという人がいます。
    もう6年くらい前に友人に本を勧められたのがきっかけで、新刊が出るたびに愉しみに読んでいる、大好きな小説家さんです。
    その津村記久子さんが、橋本治さんの「人はなぜ「美しい」がわかるのか」について、
    「最近読んでとても面白かっ...続きを読む
  • 巡礼(新潮文庫)
    戦後の雰囲気で、語られなかったことが実はたくさんある。「3丁目の夕日」のようにいいところばかり語られているが、そうじゃないこともありる。3.11のことも片付いていないまま走っている今を見ているのかもしれない。
    自分のしていることが無意味であるかもしれないということをどこかで理解している。しかしそれ...続きを読む
  • ちゃんと話すための敬語の本
    「敬語」は目上の人を尊敬するための言葉ではなく、人と人との間にある距離を確認して、人間関係をきちんと動かすための言葉であるという観点で書かれた本。
    特に、敬語というと、相手を敬う”尊敬語”と、自分をへりくだる”謙譲語”の使い方ばかり取り上げられてしまうが、実は相手のランクと関係ない”丁寧語”がきちん...続きを読む
  • 虹のヲルゴオル
    13人の映画女優の魅力を語る映画評。
    読み終わったあとは、橋本説にそって取り上げた映画を観たいと思う気持ちがわき上がってくる。
    もちろん橋本説は映画評のひとつであり、それだけが正しい見方とはならないんだけど、きっと映画を観ればそれぞれのヒロインの美しさが感じられ、それはこれまでに語ってこられた魅力と...続きを読む
  • 大不況には本を読む
     タイトルからすると「読書のススメ」のようにも思えるが、内容としては橋本さんの思想を数年前の経済に当てはめたもの。「不況」を議論の端緒として「読書」をはじめとした教養論へと発展していく。

     現状、とくに政治や経済に対するアンチテーゼを産業の発展や歴史を絡めて論じている。よくありがちな「このままいく...続きを読む
  • 権力の日本人 双調平家物語ノート1
    清盛は悪くないから、奈良時代の女帝、藤原家の成り立ち、壬申の乱以降の天智、天武の末裔達まで全てを解説。非常に分かり易い本。
  • 「わからない」という方法
    読書録「「わからないという」方法」4

    著者 橋本治
    出版 集英社

    p99より引用
    “そして、初心者にとってなにが一番いやか
    と言えば、「基礎を確実にマスターする」の
    間のチンタラした時間である。”

    目次より抜粋引用
    “「わからない」は根性である
    「わからない」という方法
    なんにも知らないバ...続きを読む
  • 浄瑠璃を読もう
    この夏「女殺油地獄」で文楽デビューして文楽の華やかさ・シュールさ・今っぽさ・そして、人間を見つめる深さに驚愕し、なにか浄瑠璃の本を、と本書を手に取りました。しかも橋本治印だし。期待にたがわず橋本節は人形浄瑠璃という芸術の中でのストーリーを縦横無尽に語っています。そもそも浄瑠璃そのものが破天荒な物語で...続きを読む
  • 失楽園の向こう側(小学館文庫)
     著書すべてを読んだわけではないが、本書は橋本さんの思想エッセンスがすべて盛り込まれているのではないかと思えるほどの完成度。集英社新書のシリーズも良かったが、本書の守備範囲のほうがより幅広い。

     世の中、あるいは自分に何かしらの「ひっかかり」があるとき、橋本さんの考え方はとりあえずの解決を導く「と...続きを読む
  • 橋本治と内田樹
    賢い人って世の中にはいるんだなあと実感。
    でも、あの窯変源氏を書き上げる人が
    まともなはずないの(笑)
    でも、気張りすぎてないので、
    電車の中で読むのにちょうど良かったです。
  • 上司は思いつきでものを言う
    上司が思いつきでものをいうのは、故郷をなつかしむひとが故郷からやってきた若者の改革プランにケチをつけるのに似ていると、著者は卓抜な比喩で説明します。上司は「現場」から離れてしまっているにもかかわらず、会社が現場を収奪する「上から下へ」の流れはあっても、「下から上へ」の流れがなくなってしまったことが、...続きを読む
  • 初夏の色
    どれもいい作品なのだが、「渦巻」と「団欒」は特にいいな、と個人的に好き、と思った。それぞれ強調するでなく震災が絡んでいるが、「団欒」家族っていいな、と思わせる。
  • 青春つーのはなに?
    第1章は警句集。第2章以下はエッセイという構成です。

    「フェリーニと『サテリコン』」というエッセイでは、フェデリコ・フェリーニの映画『サテリコン』について語られています。この映画でフェリーニが示しているのは「青春あるいは若さというものはおろかな時期だけれども、自分が青春物語の主人公だと思ってしまっ...続きを読む
  • これで古典がよくわかる
    とっかかりにくく思える日本の古文。それでも結局、古文も時代は違えど同じ日本人が書いたものなんだと思い直せる内容。
    漢字だけ、ひらがなだけで書かれた文章から和漢混淆文に至るまでの歴史、感情を基にして詠まれる和歌、それぞれの時代に生きた人のリアルな想いが書かれた文章。教養としての古文が、生身の人間が書い...続きを読む
  • これで古典がよくわかる
    *日本語の歴史。
    文字はないけど言葉はあったところに、漢字がやって来る。漢文の時代。英語にカタカナでルビをふるように、レ点をわきにふって読む。(古事記、日本書紀)
    →漢字の読みだけを拝借した万葉仮名。(万葉集)
    →漢字を崩して読みだけを拝借したひらがな。(竹取物語)
    →ひらがなで、より複雑な内容も書...続きを読む
  • 恋愛論
    表題作の「恋愛論」のほか、3つのエッセイを収録し、カバー・デザインを手がけ、さらに「解説」まで著者本人が書いています。

    「気むずかしい赤胴鈴之助」は、ヒーローに憧れた少年時代の回想、「誰が彼女を殺したか?」は有吉佐和子論、「セーター騒動顛末紀」は『橋本治の手トリ足トリ男の編み物』を出版したことをめ...続きを読む