橋本治のレビュー一覧

  • 知性のテン覆 日本人がバカになってしまう構造

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    第5章の「なぜ下品になったか」が良かった。
    80年代から「バカになる」が時代のテーマで、バブルが崩壊しても「バカのままでいい」と宥されてきたと分析。
    関西のお笑いと品性を解いていた。

    私は反知性主義は40年かけて浸透したのだと納得。
    今、テレビもお笑い芸人とアイドル歌手が占拠している。
    こんなTVを捨てて、Youtubeを見る若者がほとんど、ということは日本の若者も捨てたもんじゃないと思う。

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    2021年03月31日
  • 浄瑠璃を読もう

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    仮名手本忠臣蔵の文楽を以前見た記憶をたどりながらこの本を読みました。また何度か文楽を見てこの本を読み橋本さんの本の内容を理解したいなと思う。

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    2021年03月10日
  • 「わからない」という方法

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    再読。
    読むものがない時のつなぎでパラパラ読んでいたが、
    間をどれだけ開けても、スッと入ってくる橋本さんの言葉がすごい。
    ものごとを知る、分かっていく、作っていく、その過程を
    橋本さん流のわかりやすいくどい言葉で追っていく。
    何かを生み出すことに近道はなく、ひらめいたものを確かなものにするために、あとはただ進むだけ。
    作品を作り上げるという大きな話だけでなく、
    日常の中にある「わからないもの」を分かるようにするための筋道は同じものだ。
    身体を信じている橋本さんの言葉は、しごくまっとうで、誰にでも届く。
    わかりやすく、のためにえんえんと言葉を重ねる誠実さ。
    橋本治の本は、もっと読まれないといけないよな、といつも思う。

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    2021年03月08日
  • そして、みんなバカになった

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    著者の本は5冊目だが、膝を打つような明快な意見に魅了されることが多い.本書も大いに楽しめる内容だったが、第5章の「年をとるってやっぱりわからない が正しい」が良かった.p169: 老いというのは、老いてみないとわかんない その通りと思う.

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    2021年03月05日
  • 初夏の色

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    津波で何も無くなった、色々な人たちの心象が、短編化されている。静かな小説、でも、遠くに雲の間から太陽が柔らかく降り注いでいた。

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    2021年02月18日
  • 美男へのレッスン(上)

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    現代社会において「美男」が置かれている位置について考察をおこなっている本です。

    著者はまず、オードリー・ヘップバーン主演の映画『パリで一緒に』を題材に、中年のシナリオライター役で登場するウィリアム・ホールデンと二枚目俳優のトニー・カーティスを対比しながら、若い美男に対抗意識を燃やす中年男と、そうした中年男の思惑とは無関係に「それ自体でバカかもしれない」美男との齟齬に注目しています。著者のまなざしは、中年男と美男の自己認識における相違に注がれています。すなわち、すでにロマンをうしなって現実に生きているという確信をもっている中年男と、この社会において美男としてのスタイルを引き受けざるをえないということを認識している美男の、それぞれの自己認識のありかたが主題となっています。

    こうした自己認識における対比は、その後変奏されつつ追求されていきます。たとえば著者は、美男の悩みは「せっかくここまで自分は現実に適応してしまっているのに、どうして現実は自分を受け入れてくれないのだろう」ということに尽きるといい、美男じゃない男の悩みは、「せっかくここまで自分は現実に適応しているのに、どうして現実は自分を受け入れてくれないのだろう」というものであると喝破します。美男は、すでに具体的な他者と出会ったところから、具体的な関係のなかで悩みをいだくのに対して、美男でない男は、観念のなかで他者との出会いを思いえがいて、どのようにすればそこに到達することができるのかと悩んでいるのだと論じています。

    著者にはすでに『蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか?』(河出文庫)という男性論があり、本書の主題もある程度それとかさなっていますが、本書では映画や歌舞伎、浮世絵や芸能界についての著者の考えがさまざまなところに差し挟まれており、それぞれの議論も興味深く読むことができました。

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    2020年10月23日
  • 大江戸歌舞伎はこんなもの

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    江戸の歌舞伎には、自分の人生を悩む孤独な男というのが、一人も出て来ません。なんで出て来ないのかと言えば、そんなもんに出て来られてもお話にならないからです。
    悩む代わりに、すべては行動によって解決するという、単純なる身体主義だけがあります。ゴチャゴチャした構造の江戸の歌舞伎が、実はその一方でとてもいさぎいいということを知って、大好きです。どうでもいいやですませてしまうのが、まず今日はこれぎりで終わってしまう江戸の歌舞伎、そういう決着のつけ方があるのかとショックでした。

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    2020年10月11日
  • 上司は思いつきでものを言う

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    ずっと かかえていた
    もやもやしたものが
    あっ そうか!
    と コトンと胸に落ちる ことがある

    橋本治さんの
    著作を読んでいると
    その幸運に満たされる
    ことが よくある

    本書も その一冊です

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    2020年10月09日
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと

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    今回の著作は秀逸、歴史物ではなく、「失敗の本質の検証」に対する想いが伝わる。
    310万人が亡くなった太平洋戦争
    大きな戦略が明確でないと最終的な勝利は覚束ない
    戦場の指揮官ばかりではなく、陸海軍の枢要な部署にある連中の戦略構想が大事

    太平洋戦争においては不思議なくらい日本の軍人さんは決断ができなかった
    統制好き 上からの命令遵守の指揮官が多かった

    しかし「組織の目的を明確に」することはなかなか難しい
    真の目的を部下と共有すること、プロジェクトリーダーとして最も重要
    それこそがリーダーシップ!


    西南戦争が終わり、山県有朋は「統帥権の独立」を制度化した

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    2020年07月24日
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ

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    口述という体裁もあってか今回もあっちこっちに話が飛ぶのに、最後に必ず元に戻ってきて、きちんと筋が通っているところが相変わらず凄い。またこの人の言葉の使い方、特に喩えが超絶に上手い。昭和=「復興経済」との表現もすごく腑に落ちる。
    英EU離脱は成長、拡大を追求した経済飽和の象徴であり、もうこれ以上の拡大路線は無理でしょ?というのが骨子。
    カワキタ氏やホヅミ君だけでなく、自分も含めてこう言う言い方をされると「じゃあどんどん縮小していく世の中が幸せなのかよ」という発想になりがちだが、著者はこのような0-1の二元論に陥るのを止めて、その中間の心地良い所を探しませんか、と言っている。まあそう言われればそうかも知れない。
    経済に飽和点があるのか?という問いは宇宙の膨張に終わりはあるのか?に等しい難しい命題だ。かつて某経済学者はモノが行き渡って需要が飽和するとの論を一刀両断にしていた。「あなたにはもう欲しいものが何もないのか?」と。しかしこれに関しては橋本氏の「どうしてもなければ困るモノはもう持ってるでしょ?」との問いかけの方がしっくりくる。確かに昔は借金してでも買いたいものが確実に存在したが、住宅を除いてもうそんなものはなくなった。どちらが正しいのかはわからないが、宇宙の果て論争と同じで誰も正解は持っていないのだろう。

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    2020年05月16日
  • リア家の人々(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ・半年もたたぬ間に、総理大臣はもう二度代わっている。新しくなろうとしても、国の中枢はそうそう変われない。「これなら大丈夫だろう」と思われる人物を連れて来ても、国の中枢にふさわしいと思われる人物なら、なんらかの形で汚れている。「新しくなる」ということは、そう簡単なことではないのだ。

    ・人にはそれぞれの背景がある。同じ時、同じ場所にあっても、それぞれに得るものは違う。違うものを得て、同じ「一つの時代」という秩序を作り上げて行く。一切が解体された「戦後」という時代は、新しい秩序という収まりを得ることに急で、その秩序を成り立たせる一人一人の内にあるばらつきを知らぬままにいた。

    ・誰に言いつけられたわけでもない。「東大に行きたい」と言い出したのは、自分自身なのだ。「東京の伯父さんは東大を出ている。僕も東大に行きたい。東京に行って東京の子になりたい」と願って、それはかなえられた。東京でも有数の進学校に通い、寄宿先の伯父や従妹には愛された。秀和は「祝福された子供」だった。それがいつか、すき間風が吹き込むように、薄れて行った。誰かが秀和を追い詰めているわけではない。秀和を守っていたものの力が少しずつ後退して、秀和は「孤立」というものを感じるようになっていたのだ。

    ・それは政治でもない、思想でもない。政治や思想の言葉を使ってパラパラに訴えられたものは、その社会の秩序を形成する人間達の「体質」である。だからこそ、東京大学の教授達は、学生達から罵られ、嗤われ、困惑し怒っても、なにが問われているのかが分らなかった。秩序を形成する者の「体質」、形成された秩序の「体質」が問われるようなことは、かつて一度もなかった。なにが問われているのか分かったとしても、事の性質上、それはたやすく攻められることがなかった。だからこそ、事態は紛争へと至って、その紛争は、そう簡単に解決されることがなかった。仮に紛争が収まって「元の状態」へ戻ったとしても、問題を発生させた「元の状態」がいいものであるのかどうかが、分からないからである。

    ・「私、自分で探したいの。自分になにが出来るのか、出来ないのか、それが知りたいの。自分のこと、なんにも知らないの。だから、なにが出来るかを、自分で探してみたいの。私、この家の中のことしか知らないみたいな気がするの。いけない?」と言った。

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    2020年05月15日
  • 国家を考えてみよう

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    国家と国民について、分かりやすく解説している好著だ.第4章で、国家主義の本質を述べているが、憲法と密接に関連する由.現政権は憲法の重要さを理解しておらず、一般の法律のようなものだと誤解している.国民をないがしろにしているようで、十分に注目しておく必要があることを痛感している.最後に出てきた文言は良い.曰く 「国家は我々国民のものである」-- このことをはっきりさせるために、私はこの本を書きました.「バカでも国民か」なんて言われないように、考えるべきことは考えて、自分が立っているその足許だけは明確にさせましょう.

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    2020年05月05日
  • 「わからない」という方法

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    橋本治(1948~2019年)氏は、東大在学中に、「とめてくれるなおっかさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」という東大駒場祭のポスターで注目され、その後イラストレーターを経て、文筆業に転じ、様々なメディアでも活躍した小説家、評論家、随筆家。
    本書は、「わかる」ために、セーターの編み物の本まで書いてしまった著者が、「わからない」が全ての出発点である、ということについて、繰り返し、著者独特の(くねくねした)文体で書き綴ったものである。2001年出版。
    著者も述べているように、方法論を書いたハウツー本ではない。

    なるほど!と思った点をいくつか引用すると、以下である。
    ◆「「わからない」をスタート地点とすれば、「わかった」はゴールである。スタート地点とゴール地点を結ぶと、「道筋」が見える。「わかる」とは、実のところ、「わからない」と「わかった」の間を結ぶ道筋を、地図に描くことなのである。」
    ◆「二十世紀は理論の時代で、「自分の知らない正解がどこかにあるはず」と多くの人は思い込んだが、これは「二十世紀病」と言われてしかるべきものだろう。・・・よく考えてみればわかることだが、「なんでもかんでも一挙に解決してくれる便利な“正解”」などというものは、そもそも幻想の中にしか存在しないものである。「二十世紀が終わると同時に、幻滅もやって来た」と思う人は多いが、これもまた二十世紀病の一種である。二十世紀が終わると同時にやって来たのは、「幻滅」ではなく、ただの「現実」なのだ。・・・二十一世紀は、人類の前に再び訪れた、「わからない」をスタート地点とする、いとも当たり前の時代なのである。」
    ◆「この本で私が繰り返し言うことは、「なんでも簡単に“そうか、わかった”と言えるような便利な“正解”はもうない」である。・・・私が言いたいのは、「便利な正解の時代」が終わってしまったら、「わからない」という前提に立って自分なりの方法を模索するしかないという、ただそれだけのことである。・・・私は「新しい方法」を提唱しているのではなく、「人の言う方法に頼るべき時代は終わった」と言っているだけなのである。」

    こうして見ると、20世紀末から、時代がモダンからポストモダンに移行しつつある中で、我々はものごとを如何に捉え、如何に解決していくべきなのかを、噛み砕いて示しているのだ。そして、これは、松岡正剛氏が『知の編集術』等で「21世紀は、20世紀に列挙した「主題」を解決する、「方法」の時代である」と表現していることと同じであろう。
    21世紀に入り既に20年が経つが、閉塞感の打破できない今、再読する価値のある一冊と思う。
    (2006年3月了)

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    2020年05月02日
  • 「わからない」という方法

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    橋本治の本を読んだのは3冊目である。
    1冊目は『知性の転覆』、2冊目は『上司は思いつきでものを言う』で、この2冊で橋本治のファンになった。
    橋本治は面白い。
    面白さの一つは「等身大」である。
    橋本治は等身大でものを言う。背伸びをしていないから合点がいく。それは本書では「身体性」である。
    二つ目は「地を這う」である。
    ものの言い方には「帰納」と「演繹」の2種類がある。「帰納」=「地を這う」で、「演繹」=「天を行く」に対応するのだが、橋本治の書き方は極めて帰納的である。
    なるほど、ここまで書いてみてようやく分かった。
    橋本治の文章は帰納的であり身体的なのだ。

    「分かる」には、
    ①作業を通して言葉を掴む=学ぶ
    ②作業を通して感覚を掴む=慣れる
    ③作業をせずに言葉を掴む=暗記
    ④作業をせずに感覚を掴む=天才
    の4種類があり、③は不毛で④は一部の人間しかできないことであるから、普通は①と②で行くしかない。
    その行き方は、
    (a)天を行く=教え手と共に天を行く
    (b)地を這う=自分だけで地を這う
    の2つがあるが、(a)にしても事前か事後か、身体性を補完する必要がある。

    要は、経験を通して身体で掴んだものは強いのだ。頭脳だけで抽象的に掴んだものは「分かった」とは言い難い。経験を通して掴んだものは、いつか役立つかもしれない。役立たないかもしれない。役立たないかもしれないから、さっさと忘れて構わない。
    しかし、そのときが来たら思い出せるものなのだ。

    ①言語化
    学びを自分なりの言葉にせよ

    ②身体性
    たくさんの作業をしてコツを掴め

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    2020年04月06日
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと

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    ・多分、人はどこかで自分が生きている時代と一体化している。だから、昭和の終わり頃、実に多くの著名人が死んでいったことを思い出す。

    ・「戦争法案だから反対だ」というスローガンは分りやすい。でもその分りやすさは、「日本の安全保障をどうするのか?」という問題をたやすく吹っ飛ばしてしまう。反対するべきは、その法案の一歩も二歩も先を読んだ「戦争法案だから」ではなくて、「我々のやることだから余分なことは言わずに受け入れろ」という政府の態度に対してであるべきはずなのに、「戦争法案反対」の声はそこを素通りする。
    「その説明は説明になっていない。説明ではない、ただの押しつけだ」ということが、重大なる徳目違反を指摘するものだという理解がなくなってしまっているから、「余分な口出しはするな」という態度が、国会という「審議の場」で通用してしまう。言論の重要性を無視して、それでも平和でにぎやかで、金儲けだけが第一のこの国をどうするのかということなんかは、簡単にわかるはずがない。とりあえず「簡単に分かる」というイージーな手は捨てるべきだ。

    ・「ただ真面目で単純におもしろみのない人は、転けてもおもしろくないな」ではあるのだが、それに比べて彼の国の大統領はさすがだった。役者振りが違うというか。
    後ろの蟻地獄の穴の中で「盟友」なのかもしれない日本の総理大臣が素っ転んでいるにもかかわらず、振り向きもしない。日本の総理がバンカーに入ってったんだから、ちょっとくらい立ち止まってもいいんじゃないかとは思うが(なにしろ二人っきりでコース回ってんだから)、待ちもしない止まりもしない。振り向きもせず、「私の周りは平和で何事もない」という例によっての「自分ファースト」でスタスタと先に行ってしまう。ロングの映像のそこにだけ、唯我独尊な大統領の顔がアップで重なるようで、現在の日米関係のあり方をまんま表明するようなものだ。転けたのは安倍晋三だが、画面の主役はトランプで、日本の総理異大臣は、傲慢でなんにも考えないアメリカ大統領の脳天気ぶりを映す映像の脇役でしかない。この映像をオープンにした時、日本人の多くは、アメリカ大統領の意図せぬコメディアン振りにあきれて笑うんじゃないかと思うんだけども、削除要請をする日本のどこかの方は、そういう風にこの画面を見ないんだな。

    ・あまり言われないことだけれども、「自分の考えを言え」と言われた時に、かなりの数の日本人は「自分の考え」をまとめる以前に、「みんなどういう風に言うんだろう?どう言っとけば間違いがないんだろう?」という正解探しをして「自分はちゃんと空気が読めている人間だ」という自己表明をしているように思う。
     日本の新聞がはっきりした物言いをしなくて、「ここら辺が公正中立の着地ポイントだろう」という判断で記事を書いていて、それが外の国での「言論の自由」とはズレているにしろ、国民に対して「この内閣の提出するこの法案にはこういう問題点がある」ということをきちんと説明し始めたら、読者の多くは面倒臭がるんじゃないのかと思う。今のメディアの最大の問題というか困難は、「受け手に関心を持たれないようなことをやって、逃げられたらどうしよう?経営の危機だしな」というところにあるように思う。

    ・内輪揉めの解決は話し合いしかない。話し合いで双方が譲歩して妥協するしかない。そして、ここで一番重要なのは「力ある大きなものほど大きく譲歩する」ということで、これがなければ話し合いなんかまとまらない。
     それだけのことなのに、「力ある大きなもの」は「より大きな譲歩」なんかしないんだ。言うのは簡単でも実際はだめというのは、こんなことですね。

    ・世界中には、いろいろな「時計」がある。近代という時代を示して引っ張ってきたヨーロッパ製の時計は、ネジが切れたのか、もう先を示せなくなった。「ヨーロッパに於ける極右勢力」というのは、進んで行く「近代」の時計の陰でおいてけぼりを喰わされていた、同じ国内の「周辺の土着」だろう彼等が、遅れていた「自分達用の時間」を進めるために、新しい時計のネジを巻き始めたというのに近いはずだ。

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    2020年03月01日
  • たとえ世界が終わっても その先の日本を生きる君たちへ

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    聞き書きの本。
    50代と30代のライターを相手に、話ながら進めていく。
    橋本治さんが育った時代の、目に見える世界の変わりよう、
    生活や人が変わっていくのを肌で実感し、
    そこから大事なことを抽出すると
    ちゃんと世界を見るものさしができあがる。
    橋本さんの中で、イギリスのEU離脱のお題は、
    遠くローマ帝国の時代にまでさかのぼりながら、
    ロシア崩壊や日本のバブル期、今の世の中にあふれる物言いにまで
    経済というキーワードですべてつなげていく。
    決してアクロバティックな論理ではなく、ごく普通にたどっていくだけで
    物事がシンプルに見えてくる。
    今のビッグデータなんてものに振り回されなくても、
    橋本治という一人の頭の中で、
    長く広い膨大な全体を網羅的にとらえ、
    ひとの、普遍的な本質を取りだすことができる。
    今ある、欲望を満たすだけのための「心のない論理」と
    上っ面だけを装う、一見なんの問題もないきれいごとの「心の論理」ではなく
    必要なのは、時間をかけて絡まったものをほどきながら考えていく「心のある論理」
    でもそんな悠長ですぐに結論に達しない(結論もないかもしれない)ものに
    辛抱強く付き合えるだけの力はどんどん奪われていって
    1,2,3で分かるようなものにだけ反応し、決めつけ、排除してオシマイ。
    橋本治のいなくなった世界で、誰が今を見直すヒントを出すことができるんだろう。
    ネットやらAIやらと、取り巻く環境がこの先どんどん変わっていくとしても、
    きっと橋本治の本の中に、そのヒントは書かれてある。
    ほんとにね、橋本治の本はもっと読まれないといけないと思う。
    説明するというのは時間がかかるもので、
    でも橋本治さんだからこそ、
    新書なんていうボリュームの中に収まるくらいにまで
    すっきりさせることができるのだ。
    難しい言い方で置いてきぼりをくらうこともなく、
    平易な言葉と、身近な例で、
    分からないことを丁寧に考えていくと、
    いつのまにか、言われれば分かりきったこと、にまでたどり着く。

    「金融経済」は殺しても死なないゾンビ。
    オリンピック参勤交代方式。(金を使わせて余計なことをする体力を奪う)
    「社会建設」がなくなって、欲望がすぐ充足されると、ヒトは人間じゃないものになる。
    「大きくなる」はもう限界。お客のいない産業ってどういうこと?
    「損得で物事を判断しない」ことを「正義」という。
    もうね、橋本ワールドのまっとうさって凄いです。

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    2020年02月11日
  • 古事記

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    解説がたくさん載っているので古典文学初心者にとっては、歴史の勉強にもなり読み易い。
    「古事記」上、中、下の3巻の上の巻の分のみ。

    日本はイザナミが最初に淡路島を産んで次々と国土ができていった。神々は人間は作らない。

    あとがきに「神様は人間ではない。しかしいつの間にか、神様は人間になっていく」と。

    神様は完璧な存在と思っていたが、人間と変わらず人の良い方、意地悪な方、やんちゃな方という神様もたくさん登場して親近感が湧く。
    先祖を辿れば近所の人も皆親戚のような気がしてくる。

    子供の頃絵本で読んだオオクニヌシノミコトがウサギを助けた話やヤマタノオロチの話もある。

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    2020年01月22日
  • 結婚

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     どうすれば結婚できるのか!!??

     わかるマン。
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ!!!
     どうすりゃいいんだ...いや、マジで。

     最終章、倫子が婚活サイトや、合コンや、お見合いパーティー、とにかく暴走するたびに壁にぶち当たってやる気をなくし、でもなにかやらないと、というひたすらな焦り。
     
     非常に、わかるマン。
     
     とはいえワタクシもまだまだ30代前半ですのよ。オホホホホ!
     と言ってる間に、昨日もサークル部長が結婚しちゃったじゃないか!
     結婚式に一緒に呼ばれた電気科グループは全員妻帯者じゃないか!

     あああああああああ!!!!

     なぜ結婚できないのか(何故だ!)
     相手がいないからだ(知ってる!)
     
     つまり、相手がいないから結婚できないのだ(真理)。

     ....だから、どうしろってんだぁ!!!!!!!

     詰んだ・詰んだ・これは・詰んだ。
     サイン・コサイン・タンジェント。
     死んだ・死んだ・こいつ・死んだ(和積公式)。

     
     結婚できないアラサー女子、暴走に至る。
     という話でした。
     そして倫子の婚活は続く(おしまい♪)

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    2019年12月22日
  • 無花果少年と桃尻娘

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    シリーズ第五弾。

    おたがいの心の乖離から別れてしまうことになった磯村薫と木川田源一の二人が再開し、榊原玲奈は田中優の友人である利倉完二の実家に「女中」として働きにいくことを決意し、さらに磯村は田中と共同生活をはじめ、自分を「子ども」として可愛がって育ててきた母親からの独立を果たすための精神的な成長を遂げていきます。

    本シリーズの第一巻である『桃尻娘』(講談社文庫)は、女子高校生である榊原玲奈のことばと思考をトレースした文章でつづられ小説として、その新しさが刊行当時の読者に衝撃をあたえたといったかたちで紹介されることが多いのですが、続編では三人称の視点からえがかれることになり、本巻でふたたび磯村や玲奈の視点から語られるという形式に立ち返ることになります。ただし、そのことばと思考はリアルな大学生の男女のものではなく、たとえば『蓮と刀―どうして男は“男”をこわがるのか?』や『シンデレラボーイ シンデレラガール』(ともに河出文庫)で語られているような著者自身の思考というべきものです。

    みずからの責任を社会に肩代わりさせるような振る舞いをしない「一人前」の男になり、「他者」との開かれたコミュニケーションをめざそうと格闘する男と女をえがいた小説なのですが、「小説」というにはあまりにも著者の「思想」が前面に出てきてしまっているという印象を受けてしまいました。著者のファンとしてはおもしろく読めたのですが、多くの読者にとってたのしんで読める小説なのかというと、すこし疑問に感じてしまいます。

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    2019年12月17日
  • 恋愛論 完全版

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    1986年当時の彼女に進められて読んだ覚えがある。
    この年になって、ふと当時自分が何を思い何を考えていたんだろうって思ったときに、この本のことが頭に浮かんだ。

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    2019年12月04日