橋本治のレビュー一覧

  • 掌篇歳時記 春夏
    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにね...続きを読む
  • 思いつきで世界は進む ──「遠い地平、低い視点」で考えた50のこと
    橋本節が炸裂するコメントが満載の好著です.「ちくま」を購読しているので、記憶のあるものもかなりあったが、改めて読んでみると面白い.柔軟な発想が非常に心地よい感じだ.残念ながら著者は亡くなったが、勿体ない.彼の考え方の根本はどこから出てくるのなと思った.
  • 橋本治のかけこみ人生相談
    「相談なさる方の多くが、自分で、自分の悩みがどんなものか、理解なさっていることです。また、その悩みの多くが、対人関係にかかわるものです」

     親子関係、兄弟関係、職場関係、友人関係。そういう悩みを選別しているからなのかどうかは分からないが、本書に書かれている悩みはすべからく対人関係である。

     本書...続きを読む
  • 掌篇歳時記 春夏
    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか
  • 橋本治のかけこみ人生相談
    普段購読している新聞にも週に1回人生相談がある。複数の回答者がいるのだが、一読してその質に優劣があることがわかる。優秀な回答者は、(通常視野の狭くなっている)相談者が気づかない側面から新しい視点を提供し、「なるほど」と思わせる気付きを与える。そうでない回答者は表面的な回答に終始し何の役にも立たないア...続きを読む
  • 橋本治と内田樹
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    橋本治さんが亡くなり、内田先生が何度もその知性を褒めたたえるので、読んでみたくなったが、正直自分には対談本を読むだけでは知性のすばらしさがわからなかった。面白かったのは、官打・位打という言葉。これは初めて聞いた概念だが、とても面白かった。何かというと、武家が増長していった時代に、頭角を現すも...続きを読む
  • 日本の行く道
    いつもなら橋本氏の著書を読むと新しい視野が開けてきて、「言われてみれば確かにそうだ!」と手を打つのだが、今回は納得感に乏しかった。
    総論として言わんとするところは、「もう進歩を目指すのは止めようよ。地球も社会も壊れちゃって幸せになれないよ。」というもので、産業革命以前、それが難しければ1960年以前...続きを読む
  • 失われた近代を求めて(上)
    2010年~発行した同タイトルの全三巻の構成を二分冊に編集したもの。

    まず本書は「評論」であって、日本の近代文学史を体系立てて理解するような近代文学史の本ではないし、近代に活躍した文豪の生い立ちなどがわかる評伝本でもない。
    我々が近代文学史を学ぶと必ずぶつかるいくつかのテーマ、キーワードについて、...続きを読む
  • 「わからない」という方法
    おもしろかった。わからないからやる。普通、わからないからやりたくないと尻込みしてしまうが、だからこそやってみるというのはすごいなぁと感心した。自分にはそんな下地はないが、わからないけどやる、から、わからないからやるという意識に転換できればいいなぁと思い。やるしかないのだから
  • 院政の日本人 双調平家物語ノート2
     ここまで読んでくると、社会に対する橋本的時間概念んがどのように構築されてきたのか、橋本版双調平家が、なぜ、明日香以来の古代史から平安時代にいたる王朝交代について、延々と記述されているのか、納得できるような気がする。
     大きな年表では直接読み切れない血と権力の関係を解きほぐす「根性」とでもいうべき努...続きを読む
  • 権力の日本人 双調平家物語ノート1
     長く、枕元本として安眠のための導眠剤本としてころがっておりましたが、製本が独特で、ページが固いのが玉に瑕で、寝転がりあおむけ読書には向きません。寝てしまうと結構分厚い本が顔のうえに落ちてきますが、その際ページが自然に閉じて頭にこつんと当たるというわけです。
     だからというか、仕方なくうつ伏せで読む...続きを読む
  • だめだし日本語論
     へえー、この二人が出会うんだ。まずもって、そのことに感動。丸谷才一と山崎正和のセットのような取り合わせが、だんだんなくなっていってさみしがっている人にはなかなかいいセットだと思っていたら、橋本治君がなくなってしまった。
     この人とこの人を、という「人物」がまた一人いなくなったことをとてもさみしく思...続きを読む
  • 古事記
    懐かしい本です。橋本治君がなくなってしまって、遺品整理をしています。子供たちに読んでほしいと思って、ずっと昔に同居人が購入した本です。
     名著です。少年少女に読ませるだけではもったいない。例えば、岩波文庫の古事記は、アマテラスが生まれる前にくたびれてしまいますが、この現代語訳だと眠くなりません。すら...続きを読む
  • 「わからない」という方法
    わからない人が抱える「何がわからないかがわからない」という点をうまく使って、何もかもをスポンジのように吸収してしまう方法論。
    気づきを得るためには、常にアンテナをピンと張る必要がある。加えて、これまでの蓄積とリンクさせれば、飛躍させることができる。
    知性する身体という擬タイトルに痺れた。
  • リア家の人々(新潮文庫)
     橋本治は19世紀も、20世紀も、江戸も、あれこれみんな総括して見せて、たぶん、最近の新書では「平成」も総括していたと思うが、おしまいには借金も総括して逝ってしまった。さびしい。
     1969年で終わるこの小説は、「昭和」というよりも、「戦後」を総括して見せているとぼくは思った。
     しつこく低いアング...続きを読む
  • 国家を考えてみよう
    明治憲法への回帰を夢見るジジイに、この一節を贈りたい。

    >ファンタジーではないので、「この耀かしい鎧を着れば、たちどころに荒廃した国家は甦って、栄光の姿を現す」ということはないのです。

    自分たちが国に身を捧げるのは勝手だけど、若い世代を御伽話の世界に引っ張り込むのはやめなさい。

    これ以上、日本...続きを読む
  • 上司は思いつきでものを言う
    身近にいる「思いつきでものを言う人」を分析したいと思って買った本。
    本の内容からいってその人にはまったくあてはまらなかったが、働く職場のことを考えながら読むと、非常に面白かった。
  • 無花果少年と桃尻娘
    木川田くん、通称ゲンちゃんと別れた磯村君。何だか、「桃尻娘」の頃と遠く離れてきた感じが濃厚なんだけど、結構いいんですよね、寂しさが、ずっと漂っていて。講談社文庫で買えるのかな?
  • これで古典がよくわかる
    受験生を対象に書いているせいか、ふだんの橋本治の本に比べるとかなり読みやすい。兼好法師が徒然草を書きはじめた当初は若者だったにちがいない、という意見はおもしろかった。""
  • ちゃんと話すための敬語の本
    10代向けに書かれた内容であるが敬語の成り立ちや違い(尊敬・謙譲・丁寧)がよくわかる.敬語は人と人には距離があることを前提とした言葉である.「距離がある」と好き嫌いや尊敬とは違うというのは納得.