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「国家」は「誰かえらい人のもの」ではなく、「国民のもの」で「みんなのもの」だということをこの際はっきりさせておかなくてはなりません。そうでないと、うっかりだまされるなんてことになります。とはいえ、実際のところ「国家」や「政治」を考えるのはなぜかとても難しい。大体、日本で「国家」や「政治」のことを考えているなんてことを言うと、だいぶ変わった人と見られるが、それはなぜなのでしょうか。それらの秘密を解くカギは、日本の国の成り立ちにあります。その道を辿りながら、橋本さんと一緒に、今こそ国家というものの本質について丁寧に考えてみましょう。
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Posted by ブクログ
一見すると感性で物を言ってるようだけど、実際はかなり調べて物を書いていて、でもそれを表に出さずあくまで感覚的に書いてるように見せかけてるのでふわふわしてるようでどっしりしてる、という橋本治の本によくある書き方をしている。お勉強ではなく本当にゼロから考えさせたいからいろいろ前提や常識を取っ払って、でも本当に全部取っ払った独断の本になってはよくないからオーソドックスな考え方にはなっていて、ためにはなったけどぱっと要約するのは難しい。
一応自由を建前とする民主主義からなぜ度々国家主義的、独裁主義的なリーダーが出てくるのか、ということへの洞察はかなり鋭くて面白かった。
Posted by ブクログ
橋本治氏の本は、不思議なもので、参考文献をほぼ明記していない。
これは、自身が語る内容に、よほど自信があるか、
周囲がそれでも良いと認めているか、どちらかだ。
私は、後者だと思う。
固定ファンがいるのもそうだが、誰も氏に対して、
批判できないほど、橋本氏は、「他者の人」である。
この本で引用されてる文献も、
福沢諭吉の『学問ノススメ』だけである。
これだけの文献で、国家を語れる人は、そう多くない。
たぶん、現存する日本の知識人では、両手に数えられるぐらいだろう。
また、氏は、徹底的に権威というものに興味を示さなかった人で、
もし示した人ならば、大学教授になり、テレビのコメンテーターになり、
日本文化庁長官になっていただろう。
ただ、橋本氏は、もう故人である。
本当に、惜しい人物を失った。
氏の問題意識は、非常にシンプルで、
この著作で貫かれている論理は、
「国家は、国民のものだよ」、ただそれだけである。
国家=国民である。当たり前と言えば、当たり前だが、
私たちは、その実感があまりない。
それは、なぜだろうか?
橋本氏は、国家=国民この等式を、理解できないと、
大変なことになるよ(なっているよ)と言っている。
この等式を、わかってもらうためだけに、この本を書いている。
普通は、国家=国民という図式を、( )に入れて、政治を語る。
そこには、国家=国民を前提としている。
しかし、氏は知っている、政治を語る上での前提条件、
国家=国民ということを、たぶん、誰もわかっていないじゃんと。
その前提で、政治を語ったら、わからないだろう!ただでさえ政治は難しいのに!
と思ったのかは、定かではないが、ある問題の前提を、
しっかり理解する上で、氏のアプローチは、非常に王道である。
この点で、この著作は、明らかに啓蒙書である。
だから、日本で一番読まれた啓蒙書『学問ノススメ』を引用したんだろう。
学問ノススメは、明治、戦後すぐによく読まれた。
それは、日本人が新しい政治を必要としている時だからだろう。
また、新しい生き方のヒントに。
氏は、まず国家の成り立ちを、その字が意味する所から説明し、
また、国家が国民のものでなかった時代を日本の古代史から現代史まで、
語り、そして、国民国家の発祥の地である、
欧州の状況を、その成立前後から説明し、
最後に、天皇と国家の関係を、これまた、
日本の神話時期から、戦前、戦中の天皇と国家の関係、
そして現在の改憲のことまで。
独特な例えで説明している。
なぜ、これほど広範に語れるかというと、
氏が天才であることもそうだが、
氏のこれまでの創作物が、枕草子や源氏物語、平家物語などの、
古典中の古典の現代語訳(というか、橋本語)での実績、また、
それに付随するような日本文化、文学、美術、はたまた文体史から、
純文学まで、幅広い著作を残しているからだろう。
これほど、多岐の分野に渡る作品群を残している人は、
果たしているんだろうかというぐらい、質もさることながら、
空前絶後の量を残している。
氏は、徹底的に理解する人で、わからないことを、わかろうとする人だった。
こういう姿勢を貫ける人は、あまりいない。
氏の著作は、わかり易く書かれているが、決して、
簡単にわかる内容ではない。
一種の橋本式・理解モデルを提示しているに
過ぎない。あとは、君たちが考えてねと言っている。
少なくない人が、「考えること」を、できないでいる。
難しい、わからない、習ったことがない、知らないよである。
そうこうしているうちに日本は、政治はもちろんだが、経済も、
教育も、何もかも、停滞している、というか衰退している。
日本もおかしくなっているが、日本人もオカシクなっている。
まさに、国家=国民である。
絶望している人は、たくさんいるが、その絶望の原因と理由を、
個人に求めてもどうしようもない、
また、政治や経済、社会に求めても意味がない。ただ、文句を言って、
絶望を口にしても、何も変わらない。
こういった状況を何とかしたい!せめて自分だけでも、、、という人が多いが、
考える上での、知識もない、方法論もない、また自信もないわけで、
昨今は、ますます世俗的(経済的なメリット、デメリットだけで物事を考える)になっている。
「すぐ稼げる」、「すぐわかる」、「大丈夫!、これだけやれば」、
「ありがとうと言えば、幸せになれるよ」など、
今の日本は、中世か、はたまた、戦中のような盲目さが、国民全体、
そして、国家全体を覆っているみたいである。
情報は、毎日、洪水のように溢れているが、本当に自分にとって、
家族にって、友人にとって、地域にとって、社会にとって、
日本にとって役立つ情報は少ない、というか、ほぼない。これを理解するためにも、
「国家は国民のものだよ」という政治を考える上で当たり前とされているの前提と、
この著作で語られる氏のアプローチは非常に参考になる。
Posted by ブクログ
橋本治氏が亡くなられたので、密かに追悼の意味を込めて、出来るだけ時間を見つけて氏の作品を読んでみようと考えている。
新書でこの限られたスペースのなかで深みのある、歴史の視点をもらった。
そして何よりずっと思っていた『もう、このシステムでは社会はまわらない。そろそろ民主主義に変わる新しい政治システムが必要なのでは』『民主主義というシステムを再興するには人類がもう一度、奈落の底に落ちるところから始めなければならないのか』への答えがあったこと。
もちろん、これは氏の意見にとどまるものたのだが、
私にとっては「たしかに」と思えたことだった。
〜〜
民主主義の弱点とは民主主義が「民主主義というものがよくわからない人達」に対して、強制的で罰則付きであるような「民主主義教育」をしないということにあります。
〜〜
という文章のあとにわかりやすい言葉で、共産主義では思想教育を徹底するのに、何故民主主義ではそういった教育をしないのかや、
“共産主義は民主主義国家を発展さ”せようとした先のものである。といったことなど
橋本氏の解釈は歴史や政治を捉える枠組みを大きく揺るがしてくれた。
薄いけど読み応えあります。
Posted by ブクログ
国家についてここまで考えたことはなかった。
世界的に見ても日本はかなり特殊な国なのだと再確認させられた。天皇の名の下になんでもできた憲法。それを悪用した当時の軍事政権。そして第二次世界大戦でアメリカにボコボコにされて制定された日本国憲法。この日本国憲法において日本の国民国家が華開いた。民主主義に基づく国民国家は衆愚化しやすいし、国家主義になりやすいという脆弱性があるが、今の日本は前者に陥ってると個人的には思う。あまりにも政治に無関心な人が多いのは国というものがどういうものかわかっていないからなのかもしれない。日本においては特異な歴史の中で国民自身が国家とはなんなのかを考えづらかった部分はあり仕方ないのかもしれないが、この本を読んで勉強していただきたいと思う。
Posted by ブクログ
国家とは、国民である。
国家とは、領土である。
国家について2つの考え方がある。
言われてみれば、確かに。
国家=国民とばかり思っていたが、過去の歴史を振り返れば、当時は領土という考えが当たり前であった。
そればかりか、国家という概念さえなかったのである。
国家とは何ぞやと著者の持論が展開される。
まどろっこしさも感じてしまったが、国家について考えるというのはそういうことなのだろう。
一種の哲学なのだ。
国家について考えた後は、憲法につながっていく。
紆余曲折を経てきた日本の歴史だが、現在は国家=国民である。しかし、現政権においてはむしろ国家=為政者というような状況が散見される。
そんなことを考えると政治において、国民が蔑ろにされており、憲法に関する政府の考えも頷ける(賛成という意味ではなく)。
為政者は国民の「代表者」であり、「指導者」ではない。
しかし、国民の側でも、国家=国民という認識を持ち、憲法は誰のためのものなのかということをしっかりと認識しなければいけない。
「みんな勉強して頭がよくなると、政府の方も政治がしやすくなって、一般の人間も”政治の支配で苦しむ”ということがなくなる。そういう日本人が増えれば日本は大丈夫だと思って、私はその一点で学問を勧めるのである」(P70)という福沢諭吉の「学問のすすめ」の訳が原文と共に紹介されているが、今こそこの言葉を肝に銘じるべきであろう。
憲法改正に関する国民投票が行われる可能性の出てきた今、誤った判断をしないためにも、国家、憲法について考え、自分の意見を明確にしなければと思った。
1つだけ、「日本は単一民族国家」(P95)というような記載があったことが気になった。
日本は単一民族国家ではないと思う。
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