橋本治のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
国家とは、国民である。
国家とは、領土である。
国家について2つの考え方がある。
言われてみれば、確かに。
国家=国民とばかり思っていたが、過去の歴史を振り返れば、当時は領土という考えが当たり前であった。
そればかりか、国家という概念さえなかったのである。
国家とは何ぞやと著者の持論が展開される。
まどろっこしさも感じてしまったが、国家について考えるというのはそういうことなのだろう。
一種の哲学なのだ。
国家について考えた後は、憲法につながっていく。
紆余曲折を経てきた日本の歴史だが、現在は国家=国民である。しかし、現政権においてはむしろ国家=為政者というような状況が散見される。
そんなこと -
-
-
Posted by ブクログ
何とも不思議な本だ。読み始めの頃は『経済に明るくないないならこんな本書かなきゃいいのに』と感じたのだが、次第にこの著者は経済について書きたい訳ではないことがわかってきた。経済成長を前提とした社会システムや人々の思考様式では地球も経済活動ももたなくなっていて、ではどういう世の中にしたらいいのかを考えるために本でも読んでみましょうよ、ということらしい。特に共感を覚えたのは、生産量が地球に降り注ぐ太陽エネルギー量に制約される農業こそが経済活動のペースを決める基準となるべき、という点。sustainabilityの本質は農業だったのだ。
ではどうしたらいいのか、という疑問には『本を読んで考えろ』としか -
Posted by ブクログ
どうして古典文学をむずかしいと感じてしまうのか、その理由を解き明かすことで、古典にアプローチする方法を語った本です。
漢字かな交じりの日本語が、鎌倉時代、とくに兼好の『徒然草』あたりになってはじめて生まれたと、著者はいいます。それまでの日本語は、男性のための漢文と、女性のためのひらがなに、はっきりと区別されていました。漢文は「教養」であり、ひらがなは「感情を伝えるもの」であって、このニつは明確に分けられていました。日本人がふつうに「日本語の文章」を書き、それがじゅうぶんに自分の考えを伝えられるという事態は、まだ生まれていなかったのです。『源氏物語』に、玉蔓が物語を読んでいるのを見た源氏がフィ -
Posted by ブクログ
「貧乏は正しい!」シリーズ(全5巻、小学館文庫)の続編とも言えるような内容の本です。
バブル後の不況を「失われた十年」と呼ぶことがあります。しかしこの言葉には、本来あるべきものが「失われた」のであり、どこかに「奪って行った」犯人がいるかのようなニュアンスがあります。著者は、そうした考え方そのものを批判します。
これまで多くの人びとは、「カイシャ」の中で生きていくことを当たり前のように考えていました。彼らは往々にして、同僚や上司という「身内」だけしか見ておらず、「カイシャ」の外にいる「他者」に目を向けようとしません。著者は、グローバル化によって「カイシャ」の外に貧困が広がりつつあるにもかかわ -
Posted by ブクログ
同年代、というか、僕より年下の小説家さんで、津村記久子さんという人がいます。
もう6年くらい前に友人に本を勧められたのがきっかけで、新刊が出るたびに愉しみに読んでいる、大好きな小説家さんです。
その津村記久子さんが、橋本治さんの「人はなぜ「美しい」がわかるのか」について、
「最近読んでとても面白かった」と昨年おっしゃっておられたのがきっかけで、この本、読んでみました。
橋本治さんの、2014年の本。
いわゆる新書本ですね。
表題通り、どうして「美しい」という想いをひとは抱くのだろうか?というのがお話のはじまりです。
なんですが…まあ、65歳も過ぎて、橋本治さん、知とことばの地平線を自由わがま -
Posted by ブクログ
13人の映画女優の魅力を語る映画評。
読み終わったあとは、橋本説にそって取り上げた映画を観たいと思う気持ちがわき上がってくる。
もちろん橋本説は映画評のひとつであり、それだけが正しい見方とはならないんだけど、きっと映画を観ればそれぞれのヒロインの美しさが感じられ、それはこれまでに語ってこられた魅力とは違っていて、「美しい女性」というものの存在がオッサンである自分にも理解出来るんじゃないのかと思えるんだな。
本当のところは知らないけれど、映画というものには、監督にも女優にも自分の背景を込めた思惑があって、だからこの映画を作った、この映画に出演したという「物語」を著者は書く。
だから本書は橋本治が -
Posted by ブクログ
タイトルからすると「読書のススメ」のようにも思えるが、内容としては橋本さんの思想を数年前の経済に当てはめたもの。「不況」を議論の端緒として「読書」をはじめとした教養論へと発展していく。
現状、とくに政治や経済に対するアンチテーゼを産業の発展や歴史を絡めて論じている。よくありがちな「このままいくとヤバイよ」という指摘が主だったものだが、その過程で今の世の中の仕組みを解りやすく説明してくれているので、経済至上主義を肯定するにしても否定するにしても非常に有益な知識を得られる。出版時の2009年の状況よりも、選択肢がある程度変化している2014年現在のほうが実感を持ちやすいように思う。
次々